◇
ある英雄を、知っている。
誰よりも誠実だった青年の奇跡を。
誰よりも不出来だった男の愚行を。
誰よりも空虚だった少年の勇姿を。
私は、知っている。
【ぼくらのせかい】
そこに一つの世界があった。
デジタルモンスターと呼ばれる電脳生命体が生きる小世界。人の目から見れば原初そのものといった理無き異世界は、いつからか人間界とゲートで繋がれ、程なくして人間とデジモンそれぞれが互いの世界に迷い込む事態を発生させた。
人とデジモンの関わりは、記録されている限り前世紀末に端を発する。
1997年、ベルフェモンと呼ばれる魔王が突如極東の島国に出現、休眠状態であったことから容易に当時の政府によって捕獲され、以後貴重な検体として管理下に置かれた。だが数多の実験の果てにベルフェモンは覚醒して暴走、光ヶ丘の街を焦土と変えた末に討伐されたとだけ記されている。
報道管制が敷かれており、当時の資料を追っても詳細な情報を集めることは難しい。だが暴走したベルフェモンに蹂躙される前、光ヶ丘には別の怪物が現れていたという目撃例も確認できる。そこで語られる天を覆う紫紺の巨体を持つ魔獣は、まるで彼の予言者が告げた恐怖の大王のようだったとされる。
結果として当時の日本政府が何にベルフェモンを利用しようとしていたのかはわからないままだ。魔王と呼ばれる存在の管理と実験、それらは元々デジタルモンスターを利用したデジタルワールドへの移住計画があった故だとの眉唾な噂すらある。本当にそんな馬鹿げた計画があるのなら、当時その計画を指導できたのは政財界最後の大物と呼ばれた九条兵衛以外に有り得ないだろうが、当の九条兵衛が同時期に死亡したとされている為、結局のところその全容を窺い知ることはできない。
だが当局で確認できる限り、近い時期にデジタルモンスターを使役したと思しき複数人の男女の姿が目撃されていることは明らかだった。
ただ、その全員が2000年前後に行方不明となっている──
デジタルワールドはその名の通りの電脳世界。人間界で生まれる数多のデータが流れ込むことで命脈を保っている世界とされる。つまるところ人間界、もしくは人間との関わりが無ければ、デジタルワールドもデジタルモンスターも自身の存在を保つことすらできないということだ。
実を言えば、人間界はデジタルモンスターに侵略されていたと推測されている。より正確に言えば人間界の生物とデジタルワールドの生物をそっくりそのまま入れ替える事象が起きているとされる。期間は恐らく数日から数ヶ月、その間の記憶は我ら人間には都合良く処理されており、誰も自らがデジタルワールドのデータとして保管されていたことなど気付くことはない。違和感を感じるとすれば、無くした荷物を思わぬ場所で発見したり、行ったことのない場所で所謂デジャヴを覚えるなど、そんな程度のもの。
それが我々の間で【反転】と呼ばれる事象だ。人とデジモンの入れ替えが行われたと確実視されているのは2003年と2008年の二度であり、以降半世紀に渡り確認されてはいないが、実際には我々が気付かず都合良く記憶を改変されているだけで、もっと多くの【反転】が行われて我々はデジタルワールドに保管されているのかもしれない。
そう、今ここでパソコンを叩いている私も、また。
選ばれし子供、目下最大の議題である。
デジタルワールドに選ばれたとされる少年少女達。世界の苦難に立ち向かうことを義務付けられたパートナーと共に戦う勇者。
最初にそれが確認されたのは2009年のことだった。デジタルワールドに召喚されたのは、静岡県に住む中高生四人。彼らは原初のデジタルワールド──こちらの世界と繋がっているだけでも12年経っているのに原初とは?──で悪名を轟かせた色欲の魔王と戦い、見事これを討ち果たしたとされている。彼ら四人のパートナー、最初の選ばれし子供達と共に戦った四体の勇者を、後に皆が四聖獣と呼んで賞賛の目を向けることになる。
次の選ばれし子供が召喚されたのは2014年。デジタルワールドの時流は人間界の365倍とされているので、おおよそ2000年後と言っていい。選ばれたのは三人の少年少女、どうやら一人は出来損ないで最後までついていくことができなかったようだが、残る二人は憤怒の魔王との戦いの中で互いのパートナーを究極体の更に先の姿まで到達させたという。
名をオメガモン。最後の名を冠し、電脳世界に長らく最強と語り継がれる聖騎士。既に存在が確認されているエグザモンやスレイプモンと共に守護者と謳われる聖騎士集団の一員はこの時誕生した。
そして2019年。この時にデジタルワールドを訪れた少年はまたも静岡県在住の中学生だったが、彼は
2064年8月1日
不知火 咲夜
◇
「……ふぅ」
デスクの前で私はため息を吐く。
明後日までに書き上げなければならない──何せ日付を入れてしまった──というのに、上手く纏まる気配を見せない自分の文章に苛立ちだけが募る。
記録されている限り、この国でデジタルワールド研究が本格的に開始されたのは2008年のことだった。始めたのは不知火士朗、つまり愚かにも程がある私の父だ。
だがそれ以前にデジタルモンスターが研究されていた形跡が確かにある。九条兵衛と呼ばれる政治家、またその親族とされる大学教授の玉川白夜、前世紀末に捕獲されたベルフェモンがこの二人の主導の下に何らかの目的で利用されていることは間違いないのだ。だがそれも既に半世紀以上前の話。当事者達は皆死に絶えているだろう。今生きている者達から聞き出すのなら如何様にも手段はあるが、死人に口なしとはよく言ったものだ。
死人に口なし、自分で考えたその言葉で思い出されるのは一人の少年だった。
「あなたは……最後まで身勝手だったわね」
離別したパートナーと出会わせてあげたのに。
死に行くそれを助ける術を与えてやったのに。
壊れた彼らに生きる目的を示してやったのに。
それなのに勝手に摩耗して、勝手に離反して、勝手に死んでいった。先の文章ではオメガモンを誕生させた英雄などと記してやったが、アグモンをパートナーとする選ばれし子供、菊池隆二はどうしようもなくどうしようもなかった。
「………………」
デスクの上、開いた自分の手を眺める。病的なまでに白く細長い少女そのものの指。本来なら間もなく老年に差し掛かるはずの私の肉体は、いつまでも17歳のそれから変わることはない。
2022年、私はダークナイトモンにその身を捧げて歳を取ることすら捨てた。人として当たり前の摂理すら投げ捨ててデジタルワールドとデジタルモンスターの研究に没頭した。その果てに数多の命を犠牲にした。菊池隆二もその一つだったというだけのこと。私は彼を含む選ばれし子供、名を確認できたそれらを可能な限り殺戮したことに後悔などしていない。むしろ私の研究の礎になれたのだから光栄と思って欲しいぐらいだ。
ただ、たった一人だけ、その名を知りながら殺せなかった少年がいた。
「自分で……選んだ、か」
デスクの横に立て掛けてあるスマートフォンに手を伸ばす。かれこれ40年もの、既に外装が剥げた骨董品であるそれは勿論電話としては機能しないが、充電さえしておけば待受画面を見ることは変わらずにできた。
待受画面は40年変わらず一枚の写真。
そこには男の子が映っている。無表情な私とダークナイトモンの隣で弾けるような笑顔を見せる少年と、彼の二体のパートナー。
『んー、俺は別に選ばれし子供じゃないぜ?』
彼に問いかけた私自身の言葉は忘れたが。
『俺は自分で選んだだけだぜ』
それでも彼の、2022年当時は私と同い年だった彼の言葉は覚えている。
あれから40年あまりが経過した今、どんな老人になっているのだろうか。
クロスモンとマグナモン。
共に金色の装甲を身に纏う二体のパートナーを連れた彼は。
私がただ一人見逃した彼は。
2019年にデジタルワールドを旅した、彼は。
◇
そして2019年。この時にデジタルワールドを訪れた少年はまたも静岡県在住の中学生だったが、彼は自らの手でデジタルワールドの為に戦うと決めた英雄だった。
◇
始まりの町。全ての命が生まれ、世界へ羽ばたく場所。
その全貌を見渡せる小高い丘に俺は立っていた。頼りない四本の足でよちよちと歩いてきた俺は肩で息をしているものの、そんな俺を挟むように腰掛ける二体の幼馴染は一切の疲れを見せず、穏やかな表情で丘の風に身を委ねている。
俺は四本足で彼らは二本足だった。その時点で壁を感じるというのに。
「……綺麗ね」
「そうだな」
崇高な使命を背負って生まれた彼らは、俺とは明確に異なる聡い目で始まりの町を見つめていた。
燃えるような橙の彼、透き通る純白の彼女。俺と同日に生まれたにも関わらず既に成長期まで進化していた彼らは、生まれながらにして後世この世界の頂点に列する者として名を連ねる運命を持つ二人だった。それに比べて俺は何ら生まれた意味を見出せず、何よりまだ幼年期から進化する兆しもない。二人が慈愛に満ちた目で見つめる始まりの町、幼年期のデジモン達が和気藹々と過ごす光景は、俺にとって何ら親しみや愛おしさを感じさせるものではなく、むしろ未熟そのものの俺自身を見せられているようで嫌だった。
「私達もそろそろ出発の時かぁ」
彼女はそう言って微笑んだ。俺に向けて、いつまでも子供のままの俺を見て。
「流石に少し名残惜しくもあるな」
彼もまた微笑む。その姿は堂々としていて眩しかった。
町の方を見れば、一人の人間の少女がパートナーである究極体の聖竜と共に幼年期達の世話をしている。一切の歳を取らず年若い少女の姿で生き続ける彼女は、悠久の時を刻んできたこの世界の生き証人であり、かつて世界を数多訪れたという選ばれし子供の実情を知る者だった。生まれ落ちた全てのデジモンに等しく愛情を注ぐ母、そんな彼女の語る多くの英雄譚は俺達を夢中にさせた。
然り。色欲の魔王に立ち向かった四人の男女と四成獣の話。
然り。憤怒の魔王との戦いの中で現れた最後の聖騎士の話。
然り。孤高の隠士に挑んだ風のような少年とデジモンの話。
全てを見てきたかのように彼女から語り継がれる物語。俺達の誰もが見たことのない人間、単純な肉体強度なら幼年期の俺とも変わらないだろう脆弱なはずの生き物が刻んできた多くの奇跡の軌跡。それを誇らしげに語る少女もまた人間で、そして最後の風の少年とデジモンの話を語る時の彼女は特に恋する乙女のように艶やかな顔をしていて。
自然、俺だって憧れた。人間に、人間の起こした奇跡に、人間と共に奇跡を起こしたデジモン達に。
(俺もいつか、英雄になるんだ──!)
だからそんな子供染みた夢を抱くのも当然だった。
それでも現実は非情だ。俺は特別な才能も出自もない一介の幼年期でしかなく、その事実を敢えて突き付けるかの如く同時期に生まれた者達の中には彼らがいた。サンモンとムンモン、今では成長期への進化を果たした彼らは、将来の栄光を約束された二体の未完の大器。
「ギギ君は……どうするの?」
月の名を持つ彼女がもう一度、俺を見る。
ついてくる? そう言いたげな幼馴染の顔に、俺は首を横に振った。
彼らは俺とは違う。約束された英雄への道がある。平凡な俺と違って才能もある。そんな彼らと一緒に町を出たところで惨めな思いをするだけだ。
「そう、じゃあどこかで会えるといいわね」
「次に会う時は敵かもしれないがな」
そんなことを言い合い、幼馴染の二人が旅立っていく。
去っていく二人の背中は眩しく、明確な目的があるからこその力強さを感じ取れた。でも俺だってこれを今生の別れにするつもりはない。たとえ今の俺が平凡だとしても、未来の俺はそうじゃないって信じている。いつか必ずあの遠い背中に追い着ける日が来るって信じている。
だから言うんだ、今は届かない彼らの背中に。
「おい! お前ら!」
ルナモンとコロナモン、後にオリンポス十二神の中核として名を馳せる俺の幼馴染。
「俺はいつか! お前らを超えてやるからな!」
振り返った彼らは、そんな俺の宣言を聞いてどんな顔をしていただろうか?
それからしばらくして。
無謀にも幼年期の身の上で始まりの町を発った俺は、一人の少女と出会った。
「世界の美少女、竹中穂波よーっ!」
けたたましくそう名乗る少女は、始まりの町の彼女とは全く違った雰囲気の人間だった。
騒がしいし。
お淑やかじゃないし。
礼儀がなってないし。
何より胸がない。
「テメエーッ! 人が気にしてることを言うんじゃねえわよ!」
そんな女だった。よく考えれば19歳、人間の基準でも少女と呼べる年齢でもない。
相棒のライズグレイモンと共に旅をしているという彼女は、数年前より世界を覆っている天使軍と悪魔軍の戦乱の渦中にあって、所謂レジスタンスという奴を結成して孤軍奮闘していた。何度か戦場に介入して両軍を蹴散らしていく内、そのレジスタンスの中には、後世ロイヤルナイツやオリンポスといった英雄的存在と同じかそれ以上に世界の平和を見据えて活動していた奴らまでも参加してくるようになったのだが、そいつらの詳細は今ここでは割愛しよう。
何はともあれ、穂波と行動を共にするようになって、俺は彼女の頭の上や足下を定位置として彼女の戦いを見届けた。
押し寄せる天使軍の並み居る幹部を薙ぎ倒した。
悪魔軍の総大将たる強欲の魔王バルバモンを討ち取った。
その果てに戦争を裏から操っていた黒幕をも打倒した。
俺はそんな彼女の最後の戦いで、攻撃の巻き添えを受けて死んでしまったけど。
「ギギモン……ッ! ごめんね……っ!」
それでもハッキリと覚えているのは、死に行く俺を見て泣いている彼女じゃない。
誰よりも強く。
誰よりも気高く。
誰よりも優しく。
ただそんな風にしてシャイングレイモンと共に戦乱の世を駆け抜けた彼女の、俺が唯一知る英雄の背中だけだった。
転生して最初に気付いたのは、俺が成長期であることだった。
始まりの町を飛び出した挙句、幼年期のまま死んだ俺だ。改めて転生することができたとしても幼年期、つまりジャリモンとして生まれるのが当然のはずだった。更に言えばそんなことを考えられる程度に前世の記憶を残していることもおかしかった。
久し振りに見る始まりの町の少女は、そんな俺を見て優しく微笑んでいた。
「あなたも……選ばれてしまったのね」
そう告げる彼女の瞳が何故泣き腫らしたように真っ赤なのか俺にはわからない。俺が俺として転生したからには何か理由があったのだろうが、生憎ギギモンとして死んだ俺にそんなものがあるとは思えなかった。
だからその理由を知ったのは数日後、始まりの町を銀髪の男が訪れた時だった。
「お前を迎えに来た」
その見た目だけなら人間にしか見えない男は、開口一番そう言った。
「意味がわからないんだけど」
「わかる必要はない。そういう運命だ」
多くを語らずに男は背を向ける。俺がついてくると疑わない、そんな態度。
身の丈ほどもある大剣を携えた男は、果たして伝説の十闘士と呼ばれるこの世界に長らく語り継がれる英雄の一人だった。
「この子は、渡さない……!」
「……ほう、挑んでくるのか? 出来損ないの闘士であるお前が?」
そして俺は知る。始まりの街を守ってきた彼女もまた、十闘士の一人であったと。
十闘士。超古代に世界を救ったと言われる十体の究極体の“魂”を継ぐ者達。俺は後から知ったことだけど、どうした理屈か人間の姿を取る彼らは、一体ずつのデジタルモンスターを引き連れることになっているらしい。だが選ばれし子供とはまるで違い、そこには信頼や絆などはなく純然たるシステムとして必要だからという以上の理由はない。
だから契約者、俺もまた今ここに炎の闘士の契約者として見出されただけのことだった。
「お前と行けば強くなれるんだな?」
「それはお前次第だが……戦いには不自由しないはずだ」
炎の闘士は嘘のつけない男だとそう感じた。
風の闘士を退けて炎の闘士は始まりの街を去る。その後ろ姿に俺は従った。炎の闘士に叩き伏せられ、止めることもできず泣きそうな目をした少女の姿に後ろ髪を引かれるものがないでもなかったが、それ以上に今の俺には明確な目的があった。
強くなるんだ。誰よりも強かった彼女のように。
「俺は……強くなる」
追い付くんだ。憧れた英雄の背中に。
俺は、一人の英雄しか知らない。
誰よりも泣き虫で。
誰よりも我が儘で。
誰よりも自分勝手で。
けれど最後には皆を笑顔にして。
けれど最後まで皆と戦い抜いて。
誰も止められなかった戦争を終わらせた。
そんな英雄(かのじょ)の背中しか、俺は知らない。
◇
西暦1997年
魔王ベルフェモンが休眠状態で人間界に降誕。
日本政府の手で捕獲され、以後厳重に管理される。
※これが公式に記録される最初のデジタルモンスターの記録である。
西暦1998年
クリスマスの光ヶ丘で鮎川飛鳥と前田快斗、高嶺煌羅が出会う。
(『本日ハ晴天ナリ』FASE.1)
西暦1999年
7月、光ヶ丘にグランドラクモンとベルフェモンが相次いで出現。
それぞれ程無くして鎮圧されたが、時期が悪く“アンゴル・モア”が降臨したとの噂が立つ。
(『本日ハ晴天ナリ』FASE.5~7)
西暦2000年
聖騎士エグザモンが東京湾のデジタルフィールド内部で休眠。
大晦日、鮎川飛鳥と前田快斗によってエグザモンは無事に沈静化する。
(『本日ハ晴天ナリ』FINAL)
西暦2002年~2003年
ボコモン“コテツ”とネーモン“ハナビ”が十闘士の謎を解くため世界を旅する。
【執行者】出現。
架空と謳われたはずの『鋼鉄の英雄』が現世に降誕する。
(『コテハナ紀行』本編)
西暦2008年
10月24日、人間界とデジタルワールドの生物が入れ替わる“反転”が発生。
(『With the HERO』本編)
※2003年にも同様の出来事が起きたらしい形跡がある。
西暦2009年
デジタルワールドを訪れた四人の少年少女が四聖獣を誕生させる。
色欲の魔王リリスモンが歴史の表舞台から姿を消す。
西暦2014年
不知火咲夜が試作体第1号スカルナイトモンを完成させる。
(『Mement Mori』第1話)
デジタルワールドを訪れた三人の少年少女が最後の聖騎士を誕生させる。
憤怒の魔王デーモンがオメガモンに倒される。
西暦2019年
前田拓斗と山神麻奈がデジタルワールドに迷い込む。
先代の選ばれし子供と最初の聖騎士の暗躍が絡み合う波乱の時期。
(『デジタルイナーズ』本編)
西暦2021年
不知火咲夜が2014年の選ばれし子供、菊池隆二のパートナーであるアグモンを改造、試作体第2号グレイモンを完成させる。
前後してグレイモンとのデジクロスを前提としたメイルバードラモン、デッカードラモン、サイバードラモンの三体が完成。
(『Mement Mori』第2話)
西暦2022年
菊池隆二が同じ選ばれし子供である武藤七海を殺害、同時に不知火咲夜と袂を分かつ。
咲夜はデッドリーアックスモンを完成させ、以後はスカルナイトモンとデッドリーアックスモンをデジクロスさせたダークナイトモンと共に闇の世界で暗躍する。
(『Mement Mori』第3話)
前田拓斗と前田飛鳥の親子喧嘩が勃発。
クリスマスイヴの夜、不知火咲夜と前田拓斗が出会う。
(『本日ハ晴天ナリ』EPILOGUE)
西暦2031年
土井垣旭騎が義姉である不知火咲夜から試作体第3号にして最高傑作であるシャウトモンを託される。
旭騎はシャウトモンをオメガシャウトモンへと進化させ、スプラッシュモンとそのパートナーである少女を殺害する。
(『Mement Mori』第4話)
西暦2056年
魔王バグラモンが人間界に出現。
土井垣旭騎が死亡、不知火咲夜とシャウトモンX7の手でバグラモンは倒される。
(『Mement Mori』最終話)
西暦2064年
かつての選ばれし子供の孫娘、竹中穂波が天使軍と悪魔軍の戦争で揺れるデジタルワールドに召喚。
死した氷の闘士の遺志と契約者ライズグレイモンを受け継ぎ、やがて戦争を止める英雄として名を馳せる。
(『ルイ☆ジェネ』本編)
不知火咲夜が秋葉原地下の研究所で何者かに暗殺される。
(『Mement Mori』エピローグ/『コテハナ紀行』大蛇足・太陽の闘士編)
ある一人の少女(?)と“メイス”を名乗るデジモンが、この時代を生きている。
(『コテハナ紀行』大蛇足・炎の超越闘士編&光の超越闘士編)
西暦3×××年
デジタルワールドと人間界の繋がりが絶たれる。
※地球から人類が消滅した故とのことだが詳細不明。
【割と重要そうな作中人物】
・不知火 咲夜(しらぬい さくや)
『Mement Mori』の主人公。2005年~2064年。
ボロボロの白衣を身に纏い、人間社会の闇を生きる黒髪の少女。
デジタルワールド研究に生涯を捧げた科学者・不知火士朗の一人娘。弱冠9歳でバグラモンのデータから試作体スカルナイトモンを完成させ、以後はデータ収集のため社会の裏側から選ばれし子供の殺戮と捕らえたデジモン達での実験を行う。また人間とデジモンの“契約”を実験すべく自らをダークナイトモンとリンクさせた2022年以降、その肉体は17歳から不老である。
数多の人間とデジモンの命を弄び続けた果ての2064年、秋葉原地下の研究所で何者かに暗殺されたとされている。
ダークナイトモン・グレイモン・シャウトモンといったデジクロスを操るデジモンを完成させたが、それらは来たるべき時に向けて彼女が生涯をかけて生み出そうとしている“ある存在”の為の実験体である。作者世界最大の悪役であると同時に功労者で、名前は出ずとも全ての作品に何らかの形で関わっている。
・ギギモン⇒ギルモン
『ルイ☆ジェネ』の登場人物兼『With the HERO』の主人公デジモン。
始まりの町を守る少女の語る数多の英雄譚に憧れ、強くなることを夢見る幼年期。だが同時期に生まれた中に後にオリンポス十二神となるサンモンとムンモンがいた為、自らの平凡さにどこか鬱屈した日々を送っていた。彼らがコロナモンとルナモンに進化した後も自身は幼年期から進化できずにいた。
2064年、天使軍と悪魔軍の戦争が続く中で出会った竹中穂波とシャイングレイモンに同伴、戦争を止めた彼女達の偉業を目の当たりにしてその背中に魅せられるが、最後の戦いで命を落としてしまう。その後、どうした理屈か始まりの町にて成長期ギルモンの姿で転生。炎の闘士の契約者として見出されて旅立っていき、彼がグラウモンとして登場する『With the HERO』に繋がっていく。
本来は純朴な性格なのだが、強くなりたい焦りと凡庸な己との乖離からどこかシニカルな言動が目立つ。
・竹中 穂波(たけなか ほなみ)
『ルイ☆ジェネ』の主人公。19歳(2064年時点)。
オメガモンを誕生させた上記、恩田亜子を祖母に持つ浪人生。年齢=彼氏いない歴であることと貧乳を煽るとキレるが基本的には明るくノリ良く馴れ馴れしく、自ら選ばれし者の言語としてルー語を自在に操る。Togetherしようぜ!
ある日、突然巻き込まれたデジタルワールドで戦争の嵐に立ち向かう羽目になり、相棒のシャイングレイモンと共に数奇で理不尽な運命に持ち前の明るさで立ち向かっていく。最終的には悪魔軍の総大将である魔王バルバモン、戦争を裏から操っていた雷の闘士を倒して世界を救った英雄となった。世界が最も波乱に満ちた時期で活躍した存在の為、作中で「戦争を止めた英雄」と記された場合、それは基本的に彼女のことを指す。
『With the HERO』の主人公デジモンであるグラウモンは幼年期の頃に彼女と出会っており、英雄として彼女の背中に憧れている。
・リリィさんor百合子ちゃん
『デジタルイナーズ』のヒロイン兼『ルイ☆ジェネ』の登場人物。
ホーリードラモンと共に始まりの町を守っている16歳ぐらいの女の子。穏やかで面倒見がよく、またお淑やかな性格の女の子らしい女の子で、つまり作者が一番憎しみを抱くタイプなのだがヒロインである。
物心付いた頃からデジタルワールドにおり、自分が本当に人間なのかもわからずデジモンとして振る舞っていたが、その正体は初代選ばれし子供の愛娘にして生後数ヶ月で亡くなった東島百合子がデジタルワールドにて顕現した電脳生命体。百合子⇒百合⇒LILY⇒リリィである。その事実を知らされた主人公の前田拓斗、通称たっくんだけは彼女を百合子ちゃんと呼び、彼女もまたたっくんにだけは人間、つまり恋する女の子としての顔を見せる。
人間界には行けないのでデジタルワールドに留まり、悠久の時の中で風の闘士の魂を受け継いだが、やがて『With the HERO』開始前に始まりの町が滅ぼされた際に運命を共にした模様。
それがどういった状況かは『コテハナ紀行』の【風&水の闘士編】にて描写されている。
・ボコモン“コテツ”&ネーモン“ハナビ”
『コテハナ紀行』の主人公デジモン。
炎のターミナルに住んでいた成長期二体だが、十闘士に憧れており彼らの謎を解き明かすべく世界を巡る研究者。戦闘力は皆無で様々に変化するデジタルワールドの気候や風土で容易く死にかけたりする。ハナビのボケた台詞にコテツがゴムパッチンでツッコむのが日常風景。
コテツは「十闘士とは架空の英雄であり、特に筆頭のエンシェントグレイモンは古代に活躍したインペリアルドラモン種の伝説が時を経て変質したものである」との論を提唱しており、学者としてその論を証明する、もしくは純粋に英雄に憧れた者として彼らの実在を確認する、その正反対の目的を共に携えて世界を旅している。
旅の過程で十闘士の謎を知る者や数名の人間(?)と出会うこととなり、コテツの抱えている物知りブックにはそれらの情報も記されている。特に本人達が必要としない為か、成長期のまま進化する兆しが見られないが──?
コテツは一人称“ワテ”で語尾“~やんす”、ハナビは一人称“オイラ”で語尾“~ダネ”、二人の口調を合わせるとパワプロの矢部昭雄になる。
名前の由来は「コロ助+キテレツ大百科」「花輪くん+ちびまる子ちゃん」。
・デジタルイナーズ(完結)
設定年代:2019年
※作者HPに全話保管
・With the HERO(未完)
設定年代:2008年
※作者HPに50話まで保管
※サロン投稿中
・ルイ☆ジェネ(完結)
設定年代:2064年
※作者HPに全話保管
・Mement Mori(完結)
設定年代:2014年~2064年
※作者HPに保管すべく手直し中
・本日ハ晴天ナリ(完結)
設定年代:1997年~2000年
※サロン全話投稿済み
EPILOGUE.1 「For The Future(前)」
FASE.1 「under the moon」
FASE.2 「under the sun」
FASE.3 「We are」
FASE.4 「Digimon Rangers」
FASE.5 「Deep Forest」
FASE.6 「Imaginary Brigade」
FASE.7 「Night Hawk」
FASE.8 「メロス」
FASE.9 「本日ハ晴天ナリ(前)」
FAINAL 「本日ハ晴天ナリ(後)」
EPILOGUE.2 「For The Future(後)」
・コテハナ紀行(完結)
設定年代:2002年~2003年(DWのみ)
【コテハナ紀行】妄執~破壊と再生を司る者~【光・炎の闘士編】
【コテハナ紀行】The last element【鋼の闘士編】
【コテハナ紀行・外伝】憧憬~破壊(ひかり)と再生(ほのお)に魅せられた者~【或る魔王の話】
放置気味な作者HP
◇