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デジモン創作サロン
羽化石

戦鬼、狂喜し夜霧の京にて蠕動す

 王の城で知り合った識者曰く、私はどうやら世間で言う所の「バグ持ち」であったらしい。  そこでようやっと私は修羅道の如き半生は訳あってのものであると知り、このどうしようもなく変え難き性分と余生を過ごさねばならぬと思い知るのであった。  私の生まれはダークエリアである。 前世で罪を負った魂がそこに生まれ堕ちるのか、或いはそこで生まれてしまったが故に悪の運命を神より与えられるのか。デジタルワールド有史以前より未だ答えの出ない問いであるが、一度息づいてしまったからには最早どうでもよかろう。  幼年期の時分はどのように生きていたのか定かではない。生まれたばかりの赤子だった頃の記憶など誰が覚えていよ
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へりこにあん

ドレンチェリーを残さないでep16

「とりあえず、わたあめとかりんご飴とかチョコバナナとか鯛焼きとかかき氷とか買ってきたけど」 猗鈴の持ったビニール袋に詰まった大量の甘味を見て、杉菜は微妙な顔した。甘いものがあまり得意じゃなかった。 「なぜ甘いものだけなんですか」 「余ったら自分で食べようと思って自分の好みで買ってきた」 「……しょっぱいの買ってきてもらえます?」 杉菜は猗鈴の代わりに便五の方を向き一万円札を渡しながらそう言った。 最初の花火が打ち上がるまであと十分、猗鈴と便五、千歳、それに姫芝と永花、そしてワイズモンだった代田という男も入れて、六人で花火がよく見える一角に陣取っていた。 ちらと杉菜が永花の方を見れば、先の騒動の
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みなみ

こちら五十嵐電脳探偵所:主な設定説明

デジモンと人間の関係中心の説明 世界観 02の最終回から20年後くらいを想定(同じ世界ではない)。 デジタルワールドからごく一部のデジモンが移住しており、人間との関わりが多くなっている。 友好的・非友好的どちらの関係も存在しており、一枚岩ではない。 デジモン達の中には人間と同様手に職を持つ者もおり、人間と携わる職を持つ者もいればデジモンならではの職(ジャンクショップや天使デジモン達の駐屯地管理等)を持つ者もいる。 生態が全く異なる・種族そのものが違うなどの要因から婚姻は認可されていないが、養子縁組等の手続きは可能。 デジタルワールドの行き来は調査や迷い込んだ人間の救助、ごく一部の重要な立
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みなみ

こちら、五十嵐電脳探偵所 #2 猿真似遊戯

脇腹に走る衝撃。 (なぜだ) その言葉しか浮かばなかった。 俺は勝ったはずだ。 俺はクリアしたはずだ。 なのに、なのに、なのに。 男の思考は、自身を貫いた凶器と悪意を認められず、既に返り血に染まっていた服を自身の血の色で上塗りしていく。 「なんでだろうねえ?おかしいよね?勝ったのにね?あ、ひょっとしてほんとに出して貰えると思ってたんだ。バッカだなー!」 男の問いを聞いた相手は、ケタケタとさらに腹立たしくなるような嘲笑をあげた。 「あーあ、ほんとこれやめらんない!ちょっと聞き齧って始めたばっかだったんだけどさあ、人間ってよくこんな面白いの思いついたよな!とにかくそーいうこと!ゲームクリアおめでと
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5月05日
組実(くみ)

The End of Prayers 書籍版 イベント頒布&通販告知

皆様お久しぶりです。 2022年5月3日のSUPER COMIC SITY29 にて、The End of Prayers の書籍版を発行、頒布します。 第1巻には全38話のうち1~9話を収録。WEB版の加筆修正& 全話に新規の扉絵、選ばれし子供達の新規キャラクター立ち絵を追加 。おまけにブックカバーもついてます。 より小説らしくなったエンプレを是非お楽しみ下さい! イベントにお越し頂けない方向けに、後日通販も予定しております。開始時には再度告知させていただきます。 ちなみにこのペースだと1巻あたり9話ずつくらい詰め込むので全5巻となる予定です。 全巻出します。 がんばります。 組実
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4月29日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep12

「天青さん、マタドゥルモンというデジモンに会いました」 心配する便五を今度説明するからと無理矢理帰して一晩たって、いつものように喫茶店にいた天青に対して猗鈴は開口一番そう投げかけた。 すると、天青はポケットの中からサングルゥモンメモリを取り出してその中にカードが入ってるのを確認して、猗鈴の顔を見た。 「……それは、どこで?」 「佐奈と呼ばれていた男の頭から出てきました。こっちのことを知っているみたいで、男の方はメモリも使っていました」 「頭から……少しまってて」 そう言って、天青は地下室へと降りていき、数分すると博士と共に一冊のファイルを持って上がってきて、それをカウンターに置いた。 そして、
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4月01日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep9

「柳さん、今日は学長との間を取り持ってくれてありがとうございます。まさか頼んですぐに会えるとは思いませんでした」 「いいよいいよー、夏音さんのこと知りたいのは私も同じだもん。若草学長に関してはさ、今日は大学にいる日だってことは学生みんなに公開されてたしね」 友達のことだからねという真珠に、猗鈴は少し微笑んだ。 「実は、それだけではないんです。昨日、別れてからすぐに起こった騒動を知ってますか?」 「あー……うん。直接見てはないけど、なんか色々出たんでしょ? でっかいロボみたいなのとか、なんか緑の小さいのとか、あと、悪魔みたいなやつとか」 「そうです。実は姉さんがそれに絡んでいて……その内の一体が
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2月04日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep6

「というわけでなんやかんやありまして、マスターは当分メモリが使えません」 三日の検査入院から戻ってきた盛実はそう言うとコーヒーフロートにスプーンを入れた。 「その、なんやかんやって……」 この三日間、天青はいたものの喫茶店としての営業も探偵としての営業もストップしていて、猗鈴も気がかりだったのだ。 「非常に負荷が強いメモリ。適性があるんだけど身体が耐えられなくて、腕が治るまではこれも使えない……というか博士にセーフティかけられた」 長袖シャツとビニール手袋の下から包帯をのぞかせている天青は、そう言うと銃を取り出して引き金を引いたが、ブーとブザー音が鳴るばかりで弾は出なかった。 「そりゃ本来は変
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2月04日
組実(くみ)

*The End of Prayers* 第37話

全話一覧 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ────声が聞こえる。  それは、ようやく訪れた雨止みに歓喜する声。  それは、甚大な被害を受けた故郷に悲哀する声。  それは、仲間の生死を知る為に名を呼び合う声。  たくさんの声が混ざり合い、晴れ渡る空へと消えて行く。 *The End of Prayers* 第三十七話 「帰還」 ◆  ◆  ◆  ────聖堂内深部、大礼拝堂。  自然光が照らす堂内は薄暗く、やたら湿度の高い空気に満たされていた。  ステンドグラス越しに民衆の声が聞こえてくる。けれどそれは遠く小さく、背景音楽にさえ成れない環境音。響くより先に静寂へ吸い込まれ、消えて行く。  そこには
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1月22日
湯浅桐華

Righteous Saver Act.1

 崩壊した地上。コンクリートの建造物が散らばるそこは、さながら現代の荒野だ。  そんな荒野を、私は駆ける。積もる雪を蹴散らし、散らばる瓦礫を蹴飛ばしながら、重い……あまりにも重すぎる武器を手に、ただ一人で。  本当ならば、何かを考えている余裕なんて、とてもありはしない。けれど、それでも、私はなんて愚かだったのだろうと、そんな思いがどうしても頭から離れない。  考えることを、やめられない。  ――そう、私には解っていた筈だった。  『正義』なんてものは、人の数だけ、組織の数だけ存在する。  そして同じように、誰しも己が心に抱く『正義』に従って行動しているということを。  だから、きっと誰が悪いわ
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1月10日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないでep17

ワイズモンメモリの中と、アルケニモンメモリの残骸の中に見つけた機械を調べていた杉菜は、それが発信機と知ってチッと舌打ちしながらハンマーで叩き割った。 「組織製の完全体以上のメモリの持ち主は居所が組織にはバレバレって訳ですか」 しかし、と杉菜は自分の周り、かつては組織の建物だった廃墟を見てフンと鼻を鳴らす。 「王果は人にしか興味がないから、ものより人を攻める……でも、この建物内に血の痕は少ないしデジモンの死んだ痕跡もほとんどない。柳の協力者、ということですかね」 「そういうことだ少女よ」 「あー、マタドゥルモン、彼女は僕達と大して年齢は違わない」 「……よく間違えられます。スキンケアには気を遣っ
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へりこにあん

ドレンチェリーを残さないでep15

花火大会当日、猗鈴と便五はまだ日も落ちない内に家の屋台を後にしていた。 「ちょうどよかったよ。森田のカード大会、大人の部は日が落ちてからだけど、子供の部はまだ暗くならないうちだし」 「……でも、参加できないんじゃ?」 「千歳のこと応援してあげたいからね」 なるほど、と猗鈴は頷いた。千歳というのは昨日会った少年のこと。猗鈴が彼からもらったお古のデッキケースにはでかでかと『大蔵 千歳』と書かれていた。 「それにしても、大人の部って人集まるの?」 「×モンも出てから八年ぐらい経ってるからね……僕より少し上とか、高校生とかだと何人かいるんだよ」 猗鈴はそうなんだと呟いた。八年前のをただ同然で売ってアレ
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水月 凪(みなづき なぎ)

デジモンクレイドル Prologue

その世界には平和があった。 神が見守り慈しむ、揺りかごのように穏やかで温もりに溢れた世界。 生まれ落ちる生命(いのち)は皆、世界と共に成長していく。 世界がより良くなるように、取り零されるモノが一つでも多く無くなるように。 神の慈愛(あい)は息づく全ての生命(いのち)に注がれている。 神は世界を愛している、神は遍く生命(いのち)を愛している。 その"瞬間"が訪れるまでこの世界は確かに平和だった。 デジモンクレイドル 『──ぐぅ…っ!まさか…これほど、とは…っ!』 『フ、フフフフ…!アハハハハッ!無様!ナンテミットモナイ姿ナノデショウ』 "ソレ"が現れたのは一体何時であったのか。 もし少しでも早
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5月11日
組実(くみ)

*The End of Prayers* 最終話

全話一覧 ◆  ◆  ◆  ◆  ◆  ────全てを終えたその果てで。  彼らはどんな明日を迎え、生きていくのだろう。 最終話 願いの果て ‐The End of Prayers‐ ◆  ◆  ◆  ────蒼太達の出発から一時間後。 「あ゛ー、体が重いー」  ベッドに倒れこみながら、誠司はそんな脱力した声を吐き出した。  声はコンクリートの壁を跳ね、広い地下室に反響する。数刻前までシェルターの役割を担っていた地下室であるが、今は即席の客間に変わっていた。これまで利用していた三階以上が毒で溶けた為だ。  動く度に軋音を立てる簡易ベッド。疲弊した彼にとっては、羽毛布団と変わらない。  そんな誠
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5月04日
ユキサーン

デジモンに成った人間の物語 序章の二

  ・ 前話へ  デジタルワールド。  数多の情報のデータが集まって形成されたその世界には、人工知能を持つデータの生物であるデジタルモンスター……略称『デジモン』が生息しており、様々な種が生まれ持った個性を活かして生きている。  そのデジタルワールドの大陸上に存在する村の一つ――発芽の町。  丘のある草原の上に建てられたこの村には、木造にしろ石造にしろ扉の無い建物が多く建っており、丘の最上部から湧き水が溝を沿うような形で流れ、滝と川が形成されている。  村には動物や植物など、様々な物を模した姿をしたデジモンが多く住まっており、互いに協力し合いながら暮らしている。  そんな発芽の町の真昼間。 「
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4月15日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないでep11

大学での事件から一週間経ったが、猗鈴達はメモリの生産施設を攻撃できていなかった。 「……メフィスモンとやなパーには完全にしてやられたね」 盛実はそう呟き、メロンソーダにストローでブクブクと息を吹き込んだ。 「中身入りのメモリに加えて、人間の側も組織の人間。というパターンは頭から抜けてたし、お陰で迂闊に攻められなくなった」 盛実と天青は元々中身入りの存在を知っていたが、それでもメモリを使う犯罪者か中身入りのメモリに使われている被害者か、人かデジモンどっちかが主導の二択しか考えになかった。 しかし、真珠はそのどちらでもなかった。真珠もメフィスモンもどちらも組織に属していて、場面によって入れ替わる共
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3月28日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep8

「うちの大学には八人の理事がいます。その理事の中の誰かが大学を乗っ取り悪魔の温床にしようとしているんです」 その男性はまずそう切り出した。 「そう思われたのは何故ですか?」 「信じてくれないんですか!?」 天青がそう訊くと男性は一気に声を荒らげた。 「落ち着いて下さい、天青さんもあなたが悪魔と呼ぶ存在は知ってます。状況を整理したいだけです」 「……すみません。色々あって動転しているみたいです」 猗鈴が間に割ってはいると、男は自分の頭を抱えて静かに座った。 「……落ち着いて、ゆっくりと、あなたに何が起きたのか。このメモリはなんなのかを教えて下さい。まずは名前からです」 天青はそう言って温かいコー
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2月04日
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep5

「夏音さんとの関係?」 「はい、姉さんから幸夜さんの名前を聞いたことがなかったもので」 幸夜は、猗鈴の持ってきたマドレーヌを一つ取ると笑顔で一口頬張った。 数日前までワスプモンと貸した同僚に嫌がらせを受けていた幸夜は、今も姫芝に付けられた額の傷は治っておらず、綺麗な顔より目を引く痛々しい大きなガーゼで覆っていたが、表情は明るくて事件の時よりも朗らかで、つきものが落ちた様に見えた。 「まぁ、ミスコンでちょっと知り合っただけだから、言わなかったのかも」 「ミスコンっていうと、大学の?」 「夏音さんは一年生、私は四年生だから……三年か四年前。大学のミスコンで夏音さんは二位、私は三位だったの」 そうい
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2月04日
パラレル

私が魔女を殺した日

 今になって思えば、あいつと初めて遭ったあのときから私は自分の底が見えていた。  進んだ先は行き止まり。どれだけ探求をしても世界の深淵なんて知ることはできず、どれだけ研鑽をしたところで新たな神秘なんて得られない。世界を守るなんて大それたことはそれこそ論外。  結局できることは目の前の一つを繋ぎとめることだけ。それも自分の持ちうるすべてを犠牲にしても確実性のない大博打。抜きんでた傑物でもなく、臆病さを隠して意地を張っている私にはそれが精一杯。  これはその癪な事実を受け止めるための話であって、他に壮大な意味なんてない。  ソウの拳がサラマンダモンの顔面に深く食い込む。炎を纏うその身体は普通なら触
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1月16日
史香

アルゴモンのパートナー

んー? ふーちゃん一体何を持っているのかなぁ? 娘が後ろから取り出したものは…。 アルゴモン幼年期。 母親は絶叫した。 あなたー!! 娘が殺されるー!! はいけい、どくしゃのみなさま。 おかーさんとおとーさんはえらばれしこどもだったそうです。 あなたあぁぁぁぁぁぁぁ!! お母さんは駆け出して行ってしまった。 アルゴモン幼年期はふよふよとその場を漂っている。 ふとアルゴモン幼年期は体を起こすとふーちゃんの肩に手を置いて向こうの部屋に行くように促した。 …みーちゃんって呼んでいい? ふーちゃんがアルゴモン幼年期、みーちゃんとともにその部屋から去ると。 テレビから突然大きな刃先が現れて額面につかえて
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2021年12月30日
みなみ

こちら、五十嵐電脳探偵所 #3 クエレブレの啼き声

(ようやく、見つけた) その感情をひと言で表すならば、恋慕だった。 その感情をひと言で表すならば、独占欲だった。 (おれのものにしたい) 水の中で思いを馳せたそれは、道行く一人の女を見つめる。 女は急ぎ足でどこかへ向かっていた。 (おれのものにしたい。おれの、そばに) 渇ききった飢えにも似た感情をそれは覚えた。 こちら五十嵐電脳探偵所 第三話「クエレブレの啼き声」 その写真には男女が写っていた。 穏やかで人の良さそうな好青年と、金に染めたウェーブがかったセミロングにガーリーチックな服装の女性。 「そのご友人の方は、今も連絡が取れていない、と…
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15h
へりこにあん

ドレンチェリーを残さないで ep14

「アフターサービス、ですか?」 「そうそうそう、結構レアで高額なメモリを買ってくれた個人がいてね。事情を聞いた感じだとあなたのサポートが必要そうなの」 これがその資料、と夏音から渡された書類を見て、杉菜は思わず声が出そうになった。 「……これは、いや、そもそもなんでこんな子供にメモリを売ったんですか」 資料に映っていたのはまだ小学校も出てないような子供だった。 「買うからだけど。買う客がいるから売る。何か変なことがある?」 その夏音の言葉に杉菜は思わず眉間にしわをよせてしまった。 「今後は同じ場所での営業を増やすことも検討してるの」 「病院ですよ……? そんなのって……」 「そうだね。つまり、
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快晴

『Everyone wept for Mary』第5話

≪≪前の話          次の話≫≫ 「浅学なお前にひとつ教えておいてやる」  顔面に向かって投げつけたUSBを、段差に腰かけていたネガは事も無さげに受け止める。 「スナッフフィルムの頭文字はAじゃなくてSだ。覚えとけ」 「んふふ。いくら博識なストゥーさんとはいえ、あんまりな言い方じゃない? あれはボクとバーガモンにとって、一番気持ちよくなれる写真を選りすぐったモノなのに」  ああ、でも。と。  ネガは艶やかな唇を弓なりに歪めて、僅かに頬を赤くする。 「その様子だと、最後まで見てくれたんだね。……それは、嬉しいな」  はにかむネガに向かって、俺は力いっぱい舌打ちした。 * 「ネガ? ……あ
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