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第21話:運命~Destiny~
少女の瞳は飽く迄も毅然と。その眼光に八雲はたじろぐ。
「朱実を……殺す?」
首肯。その眼光は全く翳りを見せない。
それが何よりも彼女の強い意志を示していた。実感が湧かない。けれど、彼女は本気でそれを望んでいるのだと理解してしまう。そう、彼女は飽く迄も純真無垢。ならば彼女が吐く言葉に妄言など微塵も無い。ジャンヌは心の底から長内朱実を、渡会八雲にとって半身とも呼べる存在の死を目的に行動しているのだ。
理解したくない。嘘だと思いたい。
そもそも、朱実が自分を苦しめているという認識からして間違っている。小学生の頃、確かに自分は朱実に振り回されていると言っても過言ではないほどに生活の大半を彼女に牛耳られていたのかもしれない。けれど、それは決して苦痛ではなかった。今になって振り返れば、楽しかったと言える日々。それが朱実と共に過ごした数年間だったはずだ。
苦しかったなどということは絶対に無いと断言できる。
「ジャンヌ、お前」
「……言っておくけど、私は本気」
わかっている。そんなもの、彼女を見た時から理解できている。
理由はわからない。けれど、この数十分間で見えた彼女の行動、そしてその真摯さは紛れも無く本物だった。彼女が本気でないことなど僅か一秒でも有り得なかった。故に彼女は常に本気。年相応の少女として、彼女はそこに在った。
だからこそ、八雲は聞かずにはいられない。
何故朱実を殺す必要があるのかと。そもそも、どうして朱実のことを知っているのかと。だがその質問にジャンヌは黙して答えない。ただ、相変わらずの毅然とした茶色の瞳が、渡会八雲の姿を静かに映し出しているだけ。それが何よりも癪に障る。
そんな八雲を宥めるように、光の闘士は嘆息を一つ。
「……それじゃ一つだけ。八雲と同じく、長内朱実はこの世界に留まっているわ」
「朱実が?」
驚くべき事実だが、別段衝撃は受けなかった。そう、最初にグラウモンに会った時からわかっていたのかもしれない。
奴は言った。この融合世界に残された人間は異物だと。ならば自分が残されて、朱実が残されないということは有り得ない。自分でも酷い言い草だと思うが、長内朱実という女は如何なる場所においても異端児であろうとする奴だから。
聞き返した八雲に、またもジャンヌは首肯。嘘など無い。彼女の顔を見ればわかる。
「驚かないのね、八雲は」
「まあな。……でも、それなら安心だ。朱実がいるんなら、俺もなんとかやっていける」
それは本心からの言葉。
やはり渡会八雲という人間には長内朱実が必要だということを確信する。そこには、ジャンヌの言うように苦しめられているという感情は微塵も無い。初めて会った時から散々翻弄されてきたが、彼女と一緒にいると楽しいのだ。どれだけ性格が破綻していようと、それだけの付き合う価値がある奴だと、八雲はそう思っている。だから、彼女がいるのなら自分も孤独なこの世界で倒れることも無い。素直にそう思えた。
だがそんな八雲の顔を見て、ジャンヌは露骨に悲しそうな顔を見せた。
「やっぱり、お兄ちゃんは長内朱実が好きなのね」
「………………………………は?」
「私には良くわからないけど、八雲の朱実への思いは紛れも無く愛情。……違う?」
全く以って違わない。唐突にそんな質問をされて驚いただけだ。その所為か、随分と間抜けな反応をしてしまった。
確かに渡会八雲は長内朱実のことを特別な存在として見ているのかもしれない。けれど、今はハッキリと答えを出せないというのが本音だ。無論、好きか嫌いかで言えば前者だろうが、それを愛情と肯定できるほど八雲は人間として完成していない。そもそも、彼は自分が恋愛沙汰に酷く疎い人間であることを自認しているのだから。
だからこそ、今は答えられない。そしてジャンヌの悲しみの色は一層強くなる。それと正面から向き合うことができず、八雲は思わず彼女から目を逸らした。
「何で八雲が、何で八雲があんな女を好きにならなきゃいけないのよ……!」
だが視界の外から響いた彼女の声は、懇願にも似た色を持っていた。
けれど、それを受け入れることは今の八雲にはできない。ジャンヌは朱実の死を望んでいるのだと語った。だとすれば、如何に自分を救ってくれた少女であろうと、彼女のその目的だけは絶対に認められない。だから、そんな彼女の言葉に理解を示せるはずも無い。
そんな八雲の沈黙を、ジャンヌ自身はどう取ったのか。
「そう……でも覚えておいて。あの女、長内朱実と関わる限り、渡会八雲の未来には死の運命しか存在しない。……自分のことを大切に思うなら、自分の夢を叶えたいと思うのなら、今すぐに彼女とは縁を切りなさい」
「なっ」
「……それが今の私に言える最善。少なくとも、長内朱実の存在はあなたにとって何のプラスにもならない。齎すのはただ、後悔と孤独だけよ」
不思議と大人びた少女の声が柔らかに響く。それはどこか、赤ん坊の頃に聞いたらしい生母の声を思わせた。
故に八雲は思わず振り返る。何故か懐かしい気がしたのだ。それがあの、脳裏に浮かんだ傷だらけの少女の姿と関係があるのかもしれない。うろ覚えにも関わらず、あの少女に既視感を覚えたことには、何らかの意味があると八雲は確信している。
だが既に光の闘士の、ジャンヌの姿はそこには無かった。
東京の街を進む。久し振りの東京だが、特別な感慨は無い。
ケンタルモンがナイトモンに進化したことで、朱実はバイクを乗り捨てた。元々は中古品をチューンアップして動くようにした代物にすぎない。別に乗り捨てたところで何の弊害も無いのだし、恐らく迷惑する人もいないと思う。元の中古品を借りた店には、ちゃんとカウンターに伝言と代金を置いてきた。
「……ふむ。とりあえず二宮市に戻ることになるわけだけど、アンタに異存は無い?」
「私は従うのみですよ、朱実殿」
「了解、なら心行くまで付き合ってもらうとしよっかな~」
そう返しながらも朱実は、腰に差したガンベルトから二丁の銃を徐に引き抜く。
それは彼女が魔王に授けられた魔銃、ベレンヘーナ。ベルゼブモン自身はそれらを拳銃のように軽々と取り回していたが、朱実にとっては少々大柄で扱いは困難と見える。大きさだけなら、それは俗に言うショットガン並のサイズなのだから。
あの威嚇射撃以来、実際に撃ったことは無い。如何ほどの威力かは知る由も無いが、元々が魔王の銃なのだ。想像を絶する力を秘めているに相違あるまい。
「……でもベルゼブモンとかいう奴、何を考えてアタシにこんな代物を渡したのやら……」
「彼の者の心中を測ることなどできることではありません。……というより、私としてはベルゼブモンに認められた朱実殿の方が感嘆に値しますが」
その言葉に朱実は苦笑する。
奴に認められたとナイトモンは言う。だが朱実にとって、あの魔王との邂逅は悔しい思い出の一つにすぎない。今まで最強を自他共に認めてきた自分の力が全く通用しなかったのだ。魔王の制止によって完全な敗北には繋がらなかったものの、あれは紛れも無く屈辱だった。
再戦の機会があれば、是が非にでもリベンジを果たしてやりたいと思う。
「むっ?」
瞬間、全身の肌が泡立つような不快感を覚えた。
一瞬にして何者かが自分達を尾行しているという予測が立つ。しかしそれは、以前のグロットモンとアルボルモンの尾行とは段違いだ。殺気が無いどころか、そこには気配すら存在しない。一流の暗殺者クラスの気配を消す能力だろう。そんな空気を朱実が感じ取れるのは、偏に彼女の実戦経験の豊富さに起因する。
直感で振り向いた瞬間、朱実は目にした。物陰から自分達を見つめている謎の影の存在を。
「誰っ!?」
その問いは即座に。だが謎の影は一瞬にして路地裏に姿を消す。
あれほどの気配遮断の能力を持つ者が、こうも容易く自分に姿を見せるとは思えない。故に今のは奴の挑発だろう。それは理解している。だが、そうであるにも関わらず、殆ど視認できなかった。ただ、少なくとも人の形を成していたことだけは確認できた。普通の人間とは明らかに大きさが違うことから考えて、恐らくベルゼブモンと同じような存在なのだろう。
しかし、何故だかその謎の影の姿が、長内朱実には自分がよく知っていたはずの人間の姿と重なって見えた気がした。だがそんなことは有り得ない。自分の唯一尊敬するあの人は、何年も前に死んだというのに。
「……いや、そんなまさか……」
「朱実殿、如何されました?」
そんなナイトモンの問いに、朱実は答えられなかった。
時刻は午後7時半、八雲とウィザーモンは相変わらず二宮市を歩いていた。
あんな言葉を聞かされた以上、ジャンヌと共にはいられない。八雲は本能的にそう思った。年端も行かない女の子を一人きりにする不安はあったけれど、冷静に考えれば彼女は自分などより遥かに強い存在なのだ。何も自分が心配することもないだろう。
何気なく空を見上げながら、八雲は呟く。
「ウィザーモン、お前はどう思う?」
「……どう思うも何も、私はその長内朱実という女性を知らないのですが……」
そういえばそうだった。
何か記憶が色々と混在した所為で忘れていたのだが、八雲がウィザーモンと出会ったのは朱実や靖史が目の前から消滅した後だったのだ。つまり、出会ってから未だに二、三日ほどしか経過していない。それなのに随分と打ち解けているような、言うなれば古くからの友人のように付き合えているのは何か不思議な気がする。
そういえば、と何気なく思う。
ジャンヌの目的は長内朱実を殺すことだと言った。だとすれば、気になることが二つある。朱実を殺すという目的自体もそうだが、何故ジャンヌが朱実のことを知っているのか。
「……アイツ、もしかして他の世界でも有名なんじゃないだろうな」
「どんな異端児ですか、それは」
「いや、何かアイツならなりかねないなあって」
そんなことを想像する自分が怖い。
とりあえず戻るべきは我が家だろう。拠点さえ維持すれば、ひとまず如何なる行動でもできるようになる。我が家にはバイクもあるし、その他諸々の雑貨も揃っているのだ。これから何らかの行動を取るとしても、まずそれらを確保しておくのが先決と思えた。
しかし、一概に二宮市といってもお世辞抜きで広い。ジャンヌと出会った香坂神社は市内の最も西部に位置する場所で、八雲の家はそこからかなり離れた場所にあるのだ。
とはいえ、東京から二宮市まで歩いたこともあり、それほどなら苦にもならないだろう。
「香坂神社……か」
相変わらず人気の無い商店街を行きながら、何気なく呟くのは背後の裏山にある神社の名。
頭上を鳥や竜など様々な怪物達が飛び交っているが、特に気に留めることはしない。襲い掛かってくるのであれば戦うことに異は無いが、何も危害を加えてこないというのであれば、八雲もまた無視を決め込むわけである。
今更気付いたことだが、何故か二宮市に入ってから野生のモンスターとの遭遇率が著しく低下した気がするが、気の所為だろうか。シードラモンを初めとするモンスター達を見る限り、連中は死んだ時には粒子のような塵となって消えるようだから、一概にその数が少ないとは言えないのだが、どうも気になる。
「香坂神社とは、先程光の闘士と出会った場所ですか?」
「……ああ。あそこって、俺と朱実の思い出の場所なんだ」
思い出すのは数年前、自分が小学生だった頃のこと。きっと自分が朱実以外の女と唯一心を通わせた、遠い記憶。
あの神社の一人娘だった彼女は、確か自分や朱実と同い年だったと思う。気弱で病弱で覇気が無くて、およそ朱実とは正反対の気性を持つ女の子だった。けれど、良く香坂神社の境内で遊んでいた八雲と朱実は、瞬く間に彼女と仲良くなった。常に泣きそうな表情を浮かべていた彼女も、自分達の前では笑顔になってくれた。それは決して妄想や自惚れではないだろう。病弱な彼女も自分達と何度も遊ぶにつれ、段々と元気な少女へと姿を変えつつあったのだ。
それなのに、いなくなった。いや、いなくなったのではなく――
「……何でそんなこと思い出してんだ、俺」
ウィザーモンには聞こえない声で呟く。
如何に思い出したところで、過去は変わらない。彼女が自分や朱実と共に今でも笑い合えていたかもしれない未来、そんなことを考えても現実は紛れも無く今なのだ。今ではもう名前も思い出すことのできない彼女は、何年も前にいなくなった。それだけが今の事実なのだから。そして今し方香坂神社を目にするまで、渡会八雲はそんな彼女が消えた事実さえ忘れていた薄情者だということだけだ。
嫌になる。今では彼女の名前すら思い出せない、そんな自分が嫌になる。
「なんで……忘れてたんだろうな」
自然と言葉を漏れた。隣のウィザーモンが不思議そうな表情を投げ掛けてくるが、こちらの心情を思い憚ってくれたのか、それ以上何かを言うことはしない。そんな契約者の気遣いは、少なからず嬉しいことだ。
既に空には月が昇っている。その中を、八雲とウィザーモンは進んでいく。
そうして、それは市街地に聳え立つ市役所まで来た時のことだった。二宮市の市役所は他の市に比べて著しく老朽化している。高さも20メートルほどしかない三階建て。蒼き月光に照らされた市役所の屋上に、一瞬だけ二つの影が見えたような気がした。
「………………。……気の所為かな」
「八雲君、どうかしました?」
「いや、何か今変な影が見えたような……」
十分に幻影だと思えるほどに曖昧な視覚だ。とはいえ、自慢ではないが八雲も2.0の視力を誇る。単に見間違えたとは考え難い。僅かながらも考え込む素振りを見せる八雲とウィザーモン。そうして、その逡巡が決定的な隙を作ってしまう。
刹那、猛烈な殺気が周囲を覆った。それと同時に、闇を切り裂いて一体の影が迫る――!
「ダムダムアッパー!」
「なにっ――!?」
それは一瞬の隙を突いた出来事。
闇の中から飛び出してきた影が、その両腕に装着された大型銃、ガトリングアームを振り翳して襲い来る。狙われたのはウィザーモンの後頭部。あんな攻撃を受ければ、魔術師の頭部など容易く粉微塵に粉砕される。完全に不意を突かれた態勢になった上、突撃してくる奴のスピードも速すぎる。
このスピード、そしてこのパワー。恐らくウィザーモンには避けられず、また杖で受け止めることもできないだろう。ならば、八雲にできることは――
「……このっ!」
咄嗟に腕のD-CASから出現させた龍斬丸を引き抜き、一文字に薙ぎ払う。
金属と金属とがぶつかり合い、闇夜に軽やかな旋律を奏でた。八雲の龍斬丸と奴のガトリングアームが激突し、花火のように火花を散らす。剣に伝わる激しい衝撃に八雲は数メートル後退するが、神速の動きを誇る奴とて流石に龍斬丸の一撃は効いたのか、小さく舌を鳴らして動きを止めた。
そうして静止した奴の姿を、八雲とウィザーモンは視認する。
大きく垂れ下がった両耳に陽気な印象を与える面持ち、そして両腕に装備されたガトリングアーム。ジーパンを履いている様がどこか間抜けにも見えるが、その不敵な面構えから発散される殺気は決して侮れるものではない。
夜の闇に照り映える奴の体色は、清々しいほどに黒一色。
「……あちゃあ、まさか人間に防がれるなんてねぇ。完全に隙を突いたつもりだったんだけどなぁ」
「ガルゴモン……いや、違いますね。彼の者の体は、こんな毒々しい色ではないはず」
「あはは、流石はウィザーモンってところかなぁ。……半分だけ正解だよぉ。僕はブラックガルゴモンだからねぇ」
嘲るような笑い声は、飽く迄も飄々と。
奴は残虐にして無邪気。もしも先程の奇襲でウィザーモンを倒していたとしても、奴は一人残された八雲に対して同じように笑ったことだろう。如何なる相手と対峙しようとも奴の態度は全く変わらず、また如何なる状況に陥ろうとも動揺しない。そんな奇妙な存在が、ブラックガルゴモンだった。
「……大丈夫かよ、ウィザーモン」
「助かりました、八雲君。あのままでは確実に倒されていましたから」
「ああ。けど、今は状況を認識してくれ。……この場にいるのは奴だけじゃないよな?」
その言葉にウィザーモンは怪訝そうな表情を浮かべた。
この場で相対するのはブラックガルゴモンのみだ。それは八雲も理解しているはずだろう。ならば、先程のシードラモンとの戦いと同じように、自分が牽制して八雲が突撃するという戦法で構わないはず。それなのに、今の彼はブラックガルゴモンとの戦いに望もうとはしない。その理由がわからない。
そう、ウィザーモンは気付かなかったのだ。八雲の瞳がブラックガルゴモンの背後、未だ見ぬ闇へと向けられていることに。
「……気付いたか、ウィザーモン。この場にいるのは、そのウサギ野郎だけじゃない」
「ウサギ野郎だってぇ……!」
奴にとってその言葉は愚弄に値するのか。苛立たしげに両腕の銃口を跳ね上げる。弛緩し始めていた空気が再び硬直する。だが八雲は全く慌てない。敵が本当にブラックガルゴモンだけだというのなら、面と向かって対峙している今の状況に限定すればウィザーモンだけでも十分に対抗できるだろう。だから問題は、この黒い獣だけではない。
そうして銃口が火を噴く寸前、闇の奥から少女の声が響く。
「……落ち着いて、ブラックガルゴモン。敵の挑発に乗るなんて愚の骨頂だわ」
「でも、環菜……!」
「安心して。あなたの苛立ちは取り払うわ。……私とあなたの、二人でね」
そうして彼女が現れた瞬間、ざわりと周囲が冷たい空気で満ちる。
制止の声はどこまでも涼やかで、また超然としていた。その暗闇が伸び、黒い人型を成して結晶したような擬似感覚。つまり、それが声の主の正体だ。そこに現れたのは人間でありながら、その在り方を明らかに間違えた存在。八雲をしてそう言わしめるほどの違和感が、その少女からは発せられていた。
それは闇だ。絶対的なまでに闇の具現だ。
「お前……!?」
「随分と物騒な物を持ってるじゃない。……仙川八雲君?」
彼女はどこまでも涼やかな声で、八雲の昔の名を呼んだ。
どこかで見た覚えがある少女だった。だがどこで見たのかまでは思い出せない。八雲にとって女の子という存在の基準は飽く迄も朱実である。故に彼女と全く正反対の空気を纏う目の前の少女に対してなど、見覚えというほど強い印象を持っているはずが無いのだ。それなのに、何故か既視感を覚えてしまう。要するに、その少女は今し方思い返していた香坂神社の一人娘に相通ずる雰囲気を持っていたわけである。
だが違う。その少女は決して彼女にはなり得ない。
「随分と久し振りね。五年来……になるかしら?」
五年来。その単語が更に彼女の印象を強めたような疑似感覚。確かに仙川八雲は彼女と五年以上会っていない。しかし目の前の女は決して彼女ではない、彼女であるはずが無い。そして何よりも五年前に既に仙川八雲は渡会八雲になっていたのだから。
そう、だから違う。自分は仙川八雲ではない、渡会八雲だ。そして目の前の女はそれを知っていた上で、敢えて自分をそう呼ぶのだ。
「間違えるな。……俺の名前は」
「ええ、わかってるわ? 渡会……八雲君でしょ?」
形の良い唇を動かして彼女は告げる。そうして僅かに口の端が上げられた。
心からの笑みではなく、それは飽く迄も作り物。その方法を知らない人造人間が無理に形作っているような、そんな無機質な笑顔。当然、そこには心など微塵も篭もっておらず、彼女がどんなに美少女であろうと八雲には何の感慨も起こし得ない。
彼女は決して強くはないだろう。その気になれば、ブラックガルゴモンの銃口が火を噴く瞬間に回避と共に肉薄し、一瞬にして少女に胴打ちを見舞える自信が、龍斬丸を携えた渡会八雲にはある。しかしブラックガルゴモンと背後から静かにその少女が現れただけで、何か異質な気配が感じられた。笑顔でありながら無表情、無感情でありながらも冷酷。そんな矛盾した意識を内包する少女。
それこそが、八雲の前に立ち塞がる障害の具現だった。
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第22話:皆本 環菜
怖くは無い。その心に恐怖など微塵も無いというのに、何故か足が震える。
「どうして俺の名前を知っているんだ。……お前、人間だよな?」
龍斬丸を鞘に収めながら、八雲はその少女に問う。
パッと見た印象だけで言えば、目の前の少女は十分に可愛い。今までに見てきた全ての少女達の中でランキングを付けるとすれば三本の指には入る。第一位がクラスメイトの稲葉瑞希だから、彼女に次ぐ程度の可愛さを持っているというわけか。ちなみに朱実はその次の次ぐらいだろう。まあ、奴も顔立ちだけなら文句無く美少女なので、それぐらいの位置には来てもおかしくあるまい。
だがその少女には覇気が無く、生気も無い。まるで死人のように、その瞳は虚ろだった。
「……それ以外の何かに見えるっていうの、私が? だとしたら相当おかしいわね、あなたの目は」
尤もな意見だ。ただ、その陰気な口調はやめてもらえないだろうか。
そこで初めて、八雲は眼前に現れた少女の姿を正面から見やる。朱実のポニーテールよりは短いものの、肘に届く程度まで伸ばされた髪は流れるような美しさを湛え、月明かりに照らされた肌は雪のような純白の美しさを保っている上、前述したように顔立ちも流麗だ。朱実が動なら彼女は静のイメージか。それだけに、彼女の周囲を覆うどんよりとした空気が重苦しく感じるのが勿体無いと言える。
とはいえ、今はそんな些事に構っている暇は無い。
目の前に現れた少女には自分に対する敵意に近い雰囲気がある。殺意でなく飽く迄も敵意である故に、それはあの炎の闘士に比べれば何ら脅威になり得ないものと言えよう。だが違う。まともに戦えば、八雲は彼女に打ち負ける。自分は彼女より強いはずなのに、脳裏には敗北するイメージばかりが浮かんでくる。それは自分が長内朱実に勝てぬのと同様、最初からの確定事項だと言えた。
何故そう思えるのかはわからない。けれど、彼女が八雲にとっての天敵であることだけは確実だった。言うなれば相性の問題、炎が水に勝てないのと同じことだ。
しかし、相手が襲い掛かってくる以上、戦うことに躊躇いは感じない。また、相手にその理由を問い質すこともしない。それが渡会八雲と長内朱実の常識だった。
「理由は知らないけど、お前から仕掛けてきたんだ。つまりは……そういうことだよな?」
「……あら、面白いことを言うのね? でも、それなら……話が早くて助かるわ」
そう呟きつつ僅かに腰を落としたように見えた瞬間、少女の体が流れた。
いや、それは流れたように見えただけだ。八雲が瞬きをしている一瞬の内に、彼女は殆ど呼吸さえも感じさせぬ動きでブラックガルゴモンの左腕に抱かれるような形で、彼の腕に身を任せていた。殺気が無いだけに、どう動いてくるのか読めなかった。それなのに速さもまたかなりのものだ。
流れるような動作に見惚れる暇も無い。次の瞬間、ブラックガルゴモンが大きく跳躍する。
「飛んだ……!?」
「なに!?」
「ガトリングアーム!」
闇夜を背負いながら跳躍したブラックガルゴモンが、両の腕から無数の銃弾を撃ち掛ける。主である少女を抱き抱えたのは彼女を巻き込まないためか。コンクリートに兆弾した弾丸が弾けて、八雲やウィザーモンの体を掠める。咄嗟に距離を取らなければ蜂の巣にされる、当然だが命の保障は無い。
月を背負いながらも、奴の体は飽く迄も漆黒。
その姿は文字通り化け物。今まで相対してきたどんな相手よりも、奴の体は異形に見えた。夜という暗闇は恐怖を増大させるというが、まさにその通り。奴と昼間に出会っていたなら、これほどの重圧は感じなかっただろう。
つまり奴は完全に夜戦に突出したモンスター。まさに闇夜の暗殺者とでも言うべきか。
「逃がさないよぉ!」
銃弾を撃ち付けながら、奴の体は闇に紛れて消えていく。
放たれる銃弾は恐ろしいほどに正確無比。僅かでも動きを止めれば、一瞬で全身を蜂の巣にされる。奴の弾が尽きるのが先か、それとも自分達が奴の放つ弾丸に穿たれるのが先か。要するに、この戦いは我慢比べ。奴の戦法自体は単純明快なものだ。自分の体自体を囮にするかのように、憎らしいまでに姿を晒して八雲達を挑発してくる。だが誘いに乗ったら負けだ。少しでも奴の動きに気を取られて前に出れば、即座に撃ち倒される。
その作戦、その指示を出しているのは、紛れも無く奴の肩に乗る少女。
「チッ……ひとまず退くぞ、ウィザーモン!」
「は、はい!」
暗闇の中から放たれる銃弾に太刀打ちする術は無い。
奴の漆黒の体と迷彩柄のジーパンは、暗闇に溶け込むための仕様なのか。まるで蝙蝠のように闇夜を飛び回っては襲い掛かってくる奴の動きには全く追い着けない。そもそも、運動能力からして自分達とは違いすぎる。ならば距離を取り、一呼吸置いた方が得策だろう。
躊躇い無く、八雲とウィザーモンは路地裏の廃ビルの中へと駆け込む。
路地裏に逃げ込んだ二体の標的を見据え、ブラックガルゴモンは舌で唇を舐めた。素早く着地すると、標的が逃げ込んでいった路地裏へ入る。そう、奴にとって渡会八雲とウィザーモンは飽く迄も倒すべき獲物でしかなく、それ以上でも以下でもない。
自分の腕に腰掛ける少女の顔は、どこまでも無表情。
「……どうする、環菜」
「あの子なら逃げたりはしないわ。……必ず奇襲を仕掛けてくる。注意して」
「わかったよ。……でも環菜、何か楽しそうだね?」
「そう? そんなことは……無いわ」
「ふぅん? 環菜がそう言うなら、そういうことにしとこっか」
少女の身体を地面に下ろしながら、ブラックガルゴモンは小さく呟く。
ブラックガルゴモンは己が契約者たる彼女に対して、絶対の信頼を置いていた。彼女の言うことなら間違いは無いと、信じて疑わなかった。故にどうして少女があの少年のことを知っているのか、それを敢えて問い質すこともしない。彼女が戦えというなら、その指示に合わせて戦うだけだ。
狭い路地裏。その頭上、ビルの間からは殆ど星が見えない。
ブラックガルゴモンはその名の通り、漆黒の身体を持つ。それ故に夜戦において同程度の相手に敗北することなど有り得ない。少女には勝者の驕りなど微塵も無かったが、奴自身は確かな油断があった。それに気付かないのが、奴の不幸であり敗北の予感である。
瞬間、空気を切り裂いて何かがブラックガルゴモンの眼前の地面に突き刺さった。
「なっ!?」
「……動かないで」
咄嗟に少女が上げた静止の手をも振り払うように、ブラックガルゴモンは少女を庇うように後方へと大きく跳躍する。故に二人は後方に飛び退く形になり、背中が路地裏の壁へと密着する。間髪入れず、彼らの右方と左方に殆ど同時に小さな物体が飛来した。凄まじいスピードで飛ぶそれらは、弾丸染みた迫力を纏っている。
思わずブラックガルゴモンは両手を大きく大の字に広げて。
「ガトリングアーム!」
迷い無く躊躇い無く、それらを同時に撃ち抜いた。
だがそれこそが八雲とウィザーモンの狙いであり、彼らが築いた勝利への架け橋であることに気付くのに彼は一瞬の時間を要した。そして、その一瞬の隙こそが彼の敗北を決定付ける。状況が自分に有利な夜戦であることに少なからず驕りがあったのか、それとも単純に八雲達の方が優れていたのか、それは定かではないが。
すぐにブラックガルゴモンはその違和感を察知した。
「手応えが……無い?」
「引っ掛かったな! そいつは囮!」
「だ、ダミーだってぇ!?」
前方の廃ビル。その二階の窓から自分達の前へと降り立った八雲とウィザーモン。そして、先程とは打って変わった薄いTシャツ姿の彼を見て、奴もようやく気付いたらしい。
そう、今ブラックガルゴモンが撃ったのは八雲の上着。二つに破り捨てたそれを、八雲は奴の左方と右方に同時に投げ付けたのである。当然、銃弾を浴びせ掛けられた上着は一瞬にして蜂の巣にされる。だが上着を犠牲にするだけの価値が、そこにはある。
壁を背にし、奴の体勢は大の字。その隙を八雲とウィザーモンは見逃さない。
「今だ、ウィザーモン! 撃て!」
「……はい! クリスタルクラウド!」
杖を掲げ、放つのは氷の波動。闇の中で呼び込んだのは勝利という名の光。
本来ならウィザーモンでは放ち得るはずの無い魔術。流石のブラックガルゴモンとて、突然その技を放たれたことに驚愕したのか、動きを僅かながらに止めた。そして、それこそが絶対的な優位に立っていたはずの奴を敗北へと追い遣る。
放たれた四つの冷気。それがブラックガルゴモンの四肢を一瞬にして凍り付かせる。当然、壁を背にして大の字になっていた奴は、その四肢を背後の壁ごと凍り付かされた。
「し、しまったぁ!」
壁に括り付けられた奴の姿は、まるで磔にされたキリストのよう。
最初から八雲達の狙いはこれでしかなかった。ブラックガルゴモンの射撃能力に八雲とウィザーモンでは全く対抗できない。だから奴に勝つためには、その動きを止めてやるしかない。そのためには奴の手足を封じることが必要だった。
だが飽く迄も遠距離の攻撃に徹する奴に対抗する手段は、少なくとも八雲には無い。だからこそ、彼にできることは上着をダミーにして奴を壁際に追い詰めることぐらいしかなかった。だが迷いなど微塵も無い。自分にできることを精一杯できれば、それで自分達は負けないと信じていた。
そうして、尻餅を付いた状態の少女に再び引き抜いた龍斬丸を突き付け、勝負は決する。
「……俺らの勝ちだな。まだやるのか?」
今まで見せたことも無いほどの真剣な表情で、八雲は呟く。
そんな彼の顔を、首筋に剣を突き付けられた少女は静かに見上げる。アグニモンとの戦いで大地に屈した自分を思い出す八雲の表情を見て、彼女は果たして何を思うのだろうか。少なくとも、この場での敗北だけは認めねばなるまい。
だから大きな嘆息を一つ。
「ふう、やっぱり勝てなかったか。……まさか剣と上着を犠牲にするなんて思わなかったわ」
「……意外とあっさりしてんな、お前」
どこまでも淡々と語る少女。そのことが意外だった。
確かに八雲は龍斬丸を鞘に収めただけ。使わないとは言っていない。だが本来、剣を鞘に収めた時点で持ち主は「剣は使わない」と言っているようなもの。だからこそ少女は意表を突かれたのだろうし、そこに八雲もまた勝機を見出したのだから。
「ええ、最初に奇襲を仕掛けたのは私。……今更卑怯だと罵りはしないわ」
「そっか、それなら良かった。それで約束だ。……何でお前は俺を知っているのか、この世界に関してお前がどこまで知っているのか、それを教えてくれ」
その言葉を聞いて、少女は大きく息を吐いた。
こうして八雲は少女と出会った。無感情で無愛想、それでいてどこか攻撃的な面も併せ持つ彼女の名前は皆本環菜。闇夜を駆ける漆黒の獣人、ブラックガルゴモンを契約者に持つ17歳の少女。
彼女の存在は八雲にとっても、そして今の世界にとっても限り無く大きなものとなる。そして同時に彼女にとっても八雲の存在は極めて大きくなるのだろう。それは即ち運命、二人の出会いこそが運命に彩られたものであるかもしれないのだから。
そのことを、今はまだ誰も知らない。本人達ですら、それには気付いていない。
翌朝、相変わらず朱実の姿を背後から見つめる者がいた。
両腕に鏡、更には頭部にまで白銀に輝く鏡を備えたその人型は、間違い無く先日朱実を尾行していた存在だ。視界の端に騎士と共に街中を行く朱実の姿を捉えながらも、奴はその表情の無い唇を僅かに笑みへと形作る。口紅を塗られたように真っ赤な唇が、奴の心中を表すように醜く歪められた。
それは残虐な笑みだった。アグニモンやダスクモンにも引けを取らぬほどの。
「……あの程度で我が追跡を撒いたつもりとは。その愚かしさ、ほとほと呆れ果てるな」
その言葉と共に、全身に宿るのは明確な殺意。あのギガスモンと真っ向から対峙した八雲や朱実とて奴には恐れ戦くしかあるまい。つまり、奴は恐怖と殺気を体現せしめた者。相対する存在を恐怖だけで包み込み、絶対の死を与えるだけの存在。
真実、その存在は長内朱実のことを標的としてしか見ていなかった。
「そうはさせないからね、朱実は私の獲物なんだから」
「むっ、その声は……」
不意に響いた声に、彼は振り返る。
そこに超然と立ち尽くしていたのは、黄金の髪を靡かせた少女。彼自身よりも遥かに小さい体躯しか持たぬ彼女は、その年齢に不相応な威厳を以って、彼の姿を毅然とした目で見つめている。言うまでも無く、その少女とは半日前に八雲と出会った光の闘士である。
数時間前まで二宮市にいたはずの彼女は、早くも東京に姿を現した。そんな少女の姿を前にして、彼は小さく笑ったようだ。
「……ほう、既に目覚めていたか。久しいな、光の闘士よ」
「何百年ぶりになるのか、考えるのも怖いぐらいだわ。あのカルマーラモンと同じで、相変わらず癪に障る顔してんのね。……久し振り、鋼の闘士」
何の躊躇いも無く、彼女が告げた名。
知略・策謀に秀でた彼の名は鋼の闘士、メルキューレモン。名前の通り鋼の属性を持つ突然変異型。十闘士の中で筆頭として名高いエンシェントワイズモンの魂を受け継いだ伝説の存在であり、それ故に有する戦闘力も圧倒的である。
その彼は、ジャンヌの言葉の中に出てきた水の闘士の名を聞いて唇を歪めた。
「なるほどな、水の闘士の気配が消えたと思っていたが、それは貴様の仕業というわけか」
「……まあね。ちょっと許せないことを口走ってくれたから死んでもらったわ」
「許せないこと……か。フッ、貴様らしい」
再び笑みを形作る鋼の闘士。瞳の無いその表情は、言い様の無いほどに不気味だ。
だが彼を前にして狼狽や躊躇を見せてはいけないことを、ジャンヌは最もよく知っている。鋼の闘士の体は鏡。故に奴の前で見せる迷いや戸惑いは、全て自分に跳ね返ってくる。だからこそ、ジャンヌは己が力を弁えながらも毅然とした態度を崩さない。否、崩せない。
「……それで、私に何の用なのだ? 知っての通り、私は現在楽しみ甲斐のありそうな獲物を見つけたばかりでな。貴様との些事に付き合っているような時間は無いのだが……」
「黙って。……長内朱実は私が殺す。アンタなんかに渡すわけにはいかないわ」
その答えもまた飽く迄も真っ直ぐに。
少女のその答えに鋼の闘士は目を細めたようにも感じられた。とはいえ、奴には目など存在しない。ただ、光の加減でそう見えたというだけのことだ。それでも確かに、そこで初めてメルキューレモンは対峙する光の闘士を真の意味で、相対するに足る敵として認識したような、そんな雰囲気を全身に漲らせていた。
そう、奴もまた十闘士である以上は戦う者にすぎぬ。
「……よかろう。ならば確かめさせてもらうとしようか、貴様の決意……その気高き意志が如何ほどのものかを。手加減や遠慮は一切無用だ。私を殺す気で来ねば死ぬぞ、ジャンヌよ」
「そ、そんなことわかってるわ!」
その瞬間、鋼の闘士が放った膨大な殺気に、ジャンヌは僅かに狼狽した。
◇
【解説】
・皆本 環菜(みなもと かんな)
性別:女
誕生日:1991年10月24日(2008年10月末時点で17歳)
血液型:B型
家族:祖父(雅紀)・母(涼菜)・兄(和也)・弟(翔)・妹(潤)
身長/体重:162cm/49kg
3サイズ:77(B)/59/79
経歴:相葉小学校⇒相葉西中学校⇒二宮女子高校
渡会八雲、長内朱実に続く【反転】世界に取り残された三人目の人間。闇夜に照り映える黒髪を持つ怜悧な少女。
やっくんや朱実と同様、2008年10月24日に【反転】世界に巻き込まれて群馬県前橋市付近に転移するも、出会ったブラックガルゴモンの協力を得て故郷である二宮市まで戻ってきた。朱実とはクラスメイトであり、やっくんとも小学校時代に一度だけ同じクラスになったことがある。
本作の華(ヒロイン)。サブタイトル通り、やっくんにとってFate(運命)の相手である。
・ブラックガルゴモン(成熟期/Va種)
皆本環菜の契約者。おどけた口調だが淡々と獲物を狩る冷徹な殺戮者。環菜には従順で心強い味方となるべき存在だが、同時にその他者の命を容易く奪う在り方は環菜の心に少なくない恐怖心を与えている。
やっくんからはウサギ野郎と呼ばれるが犬である。
オリジナル設定でウイルス種にしようか結構迷ったのは遠い昔の話。
・鋼の闘士“???”
現存する中で炎と光を抑えて最強と謳われる闘士。穏やかで理性的な口調を持つ男でジャンヌと相対しても全く揺るがない在り方はまさに鋼そのもの。やっくんや朱実のことを知っている素振りを見せるが現時点で詳細不明。
全てを防ぎ切る最強の“盾”を持つ。契約者は現時点で不明。
【あとがき】
気付いたら最後の19話・20話から一年経ってしまいましたが、このままではまたエタると一念発起して復帰します。本日ハ晴天ナリもコテハナも終わったので、タイミングは今しかない!
というわけで、本作のヒロインがやっとこさ合流です。敢えてのブラックガルゴモンなのは作者の趣味でございます。進化先と合わせて夜戦型の設定が好みだ!
ひとまず、今度こそ第一部完結(42話)までは定期的に進めたく存じますので、よろしくお願いします。
◇
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