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第17話:目覚める光の闘士(ジャンヌ)
確かに目の前の二人の戦意はかなり高いものがある。だがラーナモンにとっては、人間如きが自分に歯向かうこと。それこそが侮蔑に他ならない。
「生意気ぃ……いいわ、お望み通り潰してあげる!」
故に頬を膨らませ、彼女の殺気が増大する。
ラーナモンの細く美しい指先が空中に軌跡を描く。それだけで弛緩していた空気が一気に張り詰める感覚がある。流石に十闘士としての面目躍如といったところか。だが八雲は恐怖など微塵も覚えない。その程度の殺気、アグニモンに比べたらどうってことない――!
「ジェラシーレイン!」
振り上げられた細い腕に大気中の水分が集中、一瞬にして小さな雨雲を形成する。
なるほど、やはり奴は水の闘士なのかと理解に及んだ。八雲の知る限り、残された闘士は水と鋼だけだから、その外見から判断しても、彼女が水の属性を備える闘士と見て間違い無いだろう。何も無い場所から水の弾丸を放ち、空気中に漂う水蒸気を自在に操って雨雲を作り出すなど、確かに水の闘士が持つ能力に相応しい。
確かに能力だけなら人間を十分に凌駕しているだろう。ラーナモンの手の動きに応じて、雨雲が迫り来る。自在に雨雲を操るなど、人間にできる行為ではない。
「横に飛べ、ウィザーモン!」
「は、はい!」
叩き付けられるように降り注ぐ豪雨から身を逸らし、一気にラーナモンに肉薄する。
腰に差した龍斬丸を鞘から引き抜くこと無く、むしろ鞘ごと手に取って一閃。だが閃光にも似たその剣戟を紙一重で回避し、再び八雲から距離を取る。当然、ただの人間である八雲には遠距離を攻撃する手段など無く、そこで攻勢は一時中断される。
だが先程の判断に全く狂いは生じない。彼女が相手なら、自分とウィザーモンの力で十分に打倒できると確信する。
「……なんだよ、その程度か? あのアグニモンやダスクモンに比べたら全然怖くないな!」
「舐めてくれちゃって! ……来なさい、シードラモン!」
再びラーナモンが手を振り上げた瞬間、背後の空間が歪み、巨大な竜が姿を現す。
それは竜というより、むしろ海蛇と呼んだ方が正しいだろう。また今まで見てきた数多のモンスター達と同じように、奴の瞳からは知性というものが全く感じられない。そこから感じられるのは、まさに獣の本能。奴にとって八雲とウィザーモンは、最初から己が領域を侵犯した獲物でしかない。細く長大な体は青く染まり、一度締め上げられたら息絶えるまで放してくれないだろう。
状況を瞬時に把握する。要するに、アグニモンに対してのグラウモンと同じように、このモンスターがラーナモンの契約者ということか。
「ちっ、新手か!?」
「アイスアロー!」
「だけど、こんな物にっ!」
奴の口から放たれた氷の刃が迫るも、今度こそ鞘から引き抜いた龍斬丸を振るって砕く。
シードラモンの放つ氷の刃は確かに当たれば怪我では済まないだろうが、銃弾ほどのスピードがあるわけではない。ならばその程度の攻撃を自分が受けることなど考えられない。人間である自分では倒すことはできないまでも、足止めだけなら龍斬丸を持つ自分なら十分可能だと判断した。故に契約を結んで初めて、八雲は契約者のウィザーモンに明確な指示を与える。
「俺がこいつを食い止める。……ウィザーモン、お前はその生意気な女をやれ!」
「ふぅ、それは……命令ですか?」
「ああ! 悪いか!?」
「……了解しました。それでは、己が結びし盟約に従うとしましょう」
一瞬で八雲の考えを理解したのか、ウィザーモンは不敵な表情で前に出る。
「ウィザーモン如きがこの私に逆らうってのぉ? 馬鹿にしないで!」
「それはどうでしょうか。……少なくとも私は、あなたを侮ってなどいませんがね」
杖を掲げて水の闘士と対峙するウィザーモンの表情には、気負いなど全く無い。
それがラーナモンには腹立たしい。自分を前にして何の恐怖も感じないこと自体、十闘士たる彼女にとっては屈辱でしかないのだ。如何に最弱の闘士だと罵られようとも、彼女は自分が十闘士であるという事実に強い自負を持って長らく存在してきたのだし、その自負を取り除いたなら自分に何も残らないであろうこともわかっていた。だからこそ、ラーナモンは十闘士である誇りを胸に抱いて戦い続けるしかない。
故に憎たらしい。こんな奴、消えてなくなってしまえばいい――。
「もう怒った! 絶対に容赦はしないんだから!」
「……ほう、それはありがたい。それでは、こちらも最初から飛ばすとしますか」
「レインストリーム!」
再び迫り来る豪雨。だがウィザーモンは全く慌てず、素早く詠唱を開始する。
己が契約主の目論見など、ウィザーモンは最初から看破していた。水の闘士としての彼女を相手にするには、雷使いの彼の方が得策であると考えたのだろうが、何よりも八雲は優しすぎる。仮にも人型であるラーナモンを斬ることが、八雲にはできなかったのだろう。
咄嗟に唱えるのは氷の術。それを以って自分に有利な状況を作り出し、一撃で仕留める。
「クリスタルクラウド!」
「な、なに……雨が凍って……?」
「そして、サンダークラウド!」
一瞬で無数の氷の粒と化した豪雨の間隙を縫うように、放たれた雷鳴が煌く。
水は電気の力を増大させる。故に氷雨を強化剤として一瞬にしてラーナモンへと殺到したサンダークラウドは、容赦無く彼女の体を覆い尽くした。電撃の威力は凄まじく、それを受けたラーナモンは某格闘ゲームの野生児が放つパンチ連打攻撃を受けたように電子骨格が透けて見えるほどに苦しむのみ。
「そ、そんな……ヒバババババババババ!?」
「……いやぁ、案外私も強かったんですね」
そんな彼女を前にして、どこか他人事のようにウィザーモンはそう呟いていた。
信じられなかった。それがブイドラモンの正直な思いだ。
正直、彼は八雲とウィザーモンを侮っていた。所詮、彼らは脆弱な人間とその契約者にすぎないのだ。十闘士と相対すれば足下にも及ばぬ存在だと、心底疑わなかった。だがその実、彼らは自分などより遥かに勇猛だった。ラーナモンに対して何ら退かず、渡会八雲に至っては人間の身でシードラモンと完全に渡り合っている。
「てぇぇぇいっ!」
放たれる氷の刃を斬り払って接近しつつも、シードラモンが締め上げようと迫るところで身を引き、八雲は上手く相手の狙いを自分に釘付けにすることに成功している。それは既に達人を超越した域だ。野生動物としてのシードラモンの動きを完璧に操っている。
人間に行える動きではない。彼はまるで、自分達自身のようではないか。
「君は……誰だ?」
そんな質問は意味を成さない。けれど、聞かずにはいられなかった。彼の知る限り、自分達と関わる人間は須らく脆弱で、俗にテイマーと呼ばれる存在でさえ戦闘は己の領分では無いとして、単純な後方支援に専念していたというのに。
だが渡会八雲とウィザーモン。彼らにはその概念が通用しない。
渡会八雲は飽く迄も契約者と対等な場所に位置している。ウィザーモンが戦うのなら自分もというより、むしろ率先して危険の中へと飛び込んでいく。そこに迷いや躊躇いは無い。まるで死ぬことが怖くないかのように、踊るように戦いを挑むのだ。
何故そんな無謀とも呼べる行為を実行できるのか。また、何故渡会八雲はシードラモンさえ翻弄する力を有しているのか。ブイドラモンにはまるで理解できない。渡会八雲という人間は明らかに融合世界においてはイレギュラーな存在だ。
「アイスアロー!」
「蝿どころか……カブトムシが止まるな!」
彼が振るう剣は、ブイドラモンにすら感知することが敵わぬ。
放たれた氷刃は八雲の手前で音も無く粉微塵と化す。その太刀筋は文字通りの閃光。風のように奔放でありながら、氷のように冷酷な戦い。その在り方は誰かに似ていた。見てみれば、彼が握る剣にさえブイドラモンは見覚えがある。その少年の体格的にも随分と大柄なその斬馬刀の名は龍斬丸。遠き昔、黒き竜人を従えた少年によって討ち取られた武者が持ち得る、異世界に唯一無二の名刀ではないか。
龍斬丸はその名の通り、竜属性のモンスターに対して強い効果を発揮する。故にシードラモンと対峙するのにこれ以上に相性の良い武器は無いだろう。もしも彼が本気でシードラモンを倒す気でいたとしたら、恐らく数秒で勝負は決していたはずだ。如何に強固な鱗を持つシードラモンとはいえ、ドラモンとしての名を持つ以上龍斬丸の一撃に耐え切れる道理は無い。
しかしブイドラモンはだからこそ逆に理解した。渡会八雲が何者なのか、そして彼が勝てないという揺るがぬ事実を。
「……やめろ!」
「は?」
「君じゃラーナモンには勝てない! いいから退くんだ!」
だが渡会八雲の強さに揺らぎは全く無い。
ブイドラモンの言葉に思わず動きを止めてしまい、その隙を突く形で叩き付けられたシードラモンの尾さえも素早く掲げた龍斬丸で軽々と受け止め、そのまま瞬時に反撃に転じる。戦闘中に他者の言葉に反応したことなど、彼にとってはハンディキャップにすらならないのか。
その強さに歯軋りした。あまりにも圧倒的すぎる。彼の戦闘力は明らかに人間離れしたものだった。パワー、スピード、そして精神力。それらの全てにおいて、渡会八雲という少年は通常の人間を凌駕し得る能力を有している。そこに隙はまるで見られず、相手を明確に倒すという気概こそ見られないが、逆に相手に倒されまいとする心は確かに本物だった。まさにヒットアンドアウェイ、敵に一撃を浴びせつつ即座に距離を取ってシードラモンを翻弄している。
だが、それでは負けないことはできても、勝つことはできない。
確かに携える龍斬丸を鑑みれば渡会八雲は成熟期のレベルに限定すれば、大抵のモンスターを手玉に取り得るだけの戦闘力を持つだろう。だが飽く迄もそれは単純な戦闘力の上での話にすぎない。それが甘さか彼らの信念なのかは知らないが、相手にトドメを刺すことができない今の状況下で渡会八雲とウィザーモンの二人がラーナモンとシードラモンを打倒できる要因は皆無だ。
そう、戦い方を見ていればわかる。渡会八雲とウィザーモンは誰も殺せず、誰も倒せない。
それが彼らの敗因になる。如何に強い者であろうと、最後の一撃を放てぬ限り勝つことは無い。逆に言うなら、如何に戦力で劣る者であろうと、トドメを刺されぬ限り負けることは有り得ないのだから。引き金を引けぬ者と引き金を引かれぬ者。最終的に生き残るのがどちらかと言えば、それは――。
ウィザーモンの多彩な魔術に翻弄されるラーナモンの体が、突如として光を放つ。
「な、何を――!?」
「危ないーーーーっ!」
それが何を意味するかを悟った瞬間、ブイドラモンは己が身を彼らの間に投げ出していた。
シードラモンと対峙していた八雲は、突如として響いた轟音で我に返る。
「なっ……?」
思わず振り返った背後には、想像を絶する存在がいた。
巨大なイカのような外見をしたモンスターが、その腰部から伸びた触手を以ってブイドラモンの体を締め上げている。その背後でウィザーモンが尻餅を付いた状態でいることから、恐らくブイドラモンは彼を庇った所為であのモンスターの攻撃を回避できなかったのだろう。
すると、あのモンスターの正体は――?
「ラーナモン、スライド進化――カルマーラモン!」
「ぐっ……ぐぁぁぁぁ……」
「オッホッホ、いい気味ザ~マス」
締め上げられるブイドラモンの体が軋む。あれが人間だったら、軽く骨が折れるほどの締め付け具合だ。
「ブイドラモン! ……って、うおっ!?」
忘れていたが、まだシードラモンとの戦闘は継続中だ。
鞭のように激しく撓らせて振り下ろされた長大な尾を反り返って避ける。叩き付けられた地面が陥没しているのを目の当たりにして、八雲は改めて今の状況の不利を悟る。自分の戦闘力には絶対の自信がある。だが果たして、シードラモンを相手にしながらブイドラモンを助けることができるのか――。
そんなもの、無理だ。忍法・影分身でもしなければ、二体の怪物を同時に相手にことなどできない。だから頼るのは、自分の契約者のみ。
「ウィザーモン! なんとかしてブイドラモンを助け出せ!」
「……は、はぁ。しかし、これでは……」
「オッホッホ! この私から逃げられた者は誰もいないザマスよ!」
カルマーラモンの頭部の人型は、ラーナモンの時とは比べ物にならないほどの威圧感。
それもそのはず、あれは何よりも異形だ。気持ち悪いとか不細工だとか、そんな範疇を容易く超えている。ラーナモンの方が可愛げがあった分、まだマシだと言うべきだろうか。尤も、彼女自身はそんなこと気にも留めていないようだが。
「アンタ達には、全員ここで消えてもらうザマス! ネーロコルソ!」
「イカ墨ぃ!?」
口から吐き出された真っ黒な墨を横っ飛びで避ける。
あんなもの、下手に喰らったらヨーグルトのように溶かされてしまうし、何よりも奴が口から吐いたものを喰らうというのも精神的によろしくない気がする。
怒涛のように吐き出されるイカ墨を避けながら、シードラモンの攻撃をも剣で受け流す。奴らを二体同時に相手にできるのは自分だけ。ウィザーモンではシードラモンは倒せてもカルマーラモンを相手に持ち堪えることはできないのだ。自惚れではなく、直感で理解した。
故に八雲にできることは可能な限り時間を稼ぎ、ウィザーモンに隙を突かせること。ウィザーモンもその意図を理解しているのか、カルマーラモンの影で小さく頷く。頼もしい奴だと笑い掛けたいところだが、今はそんな暇すら与えられない。
不意に浮かび上がったカルマーラモンが、その巨体をドリルのように回転させて突っ込んでくる。
「これで……終わりにするザマス! タイタニックチャージ!」
「アイスアロー!」
「同時攻撃!?」
シードラモンが発射した凍て付く氷の刃が迫る。
氷刃を避ければドリルに体を潰される。ドリルを避ければ、氷刃に凍らされる。選択可能なのは二つに一つ。無論、八雲が選ぶのは後者である。アイスアローの弾丸は小さい。故に左の腕を犠牲にして、彼はカルマーラモンの突撃を避ける。
咄嗟に手甲、つまりD-CASで受けたが、瞬く間に左腕が凍り付く。
「ぐあっ!?」
一瞬にして痺れが腕を貫く。あまりの痛みに龍斬丸を取り落とした。
それでチェックメイトだ。その瞬間に、渡会八雲の手から勝機は零れ落ちる。元来、渡会八雲は剣で戦う者。故に片腕と剣を失った時点で彼の敗北は決定する。八雲が万全の状態なら、カルマーラモンに対しても多少の抵抗はできるかもしれない。また長内朱実ならこの状態でも奴を倒す手段を講じられるのかもしれないが、それだけの強さは渡会八雲には無い。
故に決着。にじり寄るカルマーラモンを、ただ見つめることしかできない。
「シードラモン、下がるザマス。この人間は私の獲物ザマスからね」
彼女の言葉に呼応して、散々猛威を振るった海蛇が彼女の後方に下がる。
「八雲君! くっ……サンダークラウド!」
「効かんザマス!」
咄嗟に八雲を助けんとウィザーモンが放った電撃すら、カルマーラモンは触手の一振りで掻き消す。
それで理解してしまった。奴は強すぎる。いや、単純な戦闘力だけで言うならアグニモンやダスクモンといった者達の方が上だろう。だがカルマーラモンはそれなりに追従できる存在だっただけに、自分との力の差を痛いほど思い知らされる。そう、アグニモンと対峙した時点で八雲は殺されていなければおかしかったのだ。
十闘士とはつまり、それほどの存在だということだ。
「愚かしいにも程があるザマス。人間の身で十闘士を打倒しようなどと……」
「くっ……」
「……でも、アンタはここまでザマスよ。一思いに溶けてしまうザマス!」
今にも放たれようとしているイカ墨が、恐らく渡会八雲の体を溶解させるだろう。
だというのに、不思議と死への恐怖は全く無かった。冷静に考えれば不思議なことでもないのだが、渡会八雲という人間には自分の命を惜しむという感情が無い。それが何故だかはわからない。けれど、少なくともある意味で渡会八雲は死を超越した人間だったのかもしれない。
それは人間としての明らかな欠陥、だが誰よりも強く在る者としての証でもある。
「これで終わりザマ……げほっ!?」
瞬間、至近距離から放たれた熱線を喰らい、カルマーラモンの体が大きく揺らいだ。
八雲もウィザーモンも、そしてカルマーラモンでさえ、その瞬間に何が起きたのかを咄嗟に理解することはできなかったはずだ。それほどに唐突な攻撃であったし。何よりもその攻撃を放った者は今まで誰もが忘れていた存在だったのだから。
故に八雲は驚愕にも似た思いで彼の者の名を呼ぶ。
「ブイドラモン!?」
「ぶ、Vブレスア……ぐわぁぁぁぁ!」
「生意気ザマス……死に損ないが、よくもこの私に!」
次弾を放とうとしたブイドラモンを、カルマーラモンは更に強く締め上げる。
「くそっ、やめろぉ!」
「八雲君! 今の君では無理です!」
駆け寄ってきたウィザーモンに制止させられる。
それが悔しかった。ブイドラモンは自分を助けてくれたというのに、自分は何もできない。渡会八雲は何のために生きているのか。そんなもの、問うまでもないこと。自分は誰かを救うため、誰かを守るために存在する。故にこんな場所で黙って見ていることなどできない。
けれど、今の自分ではカルマーラモンに敵わないことは痛いほどに理解している。だから無性に腹が立った。勝つことを望まないブイドラモンにも、そんな不器用な契約者を放って眠り続けている彼の契約主にも。だから彼らの戦いに背を向けて、先程の柱に向けて走り出した。難しい理由など無い。八雲はただ、気に食わなかっただけだ。
背後からウィザーモンの声が追ってくる。
「や、八雲君、何を!?」
「叩き起こすぞ、あの柱の中で眠ってやがる奴を!」
もしも柱に封印されている者が眠り続けたいというのであれば、それを尊重するのも一つの手かもしれない。
けれども、それは間違っていると感じたのだ。この中にいる者がどんな存在なのかは八雲にはわからない。それでもブイドラモンは必死にその者の守護を望んでいる。そのために自分が傷付こうと、彼は自分の主の眠る場所を守ろうとしてカルマーラモンと戦っている。ならば、そいつは起きなければ、起きてブイドラモンの思いに応えなければ嘘なのだ。如何に独善的な考えだろうと、それが八雲の考える正義だった。
思い出されたのは「デートするぞ」と言った朝の朱実の姿。あの時、眠る自分を起こすため彼女は何をしたか――。
「なんだか知らねえけど……起きやがれこの野郎ぉーっ!」
自分の感情に任せ、思い切り柱を蹴り飛ばす。
その瞬間。
『……まったくもう、やっぱり八雲は私が付いてなきゃ駄目なんだから』
唐突にそんな声が聞こえた。
聞き覚えの無い少女の声。そのはずなのに、八雲はその声をどこかで聞いたような気がしてならなかった。透き通るような声ながら、それは凛とした響きを以って八雲の胸に届く。言うなれば、それはしっとりと心の中へと染み込んでくる冬場の温かい緑茶のような、そんな声。思わず周囲を見渡してしまうが、当然のようにウィザーモン以外に人影は見当たらなかった。
何故だろう。そのはずなのに、一瞬だけ自分を抱き締める血だらけの少女の姿が見えたような気がしたのは。
「……八雲君、どうしました?」
「えっ」
ウィザーモンの声で我に返ると、その少女の姿は霧散した。
だがそのことに思いを馳せる暇も無い。何気なく目をやった先で、自分が蹴り飛ばした柱に亀裂が走っていく様を、八雲は目の当たりにする。強固なように見えて、その実この柱は異様なほどに脆かったようだ。その脆さといったら、朱実が持っていたヌンチャクよりも軟弱だったのではなかろうか。
やがて、地響きを立てて崩れ落ちる〝光〟の柱。
「やば……」
目覚める者などいない。柱は無残にも粉々の破片と化した。
思わず背後でカルマーラモンに締め上げられているブイドラモンの姿を見やる。彼は息も絶え絶えで長く持ちそうにも無い。故にブイドラモンにはこちらの状況を見る余裕など無いようだ。彼が守ろうとした柱を蹴り折ってしまったことをすぐに知られなかったのは、果たして幸か不幸か――。
だがそこに希望が消えない限り、光は在り続ける。
「リヒト・クーゲル!」
突如として放たれる閃光。
「なっ!?」
不意にそんな声が響き、八雲達の背後から放たれた光弾がカルマーラモンを襲う。
本来なら有り得ないはずの攻撃に流石のカルマーラモンも面食らったのだろう。即座に両腕を掲げ、防御に専念する。だが乱射される光弾は留まることを知らぬ。カルマーラモンの突撃が一撃必殺のロケットランチャーなら、その容赦の無い射撃は弾数に物を言わせたマシンガンの如く。幾度と無く放たれる光の弾が須らくカルマーラモンの体を掠め、その体勢を大きく崩していく。
そこにトドメとばかりに一際大きな光弾が迫った。
「ぐぅ――!」
咄嗟に両の触手を前に出して受け止める。だが衝撃を完全に御することはできず、堪らず後方に吹き飛んだ。その衝撃でブイドラモンが解放され、地面に叩き付けられる。
八雲達の背後で眩いばかりに輝く閃光の中に、一体の人影が見える。最初は成人男性ほどの大きさだったけれども、次第にその体が縮小化して行き、やがては小学生ぐらいの大きさで落ち着いた。当初は判別不能だったその姿も、徐々に光が晴れていく中で実像を帯びていくのが見て取れた。
徐々に晴れていかんとする光を前に、ウィザーモンが魅せられたように呟く。
「……う、美しい」
「同感だ。こんな綺麗な光……今まで見たこと無い」
だが光が完全に晴れた瞬間、その場に現れた存在に八雲は再度目を奪われていた。
「お、女の子……?」
その場に現れたのは、見たことの無い女の子だったのである。
額に稲妻型の傷を持つ魔法使いの少年に激しくデジャヴュなローブを纏ったその少女は、恐らく年齢が10歳前後。風に靡くショートカットは眩いばかりの黄金色を持ちながらも、どう見ても顔立ちは日本人なので、恐らく染めているのだろうと思わせる。――その年齢で染髪とは、どんな不良だよと自分を棚に上げて八雲は突っ込みたかったのだが、そんな言葉は瞬時に心の奥底へと引っ込んだ。
何故なら、その少女はあまりにも神々しい存在に思えたのだから。
「だ、誰だ……!?」
八雲は知らない。
その少女こそ光の闘士。十の属性の筆頭格に位置する戦士だということを――。
◇
こんにちは、縁田華です
最近お忙しいのですか?
わたし自身、あなた様からの感想を楽しみにしております
また落ち着いたらお願いしますね
あと、近々プロローグを改訂します
(クロスオーバーについてですが、単に声優さんで遊びたかっただけです。だから世界観を壊すようなことはしてません。ついでに、質問箱でも連載開始前に投稿して、事実上オッケーもらってます)
◇
第18話:暴走する獣(ビースト)
現れた少女の瞳には、何の感情も無かった。
ただ、冷静そのものといった表情で倒れ伏すブイドラモンの姿を見やる。その際に僅かながらも瞳を細めた様子からして、やはりと言うべきか、あのブイドラモンこそが彼女の契約者のようだ。あの表情から判断して、ひょっとして彼女は傷付いたブイドラモンを一瞥しただけで状況を把握したのか。
冷徹な声で呟きながら、少女は手を掲げる。
「……ご苦労様。戻って、ブイドラモン」
すると、ブイドラモンが次第に透明化していき、やがて彼女の腕に吸い込まれていった。彼女の腕に装着されているのは渡会八雲と同じD-CASだったが、あんなモンスターを収納するような機能は八雲の物には無かったはずだ。その知識が万全とは言えないながらも、少なくとも八雲はウィザーモンからそんな機能を聞かされてはいない。
だが何はともあれ、その時の少女の横顔が八雲には年齢に比してとてつもなく大人びて見えてしまった。何故か理由はわからないけれど、彼女が本当に外見の年齢通りなのかも怪しいものだ。そもそも、この世界に残ってから自分の常識が崩れ始めていると感じ始めている。
その少女は静かに振り返ったかと思えば、八雲の姿を認めた瞬間に目を輝かせた。
「あーっ! お兄ちゃんだーっ!」
「なっ、なにぃ!?」
いきなり胸に飛び込んでくる少女に面食らう。その表情は先程とは異なり、文字通り年相応の少女のもので。
思わず仰け反りそうになりながらも、咄嗟に八雲は彼女を抱き止めるような形になった。少女の動作はまるで愛娘の父親に対する仕草のような自然さだ。だというのに、理性は殆ど崩壊している。何故に俺がこんな幼女、じゃなくて女の子に抱き着かれねばならんのだ、という突っ込みが心の中で幾度と無く繰り返されているかのようだ。
隣にいるウィザーモンの声も、心なしか呆れたように聞こえる。
「……八雲君、君にはこんな幼い妹君が?」
「いや、知らんぞ知らん! そもそも、俺は一人っ子だし!」
その通り、八雲が赤ん坊の頃に両親は自動車事故で死んだと聞いている。それ故に妹がいることなど有り得ない。
それなのに少女を抱き止めた瞬間、半ば無意識の内に「こんな妹がいたらいいな」と思ってしまった。それぐらい、自分の腕の中にいる少女は温かい存在だったのだ。それ故に感じることができた。この子はクラウドとは違う存在なのだと。本当の意味で人間らしさを失っていない少女なのだと。
だが次の瞬間、少女は身震いするように身を縮こまらせた。
「……お兄ちゃん、何か怪我してる」
「えっ? ああ、これは――」
心配そうな顔で言われて初めて気付いた。
こんな女の子が現れたもんだから忘れてしまっていたのだが、今自分達は水の闘士、カルマーラモンに襲われている最中ではなかったか。無論、当のカルマーラモンは背後にシードラモンを従えながら、何事も無かったように八雲達から10メートルほどの場所に佇んでいるわけなのだ。
その姿勢はまさに獣。こちらが動けば、いつでも首を刈り取れるという意思表示である。
「カルマーラモン……もしかして八雲お兄ちゃん、アイツにやられたの?」
「えっ? あっ、ああ……うん。まあ、そうだけど」
答えを聞いた瞬間、少女の顔が激情に染まる。
振り払うように八雲の腕の中から離れると一歩、大地を踏み砕かんばかりの勢いで一歩だけ足を踏み出し、目の前のカルマーラモンと相対する。おぞましき水獣に対する恐怖など、その黄金の少女は抱いていない。そこには先程の愛らしさなど微塵も無かった。それは明らかに目覚めたばかりの、何の感慨も見せずにブイドラモンを己が腕へと封印した少女のものだった。
少女はただ、燃え滾らんばかりの瞳でカルマーラモンを凝視しているだけ。
「水の闘士。……アンタ、まさかお兄ちゃんを――」
「……何を怒ることがあるザマス? この世界にとって脅威となる者の速やかな消去。それが私達の役目だったはずザマスよ?」
「そんなこと、私には関係無いもん! 大切な八雲お兄ちゃんを傷付ける奴、絶対に許さないんだから!」
少女の強い叫びが、その言葉に秘められた溢れんばかりの愛が八雲には痛い。どうして自分がこんな見たことも聞いたことも無い少女に名前を知られており、しかも彼女のハートをがっちりとゲットしてしまっているのか――。
カルマーラモンと向き合う彼女の顔には奴に対する怒りさえも窺える。それは正解だ。明確な理由はわからないが、その少女は八雲を傷付けた水の闘士に対してハッキリとした憎悪の感情を抱いていた。彼女が見せるその表情は、年齢には分不相応な威厳と年齢に相応しい真っ直ぐな怒り。その滾る双眸に八雲は一瞬だけ目を奪われる。無論、そんな行為に理由など無い。
ただ、やはりその表情をどこかで見たような気がしたのかもしれない。
「……ならばどうするザマス?」
「アンタなんか、アンタなんか……消えちゃえーっ!」
迸る激情に身を任せ、腹の底から叫ぶ少女。そこで八雲は初めて気付いた。
その少女の腕に装着されているD-CASは両の腕に装着されているという点ではあのクラウドとかいう奴と同じ、そして八雲のものとは僅かに形状の異なる事実に。そしてそれが何を意味するのかを、八雲は無意識の内に理解し始めていた。そう、目の前の少女はあの炎の闘士と同じ存在なのだ。古代より伝わる十闘士の魂を受け継ぐものなのだ。こんな幼く可憐な少女でさえも、このデジタルワールドを守るために存在する戦士なのだと否応なしに突き付けられる。
少女は一瞬だけ俯くが、次に顔を上げた時には毅然とした表情を浮かべていた。
「スピリット……エボリューション!」
右の手甲から放たれた光が少女の体を包み込む。
少女の少女としての体は形を変え、一瞬にして精悍なる異形の存在が誕生した。その姿はアグニモンやダスクモンに近いものこそ感じられたけれども、その身は少女自身の心を示すかのように眩い輝きを見せている。そう、八雲の目の前に出現したのは確かに少女が進化した存在だが、それは紛れも無く歴戦の戦士の姿だったのである。
白銀の鎧を身に纏い、神々しき光の闘士が降臨する。
「光の闘士、ヴォルフモン!」
高らかに名乗りを上げる白銀の戦士。その姿に八雲はただ、圧倒されるしかなかった。
古より受け継がれし闘士達の〝魂〟。それを語るには、異世界の創生まで時代を遡らねばなるまい。
創生して間もない超古代、その世界は神に近い存在が平和に治めていた。だが平和という名の安息は怠惰という名の綻びを呼び、程無くして危機が世界を襲ったのだった。その中で高い神格を持った存在は一転して強大な悪魔となり、世界を破滅に貶めようとした。
そこに十体の戦士達が立ち上がった。火・水・土・風・木・雷・氷・鋼・光・闇という各々の属性を宿した勇猛なる戦士達は、究極とされる強さを誇った「神に等しき存在」を異世界の最下層部、ダークエリアと呼ばれる場所に封印することに成功したが、激しい戦いの末に皆、命を落としてしまったと言われている。その十体の戦士とは即ち――。
炎の闘士、エンシェントグレイモン。
光の闘士、エンシェントガルルモン。
氷の闘士、エンシェントメガテリウモン。
風の闘士、エンシェントイリスモン。
雷の闘士、エンシェントビートモン。
土の闘士、エンシェントボルケーモン。
木の闘士、エンシェントトロイアモン。
水の闘士、エンシェントマーメイモン。
鋼の闘士、エンシェントワイズモン。
そして闇の闘士、エンシェントスフィンクモン。
伝承に残されているのが正しければ、以上の十体となる。
後に多様な伝説を以って語り継がれることになる彼ら奇跡の戦士は、いつの日か異世界に迫るだろう未知の災厄に備えて各々の〝魂〟を「スピリット」と呼ばれる〝器〟に封じ込め、世界の何処かに封印したと言われている。尤も、それらは飽く迄も伝説に過ぎず、何者かの手によりその存在は長らく秘匿されてきた。
そんな戦士達の〝魂〟を受け継ぐ者、つまり俗に十闘士と呼ばれる戦士は、各々の〝魂〟を力として戦う。伝説の戦士によって残された〝魂〟は二種類。即ち知性と安定性に優れた人型のヒューマンスピリット、そして凶暴性と攻撃力のみを極限まで追求した獣型のビーストスピリットである。
ヒューマンスピリットを用いた人型形態は、敏捷性と安定性に優れるが、人間の部分の優劣が大きくその能力を左右する。より獣性を解放したビーストスピリットを使用する獣型形態は人型形態を遥かに上回るパワーを誇るが、その獰猛さ故に自己抑制が利かず、暴走する危険性をも孕んでいるのだ。上手く使いこなせれば究極体にも伍する力を手に入るとされながらも、ビーストスピリットを暴走させて村を一つ滅ぼした闘士の話も伝承には残されている。
そして長らく伝わる伝承によれば、人型と獣型という異なる二つのスピリットを完全な形で融合させ得た時、彼ら十闘士は古代の闘士をも遥かに超えた究極なる存在へと転身すると言われているが――?
その光景を目にした今、八雲にもウィザーモンにも言葉は無い。
「あの子が……進化したっていうのか?」
「そのようですね。……俄かには信じ難いですが」
カルマーラモンと対峙する白銀の戦士は、どう見ても男性的な体格をしている。いや、そもそも先程は140センチ程度しかなかった女の子が、突然2メートルを超える戦士に変身――いや、ここでは進化と言うべきだろうか――したら、誰だって驚くしかないだろうと思う。それでなくとも、八雲としては突然あのカルマーラモンに襲われたり、幼女に抱き着かれたりで心身が共に麻痺しているというのに。
こんな状況だ。少しは休ませて欲しいと切に思う。無論、周囲の雰囲気からしてそんなことを許してくれないというのは理解できているわけだが。
「……その姿、久し振りに見るザマスね、ヴォルフモン」
「黙れ。お前の言葉など、最早聞く耳は持たん!」
ヴォルフモンの声は少女の面影を残していなかった。
カルマーラモンと対峙する光の闘士には、隙など微塵も無い。ヴォルフとは確かドイツ語で狼を意味する単語だったと記憶している。しかし徒手空拳ながら油断無く拳を構えて水の闘士と相対する様は、むしろ猛禽類の如き殺気を漂わせているように感じられた。
とんでもなく強い。そのことを直感する。自分やウィザーモンなど足下にも及ばぬほどに。
「……水の闘士、お前は八雲を傷付けた。絶対に許さない!」
「フッ、小娘が小賢しいザマス!」
風を切るような音が響き、白銀の戦士が疾走する。
当初、体格の違いから押し込まれると思われたヴォルフモンであったが、逆にその小柄さを利用してカルマーラモンが振るう触手を華麗に掻い潜り、手にした光の刃で反撃を試みる。しかし敵も然る者、一閃された光刃を数本の触手で受け止めると、瀑布のような触手の応酬を浴びせ掛ける。
岩をも容易く砕かんばかりに振るわれるカルマーラモンの触手。それをヴォルフモンは光刃で華麗に往なす。
輝く軌跡は、まるで空に昇る月を思わせる。ビームサーベルのような光刃は、その一撃だけで大型のハンマーの如きカルマーラモンの触手を受けても全く揺るがず、体格的に遥かに上回る水獣と互角に渡り合っている。人間界に残る幾多の伝説の中で、自らを超えた力を誇る竜族を倒した英雄の逸話は様々な形で残されているが、ヴォルフモンの姿から連想されるのは、まさにそんな者達の姿だ。
「なかなかやるザマスね。でも……ネーロコルソ!」
「リヒト・ズィーガー!」
カルマーラモンが放つ無数のイカ墨。その中に、ヴォルフモンは迷うこと無く飛び込む。
八雲には龍斬丸やウィザーモンの助けを以ってしても受け切れぬであろうカルマーラモンの必殺技。だが光刃を手にしたヴォルフモンはそれらを華麗に切り払いながら迫る。その動きはまるで貴族の舞踏を見ているかのよう。直撃コースの攻撃のみを弾いていくヴォルフモンの太刀筋は、大振りなようにも見えてその実何一つ無駄が無いのだ。予てより八雲が理想としてきた剣技が、そこには確かに存在していた。
少なくとも光の闘士の太刀筋は、あのクラウドよりも遥かに流麗だ。
それは文字通り実戦で鍛えられし剣術。数多の敵を斬り倒し、命を奪ってきた殺人剣。冷静に考えてみれば当然のことだが、八雲とて他者の命を奪ったことは一度も無いのだ。故に彼がクラウドの剣術を「汚れを知らぬ剣」と笑うことはできまい。実質、八雲の剣もまた血を浴びることを知らないのだから。
だがそんな思考は、自分達に向けられた殺気のおかげで消え失せた。
「すっかり忘れてた……と言ったら怒るか。悪いがもう一度手を貸してくれ、ウィザーモン」
「……了解しました。幸い、カルマーラモンは光の闘士が抑えてくれている。我々は彼の撃退に全力を尽くすとしましょうか」
目の前には、明確な敵意を向けてくるシードラモンの姿――。
【解説】
・光の闘士“ジャンヌ”
読んで字の如く光の闘士。やっくんの故郷である香坂神社の境内に顕現した十闘士の遺跡にて眠っていた最後の闘士である。10歳前後の銀髪の少女の姿をしており、やっくんを“お兄ちゃん”と呼んで懐くもののそれ以外には冷徹。ロリロリした口調だがヴォルフモンにスピリットエボリューションした後は冷徹な女性の声と口調へと一変する。
作者のデジモン的男女平等論「グレイモン系を男にしたらガルルモン系は女だろ(※逆もまた然り」により、陰気な大人男性であった炎の闘士と対を成す明るい幼女となった。
・シードラモン(Da種/成熟期)
水の闘士の契約者。言葉を発さない純粋な戦闘種族。アイスアローをやっくんにバッティングセンターされる憂き目を見た。
・カルマーラモン(HB種/完全体級)
水の闘士のビースト形態。ロリロリしていたラーナモンからジャンヌとキャラが被るので「~ザマス」が印象的なスネ夫ママな口調に一変して襲いかかってくる。シードラモンと共に今回で死ななかったのを読み返した作者に驚かれたことは有名。
しかしコイツ本当にまともな技がねーな。
【余談】
作者の別作【コテハナ紀行】を読んでおくと、今回の話でリンクする要素が出てきます。
【後書き】
ラーナモン戦が意外と長くて自分で驚いている作者こと夏P(ナッピー)です。シザース扱いして悪かった……ガイやインペラーぐらいは長生きしとるな君ら。
今回は光の闘士であるジャンヌ登場編。前回語りました通り、今までの十闘士+その契約者は出会ったその場で命(タマ)取りに来る輩ばかりだった中、初めて味方となってくれる(?)闘士となります。前述したように炎の闘士と共に十闘士最強と目される光の闘士が女子となっておりますがこれは全て作者の趣味です。
主人公のやっくん&ウィザーモンがマジで役立たずという状況ですが、本作は八割方こんな風に進んで参ります。本作は十闘士と女の子の物語なので、野郎の出番や活躍など昨日食べたパンの耳ぐらいどうでもいいのです。例によって女の子が出てこないので作者の気分も急降下。ジャンヌ? あんな化け物女じゃねええええ!
Twitterが凍結喰らってマジで次回予告作る気力が吹き飛んだ為、しばらくは淡々と進めて参りますが宜しくお願い致します。
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