※色々注意
一目見たらもう駄目だった。
デジコアを撃ち抜かれたような感覚がして、もうソイツから目が離せなくなった。
俺と同じ色の髪。でも俺の髪は首に掛かるかどうかだけど、ソイツはすごく長い白髪。
目は左右で違う色。確か……ヘテロクロミアって言うんだっけ?
片方は、俺の服と同じ色。燃える炎みたいな赤。
もう片方は、俺の目と同じ色。絵の具のチューブから、そのまま絞ったみたいな緑。
顔色は調子悪いんじゃねーか? って感じだし、表情は全然変わらないし、何だか少し人形みたいで、不気味な感じがする。なのに、俺はソイツがキラキラして見える。
人間の女。名前は知らないけど、どうしても気になる。
名前は何か、どんな声なのか、好きなものは何か、笑ったらどんな顔なのか……。
ああ……。
いじめてみたい。泣かせてみたい。
俺は、唐突な自分の思考に驚いている。だって、こんなの俺の趣味じゃない。
泣かせてみたいだなんて、そんな馬鹿な。
デジモンとか人間とか関係無く、いじめなんてサイテーだ。いつもだったら、そんなことを少しでも考えた自分を、撃ち抜きたくなる。
なのに、今はそれがなくて。
アイツ限定でそう思うのか。それともアイツのせいで変わり果てたのか。──でも、もうどうでもいい。
アイツが泣いたら、きっと最高に色っぽい。
アイツの涙は、きっと飴みたいな味がする。
アイツの中を俺でいっぱいにしたい。
アイツを俺に釘付けにしたい。
頭から爪先まで、そんなことでいっぱいだ。
瞼を閉じると、何かが揺らめく。虚像の形は一つだけ。
キラキラ光る、星みたいな女。
運命とか宿命とか、小難しい言葉は好きじゃねーけど、今だけは違う。――きっと、運命や宿命という言葉は、俺とあの女のことを指している。
…………ガンドラの旦那やベル子には秘密だ。だって、あの二人に教えたら、二人も絶対あの女が欲しくなる。
絶対絶対教えない。
俺だけの星。俺だけの、運命の女。
「──そういやアイツ、パートナーいるのかな」
ふと過る疑問。答えはすぐに出た。
いなかったら独り占め。
もしもいたら……決闘でも何でもして、手にいれてやる。
狙った的は外さない。何があろうとも、絶対に俺のものにする。
「へへ……待っていろよ。honey?」
どこにいるかも、名前も分からない女に呼び掛けながら、俺は翼をはためかせた。
夏Pさん、コメントありがとうございます。
自分は書いている側の人間なので、最初からマグナキッドモンというのがわかっていて、特にひねり無く彼の話を書いているつもりでしたが、意図せず謎解きのようになっていたのは、少し意外でした。私の中で、このマグナキッドモンという種族は、明るいアウトローや、アウトロー系ヒーローなイメージがあったので、この話の個体はそれとは違う感じ(いじめたい等)なので、大丈夫かな?と不安でしたが、夏Pさんのコメントで、不安が和らぎました。
今回もコメントをくださり、本当にありがとうございました。
「パートナーいるのかな」という問いに怖い結末を想像しましたが、そこまではならなくて安心したようなそうでもないような。夏P(ナッピー)です。
緑と赤のオッドアイの少女ということで、実は最初ベルゼブモンブラストモードを想像しておりました。ベルゼブモンの時は赤かったけれどブラストモードで緑に変化、惚れた少女はその両方を持っている、みたいな。でも赤い服って言われたからベルゼブモンXかなーなんて考えて図鑑を調べたりしましたが、ガンドラの旦那とベル子が出てきてようやく気付きました。お前マグナキッドモンかぁ!
創作においてデジモンが人間に一目ぼれする、それがパートナーという意味合いを超越したものであっても、それもまた乙。てっきりヤンデレと言える域までぶっ飛んでしまうものかと思いましたが、もし既にパートナーがいたら決闘でも何でもして~と宣言する辺り、気持ち良いぐらいに正々堂々としているマグナキッドモンなのでした。
それでは今回はこの辺りで感想とさせて頂きます。