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wB(わらび)
2019年10月30日

私がご機嫌になったワケ

カテゴリー: デジモン創作サロン

 私はおじいちゃんがあまり好きではない。いつもムスッとしていて愛想が無いし、何より私が小さい頃に箸の持ち方を注意されたり嫌いなものを食べ残した時に怒られた経験もあり、はっきり言って顔を会わせるのも苦痛である。

 そういった経験から、夏休みやお正月に帰省する際、私はいつも出発の直前まで行きたくないと駄々をこねていた。高校生になってからは、長期の休みは何かと予定をつけて家族と別行動をとるようにしているため、おじいちゃんとはしばらく会っていない。しかしその均衡も遂に破られる時が来た。

「桃子、あんた今日ヒマでしょ? ちょっとおじいちゃんの家にこれ届けてきてよ」

 スマホのアラームが鳴り響く午前七時半。お母さんは扇風機の首だけが動いている私の部屋へ半ば強引にスーパーの袋を置いて行った。ドサッと重そうな音がしたその袋には、一ダースほどの桃が入っていた。

 お母さんの実家が山梨にあり、桃は毎年この時期に欠かさず送られてくる。だからといって自分の娘に「桃子」なんて名前をつけるのはいささか安直すぎる気もするが。

「あんた最近おじいちゃんに顔見せてないんだから、近況報告ぐらいしてきなさいよ。じゃあ私は仕事行ってくるから。桃はすぐ傷んじゃうんだから必ず今日中に行くこと。いい?」

 お母さんはしつこく念を押しながら靴を履き、そのまま流れるように外へ出ていった。いいと言った覚えはないが、たった今家の人間が私一人になってしまったので仕方がない。

 重い腰を上げ、テーブルの朝食を三十分以上かけて胃袋に収め、中学の頃のジャージに袖を通すと、犬のストラップがついたキーと歪な形のレジ袋を持って外に出た。

 七月もすでに一週間ほど経ったが今年は例年に比べて涼しいらしく、灰色に覆われた空も合間って去年のような不快感は鳴りを潜めている。



 

 おじいちゃんの家は自転車で行けば二十分ぐらい。去年おばあちゃんに先立たれ、私の両親が世話をしやすいように実家の佐賀からこっちに引っ越してきた。家が近くなってからは両親もお兄ちゃんも度々会いに行っているらしいが、私は家族全員で行った一度きり、しかも家の中を見ただけで直接は会っていない。

 本当なら今日だってお兄ちゃんが行けばよかったのに、昨日から彼女とお泊まりデートだ。直接言っていたわけではないが、やけに髪型と服装を気にしていたからあれは絶対デートだ。この間なんかその彼女を家に連れ込んできたせいで、私は三時間も近所のカフェで時間を潰す羽目になった。さっさと別れればいいのに。

 どうでもいいことだがそのカフェはおじいちゃんの家に行く途中にあり、隣接する道が通学路に指定されていることから、おませな小学生が利用しているところをたまに見かける。だがその道も今日はほとんど人の姿が見当たらなかった。さすがに土曜日まで子供のやかましい声が聞こえてきたら、ストレスが溜まりに溜まった今の私が何をするかわかったもんじゃない。



 

 風を受けながら自転車を漕ぐ爽快感と、おじいちゃんに会うという気だるさの両方を抱きながら、この日に限って赤信号に止められることもなく決戦の地にたどり着いた。モノクロに彩られた二階建ての小さなアパートも、今の私にとってはRPGに出てくる魔王の城と同じだった。

 一〇一号室の玄関の前で何度も深呼吸をし、恐る恐るチャイムを鳴らす。しばらく待ったが返事は帰ってこない。不審に思いドアノブに手を掛けると、なんと鍵がかかっていなかった。もしやと思い三畳ほどの小さなキッチンへそっと入ると、襖を隔てたリビング兼寝室からお茶をすする音が微かに聞こえた。

 おじいちゃんは今年で八十四歳だし、耳が遠くなっていてもおかしくない。こっちが言ったことを一々聞き返されることになるのか、面倒だなぁ。

「おじいちゃん、鍵掛けないなんて無用心だよ。っていうかチャイムの音聴こえてる?」

 不満を惜しげもなく前面に押し出しながら襖を開けた私は石のように固まった。桃が支えを失い床に転がった。

 お茶をすすっていたのはおじいちゃんではなかった。そもそも人間ですらなかった。まず目に入ったのはブルーの迷彩色。続いてとかげみたいな尻尾。黒いヘルメットにベスト。正座した足から伸びる白い爪。見たこともない生き物、いや化け物がおじいちゃんの家でのんびりとお茶を飲んでくつろいでいたのだ。さらにその化け物がたすき掛けにしているものを見て、私は息を飲んだ。化け物が背負っていたのは紛れもなく銃だった。それもただの拳銃ではなく、それこそ自衛隊が射撃訓練とかで使うような長いやつ。多分ライフルというのだろう。

 化け物に気づかれないようゆっくり後ずさりする私の頭の中で、様々な考えが渦巻いた。そして一つの結論に至った。

 化け物に気づかれないようゆっくり後ずさりする私の頭の中で、様々な考えが渦巻いた。そして一つの結論に至った。


(コイツはおじいちゃんを殺害したのでは……?)

 事実、家の中におじいちゃんの気配はない。つまりコイツはおじいちゃんをライフルで射殺し、家を乗っ取った侵略者だ!……後から考えるとおかしい点は多々あるが、今はそう信じるしかなかった。

 だがそう思うと急におじいちゃんのことが恋しくなった。愛想はなかったがお年玉はちゃんとくれたし、食事中は厳しいが帰る時は必ず駅まで見送りに来てくれた。そのおじいちゃんがもう、いない。

 最後にあったのは中三の正月だ。夏休みは受験勉強で家か図書館にこもりきりだった。およそ二年半ぶりの再会になるはずだった。それなのに……

「出ていけ!」

 キッチンから包丁を手に取り、化け物に向かって後ろから叫んだ。さすがに気づいたのか、化け物が湯飲みを置いてこちらに振り向く。恐竜のような顔に一瞬怖じ気づきながらも、私は恐怖心を悟られないよう叫び続けた。

「ここは私のおじいちゃんの家だ! ここから出ていけ! さあ、早く!」

 化け物は目を丸め、立ち上がって私に近づいてきた。背丈は一メートルあるかないか程度だが、腕や足は筋肉が盛り上がっており力ではとても敵いそうにない。呼吸はリズムを失い、歯はカチカチと鳴り、顔は涙でグシャグシャだったが、構わず私は震える手で力一杯包丁を握った。

「お前、もしかして……桃子か」

「ひっ」

 化け物に突然名前を呼ばれたので、私は思わずその場に座り込んだ。もうダメだ、コイツはおじいちゃんの家族の情報も握ってる。なんとかしないとお父さん、お母さん、お兄ちゃんの命も危ない。自分にそう言い聞かせるも、包丁を握る手に力が入らない。観念して目を瞑った。

「お前は家族に刃物を向けるよう教わってきたのか? 怪我するからはよ仕舞え」

 おじいちゃんの声が聞こえる。口調は悪いがどこか温かい、懐かしい声が。ゆっくり目を開けると、相変わらず目の前には化け物の姿。にわかには信じがたいが、おじいちゃんの声は確かに目の前の化け物から発せられていた。

「え? おじいちゃん?」

「久しぶりだな、桃子。元気にしてたか?」

 多分この時の私の表情は、まさに『ムンクの叫び』そのものだったと思う。腕がだらりと力を失い床に吸い寄せられた。

「この時期に来たってことは幸枝に桃持ってけって言われたんだろ? 確かに桃は好きだが、一度に十数個も持って来られても困るんだよな」

 ごく自然にお母さんの名前を出すと、おじいちゃんの声をした化け物は邪魔そうに私をよけながら奥のキッチンへ足を運び、もう一つ湯飲みを用意した。

「一人じゃ食べきれないし、ちょうどいい。お前はその包丁で桃の皮剥いといてくれや。そんで残りは冷やしとけ」

 お茶の葉を急須に入れ、ポットのお湯を注いでしばらく待ち、慣れた手つきで湯飲みに注ぐ。一連の動作を苦もなくやってのける化け物の様子を見るに、どうやらおじいちゃんがこの化け物になっていることは本当らしい。

 なんとか足が動くようになったので、とりあえずはおじいちゃんであろう化け物の言うことを聞くことにした。三つも切れば十分だろう。冷蔵庫の野菜室を開けたが特に変わったものは見当たらなかったので、空いたスペースに桃を袋ごと押し込んだ。

 おじいちゃんは既に私の分もお茶を淹れ終え、奥の座布団に正座している。私は切り終えた桃につまようじを刺し、さっきまで化け物が座っていた座布団に腰をおろすと、改めておじいちゃんの顔を正面から見つめた。

「あなたがおじいちゃんだってことはひとまず信じるけど……いつからそうなっちゃったの?」

「あん? 先週だったかな確か。目ぇ覚めたらいきなりこうなってたのさ」

 なんともあっけない返答に、私は再び口をあんぐりさせた。おじいちゃんは白く太い爪で器用につまようじをつまんだ。

「えっと……誰かに相談とかしなかったの? ほら、警察とか病院行くとか色々あるでしょ?」

 おじいちゃんが頬張っていた桃を飲み込んだ。食べている姿はなかなかキュートだ。おじいちゃんのくせに。

「別に不便じゃねぇからなぁ。長いこと生きてりゃ色々あるだろうさ。それよか、お前はどうなんだ?」

「どうって……普通に高校行ってるよ」

「部活は」

「美術部」

「楽しいか」

「うん」

「そうか」

 意外にも、すでに私は怪物との会話に違和感を覚えていなかった。聞くだけ聞くと、おじいちゃんはまた桃に手を出し始めた。すでに二つ分の桃がおじいちゃんのお腹に収まっている。意外と早いペースに焦った私も桃を頬張る。どうやら外れの部分を引いたらしく、味が薄い。おじいちゃんが一瞬ニヤリと微笑んだ。

「お前、まずいとこ食べたろ。顔見りゃわかる」

「見分け方とかあるの?」

「そのうち教える」

「意地悪」

 厳密にはおじいちゃんの姿ではないが、何気におじいちゃんの表情が変わったのを見たのは初めてだった。こんなことで笑うんだ、と意外に思っている自分がいる。しばらく無言でお互い顔を見合せながら桃を食べ続けていると、一つの疑問が頭に浮かんできた。

「そのヘルメットとか背中の銃とか、なんでそんな物騒なもの持ってるの?」

「こうなった時にくっついてきたもんだ。何かしらの意味があるんだろうと俺はふんでいる」

「買い物とかもその格好で行くの?」

「ああ」

「誰かに見つかったり、通報とかされないの?」

「されないな。見つかりゃ世界中大パニックだろうさ」

 そんなわけないでしょと言いかけたがやめた。実際にニュースでこの化け物が報道されたわけでもないし、少なくとも誰にも見つかっていないようだ。問題は、本人いわく今までどおり外に出ているはずなのになぜ見つかっていないのかということだが。

「ありゃ、もう無いな。桃子、お前が食べたい分だけ切ってきな」

 気がつくと、もうお皿は二本のつまようじを残すのみとなった。半分以上はおじいちゃんが食べたくせに、よく言うわ。私は立ち上がって、冷蔵庫からなるべく柔らかそうな桃を二つ選んだ。ふとドアの方に目をやり、先程の問いを思い出した。

「そういえばおじいちゃん、鍵開けっぱなしだったよ。誰か来たら危ないじゃん」

 言いかけてハッと体が強ばった。

(私、さっき家を出るときに鍵閉めたっけ……?)

 顔が一気に青ざめ、一目散に部屋を飛び出した。自転車を飛ばし、信号も味方してなんと十分で家にたどり着いた。新記録だが喜んでいる暇はない。

 自転車から降りようとした、その時……

「よう、桃子」

「ぎゃぁぁぁ!」

 突然目の前に化け物、いやおじいちゃんが現れた。誇張抜きに本当にスーッと現れたのだ。

「色を自由に変えられるらしくてな。気になったからついて来ちまった。『かめれおん』みたいだな」

「も、もうおどかさないで……。心臓がもたない……」

「それよりなんだって急に帰ったんだ」

 突然現れたことにも驚いたが、何より本気で自転車を飛ばした私に息も切らさず平然とついてきたことが一番の衝撃だった。

 自分の失態を手短に説明し、何度か呼吸を整え、首筋を伝う汗を拭いながら自宅の玄関に急いだ。やっぱり鍵がかかっていない。中に入ると、幸い私の部屋は手つかずだったが、リビングの方に何者かが荒らした形跡がある。

「やっぱり誰か泥棒が入ったんだ! どうしよう……」

「いや、まだ中にいるな」

 戸惑う私をよそに、おじいちゃんが前に踏み出した。犬のように鼻をヒクヒクさせていることから、どうやらニオイで判断しているらしい。私はキーについた犬のストラップとおじいちゃんを交互に見てみた。うん、どっちもかわいい。

「こいつであぶり出す」

 おじいちゃんが手に取ったのは、ちょうど桃ぐらいの大きさの爆弾だった。いや、その時は明確に爆弾だとわからなかったが、おじいちゃんの装備からしてそれ以外に考えられなかった。

「ちょ……ダメだよそんなの! ここ私の家なんだけど?」

「心配するな、煙を焚くだけだ」

「そういう問題じゃ……ゲホゲホッ」

 私が止めるより早く、おじいちゃんが爆弾のピンを抜いてしまった。あっという間に白煙が家中を駆け巡る。この後家族になんて言い訳をすれば良いのだろうか。

「窓は閉めてあるよな。外で待機するぞ」

 おじいちゃんの声とドアがバタンと閉まる音を聞き、一人取り残された私も慌てて外へ出た。しばらく玄関とにらめっこをしていたが、やがて激しくむせながら中年の黒服男が弾き出されるように飛び出してきた。

 先程おじいちゃんから窓を閉めたか確認されたが、そもそもここはマンションの四階なので出るとしたら玄関しかない。開きっぱなしのドアから入ったとすればなおさらだ。男は手に通帳を持っている。

「真っ昼間から空き巣か。まったくヒマな野郎だ」

 そう言うとおじいちゃんは背中のライフルを構え、鈍く光る銃口を男の方に向けた。中年男は産まれたての小鹿のように全身を震わせ、その場に尻餅をついた。ここだけ見ると洋画のワンシーンみたいだ。

「おじいちゃん! さすがに人に銃を向けるのは……」

「撃ちゃしないさ。ほれ、早く盗んだモン出しな」

 中年男を見下ろしながらおじいちゃんが顎をクイと上げた。男は私の方を助けを求めるように見つめている。さすがにかわいそうだったので、私は警察を呼ぶことにした。

 場所を伝え終わると特にする事がなかったので、空き巣を縛り上げると私はおじいちゃんと話の続きを始めた。我ながら肝が据わっていると思う。

「おじいちゃん、さっきチャイムの音聞こえてなかったでしょ。耳遠くなったんじゃないの?」

「いや、幸枝からお前が来ることは聞いてたからな。勝手に入って良かったのさ」

 おじいちゃんが折り畳み式の古い携帯を取り出しながら言った。よくもまあその大きな爪でボタンが押せるものだ。

「親しき仲にも礼儀ありって言うじゃん。それにもし他の人に見つかったらどうするの?」

「さあな。正直言うと、この格好を見たお前の反応が見てみたかったってのもあるかもな」

 私は三たび口をあんぐりさせた。化け物になったことを気にしていないどころか、その姿で私を驚かして楽しんでいたのだ。

「最っ低」

 私は顔をしかめた。おじいちゃんは気にせず続ける。

「こちとら二年半もほったらかしにされてたんだ。普通に孫の顔見たってつまらんだろ」

「だっておじいちゃん怖かったんだもん。全然笑わなかったし」

「ああ、そりゃ我慢してたからな」

「え?」

「初めてお前の顔を見たとき、笑顔で話しかけたら思いっきり泣かれてな。それ以来なるべくお前の前では笑わないようにしてた」

 あまりにも可笑しかったので、私は吹き出した。

「あん? 何がおかしい」

「だっておじいちゃん……フフッ、それ私が赤ちゃんの時でしょ? そんなの誰でも泣くってば」

「いや、お前の兄貴の時は泣かなかったぞ」

 しばらく私は一人笑い続けた。こんな簡単なことだったんだ。私がおじいちゃんを嫌いになる理由なんて無かったんだ。


 


 十分も経つとマンションのエントランス前はパトカーでいっぱいになった。男は連行されながら「ここに銃を持った化け物がいたんだ!俺を脅してきたんだ!」と叫び続けていたが、私を除いて信じるものはいなかった。

 おじいちゃんが姿を消す直前、私にあるものを渡してきた。それは煙でゴキブリを退治するタイプの殺虫剤だった。どうやら私の家にあったものをいつの間に持ち出したらしい。大胆にも家主の家族の目の前で窃盗をしていたとは驚きだ。だがそのお陰で証言には困らなかったし、私は空き巣を撃退し家族の財産を守った英雄として市から表彰されることとなった。煙を撒いたことは家族からは咎められなかったし、おじいちゃんに桃を渡して近況を報告するというミッションも無事こなしてきたので、鍵を開けっぱなしだったことも言わずにすんだ。

 ただ、これからはおじいちゃんに私以外の家族を直接会わせないことにした。桃は毎年私が届けに行くし、それ以外にも月に一回おじいちゃんの家に行って元気かどうか確かめ、家族に報告しようと決意した。さすがにあの姿のおじいちゃんを家族の前に晒す訳にはいかない。

 家族は私のおじいちゃんに対する態度を見直したが、まさかその私がおじいちゃんの一番大事な情報を握っているとは思ってもいないだろう。



 

 私とおじいちゃんの間に秘密ができたことで、かつてのおじいちゃんに対する苦手意識は無くなった。いや、むしろあの一件以来おじいちゃんほど頼れるカッコいい存在は他にいないとさえ思うようになった。さて、それ以外はいつもと変わらない日常が続いて何日か経ったある日……

「よう、桃子」

「お、おじいちゃん!?」

人間の姿のおじいちゃんが我が家にやって来た。ただ、かなり背が低い。

「色を変えられるって何かと便利だな。これなら怪しまれないぞ」

「いや、違和感ありすぎだから……」

おじいちゃんが満面の笑みを見せた。つられて私も笑顔になった。

おしまい

1件のコメント
桃ノ井モトキ
2020年4月28日

Twitterで作品の宣伝を拝見したので、『疑惑の小隊』と併せて読ませていただきました。


「夏休みにおじいちゃんに会いに行く」という、誰もが経験しているであろうなんてことないイベントが、おじいちゃんの異形(デジモン)化でこんなにもスリリングになるのか……! と半ば唖然としながら読んでおりました。

姿態の特徴を見る限りコマンドなアイツのようですが、銃を携えたサイボーグ竜が孫娘と一緒にお茶飲んで桃食べてるのを想像すると……ここは凄くほっこりしますね。これで少々のいたずら心も持っているというのだからますますキュートです。

そんなおじいちゃんが機転と気迫で空き巣を無力化する場面では「すげえ……」とリアルに声が出ました。元々豪胆なのか、或いはデジモンとしての本能がそうさせるのかは分かりませんが、ともあれ僕が(そして恐らく桃子も)おじいちゃんリスペクト勢になるには十分過ぎる活躍でした。


非日常と「秘密」の共有を通して桃子とおじいちゃんの距離も縮まったようで、2人をお祝いしたくなる後味さわやかな作品でした。

奇跡の転身(転生?)を遂げたおじいちゃんがこの先どんな生活を送るのか……と思ったら丁度地続きのお話があるとのことですので、そちらの感想はまた別口で。

長文失礼いたしました。

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