本作品は「#おまラス」ことデジモン創作サロンの企画「おまえのLAST EVOLUTION 絆を見せてくれキャンペーン」に参加している作品です。
背中を地につけ空を仰ぐ。視界に広がるのは決定的な変化を拒んだ世界の空と、その意志を貫き通した俺達の敵。
誰でも分かるかたちで決着は着いた。結局は恵まれた選ばれし者が勝利をもぎ取り、恵まれず選ばれた役割を放棄した者が敗北の苦汁を飲まされる。……そう片付けるのは勝者に失礼だ。奴らは俺達の過去を知り、宿願の是非について考え、俺自身自覚のなかった本音を抉ったうえで圧倒したのだから。
奴らが真に恵まれているのは大事な本音を互いに打ち明けられるパートナーに恵まれたこと。俺達はただその一点だけで劣り、俺の最後の一太刀に迷いが生じた。もし俺達がそんな間柄だったとしたら、ここに立つ前提そのものが崩れさっていたかもしれないが。
終わりの白騎士が二人のパートナーを伴って降りてくる。憐憫の視線は六つもいらない。これで終わるのならそれがいい。新たな始まりを作れなかった黒騎士に存在価値などないのだから。
……ああ、本当にろくでもない一生だった。
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廃墟の影に身を隠しながら、戦車の砲撃が届かないことを祈る。悲鳴が聞こえないのはそれを口にした奴から今後何も言えなくなるから。恐怖を押し殺し、闘志を奮い起たせて、笑いながら死ね。それが生き残る可能性をあげるのだとケツを叩いた小隊長はもう何も喋ってはくれない。あの人に反抗して殴られた新入りもこの石壁に辿り着くまでに息をしなくなった。
一瞬だけ盾の外に顔を出して自分達の命がどれだけ持つかを数パターンに分けて試算する。このまま息を殺してやり過ごそうとすれば一分二十秒後に戦車の砲撃で石壁もろとも砕かれる。逃げ道を探して飛び出しても逃げ場などない。戦意を振り絞って前を向いても余命が十秒ほど短くなるだけ。結局のところ俺一人では生き残ることしかできないのだから、俺に残された道は最悪な望みを片割れに託す先にしか存在しない。
「一秒引き付ける。進化して出るぞ」
「任せろ、カイト」
分かり切った答えを聞くより先になけなしのスタングレネードを放り投げる。敵兵の視界を塗りつぶす光は目くらましである以上に俺達の切り札を隠す一手でもある。何せもう片方の手に強く握っていたデジヴァイスが放つ光は強力で、俺の片割れに起こる変化も劇的なものだから。
「ドルモン進化――ドルガモン」
紫の小竜から紫紺の飛竜への進化。俺の肩にも届かない程度だった背丈は俺を背中に乗せられる程に大きく逞しいものとなった。もちろん背中の翼も見掛け倒しではなく、ゴーグルを掛けていなければまともに目を開けられないほどの空の旅へ連れて行ってくれる。
数十秒前まで俺達の命を狙っていた五台の戦車を見下ろす。叩く優先度は決まった。俺達が替えが利くだけの戦力でないことを証明してやる。
砲塔が上方に向き出した瞬間に急降下。どこを狙うか分かりやすいのはこちらとしてはありがたい。偏差射撃を狙った弾もドルガモンが同体積且つ高密度の鉄球をぶつけて相殺。飛び散る金属片の裂傷をものともせずに直進し、再度狙いをつけられたところで左方に飛びのく。敵の射程外から大きく逃れたのは、筋肉の伸縮に合わせて鉄球を吐き出したから。派手に弾と潰しあう程度の質量が生む反動は馬鹿にはできず、無理を通したドルガモンの息は少し荒い。それでもこいつは俺を守るために抗うのを止めることはない。ならば仲よく死ぬその時まで信じるしかないだろう。
無理を通した成果はあった。こちらの射程圏に一台入ってもどの戦車も狙いを定められず、最も早そうな戦車は副武装の機関銃を鉄球で押し潰したうえで、砲塔にも次撃てば暴発する程度に鉄球を詰めておいた。
このペースで各個撃破を狙うとして、残り四台がガラクタに変わるのが先か、敵の増援が来るのが先か。後者の方が早いのなら適当に追撃を浴びない程度に仕掛けて逃げた方がいいだろう。
無理をして犬死にすることに誇りを感じるような忠誠心は持ち合わせていない。誇れる感情や信念があるとすれば、守りたいと思う対象があることくらいだ。それは名誉だの復権だの曖昧なものではない。肉体も精神も存在する仲間という実体だ。幸いなことにそのベクトルは双方向で、かたちのない繋がりだとしてもそこにあることを信じられた。
「――ベアバスター」
「大丈夫? まだ生きてる?」
「なんとかな、サミィ」
それを証明するように上空から光の槍が伸びて俺達から一番遠い戦車を射抜いた。耳元の通信機から届いた声は付き合いの長いスナイパーとその片割れのもの。ようやく納得できる狙撃ポイントが見つかったらしい。妥協が死に繋がるのは分かるが、あまりこちらをヒヤヒヤさせないで欲しい。
「じきにバズ達が着くからもう少し頑張って」
「そっちの援護次第だな」
「そっちの根性の問題でしょ」
通信機越しに軽口を言い合える程度には余裕ができた。ならばサミィのオーダーに応えるのもさして難しくはない。
ここまでの判断も推測も特に間違えてはいなかった。ギンリュウモンに乗ったバスを先頭に増援はすぐに来たし、頭数の差さえ無くなれば戦車をスクラップに変えることも実際難しくはなかった。
デジモンという生物は人の創造物を軽く越える程度の力と可能性を秘めている。だから俺達のような子供は需要があり都合が良かった。……それを分かっていながら、当然の可能性を失念していた。
俺を助けに来た増援は二十分後に俺とドルガモンを残して全滅することになる。
デジモンが束になっても勝てない敵は当然ワンランク上のデジモンだ。暗色の竜人――サイバードラモンがサミィとワスプモンを真っ先に殺したうえで現れたのは通信機が断末魔というかたちで教えてくれた。本能に従ってか理性的な判断なのかは別として、俺達を絶望に叩き落とす初手として腹が立つほどに最適解だった。全員から理性的な判断を奪うことには成功したのだから。
真っ先に突っ込んだラックとクワガーモンは真正面から仲良く両断された。逃げようとしたトブキャットモンは背中に乗せていたパートナーのリコを射殺されたことで繋がっている自分自身の命を失った。
地力から違うデジモンと奴から離れて人間の方を狙撃するパートナー。逃げることも歯向かうことも許しはしない立ち回りで、高速かつ柔軟な立ち回りで文字通り仲間を抉り消していく。
俺達が最後に残ったのは一番動きが鈍かったから。足手纏いとして他の面々を乱すために後回しにされたおかげで俺は仲間の死に様を丁寧に見せつけられた。
サイバードラモンが俺達の目の前でバズとギンリュウモンの首をへし折り投げ捨てる。お前たちもすぐにこうなると見せつけたその驕りが奴らの唯一のミスだった。
上官曰くデジモンの進化にはパートナーである人間の感情の変化が影響するという。くそったれな経験則による知識と推測の積み重ねなんぞに敬意を評したくはないがその言葉は正しいだろう。相手の所業に対する怒りや純粋な生存本能が俺の内で渦巻きが閾値を超えた結果、ドルガモンは赤と白の体毛に覆われた大型の竜――ドルグレモンへと進化したのだから。……まったく取り返しのつかないところまできて覚醒する感情ならばそんなものに価値はあるのだろうか。
それからの記憶はあまり覚えていない。ドルグレモンがドルモンに退化したとき、俺達の足元にはサイバードラモンとそのパートナーだった少女の首が転がっていたからやることはやったのだろう。
ぼろぼろの状態でただ一組だけ帰ってきた十四歳の少年とパートナーのデジモンに対する労いの言葉はなかった。デジモンがさらなる進化段階に到達したことに喜ぶ声はあっても、そこに至るまでに犠牲になった仲間への弔いの言葉は一言も貰えなかった。代わりに聞こえたのは割に合わないと俺を詰る声と無造作に振るわれた拳が俺の頭蓋を揺らす音だった。
なんで俺達はこんな大人のために自分を、何よりパートナーデジモンを危険に晒さなくてはいけないのか。確かに衣食住を確保するために選択したことではあるが、そもそもまともな選択肢を与えてくれなかったのはこいつらじゃないか。……こいつらも、この地域もそれだけの力を持てなかったに過ぎないということは分かっている。
俺が子供なりの自意識を獲得した頃には既にこの国は戦火に包まれていた。民族間の対立で少数派の方に大国がバックについたことで拗れたようだが、俺が実感している事実は住むところを失い、家族が死んで、途方に暮れた十一歳の子供が残ったことだけ。そのまま短い人生を終えることにならなかったのはドルモンという片割れと出会えたから。その存在は俺自身が生にしがみつく契機になっただけでなく対外的な存在価値を与えてくれた。与えてしまった。
パートナーデジモンとの遭遇が特に子供にみられることは軍関係者にも認知されており、デジモンの存在はこの紛争に絡む要素として無視できないものになっていた。
人の力を超えた意思ある力を制御するのは本来簡単なことではない。だが可能とする要素は都合よく存在しており、それを効率的に使う方法を考える程度には人間は悪辣な一面も持っていた。
デジモンがパートナーである人間を大事にするのは彼らにとってその存在が己と同等のものであるから。それも信頼や依存という精神的で個人差のある側面での話だけではなく、もっと生命として根源的なレベルでの話だ。――端的に言ってしまえば、人間とデジモンの生命は繋がっており、人間が死ねばパートナーであるデジモンもじきに生命力を失い、転生の未来含めて消失する。
この事実がデジモンを戦力として運用したいと考える人間にとってどれほど都合の良いものかは考えるまでもない。強い力を制御するためにその生命と繋がっている弱い存在に首輪をつければいいだけの話だから。文字通り俺達に掛けられた首輪には軽く痛めつけるための電気ショックの仕組みといつでも切り捨てられるための致死性の毒がセットされている。
結局のところ、俺達のような子供はパートナーデジモンの弱点であり枷でしかないのだ。せめて安全なところにパートナーを置いてほしいとデジモンが願っても決定権は大人が握っており、感情の変化がもろに出る戦場でこそ進化の可能性が高まると判断すれば弱点を抱えたまま出撃させられる。死に物狂いで戦ったところで戦果を上げれば新たな戦場に休みなく投じられ、パートナーともども仲良く死ねばそこまでの命だったと忘れ去られる。
ドルモンが俺と関わらなければもっと自由に生きられたのだろうと考えたことは何度もある。俺なんかより勇敢で逞しくて、何より力強い。俺の命でこいつの自由が保障されるのなら喜んで差し出すのに、実際は逆に俺という存在がこいつの自由を縛っている。何も与えられず重い枷にしかなれなくて何がパートナーだよ。馬鹿馬鹿しい。
何があっても死なないこと。結局俺があいつのためにできることはそれしかなかった。自分が生きるために他者を切り捨てる。嫌というほど見てきたそのやり口と戦場で培った経験だけが俺が持ち得る唯一の武器だった。
三年後にはそんな人間が若き英雄として持ち上げられることになるのだからお笑いものだ。俺はただ強いパートナーに殺戮をさせただけの臆病者でしかない。上官に媚を売り、取引に使えるものは全部使って、地位と唯一無二の立ち位置を勝ち取った。邪魔になりそうな奴は誤情報で誘導して都合よく戦死してもらった。後輩や部下は本番投入する前に完全体に仕上げるのを前提にしごいたことで部隊の生存率を向上させ、志を共にするに足りる部下も抱えることができた。目立ちはしても軍には従順だと愛想を振りまいたおかげで中尉という肩書も得られた。
これらすべて俺とドルモンが生き残るためにやったことが休戦協定の締結と暫定政府の設立に繋がる実績となったと考えれば誇るべきことなのかもしれない。だがもっと重要なことは俺自身の目的のために立ち回る足場がようやく整ったことだ。
正式な政府が設立された後で軍部に潜り込めたのは僥倖だった。停戦状態でも力を求める連中は燻っているもので、未だに戦力としてのデジモンの研究を諦められない連中も居る。業腹ではあるがその欲望と知識を使わせてもらう。
相手方のニーズで最も強いものは俺が考える中で最もリスクが低いものだと検討もついていた。デジモンの力の量産化――未だパートナーが現れない人間でも扱える人造のデジモンを生産することは俺にとっても都合がよかった。
研究材料はドルモンを始めとした面々のデータを複製する程度で十分だと言いくるめて秘密裏に仕込んでいた実績も見せつけた。約一年で人造デジモン第一号の製造して大臣閣下に進呈したことで文句を言いだすような輩も居なくなった。
早急に量産体制を整えることは対外的な圧力につながると告げ口して研究の速度を調整しつつ、裏で研究資材を確保して個人的な研究へと投資する。同じ戦場を超えた忠実な部下に俺の目的を明かしたところで裏切ることもない。地獄にパートナーデジモンを晒してきた人間ならば必ず一度は俺と同じ望みを一度は抱くものだ。これは地獄を見てきたから俺達だからこそできる救済なのだから。
停戦から五年経った。内も外も対立が無くなったとは言い難いが、それでも目立った火種が炸裂することはなかった。
一番燻っている火種を抱えていた我らが軍部については爆発しそうな輩から実験体送りにさせてもらった。奴らと人造デジモンとの間に強制的に結ばせた契約が俺とドルモンのそれと大差ないものになるようにするまでに時間は掛かったが、その分第二段階の研究は予想よりも早く結果を出すことができた。
契約していない人造デジモンの寿命は二か月程度。関係のない人間の生命を与えた場合は半年。そして、契約相手を与えた場合は三年前の初実験体も未だに生き延びている。
後は実際の検体を用いて実証実験を行うのみだ。ようやくだ。この瞬間を俺は待ち望んでいた。いや、ここから始まるのだ。
「……本当にやるのか」
久しぶりに聞いたドルモンの声はどの戦場で聞いたものよりも怯えているように感じられた。この考えに至った頃から繰り返した問答。それで俺が折れたことは一度もなかったと分かっている癖に。どんな言葉をぶつけられたところで今の俺が止まることはない。
「ああ。ずっとこれが俺の望みだったんだ」
「だとしても」
「頼む。お前だけは、最期まで俺の片割れでいてくれ」
片割れの言葉を遮るようにデジヴァイスの裏面を左胸に押し当てて、改造で新たに加えた機能を解放する。端末から飛び出した光の杭が自分の胸を貫く痛みが今はどうしようもなく愛おしい。
この杭が自分の生命力をすべて吸い上げて文字通りパートナーの血肉を構成する糧へと変換してくれる。人間の因子をデジモンに移すことで人間側の死亡判定をすり抜けることができるという裏付けが取れている。遂に俺の研究は人間という弱点を捨ててデジモンがさらなる力を得ることができるという最適解に至ったのだ。
人間とデジモンは本来地球とデジタルワールドという世界に分かたれた半身である。それがパートナーの人間の感情によってデジモンが進化する理由であり、パートナの人間が死ねばデジモンも死ぬという経験則の本質だと、このくそったれな世界が教えてくれた。唯一信じられた繋がりが何よりも暖かいものだと証明してくれた恩はこれから齎されるであろう新たな理で返させてもらう。
デジモンを得ることが人類種の進化であるのなら、これは人類種最後の進化のかたちであると言えるだろう。……だから、まあ、なんだ。お前はできるだけ長く生きてくれ。
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そうしてカイトは勝手に一人で満足していなくなった。俺の糧として俺の中で生き続けている。だから俺はアルファモンという人型に近い姿に進化して、あいつの望みを最後まで果たさなくてはいけないんだ。そう思うしか俺には取れる道が存在しなかった。
本当は嫌だった。こんなことを他のデジモン達に強いるのは心苦しくて仕方なかった。自分の中に正義が存在しないことは俺自身が一番理解していた。
事情を知る部下を引き連れて国を抜けたときも。事前の裏取引でデジタルワールドに身を潜んだときも。世界各地から言葉と力で思想に同調しそうなメンバーを集めて組織としてまとめ上げていたときも。実際に誰かの生命をそいつのパートナーデジモンに与えたときも。
それでも全人類にカイトの願いをぶつけることしか俺にはできなかった。カイトが抱えていたものを一番理解しているのは俺で、カイトがこんな思想を抱えてしまったのは俺があいつの前で何度も傷を負ったからだ。だからカイトが望む救済のかたちを伝えるのは俺だけが担うべき役目だった。
でもそれももういいだろう。救済を望んでいたとしてもその道は間違いなのだと真正面から声を上げてくれる相手が現れたのだから。奴らに終わらせられるのなら俺の肩の荷もきっと少しは軽くなる。
……もういい。疲れた。これ以上俺はお前の居ない世界に居たくはない。
こちらでは初めまして。
最初は、いきなり死にそうだしラスエボを最期の進化として書く作品なのかなと思いながら読み進めていったのですが、その理解はある種間違っていなかったけれど、まるで足りていませんでした。人類種としての最後、ある種の到達点であり地獄みたいな現実を変える力だと考えていたりもしたのだろうかと思ったり。
なんだかその思いが道半ばで終わってしまったことが物悲しいような、彼らを真っ向から否定してくれる誰かがいたことに安心したような奇妙な読後感を覚えています。
簡単ではありましたが、これで感想とさせていただきます。
どうも、こちらでの感想は初めてとなります。快晴です。
『されどそれは救済に至らず』、読了いたしましたので、おそれながら感想を投下します。
冒頭の「奴らが真に恵まれているのは大事な本音を互いに打ち明けられるパートナーに恵まれたこと」という一文から、この『黒騎士』のパートナーは碌でも無い奴だったのだろうかと思っていたらそうではなくて、碌でも無かったのは現実の方でしたね……。
描写された戦場の空気はどこまでも重苦しく、選ばれてしまったとでも言うべき少年兵、カイトさんを取り巻く環境にはパートナーの存在しか支えが無くて――いえ、そのパートナーでさえ支えであるからこそ支えられている事実に苦しんでいて、畳みかけるような文体も相まって息がつまるようでした。
最初に仲間達を蹂躙していったサイバードラモンでさえパートナーは少女、というのが何とも残酷で印象的でした。
その後国の中枢に入り込んで、人造デジモンというもう見るからになデジモンを用意して、もしかしてここから復讐の物語が始まるのだろうか……と思ったらそうでは無く、自分の考えの浅さをひしひしと感じるばかりです。カイトさんは、そして彼に同調する「地獄にパートナーデジモンを晒してきた人間」達は、何よりもパートナーが大切だったんですね……。
でも彼らの愛はお互いの方向を向いて真っ直ぐに伸びているからこそ平行線で、だからきっと、一番単純で大切な部分だけが伝わっていなかったのでしょうね。辛い。ただただ辛い。そうして最後まで読んだ後で見返すタイトルがまず一番辛い。
しかしその中でアルファモンに「間違っている」と真正面から立ち向かって来た『終わりの白騎士』とそのパートナー達を見るに、アルファモンが本当に望んでいた『人間とデジモンのパートナーの形』という恵まれた未来も、この先に無い訳では無いのでしょう。そこに在ったのがカイトさんとドルモンさんでは無かったのは悲しい結末ではありますが、これもまた、その先に希望の有る物語のひとつなのだと個人的には解釈しました。これは確かにあの映画を見た上でしっかりと落とし込んだ作品……脱帽と言う他ありません。
それから前半に出てきた味方陣営のデジモンのチョイスにだけはくすっと来ました(彼らを襲った状況には全然くすっとしてないです。念のため)。こういう、作者様の作品を知っているとより楽しめるギミック、大好きです。
素敵な作品をありがとうございました。つたないものではありますが、以上を感想とさせていただきます。