※色々注意
暗い部屋に、昏い声が響いている。
喜びに弾む不気味な声。仄暗い熱に満ちた禍々しい声。
それが歌うように、芝居の台詞を語るかのように、部屋の中央から響いている。
声の主はデジモンだ。
白と黒に塗り分けられた仮面。白い襞襟と鮮やかな赤い上着に、黄緑色のズボン。黄色のブーツは爪先が尖ったもの。
その派手な服装は、どこかピエロを連想させた。
彼の名前はピエモン。魔人型。究極体。ウイルス種。
神出鬼没、その存在全てが謎に包まれた強大な存在。
そんなデジモンが、機嫌良さそうに人形を腕の中に収めている。
人形の身長は一見したところ、靴のヒールを合わせて、百七十五センチメートルから百八十センチメートルほど。
生物ではない物に、年齢という概念が当てはまるかは疑問だが、見た目は二十代前半くらい。
黒いドレスの生地は最高級品。
靴はエナメルのパンプス。
象牙色の肌は生者と錯覚させる瑞々しさ。
目はアメジストを思わせる紫色。細い眉は鑑賞者に、いかにも気が強そう。という印象を抱かせる、凛々しい曲線を描いていた。
頭部には、見事な薔薇の造花と、ドレスと同じ生地で出来たヘッドドレスが飾られ、腰まで届く髪は太い三つ編みにして、ドレスと同じ色のリボンで留めている。
まさしく、名工が作り出した逸品────否。精巧な人形にしか見えないそれは、かつて人間であった。
より正確に言えば、ピエモンのテイマーが、彼に人形へと変えられたモノだ。
「貴方の老いた姿を、見たくないと言えば嘘になります。貴方の人生の道を否定したくはない……どんな姿であっても、貴方は貴方なのですから」
声に哀愁のようなものが混じる。
「私はどんな貴方でも愛しますが……私達の寿命は違い過ぎる……私は」
ピエモンは、物言わぬテイマーに語り続ける。
「貴方を喪いたくないのです。ですから、どうか……貴方の時を止めることを、許してください」
果たして、許しを乞う彼の顔は。
「恋しい人──愛しい方よ」
とびきりの笑顔を浮かべていた。
いろいろ注意ってマジでいろいろ注意だった。夏P(ナッピー)です。
ピエモンにそういえばそんな能力ありましたねーと久々にデジアド無印を思い出したのでした。カラオケでButter-Fly歌うとほぼそこのシーンフルで流れる……でもこのピエモンはデフォルメ人形だったアニメのピエモンより精巧な人形(ドール)を作れるようで。そもそも掌サイズの人形ではなく等身大の人間そのものの大きさっぽい。
勝手な想像ですが、二十代前半と思しき年齢からして子供の頃にピエモンと出会った彼女(?)が大人になって=出会った頃の彼女とは変わってしまって、それに耐えられなかったピエモンがこの手の凶行に及んだとかそういう流れなのかな……と。
いろいろ注意ってことは、この直接の描写がヤバいってことだけでなくてそーいうことなんだろうな……。
それでは今回はこの辺で感想とさせて頂きます。