超絶短いお話です。箸休めに。
「コテちゃん。コテちゃん」
涼しい風が庭をそよがせている。
こつ、こつ、と杖をつく音にカツカツと金属の高い音がついていく。
季節の花々が花開き、葉っぱたちがのびのびと陽の光を浴びる庭先だ。
「コテちゃんみて。あなたの植えたバラが綺麗に咲きましたよ。いいにおいですね」
「私の育てたバラだからな。当然さ」
綺麗に咲いた大輪のバラの花を眺める老婦人に注ぐ日差しを、レースの白い傘が遮った。
「ありがとうね、コテちゃん」
「スミコ、まだ日は暑いのだから無理をしてはいけないよ」
「そうね。ありがとうコテちゃん。……お庭のパトロールが終わったらおやつにしましょうね。コテちゃんの好きなクッキー、たくさん焼いたから」
「フフ、楽しみだね」
老婦人の後を、ロードナイトモンはまるで近衛兵が付き従うように歩く。
かつては老婦人の夫のパートナーであったコテモンだ。夫が亡くなってからは老婦人と1人と1体。騎士がその鋭い刃を抜くことなく、穏やかな時間を過ごしている。
老婦人が昔から丁寧に手入れをしている庭の、四季の移り変わりを愛でるのがしょうに合っていると、ロードナイトモンも語る。
コツコツと庭の小路が1人と1体の静かな躍動を刻むと、花に泊まっていた蝶がひらひらと庭の反対側へと飛び立った。
小さな庭の主たる老婦人とロードナイトモンの昼下がりは穏やかにすぎていく。
ロイヤルナイツと関係ない聖騎士も良いものでした。夏P(ナッピー)です。
コテちゃんもといコテモンってことは、コテモン⇒グラディモン⇒ナイトモン⇒ロードナイトモンといった感じでしょうか。よく読んでみたら死んだ夫の方のパートナーだったとあったので、この甲斐甲斐しさにびっくり。実に平和で世界ののどかなある日の出来事でしたが、ロードナイトモンが斯様な性格になったのは元々の気質なのか、老婦人の夫の影響なのか、それとも老婦人に魅入られたのか。
それはともかく、アカンこれ多分天国へのぼるおばあさん時計もといコテちゃんともお別れまで描かれるのかと警戒していましたが、大きなのっぽの古時計宜しくな展開は無かった。
それでは今回はこの辺で感想とさせて頂きます。