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闇。十体の英雄の中で最も魔に近しい者。
死を招く闇の獣として恐れられたその身は十闘士の中で明らかに異端。世界の希望を体現する光と対極に位置する破滅の魔獣は、伝承によっては光への憎悪を抑え切れず最後の決戦を待たず英雄内での内紛を誘発し、光もしくは光を支持する他の闘士によって討たれたとも伝えられる。その邪悪さ故に味方のいない闇なれば、容易く討たれるのもまた道義であったのか。
だがそれが本当に邪悪で在ったのか。真実は誰にもわからない。
司るのは邪悪なる者に打ち勝てる闇の力。同時に孕む世界を魔で覆い得る闇の力。正しき闇の魂は勇者と謳われる獅子の姿を形取り、歪んだ闇の魂が広げるのは禍々しき漆黒の翼。十闘士の中で唯一まるで異なる二つの獣の姿は、それでも確かに古代の闇より受け継がれし英雄の魂であったのだ。
彼の者の偉業と狂気は後世に受け継がれ、やがて──
【コテハナ紀行】狂気の沙汰もミカタ次第【闇の闘士編】
ある晴れた日のこと。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃいでやんす~」
「お安くしとくんダネ~」
旅の路銀を稼ぐべくボコモンのコテツとネーモンのハナビは二人揃って、住まいの傍に軽食を提供する屋台を出していた。世界各地を巡る旅には金がいるし、最近は不景気甚だしくトレイルモンのワームもケチになってきている。久々に故郷の近くに帰ってきたのだから、命の危険のない自宅の傍では金儲けこそ何にも優先されるのだ。
とはいえ、往来する者達も少ない川沿いである。もう少し街から遠ざかれば旅の者も多くなるのだが、そうすると近隣を牛耳るオーガモンにシャバ代と称して小銭を巻き上げられた苦い経験があるので仕方ない。
「……おおっ、何だお前ら」
儲けの上がらない昼下がり、コテツとハナビの店の前にそんなことを言う妙な生き物が現れた。
人様のことは言えないにしても、如何にも脆そうな細身は成長期二体がかりなら容易に制圧できそうな程度に弱々しい。腕も足も攻撃力は微塵も感じられず、身一つでデジタルワールドを行くにはあまりに頼りない生物。
「あんさんこそ何モンでやんす」
「何モン? 俺は天下の人間サマなんだが……」
「なんと人間!? 初めて見たでやんす!」
彼の名乗りにボコモンのコテツの声は派手に裏返った。
人間。デジタルモンスターとは異なる次元で生きる者達。この世界に語り継がれてきた伝承の中には選ばれし子供と呼ばれる人間が活躍する物語が数多記されており、人間の絡まない英雄伝説の研究を生業とするコテツとてそんな彼らの英雄譚に魅入られたことは一度や二度ではなかった。
「俺はお前らのような魑魅魍魎こそ何者か聞きたい。……んぐっ!?」
「へえ、でも話に聞いてたのよりずっと弱そうなんダネ」
「膝カックンはやめろ狐畜生。俺が通風だったら即死だったぞ」
人間の膝の裏にチョップを噛ましつつケラケラと笑うのはネーモンのハナビだ。
「人間……あんさんはパートナーとか連れてないんでやんす?」
「パートナー? 何だそれは?」
少しズレを感じる。どうも選ばれし子供とはまた違うらしい。
「まあいいでやんす。あんさん、金はあるでやんす? 安くしとくでやんすよ~?」
「ほう、お前ら飯屋か。しかし俺の舌はそれなりに肥えているぞ。ひとまず茶か酒くれ」
「喫茶店じゃないんダネ。水が飲みたければそこの川の水でも」
「もう飲んだ。実にノット美味だったな、二度と飲みたくないまである」
「あんさんアホでやんす?」
「実践派で理論派と言え。俺は一人でもLに並べるLを越せるのだ」
よくわからないことを言う人間に、とりあえず焼きそばを出してやる。
彼は普通に人間界と同じ食べ物が出てきたことに少々面食らったようだが、暫しの逡巡の後にそれらを思い切り口に掻き込んだ。相当腹が減っていたと見える。
「ふう、15年ぶりの食事だったぜ」
「は?」
「冗談だ。しかしそれなりに美味だったぜ狐畜生と狸畜生。金はないんだがな」
「感謝している奴の台詞じゃないでやんす……は? 金がない!?」
「ない、一銭たりともな」
まるで悪びれず胸ポケットに指を突っ込んでヒラヒラさせる人間。
「逮捕! 逮捕なんダネ! 正当に捌いて今すぐオイラ達のロードの足しに」
「せめて捌くのではなく裁け。この世界では裁判も無しに殺されるのか?」
「裁かれる側の台詞でやんすか?」
コテツの言葉を無視して焼きそばの残りをたいらげ、彼は大きく息を吐くと出店の屋台の横に立て掛けてある分厚い本を目に留めた。
「うん? 何だこれは?」
手に取るとズッシリと重い。コテツの研究成果を纏めた本なのだから当たり前だが。
「それはワテの研究資料と論文でやんす」
「エンシェントグレイモン、エンシェントガルルモン……十闘士?」
パラパラと少年がページを捲る指が、やがてあるページで止まった。
「どうしたんダネ?」
「……いや」
それまで傍若無人とも言えた少年の目は、そこで初めて細められたようだった。
「エンシェントスフィンクモン……スフィンクスか……」
闇の闘士。伝説の十闘士の中でも最も謎に包まれた黙示の獅子。
そんな獅子が描かれたページを目に留めた少年が果たして何を思ったのか、コテツとハナビにはわからなかった。
エンシェントスフィンクモン。最も謎に包まれた闘士である。
わかっているのは邪悪なる獅子そのものの姿と、どういうわけか同志であるはずの光の闘士エンシェントガルルモンと敵対する関係にあったという二点のみ。光の闘士と闇の闘士、相反する属性を持つ二体の戦いが残されているわけではないし、何より光の闘士は炎の闘士エンシェントグレイモンと共にルーチェモン撃破後まで生き延びたと言われている英雄だ。逆説的に闇の闘士は戦いの途中で果てたとされるがその最期すら判然としない、まさに歴史の闇に君臨する影の英雄であった。
彼の力は幻獣型や魔獣型に受け継がれたとも、レオモン族にその血脈を繋いでいるとも言われ明確ではない。また他の十闘士と同様に後世へ遺した人と獣の魂は、正しき闇の力として獅子を模した戦士の姿であるとされている。
だが近年の研究で闇の魂はもう一つの姿を持つという説が持ち上がっている。邪悪を打ち払う正しき闇と対を成す、世界を暗雲に覆い得る悪しき闇。紫紺の翼を持つ巨鳥を模したとされる禍々しき闇の力は、本来世界を守護する為に在る正しき闇を歪める形で今も世界のどこかで息を潜めているのだと。
十闘士の魂に善悪の属性が存在する例は他にない。ならば邪悪なる闇が存在する時点で、古代に活躍した闇の獅子エンシェントスフィンクモンは、当時よりその内に邪悪を孕んでいたと言えるのであるが。
人と獅子、もしくは人と鳥。闇にだけ何故そのような異なる姿が存在するのだろうか。
「朝は四本足、昼は二本足、夜は三本足……さて、これは何だ?」
出店で小間使いとして働かされながら、人間はそんなことを言う。
本人は「人間の知識を授けてやるから勘弁してくれ」などとのたまっていたが、今はどこも人手不足である。次のフィールドワークに向けた資金調達が成るまでは彼を雑用に使ってやることにした。
とはいえ、成長期二匹と人間では危険すぎる。彼らは川沿いではなく街の傍に出店を移していた。
「あんさん。何でやんすか、それは?」
「なぞなぞだよ。これわかんなかったら化け物に食われちまうらしいぜ」
コテツやハナビの家もあるこの街は、四方を丘に囲まれた天然の要塞であった。特に北部の小山は殆ど誰も立ち入らないため鬱蒼とした木々に覆われており、そちらからの侵攻は不可能である。住民は殆どが成長期だが、それ故に斯様な荒廃した時代にあって始まりの街と共に平穏を保っている数少ない地域だった。
「全然わかんないんダネ。自然と三本足になる生き物なんているんダネ?」
「答えは人間だ。赤ん坊の頃はハイハイで四つ足、やがて二本の足で歩くけど老いると杖を使うから三本足ってことらしいぜ」
「はぇー、面白いなぞなぞでやんすね」
感心するコテツ。朝昼夜を人生に比喩しているというわけだ。
「ギリシア神話のスフィンクスって怪物はこの質問を投げかけ、答えられなかった旅人を貪り食ったって話だ。お前ら俺がスフィンクスだったら食われてたからな」
「スフィンクス?」
「コイツだよ。エンシェントスフィンクモンでいいんだっけか?」
気付けば少年はパイプ椅子に腰掛けてギコギコ揺らしながらコテツの資料を開いていた。皿洗いを任せたのに堂々とサボっている。油断も隙もあったものではない。
「人の顔にライオンの体、鳥の翼……ま、モチーフ通りだよな」
「ま、待つでやんす。人の顔? 鳥の翼?」
「どう見てもそうだろうが。スフィンクスは人間の女の顔にライオンの体、鳥──鷲ってのが定説か?──の翼を持つって言うぜ。その前提で見ればコイツは確かにわかりやすくスフィンクスだな」
何でもないことのように言うが、コテツにとっては聞き逃せない。
それまでエンシェントスフィンクモンは伝承通りライオン、即ちレオモン族とアンデッド型との繋がりのみを見出してきた。だが闇の闘士の元と考えるべきスフィンクスなる人間界の神獣はライオンだけでなく、人と鳥の要素をも兼ね備えているという。そもそもデジモンであるコテツには鳥の翼は当然として、あの闇の闘士を前に“人間の顔”と認識する発想そのものが無かったのである。
点と点でしかなかった要素が繋がっていくようだ。闇の闘士が邪悪であったか否か、何故彼だけ善悪分かたれた魂が存在するのか、そもそも彼は何故人と獅子と鳥の三つの姿を持っているのか。
「四本の足だった彼は、その魂を人と獣の二つに分けた……そして悠久の時を経て更に善悪に分かれた」
人と獣、二つの魂で立っていたはずの闇の闘士は、やがて人と獅子と鳥の三つの魂で立つようになる。それはまさに先程投げかけられたなぞなぞのようで。
そしてそのなぞなぞの答えはと言えば。
「まるで……人間のようでやんす……!」
そんな突拍子もない仮説が立つ。論拠もない思い付きのような仮説が。
果たして本当にエンシェントスフィンクモンは邪悪であったのか。
その答えを知る術は最早無い。伝承は散逸し虚構と脚色の入り乱れた混沌に満ちた伝説が世界には語り継がれている。もしかしたらエンシェントガルルモンと対立したという伝承もまた長い歴史の中で付け加えられた虚構なのかもしれない。
それを出会った人間に問いかけてみたら、彼はこう言った。
「そう考えた方が面白いんなら、それでいいんじゃねーの?」
自分を理論派だの言う癖に適当な物言いだが、更にこうも付け加えた。
「お前はどう思いたいわけ?」
それこそが答えだ。研究者として失格だろうが、それでも自分には信じたいものがある。
十闘士という英雄が確かにこの世界に君臨して傲慢の魔王と戦ったこと。その中で散っていった彼らが後世の安寧の為に人と獣、二つの魂を遺したこと。そして今またその魂を受け継いだ戦士達が世界のどこかにはいて、平和を守るべく活躍していること。そんなヒーローの存在を実証する為に自分の研究は在る。
「まあ光と闇が対立してたってのは浪漫があるもんな……」
一つだけ確かな伝承があるとすれば、碑文に記された傲慢の魔王を讃えるこの謎の一文。
「だってよ、光が存在しなきゃ闇なんてあるはずねーんだから」
傲慢の魔王だけでなく、古代に現れた十闘士を超える何かをも讃えたこの一文。
「ま、似た者同士だ。俺はお前の見方の味方だぜ」
光と闇を一つにできる者。
「ライオンだオオカミだ言うが、お前らの仲間に虎はいないわけ?」
街外れの小山。麓から続く階段を上りながら彼が問う。
「虎型っていうのは、些かマイナーでやんすね……」
「そうか。いや待てよ……?」
考え込みながら歩を進める彼にコテツもハナビもついていく。
人間が唐突に「そうだ山へ行こう」と言い出したのが数刻前。相変わらずのサボり癖ぶりだが、彼の知識と屁理屈が新たな見地を発掘することを身を以って知ったコテツは、素早く出店を畳んで彼の後に続いた。
「この山、何かあったっけダネ?」
「……いや、ワテも一度しか来たことはないでやんすが……」
彼は出店でサボりながら街の北部の山を見つめていた。石造りの階段が中腹まで続いているのは街からでも容易に見えるし、そこに森が開けた何らかの空間があるのもわかる。だがそれが意味することを理解できるのは人間である彼だけだった。
そもそも誰も立ち寄らない小山だ。別に凶暴なモンスターがいるとか迷いの森だとかそういう話ではない。自分達には理解できない寂れた施設があるというだけの話。コテツも一度だけ足を踏み入れたことはあるが、その場所が果たして何であるのかは理解できないままだった。ザッと一周歩いてみたが特に気になることはなかった。
しかし前を行く青年は確信がある様子だ。この先にあるのが何なのかわかっている、背中がそう語っているようだった。
「あんさん、なんでこの山に?」
「……神社だろ、だったら多分……」
「じんじゃ……?」
階段が終わる。山の中腹の開けた場所に石造りの景色が広がっている。
「神様を祀る場所だろ。この世界に神様がいるのかは知らんが」
「神様……イグドラシルのことなんダネ……?」
ハナビの言葉に頷くコテツ。この世界において神とは世界の頂点に立つそれ以外に有り得ない。
「なるほど。だけど俺の国じゃ神様ってのは当たり前に沢山いるもんでな」
言いつつ彼はその朽ち果てた場所に躊躇いなく足を踏み入れていく。
見上げるばかりの巨大な石の門──後に知ったが鳥居と呼ぶらしい──を潜って歩を進めた先、文字通り神を祀る社にはその領域を守る役目を遣わされた二体の獣が立っている。並び立つ無角の獅子と有角の狛犬は神前を守護するようであり、同時に雌雄を決するべく相見えているかのようでもあった。似ているようで全く異なる姿を以って相対する二体の雄々しき獣。
「なっ……!?」
コテツもハナビも息を呑む。以前訪れた時に気付かなかったのか、それとも以前から今までに何らかの形で変化が訪れたのか。
神仏の領域を守るかの如き二体の獣型の石像。
狛は二本の大刀を携えて勇ましく立ち上がり。
獅子はその人の顔面で向き合う狛を見据える。
それは真逆の属性を持つ光と闇の姿を以って。
気高き獅子と狛(おおかみ)が対峙していた。
「エンシェントガルルモン、エンシェントスフィンクモン……?」
「……少なくともこれで、お前らご執心の十闘士って連中はそのイグドラシルって神様とは繋がらないわけだ」
「あ、あんさんは何者でやんす!? 何故そんな簡単に次々と──」
コテツの問いに彼はこう答える。
「俺はただの屁理屈屋だ。それとこじつけになるが、こういう考えもできるぜ」
別に大したことじゃない、そう言いたげに空を見上げて彼は続けた。
「獅子ってのは所謂ライオンが古代中国に伝聞される際に生まれたと言われる神獣だ。そして当時の中国において最大の猛獣と言えば虎だからな。自然、獅子は存在の確立時点で虎の属性を孕んでいることになる。生物学的な面では勿論違うにしろ、その点において獅子はニアリーイコール虎だって言えるわけだ」
人間界の知識と情報。それが流れ込んで形作られるのがこの世界だとすれば単純な話。
神社とは即ち神々を祀る場所。八百万の神々を崇め奉る我が国固有の宗教である神道がこの世界に何かしらの影響を与えているのだと考えると自然、その答えは導き出される。数多の神話や伝承を統合して十体の英雄を孕む十闘士なる存在、光と闇を一つにすることで生まれるその頂点とは果たして。
「光と闇を一つにする……なんて小難しく考える必要はねーんだ」
見るべきは属性ではなく姿形の方。見るがまま、在るがままに。
「王たる虎(しし)と王たる狛(おおかみ)、それらが一つになって生まれるのは──」
少年の指が天を指す。
琥珀色。
確かそんな風に呼ばれる輝きを放つそれが、世界を夕焼けに染めていた。
あの少年とはその後すぐに別れた。風の噂ではロイヤルナイツの因子を受け継ぐ小竜型の成長期と出会い、旅を続けていると聞いた。
自らを屁理屈屋だと彼は言った。だが人間の考え方は非常に興味深く斬新で、一人相撲になりがちな我が研究は彼の屁理屈で大きな発展を見た。思えばそれも当然の話、十闘士とは人と獣に分かたれた魂を遺した者、獣である我々だけではなく人側からの見方を知ることは最初から必要不可欠であった。
彼はこの世界の何を知っていたのだろう。彼はこの世界で何を成すのだろう。
それも今となってはどうでもいい話だ。今後も研究を続けていく限り、いずれ彼が指し示したそれと我々は必ず出会うことになるだろうから。
伝説の十闘士を超える至高の存在。
相反する光と闇を一つにできる者。
琥珀(たいよう)を背負いし英雄。
その名を。
スサノオモン。
・あんさん(仮名)
17歳。コテツとハナビが川沿いで出会った人間の少年。パートナーは連れていない。
実質的な今回の主人公。屁理屈屋と自称する通り、持ち前の屁理屈やこじつけで物事をやたら壮大に語る節がある。コテツの研究している十闘士に興味を持ち、その中でもエンシェントスフィンクモンに強い関心を抱く。闇の闘士の狂気を語る話だが一番狂気に満ちていたのこの男の屁理屈まである。
あんさんはコテツの人間に対する二人称であり本名は不明。だって他作者様のキャラだから。
・ボコモン“コテツ”
十闘士の研究家。今回は影が薄い。
・ネーモン“ハナビ”
コテツの相棒。もっと影が薄い。
・エンシェントスフィンクモン
人と獅子、または人と鳥の属性を持つ古代十闘士の一体。エンシェントガルルモンと正反対の属性を持ち、古代でも光と闇は争ったと伝えられるが詳細は不明。またデジタルワールドに転移した神社に立つ獅子と狛犬はエンシェントスフィンクモンとエンシェントガルルモンに上書きされる模様(別作品でシーサモンになってた記憶もありますがそんな記憶は神に返しました)。
・琥珀(こはく)
割と作者世界における最重要ワード。
虎の王と狛(おおかみ)の王を意味する。即ち闇の獅子と光の狼、エンシェントスフィンクモンとエンシェントガルルモンを一つに合わせた単語であり、傲慢の魔王以外に不可能とされた「光と闇を一つにする」という意味合いを有する。昼と闇が交差する夕焼け空、転じて世界を琥珀色に染め上げる太陽そのものを指す。
太陽ってこたぁつまりry
【後書き】
というわけで【コテハナ紀行】三作目となります。三作目にして主役二匹の影がとんでもなく薄いですが、これは要するにあんさん(仮名)を活躍させたかったからですなぁ。エンシェントスフィンクモンに関しては割と自論があり、カイザーレオモン⇔レーベモン/ダスクモン⇔ベルグモンで人と獅子と鳥の三形態を持ってるんだけどこれを合わせるとスフィンクスになるという見事なモチーフに唸らされたのもあって、15年ぐらいエンシェントスフィンクモンが古代十闘士では一番好きかもしれない。話をわかりやすくする為にレーベモンかダスクモンを出す案もありましたが、コテツとハナビが十闘士と対面してしまうと十闘士は実在することに確証を得られてしまうので出会わせられない不条理。いずれ十人全員分揃うと思いますが、コテハナが対面することになる闘士はカイゼルグレイモンただ一人です(断言)。
というわけで、今回はあの人の主人公キャラ動かしたさに一気に書きました。キャラをレンタルさせて頂いた狐火さんに感謝を。
◇
こんにちは、いつもお世話になっております、快晴です。
すっかり遅くなってしまい恐縮なのですが、自分に課していた自作のノルマがひと段落したのもあり、感想という形でお伺いしました。
ハッシュタグや1推し参加作品からさらに枝葉を広げての、古代十闘士にフォーカスを当てたこちらの『コテハナ紀行』。毎回切り口が斬新かつ満足感の高い納得を覚えるものなのに、コテツさんやハナビさんの良い意味で軽い、テンポの良いやり取りがあるお蔭で楽しく読ませてもらっています。
自作の話で申し訳ないのですが、自分も鋼の闘士に関しては出来得る限り資料を掻き集めてああでもないこうでもないと頭を捻った経験があるので、作中に登場する考察(今回の場合はこじつけ? 屁理屈? そう呼ぶべきでしょうか)には「その解釈があったか!」と唸らされるばかりです。
今回だと、前回「人間」の常識に囚われていたコテツさんにはエンシェントスフィンクモンのあの何とも言えない顔を「ヒト」と解釈する視点には欠けていた、というのはなかなかに目から鱗でした。こういう種族の違いがあると世界観がグッと深まりますし、何より面白いですね。そして琥珀に至るまでの流れが全てお洒落。
話題が前後してしまいますが、1つ前の古代木の闘士の回だと、もしかしたらエンシェントトロイアモン本人かもしれないご神体の登場はかなりワクワクしました。
言われてみれば謎多きエンシェントトロイアモン。現代に種を残さぬ者、とは、彼?の木という性質も含めて素敵な言い回しですね。
そしてコテツさんが頭を悩ませていた通り、彼の性質はどちらかと言えば機械で、図鑑説明なんかにもカラクリ云々と書かれているくらいで、貴公、本当に植物の祖なのか……? 古代植物型って、古代ってつけておけばなんでも許されると思ってないか?? と、お話を読んだ後公式のデータを確認して同じようにどつぼに嵌まるなどしていました。こういう楽しみ方が出来るのも、こちらの作品の魅力だなぁと、勝手に思っております。
こちらの世界の常識では測れない、しかし確かにこちらの世界から紐解かなければわからない、不思議と不条理、そして浪漫に満ちた『コテハナ紀行』。
思い立ったらの執筆と伺いましたが、他の闘士のお話が投稿される日を心待ちにしております。……ものすごく個人的な事を言うのであれば、鋼の闘士の回が滅茶苦茶見たいのでどうか、どうかよしなに……。
拙くまとまりの無いものではありますが、こちらを感想とさせていただきます。