デジタルワールド広し、と言えども〝末端〟というのは存在するもので、何かの弾みで消去されてしまうような……そんな場所にだってデジモン達は暮らしていた。一体いつから存在しているかも分からない秘境ともいえるような僻地に、デジモン達の中でも〝特にユニークなデジモン〟が多く暮らしている村があった。
──とある某日、村の物知りで名の通るボコモンの家では、一大イベントが起きようとしていた。
「おお〜! デジタマが孵るぞぉ!」
桃色の腹巻きを巻いたデジモン、ボコモンが驚喜の声を上げる。
ボコモンの眼前にはデジモンの卵であるデジタマが並んでおり、それらは『赤地に黄色の星模様』『岩の様にゴツゴツとした燻し銀なもの』『紫地にペイントの様な斑模様』……と実に個性豊かであった。ユラユラと揺れだしたデジタマは、今まさにボコモンの目の前で孵ろうとしている。
パキ…パキパキッ! デジタマの表面にヒビが入ると間も無く──
「バブゥ」「スー…」「ピキーッ!」
三体のデジモンが殻を破って、産声を上げた。
幼年期のスライム型デジモン──バブモン、スナモン、キーモンの誕生である。
「いやぁー、めでたい! めでたい事じゃなぁ〜」
「バブバブゥ…?」
緑色のデジモン、バブモンが両手をあげて喜ぶボコモンを不思議そうに見上げている。それに気づいたボコモンが、しゃがんで三体と目線を近づけた。
「おおーよしよし。わしは、ボコモン。オマエ達の父ちゃんみたいなもんじゃ。みーんな、元気に育つんじゃぞ〜」
三体に向かってボコモンは、順番にニコニコと笑いかける。しかし……
「おー何じゃあ?一番勢いよく出てきた割にオマエさんは、随分と静かじゃな?生まれたばかりから、そんなに目を釣り上がらせてまあ……」
「……」
体が紫色のキーモンは、何が気に食わないのか膨れっ面でムッツリとしている。
どおした?腹が減っているのか?と、ボコモンがキーモンを宥めている様子を真ん中にいるデジモン。体が砂で出来たスナモンがジッと見ていた。……何やら両隣のバブモンとキーモンを見比べているようだった。
「スー……、スゥ!」
急にドン! とスナモンは、どういうことかキーモンを突き飛ばしてしまった。
「キゥ!?」
キーモンの軽い体は、ポヨンと飛ばされ床の上にぶつかり一回転する。攻撃されたキーモンは当然、機嫌が悪くなり『プシュー』と赤い塗料をスナモンに向かって吐き付けた。すると想定外の反撃だったのか、攻撃がスナモンに直撃。驚いたスナモンは一瞬怯むものの「やったな」と言わんばかりに、こちらも体の砂を飛ばす『砂かけ』で応戦するのである。
「キィイ!」
「スゥウ〜」
「こらこら! 喧嘩は、いかんぞ! いかーん!!」
ボコモンは、突然暴れ出した二体の仲裁に入るものの、喧嘩は収まるどころか尚も白熱し続け、砂と塗料の応酬は止まずに家の中は酷い有様となっていく。その様子は、もちろんバブモンも見ていた。
「バブ……? ゥリュ、ウゥ……」
「はっバブモン…!?」
ボコモンはバブモンの異変に気づきそちらを向くと、生まれて間も無く目の前で起きた出来事に戸惑い、怯えるその姿を捉えた。その瞳はみるみる内に潤み、今にも決壊寸前となっているではないか。
「バブゥウ……ウエェ〜ン!!」
「おお〜よしよし〜…可哀想にな〜ぁ」
とうとう泣き出してしまったバブモンを優しく宥めようとするボコモンであるが、相も変わらず〝塗料〟と〝砂〟は宙を飛び交い続けている様に──ボコモンの堪忍袋の緒がキレた。
「……いい加減にせんかぁ!!ばかもーん!!!!」
──かくしてデジモンの生存本能とも言い変えることもできる、この二体にとって生まれて初めての喧嘩はバブモンが泣いてしまった事がトリガーとなり、落とされた〝ボコモンの雷〟によって幕が引かれたのである。
*
そして三体のデジモン達が生まれた日からボコモンの家はもちろん、村の中はより賑やかに、そして慌ただしい毎日が訪れるようになる。
──そして月日は流れ、数年が経った。
「わぁ──ん! ボコモンちょっと、聞いてよぉ!!」
「なんじゃーあバコモン。何ぞあったか?」
騒がしくボコモンの家に駆け込んできたのは、バコモン。バコモンは、あの日孵ったバブモンが成長期へと進化したデジモンだ。いつも段ボールを纏っていないと安心できないほどの恥ずかしがり屋だが、穏やかで戦いをあまり好まない優しいデジモンに成長していた。
「ヤーモンがぁ、またアタシの段ボール汚したのよ──!!」
「よごしてなぁーい! ジミだから色をぬってやったんだ。つまりシンセツなんだぞーっ!」
続いて屋内に飛び込んできたのは、ヤーモン。こちらはキーモンが進化した幼年期のデジモンである。またか……と言わんばかりにボコモンは、頭に手を添えた。
「……ヤーモン、前にも言ったがなぁ……お前さんは、親切のつもりでも相手が迷惑に思っていたのであれば、それは余計なお世話であって……つまり親切には、ならんのじゃ」
「えーッ! そんなことねーよ。ぜったいカラフルなほうがいいだろー」
「アタシは、嫌なのー!!」
ヤーモンの悪びれる様子のない言い様をバコモンが、すかさず否定する。こんな調子の二体のやりとりは、この家では珍しくない日常であり、ボコモンの頭を悩ませていた。
「むう……ヤーモンお前さんは、どぉーも自分本位に考えすぎる傾向があるようじゃな」
デジモンが十匹いれば、十通りの特色が存在する。個性的なデジモンたちは、時に衝突もする。それにしてもヤーモンは、少々捻くれたところがある上、癇癪持ちで毎日のように他のデジモンと問題を起こしてボコモンを悩ませる〝なやみのタネ〟であった。
「ヤーモン……この際じゃ。今日こそは、わしの話を」
バンバン!
「おーい、旅に出ていたガネモンが帰ってきたらしいぞぉー」
ボコモンの話を遮り、窓を叩く音が室内に響く。どうやら村のデジモンであるツチダルモンが家の窓越しに伝言を伝えにきたようだ。
「えっガネモンが……?」
「帰ってきたとな」
伝えられた内容にバコモンとボコモンが、あまり色良いとは言えない声を漏らす。そんな中。
「えーっ、ガネモン帰ってきたのか〜!!」
「あ、コラ!」
ヤーモンは、声を弾ませピョンと飛び跳ねると、競り合う相手もいないのに急いで家から外へ飛び出して行ってしまった。すると静止する間も無く、その場に二体のデジモンが残され立ち尽くすこととなる。
ポカンと──静寂が訪れた。
ややあって……ボコモンが一つ、息を吐く。
「やれやれ、慌ただしいヤツじゃわい」
「……たぶんガネモンが帰ってきて喜んでるの、ヤーモンだけだよね」
バコモンは、戸惑い混じりの気遣わしげな様子でボコモンを窺う。
「あやつは、ガネモンが帰ってくる度に旅の話を聞きに行っておるようじゃな」
「きっとカモにされちゃってるんだよ、ヤーモン……」
「「……はあ〜」」
その場に残された二体の心配とも呆れとも取れる遣り取りなど、飛び出したヤーモンは露ほども知らないのだ。
*
「金は外に出て稼ぐのが一番効率がいいのだよ」
「またおカネの話かよ〜! そんなことよりさ。今回のたびは、なにかおもしろいモノあったの?」
ガネモンの元に辿り着いたヤーモンは、さっそくガネモンから旅の話を聞き出そうとしているようだ。ガネモンは、10と刻まれたコインの身体を持ち、片手にトランクを下げた老紳士のような成熟期のデジモンである。
「おお有ったとも。話すのは良いが……、しか〜しタダとはイカンぞ」
ガネモンがそう言うと、示し合わせたかの様にガネモンの持っているトランクが少し開く。すると中に入っていた同じくコインの身体の小さなデジモン、ゼニモンとコゼニモンの〝ゼニモンズ〟が少し顔を出した。
「そうだそうだ〜ボク達、貰うモンは貰うデジモンだからね!」
「タダ働きより高いモノは、ナイ!」
ゼニモンズがキャイキャイ囃し立てると「ウムそういうことだ」とガネモンが胸を張る。
「ゲェ〜こどもからおカネとろうだなんて……あいかわらずオマエたちって、がめついデジモンなんだな」
「それがワガハイ達のアイデンティティーであるゆえ」
ガネモン達の息のあった連携に若干引きながら、だから皆に遠巻きにされるんだろうな……と胸中で思いつつ、ヤーモンは「コレでいいだろ?」と言い、持っていたお金をいくらかガネモンに渡した。
「やーどうもどうも、毎度ありがとう! ……どうやらワガハイ達の〝金稼ぎ術〟は役に立っている様で何より!」
「村を含めてフィールドに落ちているモノは、一見ただのゴミでも金になる。だろ?」
「その通り! 外の世界は正に宝の山と言っても過言ではないぞ!」
「!じゃあ次の旅は、オイラもつれてってよ!」
「う〜ぬ、それはまた別の話だ」
ヤーモンは、これ幸いと提案を投げかけるがガネモンには、それも想定内であったようでバッサリと切り捨てられてしまう。
「なんでだよーケチ!」
即答されたヤーモンは、不満げにガネモンに詰め寄る。しかしガネモンは、どこ吹く風といった様子で自前の髭を撫で付けていた。
「前にも言ったガネ、この村を離れ過ぎるのは危険なのだよ。せめて幾分の処世術を身に付けねばならんぞ。……少なくとも幼年期の内はボコモンの言うことを聞いておくことだな」
「そんなことナイってば。ゴマかそうったってそうは、いかないんだからなー! ナァナァーたのむよー。そしたら〝ジュギョーリョー〟だってもーっと、はらえるんだぞーっ!」
「ナヌ?」
〝授業料〟というワードにガネモンは、ピクリと反応する。しかし「ガネモン……」というコゼニモンの声にハッとなり、イカンイカンと輝く身体を揺らす。
「グッいやはや……いやはや。この村のデジモンは、穏やかなデジモンが多いというのに、キミの様に小賢しくもワーワーうるさい子供は、初めてだ……フム。まあ嫌いではないガネ」
「ちぇー……なんだよ。コゼニモンだって幼年期じゃないか。なんでつれていってくれないんだよー……」
「ゼニモンズは、特別なのだ。吾輩の髭はレーダーとなりゼニモンズの居場所を探す事ができる。しかし、キミは違う。……小さなキミにも分かりやすく言うならば、まずは進化して強く賢くなる事だガネ。話はそれからでも遅くはない」
「……ムゥ〜」
また進化かよ。ヤーモンは、すっかりお馴染みの膨れっ面でごちる。
「替わりに料金分の旅の話なら幾らでもしてやるから機嫌を直せ。そう!金だけに!ワハハハハ!!」
ガネモンとゼニモンズがドッと息のあった笑い声を上げる。……が、もし今ヤーモンが不貞腐れていなかったとして、ギャグに笑ったのかと言うと……それはまた別の話。
*
ヤーモンがガネモンと別れてボコモンの家に帰る道すがら、立ち並ぶ民家と道を仕切る〝木の柵〟の上からヤーモンを見下ろしているデジモンがいた。
「はー相変わらず、ダメダメなダメデジモンだなぁ……おいヤーモン!」
柵はそう高くは無い。しかしヤーモンのような幼年期のデジモンにとっては、十分な高さがあり、威圧感を与えるものである。ヤーモンは、柵の上にいるのが誰なのか分かると思いっきり眉間に皺を寄せて不機嫌を露わにした。
「なんだよ。またバカにしにきたのかぁダメモン」
ヤーモンは、抗議するような視線を声のする方に向けた。
銀色のメタリックなボディーを持つダメモンは、あのスナモンが進化したデジモンで唯一、三体の中で成熟期まで進化しているという点でも相変わらずヤーモンとは、折り合いが悪かった。
「お前ぇ〜まだボコモンに、べったりなんだって? そんなんだから、まだ幼年期のまま進化できねーんだよ」
「そーそー平和ボケしちゃあ、デジモンとして終わってるよネ!」
ダメモンに同調する掠れた高い声のデジモンは、チューチューモンである。いつからかダメモンと共におり、ダメモンの後頭部の『チューチュートレイ』に居座るようになった。それから何を吹き込まれたのかダメモンは、ボコモンたちと距離を置く様になっていた。
「イヤミなうえに、うるさいヤツらだなぁおまえたちは! というかダメモンおまえは、ぜんぜんカオをみせないで……ボコモンが心配してたぞ。いやオイラはぜんっぜん!? おまえのカオなんか、みたくないけどな!」
「便りが無いのが元気な証拠、ともボコモンは言ってなかったか? ま、お子ちゃまには、理解出来なかったんだろうけど〜ぉ」
「なにぃ!!」
「おおーい、ヤーモンや──い!」
ヤーモンとダメモンが言い合っていると、少し離れた道の向こうからボコモンがヤーモンを見つけて走り寄ってきた。そしてダメモンに気付くと、表情をパッと明るくさせて満面の笑みで手を振る。
「おお〜ダメモンではないかー! 元気じゃったかの〜? 久しぶりにお前も一緒にウチに帰らんかー?」
「……遠慮しとくぜ、ボコモン。万年幼年期のヤツと居ると、ダメダメが移りそうだし? だよなぁ〜チューチューモン!」
「そりゃー、もっともだよネェ!」
「なぁんだとぉ〜!!」
「アッハハハハ!」
ヤーモンが噛み付かんばかりに怒って声を上げる。だが、その様子も可笑しいとばかりに笑い声を上げてダメモンは、乗っていた柵から飛び降りた。そしてチューチューモンと共に逃げるように去っていってしまうのだった。
「むぅ……行ってしまったか。全くアッチもコッチも……父の心、子知らずの問題児ばかりで仕方が無いのう」
「〜〜ほんっっとさ! アイツ、進化してもヤなデジモンだよっ!!」
「……わしは、お前のことも言っとるんじゃがなぁ〜」
とボコモンは呟く。だが肝心のヤーモンには聞こえていない様子で、ダメモンに対する怒りで頭が一杯なのだった。
*
「あーあ。久しぶりに帰ろうかと思ったのに……ちっヤ―モンの奴、思い出すだけでムカムカするぜ。」
村の外れの方では、ダメモンとチューチューモンが話し合っていた。
「おやおや珍しいネ我が相棒ダメモン。チミは、あのヤーモンとかいうデジモンのことがよっぽど目障りとみたネ」
「あんなチンチクリン……どーでもいいけどぉ、バコモンは優しいからアイツを放っておかないんだ。だから……ハァ〜、アイツさえ居なきゃな〜」
「ああ〜健気な我が相棒。なんというジレンマなのだろうネ……ならさ。いっその事、始末してしまおうよ……ボクらの手で」
「え……」
自らの愚痴に対するチューチューモンの思っても見ない提案にダメモンは、驚いてたじろいだ。
「どうしたんだい? 別に珍しい事じゃ無いだろう。デジモンとして至極真っ当なことさ。強く賢いチミをきっと誰もが歓迎するだろう。それとも、ボクの言うことが信じられないノ?」
「ぅ…そんなことあるもんか!」
チューチューモンに信頼を疑われ、ダメモンはそれを強く否定する。
「だったら、迷うことは無いのネ。簡単なことだよ……村の近くのあの山におびき寄せるんだ。あの山には、恐ろしい〝カイブツ〟が住んでいて幼年期のデジモンなんか一飲みにしてしまうだろうサ」
「で、でも……あの山は、村から離れすぎているし」
「だからこそだよ。ヤーモンが自己責任で山に向かったことにすれば良い……そうすれば誰も探さないし、チミの名誉だって傷つかない」
だ……だとしても。と、尚も戸惑いを見せるダメモンにチューチューモンは、さらにダメ押しする。
「チミの為を思って言っているんだぞ。ボクが間違ったことなんて今まで一度もなかったろう? 愚鈍だったチミを導いてきたのは、他ならないボクのお陰だろう」
「っそう、だ! ……そうだよな」
恩を感じている友達の言葉にダメモンは、つい頷いてしまった。
「……大丈夫。チミはボクの言うことを聞いていれば〝カンペキ〟なんだから」
*
「ねぇ、ダメモンに会わなかった?村の中で見かけたって聞いたんだけど?って、……ヤーモンどうしたの?」
ヤーモンは、ボコモンの家に帰るとスライムの様にべったりと、敷かれたカーペットに懐いていた。そして今、同じく戻って来たバコモンを横目でジトリと見上げて、さも不機嫌です。と言った態度で迎えているのだ。一方のボコモンは椅子に座りながら、それをどうしたものか……と眺めていた。
「それがなー……そのダメモンじゃが」
「オイラにイヤミを言うだけ言って、あのアイボーといっしょに、またどっかに行ったぞー」
言いづらそうにするボコモンを遮り、ヤーモンが答える。
「えー…そうなんだぁ。まだ遠くに行ってないと良いけど……」
肩を落としたバコモンは、後ろを振り向いて周囲を見渡す。そして、再び出て行こうとする素振りをするので、またヤーモンが声をかけた。
「あんなヤツ、ほっとけばいいのだ」
「ダメだよ。ダメモンが、ちゃんとごはん食べてるかとか心配だし……ヤーモンだって心配じゃないの? 私たち家族みたいに育ったじゃない」
「へん! あんなヤツ……家族なもんかっ」
「もう! ヤーモンの分からず屋!」
「コラコラ! また喧嘩するでない!」
また揉め事が始まりそうになり、ボコモンは二体のやりとりにピシャリと口を挟む。すると釘を指されたことで、しーんと、気まずげな空気がその場に流れた。
「うんやっぱり……、ダメモンが心配だからアタシ探してくる」
一息ついたバコモンは、そうおもむろに告げる。それ対しヤーモンは反射的に口を開きかけ、思い直したように一度閉じ、視線を流した。
「……心配いらないよ。オイラと違ってアイツは、もう成熟期なんだから余計なお世話って言われるぞ。……アイツは、バコモンには、イヤミじゃないみたいだけどな」
辿々しくヤーモンは、話すがバコモンは首を振る。
「ねえヤーモン……それでも私、ちゃんとダメモンと話したいよ。……わかってよヤーモン」
そう言い残して結局バコモンは、再びダメモンを探しに出かけてしまった。無情にもドアがバタンと閉まるのを見届けたヤーモンは「あーあ」と声をあげ、再びカーペットに懐くのだった。やりとりの一部始終を見届けたボコモンは、ヤーモンの様子を伺って声をかける。
「ヤーモンよ、そう不貞腐れるな」
「どーせ……オイラは、メイワクばっかかけてるヨワっちい幼年期だよ。進化だって、もうできないんだーぁ!」
「さっきダメモンに何か言われたのか? らしくないのう……いつもの前向きなオマエさんは、どうしたんじゃ?」
「……ふん」
どうやらヤーモンは、儘ならないことが続いたせいでイジケてしまったらしい。このまま放って置くのは、良くないだろうと思ったボコモンは、うーんと少し考えて……ゆっくりと口を開く。
「ヤーモン。お前は〝強いデジモン〟というとどんなデジモンだと思う?」
「強いデジモンー? ……そんなの、キューキョクタイのデジモンに決まってるだろー。見たことねーけどーぉ」
当たり前だろう。と言いたげにヤーモンは、ボコモンの問いに答える。
〝究極体〟──ほぼ全てのデジモンの共通の願いである進化。その最終形態が究極体と呼ばれるデジモンたちである。デジタルワールドにおいて、究極体にまで進化するには、並大抵の努力では立ち行かない。ゆえにその存在は正に伝説級と言えるだろう。
「たしかに究極体のデジモンは強い。じゃがな……わしはこう思うのじゃ。真に強いデジモンというのは、弱い者を守り他者を思いやる慈しみの心を持つ者のことを言うのじゃと」
それを聞いたヤーモンは、ううん? と目をパチパチさせて起き上がりボコモンに向き直った。
「でもそれって、おかしくないか?デジモンは、ジャクニクキョーショク(弱肉強食)の生きものだし……だからボコモンもみんなも、オイラに村のそとはキケンだって言うんだろう?」
「そうじゃな。多くのデジモンは闘争本能により戦い、そして進化して生存してきた。ワシらのような戦闘向きで無いデジモンは、身を寄せ合い助け合って暮らしていることが多い。弱い故に、時に追いやられる事もある。それがデジタルワールドじゃ……しかしな、強い心、強い意志。そういったものを糧に進化するデジモンだって存在しても良かろう」
そのままボコモンは、話を続ける。
「誰かの為にこそ強くなれる。その様なデジモンは、きっとこの世界の何処かに居るんじゃ……そのようなデジモンの様に、お前には成ってほしい……いやオマエさんならば成れる。ワシはそう思うぞい」
「ふ〜ん……それって、ロイヤルナイツみたいにかっこいいデジモン?」
「そうじゃのう〜……ワシは、会ったことは無いが〝騎士〟のデジモンは、正義の心を持つデジモンが多いという話じゃぞ」
「……へ〜そうなのかぁ」
正直なところボコモンの話は、眉唾物ではあったが燻ったヤーモンの気持ちを少しだけ前向きにするものだった。現にヤーモンは、そんなデジモンが居るなら会ってみたいなぁ。と思ったが、その一言は言わずに飲みこんだ。
「ヤーモン。お前さん……バコモンに鮮やかな色があった方が良いと言っておったな。ならば、いつものバコモンは嫌いか?」
「ん? そんなわけねーだろ。色がぬってあると、きっともっと人気がでてバコモンのはずかしがり屋もなおると思ったんだぞ」
不意の質問にヤーモンは「なんでそんなことを聞くんだ」と思う。一方でボコモンは、何やら満足げに頷いた。
「うむ。思い込みが過ぎるところはあれど、素直に他者を想いやれるところがヤーモンの良いところじゃな。……普段の捻くれた部分に隠れてはいるが、お前さんのそういった良いところを理解してくれるデジモンは、きっと村の外にも沢山おる筈じゃろう」
勝手に納得したボコモンの様子にヤーモンは、困惑する。今度こそボコモンの意図が分からなくなってしまった。
「な、なんだよ、急にほめたりなんかして……いっとくけど、オイラまだ何もしてないからな〜?」
「コラ、早とちりするで無い。……いやなにワシも少々、お前を子供扱いしすぎたかと思ったまでじゃ。もしかするとお前の成長を止めているのは、他ならぬワシらなのではないか。とな」
幼年期であるヤーモンが村の外に出るのは、危険を通り越えて無謀な行為である。しかしボコモンは、そのことに囚われすぎてヤーモンのデジモン本来の無限大の可能性──〝ヤーモンらしさ〟を奪っているのではないか。ヤーモンが村の外にその意味を見出しているのだとすれば無謀といえども、それを止める権利が同じデジモンである自分に果たして有るのだろうか。……ボコモンは、そう考えたのである。
「村を出たいというのは、自分の場所が欲しいからなのか?」
「……べつにそういうんじゃ、ない。……とおもう」
「その様子を見るにまだ分からん……ということか。うん。其れを探すというのも、また良いじゃろう」
「……エ?」
今の話の流れを読もうとすべくヤーモンは、思考回路をフル回転させる。
「そ、それって……あの、あのさ!」
ヤーモンは、次の言葉を探して口を開閉させて忙しない。そんなヤーモンにボコモンは、朗らかに笑いかけた。
「うむ。次に村の外に行くデジモンがいたら同行させて貰えないか聞いてやろう。ガネモンでも、……うーんマァ、良いか」
「ホント! ほんとうに……!?」
「ただし! 危ないことは、しないと約束するのじゃ。己の力量をよくよく理解して無茶だけは、してくれるな」
こちらを見つめるボコモンの目から真剣な想いを感じ取ったヤーモンは、浮き立つ心が引き締められた気がした。たまに口煩く思えるボコモンだが、ヤーモンが温かい心を忘れないでいられたのは、ボコモンが居たからだ。
「……わかったよ。ボコモン」
ヤーモンは、ありがとう。とボソッと付け加える。その呟きが聞こえたのかボコモンは、フフッと笑って椅子から立ち上がった。
「さてと……ワシもダメモンを探しに行くが、お前も来るか?」
「ぐっ……それは、イ…イヤだ」
「……そうか。無理にダメモンを許せとは言わんが、……バコモンが言う様にこのままでは納得できん、と言うのも否定できんのではないか?」
……一体ボコモンは、どこまでお見通しなのだろう。ボコモンがドアを開けて出かけて行く後ろ姿をヤーモンは、黙って見送った。
静寂の中ヤーモンは、ゴロリと寝転がり天井に目をやり目を閉じる。……しかし帰ってきて早々に踵を返したバコモン。そして今、同じくダメモンを探しに出て行ったボコモンの姿が頭から離れない。
──そうは、言うけどでもさ……。やっぱりそれとこれは、別だ……。
「なんでオイラが……」
とヤーモンは、独りごちていた。しばらくすると──コンコン。と不意にドアが控えめにノックされる音。
「やあ。さっきぶりだネ」
「あ! おまえ……ダメモンと居たヤツ!」
顔を覗かせたのは、先程のチューチューモンだった。ヤーモンは、ギロリとチューチューモンを睨みつける。
「おおっと怖い顔。待った待った。……ダメモンの居る場所を知りたいんじゃないかな?」
「なんだそんなの……!」
件のダメモンの名前を出されたヤーモンは、知りたくない!と勢いで否定してやりたかった。しかし先程のバコモンとボコモンとのやりとりの事もあり、イライラの元凶に〝ひとこと〟言ってやりたい気にもなっている。頭の中がぐるぐる回る──ヤーモンは口を引き結び、ゆっくり息を吐く。
「……そうだよ。ダメモンは、どうしたんだ? さっき一緒に居ただろ」
「それについては、ボクもとても心苦しいのだけれどネ。今、ダメモンは身動きが取れないんだ。だからこうしてボクが助けを呼びにきた訳なのだけれど……」
「たすけ……? アイツ、ケガでもしたのか?」
ヤーモンは思わず目を見開く。
「実はそうなんだ。それも村の外で動けなくなっていて……その上、ちょっと特殊な場所でネ。チミやボクみたいな小さなデジモンしか通れない安全な抜け道を通ってここまで来たんだ。成長期以上のデジモンだと通れないような狭い道だし、チミらみたいなお人好し……親切なデジモンなら、危険を顧みず助けに来てしまうだろう? それはダメモンだって心を痛めてしまう。だからこのことは、ナイショにしてほしい。ダメモンもさっきは、悪かったって……チミに謝りたいと言っていたヨ」
チューチューモンは、事の次第を調子良く話す。が、それを聞いたヤーモンは複雑な心地であった。
「なんだよ……つごうのいいこと言って。かってに村のそとにでて、かってにケガしたんじゃないか」
先程までイジケていたヤーモンは、やり切れない思いがしてついボヤキが出てしまう。チューチューモンは、それも想定済みであった様で続けて補足した。
「もちろん、ダメモンもタダで助けて貰おうなんて思ってナイヨ。助けてくれたら進化の秘密を……」
「いいよ」
ペラペラとチューチューモンが話しているのを遮り、ヤーモンは答えた。
「そんなのどうでもいいから、早くいこう」
「エ?そ、そうダネ? 行動は早い方がイイ。案内するからボクの後に着いてキテ」
チューチューモンは、あっさりと頷いたヤーモン一瞬戸惑いをみせるが、即座に気を取り直した。チューチューモンの先導でヤーモンは、ダメモンが居るという〝村の外〟へと走り出す。胸の内で、さっそく約束やぶってゴメン。とボコモンに謝るヤーモンには、先頭を行くチューチューモンの忌々しげに歪められた顔は、見えてはいない。
*
村を離れてから少し行くと、次第に傾斜が目立ち木々が立ち並んでくる。すると道無き道の先、例の山の入り口らしき付近は、格子状のフェンスで仕切られていた。しかしフェンスには、穴が空いており、そこから二体は中へ侵入した。もちろんヤーモンは村近辺に、こんな山があったこと自体知らなかった。
そしてチューチューモンは、木の根の隙間やら岩壁の間など獣道というには狭く、薄暗い道を選んで山中を進んでいく。ただでさえ山道に慣れないヤーモンは、体をあちこちをぶつけて擦り傷を作りながらも弱音を吐くのは、憚られたので必死で後を追った。
──こいつ……いやがらせ、じゃねーんだよな?
ヤーモンは、疑いを抱く。そもそも〝安全な道〟とチューチューモンは、言っていたが村の外に出たのは、これが初めてであるヤーモンには、判断がつかないのだ。その上、木の葉の擦れる音や木の影がヤーモンには、恐ろしい生き物の様にみえて恐怖を煽ってくるのである。
「びゃっっ!?」
ヤーモンは、驚いて飛び上がり近くの木にしがみ付く。どうやら、頭上から〝雫〟が落ちてきたようだ。
「ン? ……ああ。雨が降ってきたんだネ。ハーァそれくらいで大袈裟だよネ……」
「うるさい! ち、ちょっとビックリしたっ、だけだぞ!」
元々、薄暗い森ではあったがヤーモンの不安を映し出したかの様に気付けば空もどんよりと暗くなっており、次第に雨がシトシトと降り出してきていた。
「ええー信じらんなーい。全く、それでよく今まで生きてこれたよネ?」
「またイヤミかよ!ダメモンを助けてほしいんじゃないのかあ!?」
「いやー可笑しくって、思わず……プププ〜もう少しなんだからさぁ。がんばりなよ〜ぉヒヒヒ……!」
ニヤニヤとヤーモンを振り返るチューチューモンに、やっぱり来なきゃ良かったとヤーモンは思う。
「おーい! ……お──い!」
何処からか声が聞こえる。この声はと、……ヤーモンが思うと同時に。
「おお! ダメモンの声だネ。どうやら僕らの声が聞こえたらしい……こっちこっち早く!」
チューチューモンがヤーモンを促して、駆け出す。
「なんだよ。思ったより元気そうじゃんか」
憔悴した様子のない声に拍子抜けしたヤーモンは、少し迷う。そして焦らずにチューチューモンの後を追うと、そこには思った通りダメモンがいた。
「おかえりチューチューモン。……連れてきたんだな」
「ああ、連れてきたサ」
ダメモンの姿を目に入れ、ヤーモンに苛立ちや思うところはもちろんあるが、こんな所に独りだったので流石に不安だったのだろうと気持ちを抑える。
「オイラ、オマエに言いたいこと山ほどあるけど……とりあえず帰ってから」
その先の言葉を続けようとしたヤーモン。だが……
「ヤーモン……お前には、悪いが」
「消えて貰うネ」
「『ブー・スト・アタック』!」
どうしたことか強烈な臭いを放つガスを大量に撒き散らしながらダメモンは、いつの間にかチューチュートレイに収まっていたチューチューモンと共にヤーモンに向かって突撃してきた。
「!? なんのつも……うわあああ!!」
そしてそのままヤーモンを巻き込んで、木々の森の奥へと突き進み飛んでいく。
「ゔぁっ!」
突進の勢いで突き飛ばされたヤーモンは、転がった先にあった木に衝突し、体を強かにぶつけた。
「なんなんだオマエ、ふざけんな!!」
「……なんだ。まだ解らないのかよ。そこまで平和ボケしてるとはな……俺は昔っからオマエが嫌いだった……だから〝いなくなれば良い〟と思った」
ヤーモンは、息を呑む。そして、どうやら今まで押さえていた怒りを抑えていたのは、自分だけだったのだと苛立ちが募る。
「ゆ、ゆるさねェー! バコモンに言ってやるからなぁっ!」
「ハ、出来るもんならな……『ガンバルカン』!」
両手のトンファーから黒い物体が発射され、炸裂した臭いの強烈さに怯むヤーモン。さらにほぼ間を開けず、その隙を突かれる。
「『ブンブン拳』っ!」
「ッ!」
振り回されたトンファーが命中。そしてヤーモンが勢いよく吹っ飛ばされ、遠くの茂みに落ちたのがダメモンに見えた。
「ハハハ! ヤーモン程度ならラクショーだぜぇ! このままやっちまうかー!」
「弱過ぎるネ! まあーそれなら、それでもイイか……ン?」
チューチューモンが何かに気づき、ダメモンから離れて素早く木に登った。
「おっと、危ない危ない」。
「どうしたんだよ……? これは、……霧か」
気づけば周囲に霧が立ち込めており、まるで結界のように辺りを占拠していた。そして──異質な音が聞こえて来る。
ジャラリ……ジャラリ。
金属が鳴るような不気味な音がゆっくりと、近づいているようだ。
「どうやら既に怪物──ミミックモンの〝テリトリー〟の中みたいだネ……」
「……う? アレ?」
「ダメモン?」
チューチューモンが見下ろしたダメモンは、地面に体を縫い付けられたように動けないでいた。どうやら体の自由が効かないようだ。
「どうしよう動けない」
「アリャ? まさかそこまで愚鈍だとは、流石に予想外だったネェ?」
「う動けないんだ! 助けてくれ……相棒!」
助けを求めてチューチューモンに手を伸ばすダメモン。しかし彼の友は、それに対し非常に冷たい視線を送っていた。
「フー……ま、しょうがないよネーェ……愚図は、結局さ。どうあっても愚図なんだから」
ダメモンがミミックモンの技にかかったと知るとチューチューモンは、ため息を吐き、それまでの態度を一変させる。
「え……どういう事だよ。なあチューチューモン……俺たち二人でコンビだろう……?」
ダメモンは、震える声でチューチューモンを呼ぶ。しかし、何食わぬ顔でチューチューモンは告げた。
「じゃあ……〝元相棒〟生まれ変わって、もう一度やり直しなよ。バイバーイ」
そう言うと、あっさりとチューチューモンはダメモンを見捨てて、枝から枝を伝って、どんどん遠ざかって行ってしまう。
「チューチューモン!?ま…待ってくれ!嫌だ。置いていかないで……!!」
置いて行かれた事実を認められないのかダメモンは、チューチューモンが消えた方向に向かって必死で叫んだ。しかし……
ジャラリ……ジャラリ……
霧の立ち込める中でダメモンは息を呑む。そして檻の怪物──ミミックモンを視認する。そう大きくは無い四角い檻からは、取り込んだデジモンの角や羽根が飛び出ており、その恐ろしい様相は、体内でギチギチと圧縮されたデジモンの悲鳴が聞こえてくる様な気さえした。ミミックモンは檻の右側から、はみ出た腕で鎖を掴み、その先についた鉄球をズルズル引きずって〝愚か者〟を取り込むべく処刑人のごとく近づいてくるのだ。
──ああ死にたくない! でも、もう!……もうダメだ。
そうダメモンが思った時だった。
「おい!ミミックモンこっちだ! ──『ペイントスプラッシュ』!!」
不意に、木の上から聞こえた声にシステム的に反応したミミックモン。その一瞬で〝鮮やかな色の塊〟がミミックモンの体を覆い尽くし、塗料まみれにしたのだ。ミミックモンは突然、視界を濃い色彩に奪われ、前後不覚の状態に陥ってしまっていた。
「ひまもういに、いえうお!(今のうちに、逃げるぞ!)」
「ヤーモン!? うわ、ッテェ、……何す、んだ!」
木の上から飛び降りた転がる勢いのままヤーモンは、なるべく霧の影響を受けないように息を止めつつ、動けないダメモンを押し転がして逃走を図ったのだ。
雨の影響で地表は、滑りやすい状態になっており、ゴロゴロと山の傾斜をうまく利用して逃げるという計画は、思ったより上手くいった。濡れた地表を滑るように移動することで二体は、全身泥まみれになりながら坂道を一気に下った。──このままミミックモンから離れることが出来れば、雨が次第に霧をかき消してくれる、そう期待して。
「ッぷはぁ!やった結界を抜けたー!」
「……」
「なんだよ、お礼ぐらい言えよ!オイラのおかげだぞ!」
「なんで……なんでなんだよぉ。どうして俺なんか助けるんだ」
「……オイラだってオマエなんか大ッキライだよ!だけど……、だけどさ」
──誰かの為に強くなれる、そんなデジモンに成れる。ってボコモンは言ってくれた。
それでもダメモンの所業を思い出せばヤーモンは、今すぐにでも癇癪を起こしたくなる。それを抑えてヤーモンは、歯を食いしばっていた。
「……オマエをみすてて帰ったら、ふたりが悲しむから!しょーがなくなッ!!……それでッぜっったい!さっきのことは、あやまってもらうからな!」
ダメモンは何か言い返そうかと思ったが、ほら立って! ふたりが、まってるぞ! とヤーモンに背中を小突かれてしまうと結局、何も言えなくなってしまった。
──なんだよ結局、お節介かよ。こんなダメダメな俺なんか、放っておけば良いのにさ。ボコモンも……バコモンも。
空は、曇り、太陽を覆い隠している。
その上、木々の背が高い。今、二体は、自分たちが山のどの辺りに居るのか把握できず、とりあえず進んできたため
疲労ばかりが蓄積していっていた。
「う〜っダメモン!オマエは、どうやって来たんだよ〜」
「分からない……チューチューモンの言う通りにしただけだから……」
「ハァ〜!?つまり小さいデジモンだけの安全なぬけみちってのも、ウソなのか……ッ!」
結局、行きに通った道はチューチューモンの嫌がらせだったことが分かる……が、怒っても疲れるだけなのでヤーモンは、どうしようもない。
ジャラリ……。
もう聞きたく無い……そして聞かなくて良いと思ったはずの金属音。そして前方には、もう見たく無いと思った〝影〟があった。
「ミミックモン!?」
──霧の結界を抜けたのになんで……?
「あー出来損ない同士、みっともないったらナイネ。ヤダヤダ……ボクの計画は絶対だよ。チミらには、……必ず消えてもらう」
ミミックモンの本体である檻の上には、どういうことかチューチューモンが乗っていた。
「チューチューモン!?なんでアイツがあんな所にいるんだっ……!?」
「恐らくチューチューモンの必殺技の『チューチュー・ツイッター』だ……!ミミックモンを催眠状態にして意のままに操っているんだ」
「なんだよソレェ!?そんなのアリなのかぁ!!」
ダメモンが言う所によるとチューチューモンがミミックモンを操り、追いかけてきたのだ。チューチューモンは、それ程までに無情かつ非情であり勝利に貪欲なデジモンだった。
「いけミミックモン。 ……勝利するのは、このボクだ!!」
ミミックモンは、メインウエポンである左腕の武器『デッドショット』を構えて、その銃口を二体に向ける。
「ヒッ!」
ドン! ドン!
発射された銃弾は二体の側の太い枝をへし折り、地面を抉った。攻撃の範囲が狭い分、何とか攻撃を避けることに成功していたのだ。
「ふーん思ったような威力はないけど……雑魚二匹を始末するくらいなら、許容範囲内だネェ!!」
「っ……!隠れるぞダメモン」
「隠れたって、そんな一時凌ぎ意味無いネ……近くにいるのは分かってるんだからサァ」
チューチュモンは、二体が隠れていそうな箇所をミミックモンに手当たり次第に銃弾を打ち込ませる。鉄球を振り回し、銃弾を辺りに発射するミミックモンに対し、ヤーモンとダメモンに対抗手段は無いも同然で……。
「うゔ……ッ死にたくない!」
地面を這いずるヤーモンの目からは大粒の涙が溢れる。生まれて以来、初めて本物の恐怖を感じている。外の世界は、デジモンは、こんなにも恐ろしいと身をもって体感していた。
「今度こそ……お終いだ。でも、俺が囮になる。オマエだけなら逃げられるかも」
「ズビッ……いいや゛! いっしょに帰る゛っ゛」
「ハ? ……オマエ何言ってんだ」
この後に及んで、頑ななヤーモンにダメモンは語尾を荒げる。
「いい加減にしろ、何いつまでガキみたいなこと言ってんだ!俺が惨めだろ」
──こんな時まで、なんでだよ。いったい何を拘ってんだ!消えても俺は、生まれ変われば良い!さっさと諦めろよ……諦めちまえ……!
「嫌だッ!だってオイラは、まだ〝なんでもない〟……やりたいこと、欲しいものも……何も!ひとつも見つかって無いんだ!……なのに勝手にお前が諦めるなよ!!」
ヤーモンは、ダメモンに向かって叫んだ。ダメモンは、こんな状況であるが、はぁ? と呆気に取られてしまう。
──そんな、そんな程度のことなのか?それが〝今〟に必死にしがみつく理由なのか……?
そして、ダメモンは潔く理解した。
──ああコイツは信じているのか〝可能性〟を……〝理想〟ってやつを。ああ道理で鼻につく筈だ……だって俺は〝現実主義〟だ。俺が進化した時だって〝諦めて〟進化したのだ。
「っ!退け!!」
「うわっ!?」
ドン! と、ダメモンがヤーモンに体当たりした直後、ダメモンのメタリックなボディが何かの衝撃を受けて弾かれる。
「ぐうッ……!イッデェエ〜〜!」
「ダメモン!!?」
ダメモンは、そのメタルボディで銃弾とぶつかり合うことで『デッドショット』からヤーモンを庇ったのだ。
「おやぁ臆病者のチミが、他のデジモンを庇うなんて……どういう風の吹き回しだい?」
肩で息をしながらもダメモンは、震える足で立ち上がる。
「ハ、ハハハ……、さあぁ? ダメダメって、馬鹿にしてる奴が『どうしようもない馬鹿』だったから、かなぁ」
──痛い……怖いし、足がすくむ。立ち向かうというのは、恐ろしい。嫌だ。チューチューモンの言う様に〝生まれ変わってやり直す〟方がいっそ楽だ。……でも、こうして向かい合うと嫌でも〝倒すべき敵〟が見える。……チューチューモン。今でも一番気が合うと思っている。そして……友達だと思っていた。
「だから……〝サヨナラ〟だ相棒」
そう告げた瞬間、──ダメモンの体が光に包まれ、その姿形を〝大きく〟変化させていく。
「ハァまさか……〝進化〟だってェ?」
「違うぜ。よく見ろよ此れが俺の〝真の姿〟ツワーモンだ!」
光が解かれ、ダメモンを形成していた重装甲──『噴噴(ぷんぷん)アーマー』を解放した忍者デジモン、それがツワーモンである。
ツワーモン(ダメモン)は、正しく思い出した。己の在り様を。そして、己の真の姿を思い出したのだ。
──それが、ヤーモンの馬鹿みたいな発言がきっかけというのは、なかなかに癪ではあるけどな。
発射される銃弾をツワーモンはダンスを踊るように避け、時に二本の鎌型の武器『マンティスアーム』で弾き返した。
「そんな攻撃、当たらないぜ!」
「チッでも近づいて来たら、この〝鉄球〟があるんだヨォ!?」
ミミックモンは、鉄球付きの鎖を振り回してツワーモンを威嚇する。
「みたいだな」
ツワーモンは一足飛びで距離を取り、ヤーモンの側まで戻った。
「スゴ……速いぞツワーモン!もしかしたら勝てるかもしれないぞ!」
「ああ、このままアイツを倒す……とでも俺が言うと思ったか?」
そう言うとツワーモンは、困惑するヤーモンを掴み上げると背中のチューチュートレイに押し付けた。
「うおっ、落ちる〜!」
だがヤーモンには、席のサイズが合っていない。滑り落ちそうになり、掴まる腕も無いので仕方なく席の操縦桿のような持ち手に噛みつく。
「ムリらって! こへは……」
「落ちたら死ぬと思っておけ」
「はに〜〜ッ!!(なに〜〜ッ!!)」
ヤーモンを乗せ、気遣うどころか寧ろ調子良く走り出すツワーモン。その素早い動きでミミックモンを翻弄するが、動けば動くほどヤーモンの顔色を悪くした。それでも振り落とされないのは、ヤーモンの頑なな意地によるもので、ツワーモンによる、ある種の信頼……もしくは意趣返しかもしれない。
そしてスタッと、ミミックモンの鉄球の届かないギリギリ正面にツワーモンは着地する。
「くっ今更、正攻法なんて……チミには、がっかりだネ」
「否(いや)、俺の真価は変わらず〝嫌がらせ〟だぜ、チューチューモン?」
「?」
突如、分割された背中の噴噴アーマーのそれぞれから勢いよくカラフルな爆煙が噴き出し、そして瞬く間にツワーモンを包み込む煙幕と化した。
「では、是にて然らば〝元相棒〟!」
ドドン
煙幕の中から砲弾が四方八方に飛び出した。煙で軌道が隠された砲弾は、チューチューモンが視認した時には、正面に在る。
「うギャッ!」
案の定、銃弾を避ける間も無くチューチューモンの軽い体は、衝撃で弾かれた後、地面へと叩きつけられる。
「ハァッ……ミミックモン、何してる! 早くアイツらを……!?」
──体が、動かない? ハッまさか……!?
チューチューモンが煙だと思っていたのは、煙幕に紛れたミミックモンの技『ヒンダーマイアズマ』である。途中からミミックモンの洗脳が解けていたのだった。
ギョロリ。ミミックモンの檻から覗く目玉は、チューチューモンを〝捕えて〟いたのだ。
「お、おい冗談だろう? 僕は、仲間だって、言うことを聞けっ……僕っうぎゃあああ!!!!」
ズシン…
山中に地響きが響き渡る。──そして〝山には、静寂が戻った〟
*
「ゲホッ……って、なんだよ。オイラのパクリじゃないか……」
「全く違う。一杯食わせた分、俺の方がもっとスマートかつ合理的だっただろう」
「うわ……ホント、口がへらないヤツだな……」
「もう一つ、余計に言っておいてやろう。……お前が何を目指そうが俺には関係ないし、今後も馬鹿にし続けてやる」
「なんの宣言なのだ……オイラだって、オマエなんかずっと大っ嫌いだ!」
ヤーモンが先程と同じくそう返す。そして少し間をおいて、ツワーモンは直立不動のまま口を開いた。
「……すまない」
「んあ?謝るんだったら帰ってから……」
「……悪いが……ヤーモン。もうエネルギー切れでな。……もう〝ダメ〟だ」
そう言うとツワーモンは、バタンと前のめりに倒れたかと思うと、再び光に包まれる。そして噴噴アーマーに元通りに収納され、ダメモンに戻って伸びてしまった。
「エ……オイ嘘だろう?まーたオイラに運ばせるのかぁああ!!?」
ヤーモンがダメモンに呼びかけるもダメモンは、ぐったりと起きる気配がない。もーありがとう。とか、ごめんじゃ足りないのだ。と文句を言いながらダメモンをなんとか背負って帰ることにした。
そして──陰鬱だった雨は、すっかり止んでいて見覚えのある〝ハリボテ〟のフェンスを背にしてヤーモンは、空を見た。
空には、太陽。
雨が降った後の大地は、空気が澄んでいて何処までも見通せる様だ。青空は、深く青く、白い雲は絵の具を塗りたくった様にキラキラと輝き──そして、なんといっても。
「──虹だ!」
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の七色の色彩が空のキャンバスに鮮烈に描かれていた。
ヤーモンは、その一色一色に自身の〝中心(コア)〟を掴まれた気がした。其れは、瞳を通して染み込み。
──新たな熱を持たせるのだった。
*
「どうしようボコモン……!ダメモン見つからないし、ヤーモンもどこかへ行っちゃうし……!」
ボコモンの家では、バコモンがオロオロと忙しなく家の中を歩き回っていた。
「うむう、まさかヤーモンの奴……ダメモンを探して村の外には行っておらんじゃろうな……?」
「そんなぁ!どうしようぅ、ふたりに何かあったら……」
ダンボールの奥の瞳をうるうると滲ませるバコモンをボコモンは慰める。
「ほらほら泣き虫はバブモンの時に、もう卒業したじゃろ?」
ダメモンを探して村の中を散々歩き回ったバコモンは、帰ってくればヤーモンもいないという状況に途方に暮れていた。
「ううごめんねボコモン……アタシいつも何もできなくって……」
「そんなことは無い。悪いのは、あの心配ばかりかける〝バカモン〟の二体じゃ!」
「バカモンじゃ、なぁーいのだ!」
バン! と勢いよくドアを開けて入って来たのは、硬質的な鉛筆の体を持ち、色彩鮮やかで主張が強い。しかし、どこか素朴な印象を与える──〝成長期デジモン〟
「ヤーモン!……じゃないわ!?」
「おおお前さん、……まさか」
「フフフン、そのまさかだぞ。そうワタシは〝エカキモン〟に進化したのだ!」
どうだ! と言わんばかりに己の姿を見せびらかすエカキモン。
「これは、また何という事じゃ……」
今までヤーモンに驚かされることは、何度もあった二体だったが今日ほど呆気に取られた事は無い。開いた口が塞がらないとは、この事だった。……そしてエカキモンの後ろには、ダメモンがフワフワ浮かぶ宙に描かれた風船の上でグッタリしているではないか。「ダメモン!」
バコモンが明るい声を上げると、ダメモンは、よう。と手を上げて答えた。
「よかったぁあ〜ふたりとも戻って来たー!でもどうしてボロボロなのよぉ〜ウワアアアン!!!!」
「ウッ……バコモンが、また泣いてしまったぞ」
「当たり前じゃ!このバカモンが」
「だからバカモンじゃ……イヤ、悪かったのだ。……そうだ!バコモン。コレをやる」
そう言ってエカキモンが差し出したのは、ダンボールで作られたリボンや星の飾りだった。
「! わぁ〜……可愛い!」
泣いていたバコモンの周囲をふわっと柔らかい雰囲気が包む。
「一応、ダメモンと話して作った共同制作だぞ。ジツに……癪だがなー」
「……フン」
「嬉しい。ありがとう……ふたりとも。大事にするね」
「お、おおお〜……!」
三体の様子を見ていたボコモンは、感心していた。いや感動していた。
「まさか、まさか……お前たちが喧嘩もせず仲良く出来る日が来るとはなあ!」
「その通りだが……シツレーだな、ボコモン!」
ホロリと涙を流すボコモンを見て、エカキモンは思う。──言うべきことを言わなければ。
「ボコモン……その、約束したのに勝手に村の外に出て……ゴメンナサイ」
「待ってくれ……悪いのは、俺なんだ」
ダメモンは元凶である己が弁明すべきだと思い、体を少し起き上がらせボコモンに訴える。
「俺が馬鹿だった…本当にごめんなさい。エカキモン……というかヤーモンは、俺を助けてくれたんだ」
双方の謝罪を聞いたボコモンは、腕を組む。
「ふむう……ふたりとも戻って来た事じゃしな。そうじゃな……お前さん達の問題は、解決したのか?」
「ム……それは」
「待て。俺に言わせてくれ」
エカキモンが言葉を続ける前にダメモンは、そっと風船から降りてエカキモン(ヤーモン)を正面から見た。
「お前に俺の今までやったこと全てを許してくれとは言わない。せめて謝るよ……ごめん」
ダメモンは、地に足をつけて頭を下げる。対するエカキモンは目を逸らすまいと、その様子をジッと見つめた。
「オマエの事は、正直…許せない。でも謝らせれたから、……まあ、とりあえずはヨシとするのだ!」
重い空気を払うようにエカキモンは明るくニッと笑う。
「もうホントふたりとも、しょうがないんだから…」
そう言って微笑むバコモンの胸中には、心からの喜びで溢れていた。
「何はともあれ、一応は仲直り出来た様じゃな!〝雨降って地固まる〟ということで今回は不問としようか」
「おお一件落着というヤツなのだな、では!」
声をあげエカキモンは、外へ向かって歩き出す。
「ヨオーシ! これでスッキリしたし、ワタシは〝旅〟に出ることにするぞぉ!!」
「「「え?」」」
エカキモンの宣言に他の三体は、思わず声を揃える。
「い今からなの!?」
「イマだイマ!なぜなら傑作は、待ってはくれないからなっ」
「ちょ、ちょっと待つんじゃヤーモン……じゃないエカキモン!」
「なんだ他ならぬボコモンが言ったのだぞー?ワタシはこの通り〝成長期〟だからもう同伴は、必要ないのだ!」
「いやな?成長期に進化したからと言って、危険では無くなる訳ではなくてな……」
「やっぱり、こいつダメダメだぜボコモン。てかその?偉そうに気取ったようなワタシ口調は、何なんだよオマエ」
「ワタシは、見ての通りエカキモンなのだ!そしてワタシは、エカキモンの中でも〝スーパーなエカキモン〟だからゆえに〝ワタシ〟なのだーッ!」
「いや意味分かんねぇーよ!!」
明るく胸を張るエカキモン。そしてボコモンは、いつも通り頭を抱えた。
「ううーむ〝突然変異型〟の生まれやすいこの村の特徴が顕著にエカキモンには、出たようじゃなあ」
「どうしようボコモン!せっかくダメモンが戻って来たのに、もうエカキモン出ていっちゃうよぉ〜」
バコモンは、ボコモンに言って止めて欲しい様だ。しかしボコモンに〝目的〟を見つけたエカキモンを止める理由は、無かった。
「まあまあ、バコモン。誰にでも〝旅立ち〟の時というのは来るものじゃ。エカキモンは、たしかに少々……いやかなり急ではあるがな、ここは見送ってやらんか?」
「ええ〜ボコモンそれ本気なの……!?」
バコモンは、うーんと考えてからエカキモンを見た。そして、またため息を一つ。
「はーもう、わかった……エカキモン。でも、たまには帰って来てよね。じゃないとボコモンもアタシも……たぶんダメモンだって寂しいよ」
「……ゼンショするのだ」
「もう!どこでそんな言葉覚えてくるのよ……」
相変わらずの自分本位な態度に怒りは、するもののバコモンは姿形は変わってもやっぱり〝ヤーモン〟だなと思う。
「分かってると思うが、俺に顔見せは必要ねぇーぜ。何処へでも行けば良い。……さっきも言ったように俺には、関係ねーからな」
「言われなくとも勝手にする。……オマエも詐欺には、注意するのだな」
「ああ?何だとぉ!」
「ハハハ!もう言われっぱなしでは無いと言うことだっ」
そしてエカキモンは、ボコモンを見る。
「ボコモン……という訳で〝約束〟は継続なのだ。……なるべく危険には、近寄らないようにはする」
「そこは必ず守ると言って欲しかったぞ……ああ行ってこい。他ならぬお前の為の旅じゃからな……!」
「行ってらっしゃい、エカキモン!」
「とっとと行っちまえ!」
「ああ行ってくる!」
そうして自らが産まれて育った村を後に、意気揚々とエカキモンは旅立ったのだった。
空は、先ほど見上げた時と同じく晴れ渡り、道は果て無く、雲は何処までも流れて行く。もし空に掛かっているあの〝虹〟が消えたとしても、きっとエカキモンは、──デジモン達は。デジタルワールドの何処かで、自らの可能性を信じて生きて行くのだろう。
「さぁーて何を描こうか……いや、どこへ行こうか? スーパーなワタシとしては、兎に角! 〝バズる〟ことを目指すぞぉ!」
―終―
ノベコンお疲れさまでした!
感想を配信で喋らせていただきましたので、リンクを下に貼っておきます!
https://youtube.com/live/bA-nVFgxuo8
(5:55~感想になります)
というわけで……エカキモンの旅立ちの話でした!
こちらは、ノベコンに提出させて頂いた作品になります。
ここから『其処はきっとティル・ナ・ノーグ』に繋がっていくのですが……読んで頂ければ分かるように、まあノベコン用に考えていたわけではなく普通にサロン投稿用に構想があったお話なのですが、
「あれ…これ単体で読めるし、もしかしてノベコンに出せる……?キャラも一から考えなくていい上、さらに手癖キャラだから描きやすいじゃーん!」で書き始めたのですね〜……そしてなぜか当初予定になかった初の2万字を超える過去一の大作となり、予定がどんどん狂って行った作品でもある(結果的に出せたからヨシ!ということで…)
本来ノベコン用に考えていたのがジェリーモン様サイコー!な『アクアブルーに染まる』なのですが、そちらの構想は、へりこにあん様の素敵企画『ノベコン出すはずでした作品大賞~未完でもプロットでもいいよ♡~』に供養させて頂いています。
他の方のプロットを見る機会もなかなか無いと思いますし、なにより面白いのでよかったら覗いてみてください!←宣伝
私としては課題や気づきも多く、今回のノベコンは実りあるものでした。
参加された皆様におかれましては、初めてのデジモンノベコンお疲れ様でした!
また次回もがんばりましょう!!(次回がある前提)
実は…というかもちろん、本筋であるディルビットモンのお話も考えてあります。
ちなみにそちらは完全シリアスなお話です。たぶん。
いつになるかまだ分かりませんが、投稿した際は読んで頂けるとルツキがガッツポーズで喜びます!
長々と書きましたが最後に、ここまで読んでくださって……ありがとうございました!!!!