「リンドウも難しい年頃なのよ」
テーブルに着いて、きっと狐に摘ままれたような顔でぽりぽりと頬を掻いていた俺に、ふふ、と朝食を運んできたアカネが可笑しそうに笑う。
「難しい年頃で、まだまだ子供、って事」
「……そういうモンかな」
「そうよ。だから、悪い夢を見れば、泣き出しちゃったりもするわ」
でも、頼られてるみたいで良かったじゃ無い。と茶目っ気を込めてウインクするアカネ。
そりゃ、まあ。
父親として、頼られて嫌って事は無いが。
とはいえ反抗期真っ盛り、昨日まで碌に口も利いてくれなかった娘が口は利かないまま朝起きて顔を合わせるなり泣きながら抱きついてきたら、ギョッとするなと言う方が無理な話だろう。
「……悪い夢」
リンドウのやつ、アカネにも随分長いことひっついていたみたいだが。その時に話したのだろうか。
「詳しい事は教えてくれなかったけどね。でも、こんなご時世だもの。不安にもなるわ」
トーストを持ち上げていた手を一度下ろして、アカネが見やるのは居間のテレビ。
今日もまた、東京都の港区。
古くからのシンボルである、赤い電波塔――東京タワーのてっぺん、その先端が、飽きもせずに中継でお送りされている。
形だけはクリオネみたいな、ピンク色の馬鹿でかい『デジモン』が、もうかれこれ2週間ほど、タワーの上を陣取っていやがるのだ。
「それに、リンドウはただでさえ――……」
言いかけて。
アカネはすぐにううん、と首を横に振って、誤魔化すように残りのトーストへと齧り付いた。
「俺達にとっては特別な、普通の子だ」
「そうね」
アカネが微笑む。
「悪い夢を見たらつい泣いちゃうような、普通の子……私達の、大事な大事な1人娘」
そうだな、と。
俺も同じように笑って、頷いた。
「……ところであなた。随分とまったりしてるけど、今日ってヒルカワさんと打ち合わせじゃなかったの?」
「……」
「……」
「…………」
「…………」
「………………やっべ」
トーストを口に押し込み、すっかり冷めたコーヒーで流し込んで。俺は洗面所へと転がり込んだ。
最低限の身だしなみを整え、ハンガーから上着をひったくり、ばたばたと慌ただしく袖を通しながら玄関へと駆けつけると、気の利くアカネが既に原稿の入った鞄と愛用のサングラスを手に待ち構えていた。
「はいこれ」
「スマン、食器頼む」
「……駅前、ケーキ屋さんあったよね?」
「割に合わない……!」
「何か言った?」
「ナンデモナイデス」
まあ……リンドウも気分が落ち込んでいるなら、ちょっと値の張る甘いものぐらい、食べさせてやった方が良いのかも知れない。
そんで、アカネとリンドウに買う以上、『アイツ』にだって、要るだろうし。
そういう事にして、俺はと言えば、昼飯は清貧であるように努めよう。
「行ってきます!」
「行ってらっしゃい、キミカゲ先生」
仕事に向かう俺を送り出す時は、アカネはいつも、ペンネームの方の名前を呼ぶ。
何せアカネが付けた名前だからな。俺以上に、気に入っているのだろう。
サングラスで眼を覆い、陽光を防ぐ。
俺の目は人よりも色彩を豊かに感じられる代わりに、強い光にも過敏に反応するよう出来ていて、幼い頃からコレが手放せないでいる。
そろそろこの一応は医療用の補助具が年相応とは言える年齢になってきたが――マンションの階段を駆け下りて切れる息を思うと、加齢はあまり、ありがたいものでは無い。
駐輪場から引き抜いた自転車に跨がり、町へと繰り出す。
2分ほど走った先に立ちはだかる坂道に立ち漕ぎで立ち向かい、さらにぜいぜいと息を切らしながら、そんな時俺は、側に空飛ぶ馬でもいればいいのにと。ちょっと年齢的にはキツいメルヘンな空想ばかり、頭の中で繰り広げてしまうのだった。
まあ――職業柄、仕方の無い話なのかもしれないが。
ナシロ キミカゲ。
妻の旧姓と、妻の好きな花であるスズランの別名。
それが、絵本作家としての俺の名だ。
ありがたい事にこのご時世に、妻と共働きで、ではあるものの、娘1人とデジモン1体を養える程度には、それなりに通った名となっている。
とはいえ俺自身の才覚というよりも、担当の編集者が、敏腕――なのもあるとは言っておくべきだろうが、お互いに勝手知ったる幼馴染み、ヒルカワ ハルカだったのが大きかったと思う。……見た目は、その。本当に美人だが、何も大きいところは無いとはいえ。
お互い同じ施設で育って、それなりに苦労してきたとは思うが――今は、こうして。家族と友人に恵まれた生活を、少なくとも俺は、送っている。
「で、そんな戦友と呼んで何ら差し支えのないルルちゃんを待たせておいて、一体どこをほっつき歩いてるんですかぁー? せ、ん、せ、い!」
「スマン……マジでスマン……」
昔のあだ名を持ち出して俺との歴史を突きつけながら、電話口のハルカが「ランチ奢り」と、恐ろしい台詞を吐いたような気がした。
下り坂で気を抜いていたら、尖ったコンクリート片か何かをタイヤが踏みつけたらしい。
盛大にパンクさせてしまった。
幸い近くに自転車屋があったのでそちらに寄って預けてきたが、タクシーを拾えるような道でも無し。この時間帯に呼ぶなら歩いた方が早い距離。
……そう思って足を踏み出したは良いものの、ひとつ違う通りに来ただけなのに、自転車との視点の違いも相まってか、あっという間に見知らぬ場所へと迷い込んでしまったのだ。
スマホの地図アプリは――というより多くのアプリケーションが度々電波障害を繰り返していて、まるで仕事をしてくれない。……あの東京タワーの巨大デジモンが出現して以来、毎日こんな感じである。
とはいえようやく見つけた町内地図的な看板も、とうの昔にすっかり一面がすり切れていて、アナログだって大した手掛かりになりやしないと自嘲しているようだった。
全く。これじゃあまるで、迷路の中に居るみたいだ。
「まあいいです。とりあえず、このまま電話で簡単な打ち合わせだけは進めときましょ」
「悪い」
「あ、周囲だけは気をつけてね。悪いコトって重なるから、今度うっかりしようものなら、次は車に轢かれちゃうかも?」
「勘弁してくれよ、ただでさえリンドウが今日悪い夢を見ただのなんだの言ってたのに」
「え、ヤダ、予言? 予言って事? 『選ばれし子供』の不思議パゥワー? ……先生。夜道気ぃつけてね?」
「それだと何か違うだろ。……それに、リンドウは、そんなんじゃねえよ」
なんとなくは解る方角だけを頼りに歩いている内に、少しずつ、景色に見覚えが増えてくる。
ここが本当に迷路なら、柵や壁越しにゴールが見えてきたあたりか。
昔、学校か何かで行った遊園地の中で得たそんな体験には、安堵と、それから一抹の寂しさと。……迷路を出れば、世界の何かが変わるんじゃないかという、あり得もしない胸の高鳴りが付き従っていたような。そんな気がする。
「それで、登場人物をデジモンに置き換えてのシェイクスピア作品の絵本化、だっけ。あの企画ね、通ったよ」
「ホントか?」
と、ふいにハルカからもたらされた知らせに、つい声が弾む。
アカネはもう覚えちゃいないかもしれないが、シェイクスピアの絵本化作品を書くのは、付き合いたての頃に妻と約束した話。
……ようやく、念願叶ったという訳か。
とはいえ、俺とは対照的に、ハルカの声はそう浮わついたものでは無かった。
「でも、先生の思ってる事と、編集長達の想定は違うかもよ?」
「?」
「だって、『選ばれし子供』の親が書いたデジモンの絵本だなんて、どう考えてもキャッチーじゃん」
「……」
「先生自身は。そういう意図では、扱って欲しく無いんでしょ? 正直」
『選ばれし子供』
十数年前、突如インターネットの世界から現れた電子の『怪物』――デジタルモンスター。略してデジモン。
彼らは『運命』の言葉と共に、人間の子供を『パートナー』と慕って、その子供の側に付き従おうと試みる性質があるらしい。
尋常ならざる力を持つ怪物ではあるが、逆を言えば彼らの選んだ子供の側にさえ置いておけば、比較的安全に『管理』できるため、国はデジモンに選ばれた子供をわざわざ『選ばれし子供』と称して、どうにか都合良く手懐けられないものかと、色々画策しているようなのだ。
……そしてそんな怪物達が、あくまで画面の向こうにしかいないと思っていた数年前のある日。
リンドウの元に、蝶の要素を持つデジモン――モルフォモンが、やって来た。
そうして彼女は、
俺とアカネの娘は。
『選ばれし子供』と。名前以上に、そう呼ばれるようになった。
「……この際、売ってもらえるならそれでもいい」
僅かな沈黙を挟んで、それから口を開いた俺に、そうなの? と意外そうにハルカが疑問符を寄越す。
「デジモンが、少しでも身近に感じてもらえるようになるなら。リンドウみたいな子が『当たり前』になるなら。……その助けになれるなら、こっちだって、仕事を利用するさ」
「……」
「案外良い奴なんだぜ、モルフォモン。素直で愛嬌もあるし、年頃のリンドウも、親にも友達にも出来ない相談を、こっそりモルフォモンには話してるらしい。……アイツらは、ただの、友達同士だよ」
「……そっか」
ハルカは、笑ったように相づちを打った。
「ま、先生がそれで良いなら。あたしは個人的に、嫌いじゃ無いしね、デジモン」
「そうなのか?」
「うん。……それこそ、そういう夢でも見たのかもしれない」
「へえ。思い出したら、聞かせてくれよ」
「思い出したらね」
それで、と。
打ち合わせの続きをしようとした、その時――
――不意に、ぐん、と。左手に提げていた鞄が引っ張られた。
「!?」
ふわ、と広がった金糸のような髪が、傾いた俺の目線を横切っていく。
……思わず手の離れた俺の鞄を、自分のものみたいに提げながら。
「――り」
「? どしたの先生」
「ひったくりだ! 原稿の入った鞄!!」
「何やってんの!?」
慌てて追いかける。
まるでスキップするみたいに跳ねてるだけに見える割に、ひったくり犯――やけに毒々しいデザインの紫の帽子をちょこんと頭に載せた金髪の女性は、陸上選手さながらの速度で俺から遠ざかっていく。
「バカ! 周りに注意しなさいって言ったばっかりでしょ先生のおバカ!!」
「ほんっとうに悪ぃがスマン、後でかけ直す!!」
「警察、警察呼んだ方が良い!? 今どこ!?」
「わからん!!」
「バカッ!!」
電話が切れる。
また全力疾走だ。
「ああっ、もう! 金目のモンなんざ大して入ってねえぞ!? 返せって!!」
金の長髪に、いわゆるロリータ服か? 赤紫のエプロンドレス姿。
カラーリングを変えた『不思議の国のアリス』みたいだと。そんな印象が頭の片隅を過ってしまうのは一種の職業病か。
いや、白ウサギを追ったアリスと違って、追いかけているのは俺の方なんだが。
追いつけはしないが見失いはしない距離を保ちながら、赤紫のアリスは駆け回る。
……高台に設置された公園に向かって階段を駆け上がり始めた時には、ちょっと、その。大分殺意が湧いたが。
「ぜえ、ぜえ、ぜえ、ぜえ……」
登り切った時には、もはや足は棒のよう。息は切れ切れ。
だが、ここまで来れば行き止まりだと言い聞かせて、どうにかこうにか登り切った先で。
女はブランコに腰掛けて、鞄の中から、まるで中身を解っていたかのように1枚の絵を取りだし、空に掲げて眺めていた。
「……おい」
俺の到着を知って、女が絵を降ろす。
それは、多感で繊細だった時期に、最も好んで目を通していた歴史劇の脚本。その主人公をデジモンに置き換えたもの。
王冠を被らせ、剣を掲げさせた、桃色の鼠の姿をしたそのデジモンは、曰く、チューモンというらしい。
『リチャードⅢ世』
読ませたハルカが「この主人公なら猪か犬のデジモンのが良く無い?」と首をかしげていたし、俺もその考えが全く過らなかった訳では無いが――なんとなく、このデジモンにしたいと、そう思ったのだ。
妻も、それがいいと言ってくれた。
……割合、気に入っている絵だ。
「……返せよ。今返してくれるなら、怒らない、か、ら――」
女が振り返った。
そこに居るだけでこの世における均衡とは何たるやを物語る身体つき。
豊作が約束された稲田のように波打つ金の長髪。左には夕焼けを、右には夜空を湛える丸い瞳。
白い顔には左上から右下にかけて、まるで顔を分断するかのような大きな傷痕が走っているが、顔が良すぎてこれっぽっちも気にならない。
絶世の美女という、概念の具現化。
なの、に。
見蕩れたんじゃ無い。
単純に、驚いたとしか言いようがない。
何故だろう。
俺は、その女をひどく、知っているような気したのだ。
「良い絵だな、ゲイリー・ストゥー」
「え?」
「オレサマ、割合。お前の絵は嫌いじゃ無かったぜ。じゃなきゃ、『薬剤師』なんてやってられっかよ」
何かを問い返そうとして。
何も決められないうちに、瞬きをして。
次に目を開いた時には、彼女はもう、どこにも居なかった。
「……?」
ただ、風で、と言うには不自然に揺れているブランコへと歩み寄ると、奇跡のように、悪戯のように。ずり落ちる事無く、絵を乗せた鞄だけが乗っかっていて。
手に取って、持ち上げる。
――まるでその動作を、合図としたかのように。
青い空に、先の女の髪にも似た、何重もの黄金の帯が、駆け巡った。
「!?」
思わず顔を上げる。
陽光の中でも明々と輝くその帯は、なのにサングラスを介しているとはいえ光に弱い俺の眼にさえ何故か優しくて。
ひどく、ひどく美しい光景だった。
スマホが緊急速報を表すやたらとクリアな音声をかき鳴らす。
遠くから、あちこちから、同じような音が響いていた。
取り出して画面を開けば、中継映像を切り取ったもの特有のざらついた画像がトップを飾るニュースページに飛ばされる。
東京タワーの巨大クリオネデジモンが、所謂バッカルコーンにあたると思われる部位を開いて、しかし触手というよりも巨大な木に見える黄金の器官を高く高く天へと突き出し、その先端から、空いっぱいに――――世界中に。金の帯を、張り巡らせているらしかった。
……やがて。
その帯から、同じ色をした雫が大地へと降ってくる。
いや、雫じゃ無い。
楕円に近い小さな塊が、ゆっくり、ゆっくりと。
恐らくは、全ての人に向けて、分け隔て無く。
俺の、ところにも。
「……」
手を差し出す。
どうしても、そうしなければいけないような気がしたのだ。
受け止めなければと、そう思ったのだ。
案の定、それはふんわりと俺の両の手の間に降り立って。
「Hallo」と。随分気さくな挨拶を、ヒビの代わりに表面に走らせて。
次の瞬間。
卵が、孵った。
その日降ったのは、クラゲの雨だった。
紫色の身体に、大きな橙の一つ目玉を持つクラゲ。
なのに、何故だ?
俺の目はいよいよ完全におかしくなったのか?
どうして俺の目には、このクラゲが鼠や馬に、果ては大きな象みたいに、見えるんだ?
「う……あ、ああっ」
たちまち視界が滲む程に、涙が俺の目を埋め尽くす。
「ああ……あああああああああ」
わからない。
わからない。
どうして、自分が、クラゲに代わって産声のように。大声を上げて泣いているのか。
初めて見る筈の一つ目クラゲを、抱き締めずにはいられないのか。
わからない。
……わからないけれど。
会えて良かったと。
何故だか強く、そう思った。
その日、世界中の全ての人々の下へと。
老若男女を問う事無く、クラゲを宿した卵の雨が降り注いだ。
巨大クリオネデジモンは後に『ビッグウッコモン』と名付けられたが、それは単に名前が付いたというだけで、それ以上の事は、誰にも知る由が無い。
全ての人々がデジモンを得た事で、世界は控えめに言って滅茶苦茶になった。
当たり前が当たり前では無くなって。
混沌という混沌が当たり前になった。
良い事も悪い事も同じような数だけ起きて。
人も、デジモンも、お互いを受け入れたり、拒絶したりした。
右も左もわからない。
どこもかしこも『迷路』みたいな事になった。
ただ、そんな中でも、ひとつだけ。確かに言える事がある。
何せ、全ての人間に、パートナーデジモンがやって来たものだから。
『選ばれし子供』と呼べるような存在は、ただの1人も、居なくなった。
『Everyone wept for Mary』
おしまい
あとがき
『Everyone wept for Mary』は、映画『デジモンアドベンチャー02 ディアボロモンの逆襲』の描写から着想を得て執筆を始めました。
嘘です。「シャカモンを倒すマッシュモン」が書きたかったから始めました。
でも上記の映画から着想を得たのは本当です。
あの世界の東京の子供、ひょっとしたら初めて実際に見て触れたデジモンがクラモンだった子も多いんじゃないかな~と。
ひょっとすると、1人くらいは選ばれし子供達による回収を免れて、誰かのパートナーデジモンになった子も居たりして……と、私の処女作『デジモンプレセデント』の続編を作るとしたら、と温めていたネタを練り直したのが、本作だったりします。
いやまあ、シャカモンをブッ○すマッシュモンが書きたかっただけなんですけど、最初は。
この度は『Everyone wept for Mary』に最後までお付き合いいただき、まことにありがとうございました。この日のために出版社の違う『リチャードⅢ世』を2冊買いました。快晴です。訳者が違うと結構表現が違っていたりして面白いですね。
本作は上で触れた通り、ある意味で『デジモンプレセデント』の続編でした。
あの物語が『02』の続編を目指して書いたものであるのに対し、『Everyone wept for Mary』はアニメ作品のオマージュという側面が強いのですが。
毎回トンデモギミックを考えながら書くのは大変でしたが楽しかったですね! 毎回内なる快晴と殴り合いながら書いていました。皆様には満足してもらえましたでしょうか。してもらえなかったとしても、『エブメア』に関しては俺が満足なのでそれでいいです。
さて、ちょっと前2話であとがきをサボったので、そちらも含めた話を。
当初アーマゲイリーの最終進化形はオメガモンズワルトDEFEATの予定でした。グレイソードがデスルアーで出来てたり、最後のロストルム→カオスフレアのシーンはガルルキャノンの変形だったり、あと拘束具がばちんばちんにほどけてそれでランプスランツやったりね。まあベルフェモンくんは怠惰なので全然台詞無いんですけど……。
最終章の展開は初期からおおまかに決まっていたのですが、アーマゲイリーにとってリンドウちゃんとは何か? という部分は書いてみるまでわかんねーなのスタンスで来たので、当然苦戦しました。
人らしい情を覚えたけれど、その上でアーマゲイリーはやっぱりカスで。
でもカスだけど人らしい情を知って。リンドウちゃんは、有象無象では無くて。
じゃあ自分が一番楽しくなれれば良いよね! とあんな感じに収まった形です。
……まあ、書きながら自分でも「俺はどうして年端もいかない少女にこんな酷い事を……?」と思っては居ました。俺はどうして年端もいかない少女にこんな酷い事を……? どうしてあんなに健気で可愛いワームモンをこんな虫野郎に……?
最終回は、あれです。身も蓋もない言い方をすると金色のガ○シュ味。
イグドラシルに残った記録から再現し、死んだ奴も生きてる! リンドウちゃんは純人間! 本当にゲイリー……キミカゲの娘!! Happy End……。
全てリンドウちゃんにとって都合が良いように構築しました。まあこの後全人類にパートナーデジモンがやって来てしっちゃかめっちゃかになる訳ですが――キミカゲ氏はどんな形であれ、リンドウちゃんに看取られながら息を引き取り、彼女に泣きながら見送ってもらえます。それだけは確かです。
ここも最初はクラモンを降らす予定だったのですが、ビッグウッコモンがあんまりにも便利な設定をし過ぎていたので採用に踏み切りました。俺はびぎにんの設定ゆるしてないけどつかうものはつかうよ。でもやっぱりあの年代にデジヴァイス没収はまだ早いのでは……?
……なんか他にも書くことがあった気がするのですが、エブメアを完結させるためにホテルにセルフ缶詰した結果、食って寝てトイレと風呂入ってる時間以外はほぼ全部執筆に充てたので、その、そろそろ限界です。
楽しい時間でしたが……。
設定方面は、いずれXででも、また追々。
今はどうか、物語の終わりを一緒に祝ってもらえたら、作者はとても嬉しいです。
わーーーーっしぃょおーーーーーい!!!!!!!(深夜テンション)
……そういう訳で、今一度。
最後まで『Everyone wept for Mary』にお付き合いくださった皆様に、心からの感謝を。
それでは。
現状最後の連載作『エリクシル・レッド』や、現在私が主催を務めている『DGO』、他にも短編やら何やらで、またお会い出来れば、幸いです。
改めて、ありがとうございました!!
以下、感想返信です。
夏P(ナッピー)様
17話の返信がこちらになってしまって申し訳ありません。
この度も感想をありがとうございます!
設定開示回は……いいですよ……!
なんとびっくり、世界は繋がっているのでした。イグドラシルのやらかしで! ……重ね重ね、自分で作っておいて嫌な設定だ……。
デジプレで幸樹兄さんが指摘した通り(ステマ)、エンシェントワイズモンは、エンシェント老害と化した己の部分をある意味では恥じていました。
エブメアは、彼にとってはその清算の物語でもあったりします。まあ、それこそ話の本筋には、あまり関係の無い話なのですが。
パパサキは一生懸命やっているつもりなんですが、根本が虫なのでわかりあえません。キャラ造形にちょっと無○様が入っています。きれい(?)な○惨様。
アーマゲイリーがわかりあえる生き物だったのかは、まあ、その先の物語が答えという他無いのですが。
終わりました……。
最後の進化も、お気に召してもらえれば幸いだなと思う次第です。
改めて、感想をありがとうございました!