「お前、誰だ?」
我が宿敵と定め続けていたイザサキ タスクを前に、俺がやっとの思いで絞り出せたのは、そんなひどく間の抜けた問いかけだけで。
だけど、仕方がないだろう?
タスクは選ばれし子供としても規格外の力の持ち主ではあったが、だからと言ってパートナーの腕を生やしたりなんざしちゃいなかった。
「あなたに出来る事は、他のデジモンにだって出来るという事ですよ、アーマゲモン」
だが呆気に取られる俺に対して、あっけらかんと返してきたタスクの答えは、なるほど、言われてみればその通りで、「パートナーの腕など生やさない」だなんて、人間の皮の下にクラモンを巣食わせて生きているオレサマが吐く様な台詞じゃ無い。
だから疑問は、振出しに戻る。
こいつは誰だ。いや、何だ?
「い……や……」
結論を考えるよりも前に俺の頭を現実に引き戻したのは、聞き慣れた少女の、聞き慣れない震え声。
自分で吐いたゲロの前に蹲りながら、自分と同じ名前の花みたく真っ青な顔をしているリンドウは、しかし先程とは比べ物にならない程に身体を震わせて、嫌悪に満ちた眼差しをタスクに向けて、揺らしていた。
「おかあ、さん」
そうして口にしたのは、目の前の男の肩書では無く、この男に殺されたというもう1人の親の役名。
揺らいだ視線が、未だ倒れ伏しているルルの方へと、落ちていく。
「どうしたんだいリンドウ。お母さんはもういないよ」
「それは、あんたが」
「うん、そこの人と同じように殺したからね」
ひゅっと鋭く息を呑んだリンドウの顔が、更にくしゃりと歪む。
対象的に、タスクはにこりと微笑んだ。
人懐っこい印象の、しかし同時に、張り付いたような笑みだった。
「でも大丈夫。お父さんがいるからね。お父さんさえいれば、君が生きていくのには困らないだろう?」
「何、言って」
「さ。おうちに帰ろう、リンドウ。そしたら世界を護る選ばれし子供として、一緒にがんばろうじゃないか」
だがここで、リンドウの中の許容量が限界に達したのだろう。
リンドウはタスクから差し出された手を振り払って、その場から自分自身を弾き出すようにして、後退る。
「いやっ! 近寄らないで!!」
「? リンドウ?」
「よくも、よくもお母さんを! お母さんを殺しておいて、そんな――」
「アレは別に選ばれし子供じゃないからね。君を産んだ以上、もう死んだって誰も困らないじゃないか」
「な――」
「それよりも」
たったの一歩。
大人と子供の差。性能の差。
タスクはリンドウが必至で取った距離を一歩足を踏み出すだけで詰めて、すっと人間のままの左手を振り被ったかと思うと、何の躊躇も無くそれを振り下ろし、リンドウの頬を叩いた。
ぱあん、と銃声のように響き渡ったその音とともに、リンドウの小さな身体が地面に投げ出される。
自分が吐いた水たまりの中に、幼い少女は倒れ込んだ。
「っう!」
「ええっと、親に逆らうのは、良くない事だよ、リンドウ。それに、人間は叩かれると痛いんだ。君は僕の手を弾いたから、これは、僕が痛かった事を君に教えているんだよ。教育というものだ。さあ、これで僕の気持ちが解ってくれたかな? リンドウ。解ったなら、一緒に家に帰ろう」
「嫌!!」
リンドウは、起き上がれもしないまま声を張り上げた。
泣けもしないような、震える声で。
「あんたなんか親じゃ無い! お母さんのいない家になんか帰らない!! 私、私――」
「聞きわけの無い子だなぁ。そんなんじゃ、お父さんみたいになれないぞ」
リンドウが言う事を聞かないのなら。タスクのやる事は同じ事の繰り返しだ。
一歩前に出て、背をかがめて、手を振り上げて――
「これ以上、汚ェ手で『俺』の娘に触るんじゃねえよ」
割って入ったオレサマは、『ベレンヘーナ』の反動から修復した右手でタスクの手を受け止め、そのままその手を握り潰す。
にもかかわらず、タスクは手に関しては大して気にする素振りを見せず、ただ、俺の事をまっすぐに見つめて、ぱちぱちと目を瞬いた。
「リンドウは、僕の娘なのだけれど。それに、僕の手はリンドウと違って汚れてなんかいないよ?」
「ものの例えだよ話の解らねえヤツだな。それに、生物学上の分類ばっかりがニンゲンを親にするワケじゃねえんだとよ。……その手の素敵なお伽噺を、娘に呼んでやったコトは無いのかい?」
無いんだろうな、と鼻で笑う。忌々しい事に、そんな些細な仕草にさえ、自分の怯えが混じっているのが解った。
オレサマ、どうしてこんな真似を?
リンドウの事など、殴らせておけば良かったのだ。その隙を付いていっその事、初めにナツコにやって見せたように、コイツの娘ごと『カタストロフィーカノン』に巻き込むのも一つの手だった筈だ。
だというのに、オレサマはこうしてタスクの――タスクに見えるソイツの前に、飛び出している。
「そんなモノは、時間の無駄だろう。選ばれし子供は、パートナーと向き合っている時間こそを大切にするべきだ」
薄笑いを浮かべたままタスクは俺の腕を払いのけ、潰れた左手の皮を内側から押し破るようにして新たな手を生成する。
逞しい、空色の竜の三つ指――タスクのもう片方のパートナー、ブイモンの進化した姿・エクスブイモンの手を。
「そうかい? 本はいいもんだぜ? 今みたいな状況にも、丁度良い寓話を用意してくれる」
「というと?」
「例えば、ある朝目が覚めたら、バカでかい毒虫に変わっていた布地販売員の男の話だとか。男は終いには何もかもに見放されて1匹寂しくゴミのように死んでいくワケなんだが……逆の場合はどうなんだろうな? バカでかい毒虫から人間になったデジモンは、むしろ幸せになれるものなのかい?」
「お蔭様で、素晴らしい素質を持つ娘に恵まれたよ。タスクが最高の選ばれし子供だからこそ、だね」
「……さっきから、何の話、してるの?」
リンドウが、震える声で問いかける。
俺も、そしてタスクも。それ以上は何も言わなかったが、答えはすぐに露わになった。
「スティングモン、エクスブイモン、ジョグレス進化」
互いに間合いを取り、俺がゲイリーのガワを再び仕舞いこんでディアボロモンの姿を取ったのに対し、ズボンのポケットにでも引っ掛けていたらしい聖なるデバイスを輝かせたタスクは、自身の身体を0と1の配列にまで分解し――俺の知らない、しかし見知った組み合わせのデジモンへと、進化する。
「ディノビーモン」
『恐ろしい蜂』の名を冠する、虫の性質が強く表に出た突然変異型の完全体デジモン。
ディアボロモン(究極体)を前に、心底面白くない話だが――相手が相手だ。四の五の言っている暇は無い。
「『カタストロフィーカノン』!!」
胸部の砲台から光線を発射する。
……ディノビーモンが「いた」位置にそれが着弾した時には、勝負は既に決まっていた。
「ぐぎいっ!?」
身体が地面にのめり込む。エクスブイモン由来の丸太のような腕で押さえつけられた胸が完全に潰れ、砲台が内も外もひしゃげたのが解った。
「『ヘルマスカレード』」
胸に追いつけず浮かび上がっていた両手両足も見逃してはもらえず、途端に胴体から切り離され、地面に叩き落される。
悪い夢をみるまでもなく、オレサマは惨めな芋虫未満のモノに、成り果てて。
「……っ!」
「ゲイリー!?」
歯を食いしばる。それ以外には、身を捩る事すら出来ない。
「あの日」の比では無い。「力の差」だなんて、そんな軽々しく表現できるモノでは無い。
辛うじて動かした目玉が捉えた虫の複眼からは何の感情も読み取れやしないが、それでも解る。
それは、人間が虫を見下ろす時の目だ。
「心配はいらない、殺しはしないから」
ディノビーモンは、ジョグレス体特有の二重音声では無く、タスクの声単体のまま、俺に囁いた。
「……あ?」
「君には「この世界最大の脅威」のままで居続けてもらわないと、困るんだ」
そんな、わけのわからない言葉だけを残して、ディノビーモンが身を起こす。
「だから、僕がこの場で殺すデジモンは、ただ1体だけだよ」
リンドウに付いた、悪い虫。と。
そう無機質に言い放ったディノビーモンの視線の先には、血だまりの中横たわるルル――否、彼女が未だ胸の中に抱きかかえる、気を失ったままのモルフォモンの姿が在って。
「い……いや」
リンドウのか細い悲鳴に、ディノビーモンは気を留める素振りすら見せない。
「あの子は僕のリンドウとパスを繋いでいるんだね」
「やめて」
「あんまりにも矮小で気付かなかったけれど、でも確かに、あんなものでも関係を結んでしまっては、本当のパートナーとの繋がりは薄れてしまう。リンドウは、このせいで家に帰れなかったんだね」
「ちが、う。やめ、やめて。モルフォモンは、お父さんがくれた、私の――」
「今殺すから、今度こそ一緒におうちに帰ろうね、リンドウ」
「『ポイズン・ス・マッシュ』ッ!!」
俺はダメージを理由にあえて成長期まで身体を退化させ、地面にへばりついたままキノコ爆弾をディノビーモンに投げつける。
解っている。一般的に、昆虫系統のデジモンに植物系デジモンの攻撃は効果が薄い。加えて普段の、効果をあらかじめ確認しておいたものと違って、今回の『ポイズン・ス・マッシュ』は完全な行き当たりばったり。自分でも何を投げたのか解ったものでは無いランダムな一撃だ。
だが、刹那の間ではあろうとも、俺が今使える手札の中で、この攻撃が最も相手の視界を奪えるのも事実ではあって。
「!」
本当に、本当にほんの一瞬ではあるが、複眼の全てがキノコの胞子に覆われてたディノビーモンが動きを止める。
そしていくらディノビーモンが驚異的な身体能力を持つとは言っても、ゴキブリを捕らえられる虫なんて、基本的にはそうそう居やしないのだ。
「ゴッキモーン……」
か細い声が、身を潜めて居た先の戦闘における功労者を、今ひとたび呼び寄せる。
途端、俺を沈み込ませていた地面が消え去り、代わりに真っ暗闇がぽっかりと口を開く。
否、俺だけでは無い。ディノビーモンに比べればゴミ同然の力しか持たないこの場の全員が、『ドリームダスト』を使用した本人を含めてやはり当然のようにゴミの認定を受け、暗がりへと転がり落ちていく。
そして唯一ゴミの誹りを受けなかったディノビーモンもまた、ゴミ箱に頭を突っ込んでまで屑を攫い上げる程、落ちぶれた存在でも無いらしい。
どうせ、放っておいても向こうからこちらにやって来る、と。
どこまどもどこまでも見下ろした目を、俺はドブ底の底みたいなところから、見上げる他に無かったのだった。
*
「っ!?」
真っ逆さまに穴から投げ出された俺は、当然のように傘から着地してその場から2、3度バウンドし、ようやく止まった先で蹲った姿勢のまま、内に仕舞っていたゲイリーの肉体に身体を入れ替えた。
普段なら「他の姿だったら首が折れていた」云々悪態を吐いてやるところなのだが、そんな気力すら湧いてきてはくれなかった。立ち上がる事すら出来ない。ただ惨めに這いつくばって、潰れたクラモンのカスを何度も吐き出しながら、ルルがいつものように俺を詰って嗤うのを待つしかなかった。
そうすれば。
そうなれば。
全てが、元通りになるような気がしたのだ。
そして、そんな時間は、いつまで経ってもやっては来なかった。
「……」
耳障りな羽音に顔を上げると、リンドウとモルフォモンの背を右側の手それぞれで掴み、左の2本でパートナーを丁寧に抱えたゴキモンが、ようやっと穴から降りてきたところで。
どうにかにじり寄ると、ゴキモンがリンドウとモルフォモンを俺の前に下ろす。
モルフォモンは引き続き意識が無く、リンドウの状態は俺よりも酷い。うつろな表情のまま「いやだ」「やめて」「わたし」とうわ言のように繰り返しながら、時折「お母さん」と、どこにもいない女の肩書を呼んでいる。
だが、逆にその様子がいくらか俺を冷静にさせたらしい。
今はこいつらを後回しにする他無いと、俺は身を起こして、その場に丁寧に寝かされたルルの顔を覗き込んだ。
「ルル」
返事は無い。目は閉じられている。
「おい、ルル。起きろ。無い胸に穴まで空けてどうすんだ」
仕方がないから、俺の方から軽口を叩いてやっても、反応は無い。
だが、辛うじて。平面は浅い上下を繰り返している。
俺は眼帯からクラモンを一匹取り出し、そっとルルの胸の穴に近付ける。
……そうしても、クラモンは丸っこい全身を軽く傾けるばかりで、ちっとも平らになりやしない。
「……」
意味するところはただ一つ。
塞げないのだ。ルルの傷を。
種族の違い云々では無い。そんなもの、ゲイリーの肉体を好き放題いじれる時点で、今更だ。
これは、オレサマが奴と――イザサキ タスクのパートナーの超究極体に切り刻まれた時と同じ、再生不可の傷、という訳だ。
「……やめて」
だが、その時。
ふいに腕を持ち上げたルルが、ほとんど重力に従うようにして、俺の手とクラモンを払いのけた。
「っ、ルル」
「仮に治るとしても、そんなモノで盛る程、ルルちゃんは落ちぶれていないのです」
「お前」
「急所、ちょっとだけ逸れてるんだろうね。多分。……最悪。あたしがむざむざ死んでいくところ、リンドウちゃんに見せつける魂胆なん、だろう、ね……ッ」
ごぼ、と、堪えていたらしい、喉に溜まっていた血を、また口から噴き出すルル。
ひっ、と、リンドウが鋭く息を呑んだ。
「嫌……嫌……死なないで」
「リンドウちゃん?」
「私を、置いていかないでよう、お母さん……」
「……」
後ろから刺されて
でも、しばらくの間は死ななくて
行って、と。リンドウを『迷路』の入り口に送り出してから、彼女の母親は――イザサキ アカネは、事切れたという話だ。
こんな風にして、死んだのか。
そんな風に、死んじまうのか。
「おいルル、死ぬな」
「無茶言わないでよ」
「約束はどうなる」
「先にゲイリーが破った」
「俺が代わりに果たしてやるっつってんだろ」
「……」
ルルは俺を、鼻で笑った。
「そんな顔されても、中身が君じゃ、嬉しくないよ」
「……は?」
自分の――ゲイリーの顔に触れる。
寄った眉。見開いた目。への字に曲がった口。熱の無い頬。
この表情は、何だ?
「それに、末期の会話が君とだなんて、そんなの、お話にもならないもん」
「!?」
次の瞬間、俺はその場から突き飛ばされる。
顔を上げれば、ゴキモンが俺と、ルル。そしてリンドウとの間を隔てるように、立ち塞がっていて。
「……何のつもりだ、ゴキカブリ」
『迷路』生まれのデジモンだ。音を伴う返事は無い。
だが、ゴキモンは進化という形で、何よりも雄弁に俺に応えて見せた。
「……リンドウちゃん。おいで。こっちにおいで」
一方、ルルは地面に落ちた手を指先だけ折り曲げして、もう流せる血も残って居なさそうな自分よりも血の気の無い顔で頭を抱えているリンドウを手招きする。
「……おかあ、さ」
「違う違う。あたしは君のお母さんじゃないよ。……『アイツ』の奥さんだなんて、そんなの、ぜってー願い下げだやーい」
「……私、は」
紫色の円冠が、ゴミを持わけ隔てなく欲するゴキモンの頭上に輝き、杖にも見える細身の装飾過多の剣が、虫の身体を刺し貫く。
「ま、何にせよあたしを憐れんでくれるなら、ちょっと付き合ってよ」
ルルはどんどん弱々しくなる声で、あくまで軽く、リンドウに語り掛け続ける。
「最期くらい、女の子っぽいことしてみたいんだ。……ガールズトークってやつですよ」
「……ガール、ズ……?」
「もー、年齢いじりはNGって言ってるでしょー……?」
この期に及んでそんな真似をする程リンドウに余裕は無いとは、ルルも解っている筈だが、そうやって彼女は無理矢理にリンドウを自分の世界に連れて行く。
……だが、その前に、と。ルルはそれが今生の別れである筈なのに、なんでもない調子で、すっかり姿の変わり果てたパートナーへと、声をかける。
なるほど、見た目的にも比較対象が総白髪に長い髭面の今のコイツの側なら、10代も30代も誤差みたいなものだろう。
「ここからは男子禁制だから。メアリーの事、どうにかしといて……バルバモン」
そしてその魔王は、静かに俺を見据えたまま、当然のように赤い宝玉の付いた杖を俺に向けて構えた。
途端、デーモンの消滅と共にお帰りになった筈の地獄の業火が、この度は『パンデモニウムロスト』と名前を変えて、再びこんな地の底のようなゴミ溜めを掻き分けるようにして噴き出し、俺を取り囲む。
バルバモン。強欲の魔王。
かつてオグドモンであった者。
きっと最後に殺し合おうと、ゲイリー・ストゥーが約束を交わしていた女の、パートナー。
「上等だ」
俺は本日3度目となるディアボロモンの姿を、ゲイリーの中から取り出した。
そのまま、再生したての右腕を引き千切り、抜け出してきたばかりの炎の渦へと投げ込んで見せる。
「ハンデをくれてやる。ルル抜きのてめぇなんざ、これで十分だッ!!」
その場を蹴って、左手の爪を突き出して、バルバモンへと飛び掛かる。
掲げられた魔杖『デスルアー』を弾き上げ、喉元に喰らいつき、老人の姿からは想像のつかない膂力でぶん殴られて引き剥がされ、ごうごうと燃え盛る火柱を差し向けられて、それを躱して。
……そんな中でも、何故だろうか。
俺の聴覚は、風前の灯火じみたルルの声を、よく拾った。
「あのね、リンドウちゃん。あたし、好きな人が居たんだ」
「本当にどうしようもない男でさぁ。いい歳して、かっこつけで、嫉妬深くて、人間のクズで……人のこと言えた身分じゃないんだけど、それにしたって、ほんと、サイテーの男」
「でも……あたし、そいつがどーしても、ほしかったんだよね」
「……リンドウちゃん、もっと、顔、よく見せて」
「ああ……憎たらしい顔。本当に」
「お父さんに、よく、似て」
「だから、ついつい、いじわる」
「ばっかり、しちゃって」
「……ごめん、ね」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……これ。返す、ね」
『カタストロフィーカノン』がバルバモンの胸の、ルルに空いた穴と同じ位置を貫いた。
あとがき
なんか……ここまで来ちゃったなぁ。
という訳でこんにちは、『Everyone wept for Mary』15話を読んで下さり、本当にありがとうございます。スタックが積まれれば積まれる程書きたくなるのでエブメアは書くヤク。毎年この時期になると柑橘系の新作ドリンクを買っては「薬局の味がする……」と呟いている気がする快晴です。
今回は衝撃の真実回だったのですが、いかがでしたでしょうか。楽しんでもらえたのであれば幸いです。
まずは、満を持して登場したタスクパパ。処女作から定期的に毒親を便利ギミック扱いしてきた快晴ですが、タスク氏はちょっとその集大成みたいなところがあります。まあ毒親っていうか毒虫親なんですが、詳細は追々明かされるでしょう。
今明かせるのは本編通り、バカクソ強いって事だけですかね。アーマゲイリーでは疲弊しているとはいえ、完全体相手でも手も足も出ませんでした。どうやって勝てって言うんやこんな奴……。
そしてお話の後半は、ここまでエブメアを支えてくれていたルルちゃんとの最後の日常パートでした。『迷路』ではよくある事。
……乙女の秘密にかかわるので、この期に及んで多くは語りませんが、ゲイリーもうっすらとは勘付いていました。でも確信は持てなかったというか、後々罪の冠を奪い合う相手がそれは無いだろうと思っていたというか……そしてルル自身、恋は出来ても愛には出来なかったんですよね。それ故に強欲だけが手元に残っていたのでした。
完全に心が折れかかっているアーマゲイリーとリンドウちゃん。そんな中でアーマゲイリーに訪れている異変と、ルルの「返したもの」。最後の魔王に、本物『絵本屋』の所在、タスクの真意と正体、思ったより書く事が増えている気がして焦る快晴。
次回・次々回くらいでエブメア世界の謎はおおよそ明かされる""予定""なので、お付き合いいただければ幸いです。
改めて、ここまで読んで下さり、ありがとうございました!