「……ここは?」
ずっと黙りこくっていたリンドウも、俺の運転が行き当たりばったりではないと気付いたのか、流石に口を開いた。
他と比べてやや高低差があるのが特徴の、『迷路』のとある区域。オレサマ本体がここに訪れるのは、これで2度目か。
ゲイリーとしては二度と足を踏み入れたい場所では無かっただろうが、四の五の言ってはいられまい。そしてきっと、奴は同じ状況に陥ったとしたら、今の俺と同じ選択をしたに違いなく。
そういう、脳みそだ。
「レンタルビデオ屋兼ハンバーガー屋跡地、つったら解るか?」
階段の前で『レヴィアタン』を停め(性能的に乗ったままでも問題無く登れるとは思うが、まあ、揺れるのは揺れるので)、降りた俺に続こうとしたリンドウはバイクをデバイスに仕舞う手を止めてまでこちらを見上げる。
眉間には、あからさまな深い皺が刻まれていた。
「……『レンタルビデオ』の」
「安心しろ、掃除はしてある。いざという時の隠れ家の1つだ。……あるいは、『スー&ストゥーのお店』2号店って事になるかもな」
「聞いてない、そんなの」
「言ってないからな」
「店はどうするの」
「諦めろ。どうせ中の客ごと丸焦げだ」
言葉に詰まったリンドウを無視して店の前まで進む。
『迷路』の壁から突き出たドアノブには「どなたさまでもどうぞ」とバカみたいな丸文字で書かれたプレートが未だにぶら下がっており、せせら笑うかのように、薄ら寒い。以前奴の『試供品』を拝見した時のように、愉快な気持ちでは眺められなかった。
「はぁ」
スーとストゥーの、『絵本』のお店。
隠れ蓑としてそこそこ優秀であるが故に模倣しているとはいえ、アイツのように『絵本屋』という肩書に拘るつもりなど微塵も無い。
だが、何故だろうな。惜しく無いと言えば嘘になる。……いや普通に惜しいわ。あそこには俺(ゲイリー)の雀の涙ほどの収入を傾けた設備がいくつも存在する。別に上階はどうなってくれても構わないが、地下の製薬所は無事であってもらわないと、その。多少困る。
だが、帰還の目途などとても立てられない。というのが、現状であり、現実ではあって。
と、ドアノブに手を伸ばせないまま思案する俺の目の前で、内側からレンタルビデオ屋の扉が開かれる。
もちろん、にこやかに客と食材を出迎えていたであろうあのオンナともオトコともつかない美貌の人でなしと愛想の良いバーガモンは、もういない。
代わりに、居るのは
「え?」
ようやく追いついてきたリンドウが息を呑み、モルフォモンがその愛らしい見た目に反した唸り声を上げる。
俺達を出迎えたのは、女。それも、絶世の美女だった。
そこに居るだけでこの世における均衡とは何たるやを物語る身体つき。虹色の貝の中で静かに育てられた真珠のようにうっすらと桃色の光沢を放つプラチナブロンドの髪。左には夕焼けを、右には暁を湛える丸い瞳。白い顔には左上から右下にかけて、まるで顔を分断するかのような大きな傷痕が走っているが、顔が良すぎてこれっぽっちも気にならない。
纏う衣服すら、彼女をより良く魅せられるよう、何もかもが計算ずく――まあ正確には、頭にちょこんと乗せている、どギツいピンク色の帽子のみちょっとばかし浮いてはいるのだが、こればっかりはご愛敬――なので、
「よう、見惚れたかよリンドウ」
「そんな訳ないでしょ」
でも、これ。と、困惑するリンドウの前で、ソイツ――シャンブルモンを構成する色で塗り直されたメアリー・スーは、スカートの端を持ち上げて、上品にお辞儀などして見せるのだった。
「コイツはシャンブルモンの1号個体。俺とは別に独立させた、マッシュモンに進化するクラモン達専用のマザーだ」
リリスモンを喰った後、最初に進化したマッシュモンを、ゲイリーのデバイスから再構築したあのメアリー・スーのガワに押し込んだのがコイツ、という事になる。
本当に最悪の場合の予備として、恐らくもう他者にマークされる事の無い『レンタルビデオ』の拠点に潜ませていたのだが、とりあえずオレサマが生きている以上最悪なのは気分だけで済んでいるので、まあ、当面は小間使いといったところだろう。
礼儀正しいドアマンのように扉を押さえて道を空けたメアリーの隣を抜けて、ビデオ屋へと足を踏み入れる。
言いつけ通り、小奇麗にはしてある。調度品の類は基本的にそのままにしてあるようだが、ネガの奴、見た目通りその辺の趣味は悪くは無かったらしい。……まだここまでは、所謂「表の顔」なだけかもしれんが。
俺は白いソファへと半ば身を投げ出すようにして腰を下ろす。リンドウとモルフォモンが今なお用心深く周囲を見渡しながら入って来るのが見えた。
「どうするつもり」
音も立てずに扉を閉めるメアリーを横目で警戒しつつ、棘のある声音で問いかけてくるリンドウ。
俺はそんなリンドウを鼻で笑ってやったが、その音すらいつもより遥かに情けない。
「ンな事こっちが聞きてェよ」
「じゃあ体勢を立て直してあいつを殺すの。作戦を、考えなきゃ」
「口先ばかりは達者に戻ったなリンドウ。その威勢が続いている内にさっさとお前がナツコ達を始末してくれていたら、こんな事にはならなかったんだがなァ?」
「自分が余計な事したのは棚に上げるんだ」
「……オレサマのせいだって言うのかよ」
「お互いさま。あのラブリーエンジェモンに勝てなかったのは確かに私のせい。でもナツコとかいう奴が怒って憤怒の魔王になったのはあんたのせい。……私に煽られて腹を立てられる余裕があるなら、さっさとその怒りをあいつらにぶつける方法を考えて」
「……」
コイツ。
本当に、本当に可愛げが無い。
……ついでにやっぱり中身はオレサマの分け身だな。笑うなメアリー。クスクスと上品ぶっちゃいるが、小娘に言い負かされた俺の耳によーく届いている以上、どう考えてもわざとだろお前。
ったく、さっきまであんなにしおらしくしていたのが嘘のようだ。……いや、強がりが混ざっているのは間違いない。リンドウの顔色を窺うモルフォモンの不安そうな目は、いくらコイツが運命のパートナーではないとは言っても主の内心を誤魔化せない程度の繋がりは確立しているが故だろう。
だが、その上で。
デーモンの前身、ナツコとラブリーエンジェモンの時点でほとんど圧倒されていた相手に対して、リンドウのやつ、まだやる気ではいやがるのか。
「『迷路』と一緒で、抜け道はある」
ゲイリーを、『オトウサン』を殺した相手の口癖を引きながら、リンドウが歩み寄るのはこの店のカウンター。
シンプルだがくっきりとした木目にどこか高級感を感じなくは無い写真立てが、隅の方、しかしその前の席からは良く見える位置に、飾られている。
きっとそこが、カウンターの外に居る時の、ネガとバーガモンの席だったのだろう。
「ベルゼブモンじゃ勝てない。私じゃ勝つ方法も解らない。……でも、殺す理由は増えた」
リンドウは、語気を強めてはいるものの震える声を振り絞りながら、その言葉尻に反してひどく優しい手つきで写真立てを手に取った。
「お父さんのお店と絵本を無茶苦茶にしたなら、その対価は払ってもらわないと。……違う? 絵本屋、ゲイリー・ストゥー」
写真立ての中では、額に青筋を立てながら女の頭を踏みつけているゲイリーが、サングラス越しに苛立たし気な視線をこちらに投げかけていた。
「……バッカみたい。こんな写真しか、遺って無い」
リンドウの問いは、俺に向けたものだったのか。
それともガラス面に反射した、ゲイリーとは似ても似つかない顔の自分に向けた鼓舞だったのか。
「少し休む。反省会も作戦会議もその後だ」
いちいち判断する必要は無い。
俺は立ち上がって、奥の部屋へと足を向ける。リンドウが今この瞬間は俺に答えを求めなかったように、俺もリンドウの返事を待たなかった。……回らない頭を何に使った所で、どうせ、碌な結論は出やしない。
代わりにメアリーが後ろから着いて来た。報告は上がっている。向こうにあるのは、ネガの寝室らしい。
中のベッドを『撮影』に使った形跡は無いとの事だが、『1人の時間』を楽しむために使っていない保証も無い。が、一先ずニンゲンのように寝具に身体を横たえたいと願ってしまう程には、頭も体も相応に堪えているらしかった。
部屋の手前でメアリーが俺を追い抜き、また静かに扉を開ける。
「……」
その細腕を払いのけて半ば叩き付けるように扉を閉じた。乱暴な開閉音は、しかしいつまでも長引く女のクスクス笑いを誤魔化してくれるものでは無く。
ネガの寝室には、元の壁紙の模様も判断できないレベルで、おびただしい数の奴の『お気に入り』達の写真が張り付けられていた。
……隠し撮りで良いなら表の写真立て以外のゲイリーの写真もあったように見えたが、リンドウには言わぬが花だろう。そしていくらオレサマとはいえこんなところで寝られるか。寝てたまるか。やっぱりシュミはクソじゃねえか。
「青髭公の妻より酷い物を見たくないなら奥の部屋は開けるな。いいな」
踵を返して戻ってきた俺を、モルフォモンと揃ってジト目で見上げるリンドウから視線を逸らしながら、俺は今一度ソファに身体を投げ出した。
腕で右目を覆って視界に暗がりを被せる。
ああ、クソぅ。
最悪だ、最悪だ。何もかもが上手くいかない。
だが思い返せば、それは今に始まった話でも無い。
最初から。全てが上手くいった事なんて、そういえばこのオレサマには、本当にあったっけか。
*
「ダッッッッッッッッサ~~!! ださださださ~!! 「負けたらその時はその時。キリッ」とかキメてたクセに敵前逃亡とは恐れ入ったね。メアリーってばホンットにかっこ悪いんだ~! やーい、やーい」
俺の隣のカウンター席に腰かけたルルが、清々しいくらいの笑顔でつんつんと俺の側面を両の人差し指で突きまくる。……いや待て、なんか4本あるぞコレ。おいメアリー。便乗するな。おい。
「っていうか、ややこしいからマジでメアリーって呼ぶな。そっちでお前の猿真似してるのがメアリー。俺はゲイリーだっつってんだろ」
「仕方ないじゃん、君ってばゲイリーって感じじゃないんだもん! ね~? メアリー2号!」
ねー、と、口の形だけを真似て、ルルと鏡合わせであるかのように身体を傾けるメアリー(ルルに言わせれば2号)。なんでそんなにウマ合ってんだよテメェらは。あと鏡合わせつっても胸部にかかる重力が対照的過ぎンだよ。
「チッ」
俺を挟んで反対側の席から、力の限りの舌打ちが耳に届くのもこれで何度目になるのだろうか。『スー&ストゥーのお店』よりも狭い店内では、前にも増して、よく響く。
「リンドウ」
「その女を呼ぶのが丸一日おやすみに割いてお父さんの頭で弾き出した最善の策? 寝言なら寝てる時に言ってほしかった」
「気乗りはしないっつったのを「手段なんて選んでる場合?」で押し切ったのはお前だろうがよゥ……!」
「あんたが詳細を先に説明してたら反対してた」
モルフォモまでがカウンターの下で俺の足をぺちぺちと叩いている。
お前、後で覚えてろよ。
「まあまあまあリンドウちゃん!」
俺を引き続きつつき回しながら、平たい胸とカウンターが平行になるようにして身を乗り出したルルがこちらに割って入る。
「そうつんけんしなさんなよ。ルルお姉さん、こう見えて結構強いんだよっ?」
「……ふうん、お姉さん」
「もちろんメンタルもリンドウちゃんの心無いちゃちゃにも耐えうるレベルでつよつよですともルルお姉さんは。泣いてませんよ。よよよ」
「そこは折れろルル。ゲイリーとほぼ同い年の分際で「お姉さん」は、いくら胸囲が幼児未満でも無理がある」
「いーじゃんお互い詳細な生年月日はわかんないんだから。10代も30代も四捨五入すれば一緒一緒」
何か切り返す文言は無いかと脳内に検索をかければ、浮上するのは『幼年期の終り』の文字。多分そういう意味では無いが、オーバーロードの造形の良さに免じて一先ずルルの頭の悪い発言には目を瞑る事にした。答えは、こいつが50歳を過ぎてから。
ようするに、閑話休題。
「理論上」
『アイツ』がサングラスのブリッジを調整する仕草に倣って眼帯のベルト部分を軽くいじりながら、俺は声音に気持ち真剣みを帯びさせる。
「ルルはどんなデジモンだろうと弱らせる事が出来る」
「理論上、ね! それに、出来るのはあくまで弱体化まで。殺せるか殺せないかはデジモン次第、ってトコロかな」
よく言うよ。
「……デーモンの事は」
「多分イケると思うけど、確認のためにもまずは状況を整理しよっか」
訝し気なリンドウの視線をするりと俺を盾にする事で躱し、ルルは自分のデバイスを机に置いて、画面からホログラムを展開する。
言うまでも無く、憤怒の魔王・デーモンの立体映像だ。
「ここに来る前に遠目で確認してきたけど、やだやだ、マジで化け物じゃん。メアリーが尻尾を巻いて逃げちゃうのもうんうん、わかるってカンジ」
「安い挑発やめろ」
「プライスレスの事実だよ。……でも、ここから動く気配は無いね。それから、事態を察した『お仲間』が来ても追い払ってる」
もちろん、殺しはしてないけど。とルル。
目を閉じて、偵察用のクラモンに視界を繋げる。ルルの発言を裏付けるように、デーモンは出現場所からほぼほぼ動いてはいない。……周辺は進化の余波でかなりの面積が廃墟と化しちゃいるが。お蔭で見渡しは最高だ。クラモン1匹だろうと、あまり近付けば一瞬で気付かれて消し炭にされると実証済みである。
『スー&ストゥーのお店』も、今じゃ『迷路』の壁の残骸に混ざってしまっている。……地下室は瓦礫に埋もれた事が逆に功を奏していれば、まあ、ひょっとしたら輪郭くらいは無事な可能性もあるというのが希望的観測。なお、店内の監視カメラ代わりのクラモンには全く繋がらない。十中八九、蒸し焼きだろう。
「『レヴィアタン』で逃げ切れた通り、機動力ならこっちに軍配が上がる。わざわざ俺達を見失いかねない入り組んだ地形で戦う必要はねぇと、そこは冷静に判断してやがるな」
デーモン。憤怒の魔王。
『絵本屋』で確認する事の出来るデータを信じるのであれば、かのデジモンは相当な策略家の一面を持ち合わせているとされる。
同じく怒りの名を冠する怠惰の魔王(自分で言っといてなんだが、頭が変になりそうだ)、まだ見ぬベルフェモン:レイジモードが、ただ寝起きの怒りのままに目に映る全てを屠ろうと本能的に暴れ回るのに対して、デーモンは己の怒りの鉾先を滅するという結果のために、策を弄し、手段を選ばない。らしい。
憤怒の魔王に言わせれば、怒っているから意味も考えも無く暴れるのは、『怒り』に対する怠慢に過ぎないのだろう。
怒っているから、怒る意味のために、怒りを形にする方法を考えて、実行する。
復讐者、かくあるべし。と。まるでお手本のようじゃあないか。……オレサマがオグドモンから『憤怒』を喰い損ねた事実を踏まえると、心底面白くない話だが。それは一旦置いておくとして。
「となると解らねぇな。……どうして『お仲間』を遠ざけやがる?」
デーモンは復讐のためであれば、他のデジモンをも平気で利用するとある。ましてや今回の個体の中身は『選ばれし子供』だ。世界の脅威たるオレサマを殺すためであれば、味方の手を借りない方が不自然だろう。
「醜い今の姿を見られたくない」だの殊勝なことを抜かせる奴は、そもそも魔道に落ちやしない。
「仲間を……イザサキ タスクを信用できなくなってるって、可能性は無い?」
ぽつり、とリンドウが呟いた一言が腑に落ちる。
なるほど。
「無くは無い」
リンドウと衝突していた時点では、恐らく考えもしていなかっただろう。オレサマに平気で冤罪を擦り付けるくらいなんだから。
だがナツコの前に突き出された『兄の死』は現実であり、故にこそ、彼女の中の理想や信念を浸食した。
ミヤトが死んだのは、タスクが自分の妻を殺したせいではないのか、と。
そして実際にタスクの身が潔白であれば、少なくともこの場にリンドウという敵対者はおらず、ナツコは最初から兄の加勢に向かう事が可能だったのだ。
生きるにしても、死ぬにしても。その時は兄と、一緒だった。
そして仲間内で(兄を除けば)最も素晴らしい人格者だったタスクが「そんなもの」だとすれば、それ以外の有象無象に対して疑念が湧くと言うのも、無理からぬ話で。
「風が吹けば桶屋が儲かる」というか、「桶屋が儲かったのは風が吹いたから」みたいな因果だな。
頭に血の登ったリンドウの告白も、結果的には、意味を生んだ。
「なんだかよく解んないけど、つまりメアリーがよっぽど目立つ真似しなきゃ、他の『選ばれし子供』の相手まではしなくていい、ってコトでOK?」
よっぽど目立つ真似。
前提条件としては最初に奴らを相手取った時と同じ。「アーマゲモンは使えない」……いや、狭い室内でも無い以上、過度なディアボロモンの増殖も十分に目立つ。なので、それもダメ。
やってらんねぇよ。
「それでも監視役くらいはいる可能性はある。クラモンで見つけておくからメアリー、お前が潰せ」
ひらひらと振られた手は生返事じみていて大層癪に障ったが、ミヤトのハックモンが俺の正体をあっさりと見破ってきた以上、シャンブルモンとして独立させたコイツに仕事を任せた方がまだ望みはある。
態度はこんなだが、やるべき事はやるだろう。というか、オレサマの分け身がそれをしてくれないと普通に困る。
「おっ、ようやくメアリー1号もノってきたね」
「百歩譲ってやるからせめて1号で俺を区別するのはやめろ。お前を雇う以上はもうヤケクソだ」
デバイスを取り出し、ルルの前で画面側をカウンターに向けた。
途端、マッシュモンのものより数段毒々しい色合いをしたシャンブルモンのキノコが、山のように、積み上がる。
「あたし、タケノコの方が好きなんだけど?」
「知るか。……『X抗体』入りのキノコが混ざってる。っつってもか?」
ジエスモンGXから回収した、と付け加えると、ルルがひゅう、と口笛を鳴らす。
X抗体。
昔デジモンの世界で流行った病に対抗するために生まれた抗体だと聞くが、まあ『迷路』においては単純に、適性の有るデジモン用の強化アイテムだと考えた方が話は早いだろう。
「混ざってる、って事は、全部がそうじゃないんだね」
「単純にあんまり数が取れなかったのと、こっちの手元にもいくつか残さねぇと、後々培養も試みられねエからな。……見分け方は教えてやるよ。その上で、好きなように売りゃアいい」
「やっだー、信用第一の行商人にブラインド商法をやれってこと? うわー、うわうわうわー。メアリーったらあくどいんだー! でも発想と品は悪くないね」
いいよ、雇われてあげる。
そう言って、ルルは自分の胸をぱしんと叩いた。
クッションになるものが何も無いから、よく響く。
「行商人ルルちゃん、一世一代の大勝負! デーモンのデバフ係、承りました!」
デーモンのホログラムを消したルルのデバイスが、X抗体入りキノコの山を回収する。
「出来るんだな?」
「出来るよ~。これだけの大容量だと、ちょっと時間は稼いでもらわなきゃだけど」
「……」
そのまま画面を操作して、次にデバイスが浮かび上がらせるのはここまで挙げた戦闘の条件と、そこからルルが推測した作戦の流れ。
勝利条件は、言うまでも無くデーモンの撃破。
見通しの良いだだっ広い廃墟が今回の戦場。
デーモンの監視役が居るならそれを始末するのがメアリーの役目。ルルの仕事は、デーモンを弱らせる事。
デバフが効くまでの時間稼ぎと、そして効いてからの止めこそ、他の『選ばれし子供』を引き寄せないためにアーマゲモンもディアボロモンの増殖能力もほぼほぼ使えない俺と、デーモンにはきっとまるで歯が立たないリンドウのベルゼブモンの役目。
「……気が重いな」
うんざりとした感情のままに頭を抱える。
そんな俺とは対照的に、リンドウはふんと鼻を鳴らした。
「いつまでも弱気な事言わないでくれる? それも、お父さんの身体で。……「許さない」だんなんて、こっちの台詞。今度こそ、殺してやるんだから」
「そうは言うけど、こればっかりはメアリーの反応の方が正しいよリンドウちゃん。自分だって十分に『殺される側』なの、忘れてない?」
珍しく助け舟を出したルルの薄い笑みに、ぞわりと背筋に悪寒が走る。
なんだか嫌な予感がした。多分、ゲイリーが持つ経験則の方から。
「……臆病風に吹かれてた方が良いって言ってるの?」
「うーん。私はゲイリーが勇敢な男だったとは1ミクロンたりとも思ってないんだけど。いやまあ、ずっとビクビクしてろとまでは言わないよ。思いきりは大事。でも、リンドウちゃん。君、殺す殺す言うばっかりで、作戦や戦闘の準備はぜーんぶメアリー任せじゃん」
「ルル」
「はいメアリーも甘やかさない! ……その上で勝てるならまだいいけど、『選ばれし子供』を正面から打ち負かせる程の実力も無い。口で「殺す」って言うだけなら……いい例え、思いつかないな。うん、まあいいか。そう、誰でもできるんだよね」
「……」
「あっ、「頭で思うだけなら」も追加で」
主の不機嫌に反応して、俺にしたようにルルの足を翅の手で叩こうとしたモルフォモンを、即座にデバイスから飛び出したゴキモンが取り押さえる。
「ッ」
「『選ばれし子供』に従順過ぎるっていうのも困りものだよね。リンドウちゃんが解り易い顔してる限りはルルお姉さんに不意打ちなど100年は早いのです!」
「……あなたはどうなの。子供をいびるお伽噺のおばさん達なんて、大体碌な」
「ゴッキモーン」
もはや見ているのも痛々しいくらい肩をわなわなと震わせている年端もいかない少女の言葉を平然と遮って、四捨五入すれば10代と変わらない歳の女はパートナーの名前を呼ぶ。
「……!」
どこまでも大人げの無い現実が、リンドウの目の前に転がった。
「あたしは実在のお姉さんなので、ちゃんと言動に行動が伴ってまーす!」
それは、奇妙な形のデバイスだった。
リンドウも既に見ている筈だろう。ナツコのものを見損ねたとしても、きっと『父親』が肌身離さず持ち歩いていたに違いない。
側面がケロイド状に溶けだした『選ばれし子供』専用の聖なるデバイスは、カウンターの木目にぶつかった衝撃でいくつか破片を跳び散らかせた。
……何が「殺せるか殺せないかはデジモン次第」だよ。
「リンドウちゃん。あたしね、君の事嫌い」
今度こそ言葉を失ったリンドウに、饒舌な行商人は畳みかける。
「別に君だから嫌いなんじゃないよ。なーんにも考えないで甘ったれてるクセに、世界で一番不幸そうな顔してる奴はみんな嫌い。思考停止なんて、幸せな人間だけの特権なの」
『お父さん』に、教わらなかった? と。
それが、ルルの止めの一撃だった。
「――っ!」
顔を真っ赤に染め、うっすらとでも泣き出していない事が不思議なくらいしかめた面のまま、椅子から飛び降りたリンドウは乱雑な体当たりでゴキモンをモルフォモンから引き剥がし、そのまま俺達の方へと振り返らなかった。
「ああ、リンドウちゃん。最後に、これだけは覚えておいて」
『スー&ストゥーのお店』のように逃げ込める部屋も無いリンドウが、外に続くドアに手を伸ばしたタイミングを見計らったかのように、こちらも彼女の方を向きもしないで、ルル。
「……何」
「年上のお姉さんにからかわれたくなかったら、もう年齢いじりとかしちゃダメだゾ」
返事は無く、扉を乱暴に閉める音が響き渡り、店の中はルルの胸以外、僅かに揺れた。
「おい、ルル。おい」
「ははっ、リンドウちゃんったら、可愛いんだ。……根っこの部分が、愛されて育った子供だよね」
『選ばれし子供』って、まったくよー、と。ルルは焼け焦げた聖なるデバイスを指で弾く。
聞く耳と胸の凹凸を持たないこの女をどうたしなめたものか、と今一度頭を抱える俺に、「それはそれとして」とまたしても先手を打つのは、ルルの方で。
「メアリーもさぁ、リンドウちゃんの事甘やかし過ぎなんだよ。いや、甘やかしすぎっていうか、方針がぶれぶれ? ちぐはぐ?」
「あン?」
「何も考えないで自分の命令に従う駒が欲しいっていうのがメアリーの本音。自分で考えて動く優秀な兵士の方が強いっていうのがゲイリーの思考」
「……」
「違う?」
違う、とは、断言できなかった。
振り返ってみれば、思い当たる節があり過ぎる。
「あたしはゲイリーの方に振るよ。君だって、命令通りにしか動かない兵隊なんか土壇場じゃ大した役に立たないって学習したから、わざわざゲイリーの死体なんて、この世で一番おなかに悪そうなものを食べたんじゃないの?」
いやまあ、それでおなかじゃなくて頭にキちゃったのが現状なんだろうけど、と、勝手な推測を重ねてルルは俺を、オレサマを鼻で笑う。
「だから、もうちょっとよく考えてみたら? 別に状況は最悪でも何でもないでしょ。むしろ憤怒in『選ばれし子供』だなんて、食べたら滅茶苦茶パワーアップできそう! って、以前の君なら舞い上がってそうなものなんだけど」
「……言い返せねエな」
「言い返しなさいよ。ゲイリーならそうしてた」
それだけ言って、ルルもまた椅子から降りる。
「決行は明日。詳細は後でメールを送る」
俺は結局、半端に死んだアイツの模倣すら出来ないまま、簡潔な今後の予定ばかりを口にする。
「ほいほーい。報酬は貰ってるからね。そこは確かに、任されましたよーっと」
振り返らない俺に代わって、メアリーが店の外までルルを送る。
どこまでも、以前のオレサマ(メアリー)とは対照的だった。
傲慢と、暴食。
オグドモンを喰らおうとした時、オレサマが取り込む事の出来た罪の剣は、この二振りだけだった。
獲物を喰らう行為そのものに昂ぶりを覚えられなくなったのは、いつまで経っても満たされない飢えを手放した弊害か。
世界全てに見放された男の膨れ上がった嫉妬心は、オレサマに再びアーマゲモンとしての形を与えた。
気に入ったモノを蝕みやがては壊し尽す好事家の色欲は、マッシュモンというオレサマの新しい武器を、毒を更に育て上げた。
そして、憤怒が復讐の完遂を是とする魔王であるのならば――
「多少、興は乗ってきた」
ひとりごちる。
『選ばれし子供』に2回もしてやられた恐怖は、自分で思っている以上に俺の中に刻み込まれているらしい。
ルルはああ言ったが、それこそ知りもしない、考えもしないからこその物言いだ。安い挑発に過ぎない。……そして俺は、そんなものを高く買わされる。
アイツは、クソのように優秀な商売人だ。
「リンドウ」
表に出て、裏手に回る。
段差の下で蹲っていたリンドウは、モルフォモンを抱える腕にだけ力を込めて、振り返りもしなかった。
「何」
「何もクソもあるか。こんだけ煽られたんだ。お互い悔しいだろう? ……考えるぞ。デーモン相手に時間を稼いで、アレをブッ殺す方法をよォ」
「元気出たんだ。あの女と話して。へえ」
「……」
面倒臭い拗ね方しやがって……!
俺はリンドウの隣に腰を下ろしてデバイスからあるものを取り出し、モルフォモンの触覚の隙間へとそれを置いた。
リンドウが、顔を上げる。
X抗体入りのキノコ2本と、ミヤトの聖なるデバイス。
ここに置いた以上は、もう、リンドウのものだ。
「デバイスの使い方は知らん。だが、元の所有者が死んだ以上、ミヤトとの接続は切れてる筈だ。使えるようなら使え。……旧式よりは、パートナーの出力を上げられる可能性がある」
「こっちは?」
「さっき言ってたX抗体入りのキノコだ。ベルゼブモンに適性があるのは知ってるな? こっちも、お前の判断で使え」
ディアボロモンもX抗体に適正自体は持っているが、思考回路にも影響を及ぼすと聞いている。危険な賭けに出るよりは、純粋なバフの類としてリンドウ達に使わせた方が何かと役に立つだろう。……ベルゼブモンX抗体のデータを信じるのであれば、ひょっとすると、それはデーモン相手に、切札に成り得る。
「今度は丸投げなんだ」
「こっちもこっちで色々考えてンだよ。お前にまで首が回らねェんだ」
「……別にいい」
リンドウが、キノコとデバイスをモルフォモンの頭部から取り上げる。
途端、デバイスの中央にある液晶画面に、光が瞬いた。
「あんなオバサンに偉そうに言われなくたって、私、ちゃんと考えてる。言ったでしょ。今度こそ殺してやるって。……本当のパートナーじゃなかったとしても、モルフォモンと勝てるって証明して、明日、ルルに謝らせてやるんだから」
「……目的はデーモンの方だぞ? 見誤ってくれるなよ」
「わかってる!」
吐き捨てるようにそう言って、リンドウは一応迎えに来てやった俺を置いて店へと引き返す。様子を見に来た(あるいは嗤いに来た)メアリーの事も、当然のように押しのけて行きやがった。
……さあて。どうしたものかな、ゲイリー・ストゥー。
泣こうが喚こうが、使える手札はここに出揃ったもので全てだ。重ねようが並べようが、あのズルの塊みたいなデーモンには及ばない。ついでに四捨五入すれば同じなんていう屁理屈も通用しない。
それでも
ルルに「ゲイリーじゃないから負けた」等と宣われるのは心底癪に障る。そして、奴が死んだ以上、「ゲイリーでも負けていた」と証明する手立ては失われている。
「ゲイリーでなくとも勝てた」という事実を用意する他に、俺の傲慢(プライド)を満たす方法は無いのだ。
『選ばれし子供』の激昂に、はてさて、俺達の癇癪は通用しうるのか。
「はっ、見ものだな」
リンドウとモルフォモンの後を追いながら吐いた台詞はどう足掻いても自嘲で、こんな物でも、狼煙ではあった。
第2部入ってから初の感想がここまでのまとめてになってしまい、すみません。
かつては守られるしかない子供が成長して物語の中心となる話は定番であり個人的にも好きですが、動機と契約相手があまりにダーク。リンドウに対してメアリーの提示したタスクは本物の「絵本」の探索とすべての七大魔王の捕食、そして選ばれし子供の殲滅。与えられる報酬は世界を台無しにすること。
復讐者の物語の初戦はゲイリーも終始警戒していた強い変態ネガ。色欲の魔王を伴うのも納得ではあるものの、若過ぎる復讐者を圧倒できる辺りやはり強い変態でした。だが変態だからこそ、性癖を利用されて撃ち抜かれる。救いなのはそれが気に入った男が遺した作戦だったことでしょう。第1部で存在を放っていた放っていたキャラが一話で散るのは時の残酷さを感じます。
。
次なる相手は迷路に入り込んだ二組の「選ばれし子供」。店の地下室に誘い込んだアーマゲイリー(夏Pさんも呼んでいたので)はミヤトとジエスモンに宗教バトルを挑むも、そこは世界最大宗教。苦行の押しつけも奇跡パワーで押し切られる。こともなく、倒したと思ったその瞬間が無間地獄の始まり。ゴスゲで少年少女のリョナ性癖を開発したかもしれない、シャンブルモンの鬼畜キノコの収穫祭りに、かつての少年少女を僕ウォで絶望に叩き落したディアボロモンの無限増殖鬼畜ゲー。ジエスモンGXという奇跡を起こしても、バグやチートの域でなければ鬼畜ゲーはクリアはできない訳で。ましてや勇者が魔王を討伐する話でもない訳で。ハイクソー。二度とやらんわこんなクソゲー。……スッ(コントローラー握りつつ)
一方、選ばれし子供のナツコとラブリーエンジェモンに相対するのは、選ばれし子供だったリンドウとベルゼブモン。世間知らずの少女と暴力反対を掲げる天使の浮きっぷりに笑いながらも、リンドウからすればその振る舞いすべてが癪に障るのも納得。望み通り話し合いに答えたところで、結局話し合いにはならずに正面衝突。……する前に割り込んだアーマゲイリーが自らの戦果を掲げて幕を引きにかかりましたが、これはBPOの審議でもアウト間違いなしな所業でした。落とし前として、仕留めたはずのラブリーエンジェモンの亡骸はパートナーと悪魔合体して憤怒の魔王に。これは流石のアーマゲイリーもボーナスステージと笑えるはずもなく、一時撤退。ハイクソー。二度とやらんわこんなクソゲー。……スッ(コントローラー以下略)
攻略の鍵を握るのは中身が変わっても付き合いを維持してくれる肝の据わったオバ……麗しい女性のルル。レイド戦においてデバフやバフが重要ということはパルデアちほーのワンパン戦法で身を持って理解しているので働きには期待したいところ。ただ肝心要の火力は制限付きである以上、果たして収穫ほやほやのキノコと奪った新型デジヴァイスのバフがどこまで効果を発揮するのか。
ラスボスが義理の娘と世界を台無しにするRTA。次回も楽しみにしております。
P.S
ホグワーツでの我が分身のウェイパー・ペルペットくんはパジャマ姿でマントを翻しながら進んでいたらフラグ管理のバグか何かで詰みかけました。こまめなセーブとロードはいつの時代も大事
PS4版レガシーも発売日まだ先だからよ……夏P(ナッピー)です。
あの引きから一話作戦会議で使うのかよというのが予想外でしたがマジで作戦会議だ。ルルおばry お姉さん今回地の文で何回貧乳煽りされとんねん。実は今回ずっと背景で笑っていた節のあるメアリーもそこ嗤え、笑えじゃなくて嗤え。というか後書きで戦慄しましたが、しかも今回日常回扱いだったんか……前回のあの引きでエエエエエエエ。
てっきり純粋にゴーストゲームオマージュ及び作者様の性癖の具現化かと思っていたら、実は重要な要素だったっぽいキノコの勇姿。ロイヤルナイツから生えたキノコは売れるぜェ超売れるぜェとかじゃなく、物の見事にデジヴァイスと共に前フリが来たので次回はつまりそういうことなのでしょう。サクッと殺されましたが本人達より殺された後に遺されたキノコとデジヴァイスの方が存在感があるミヤトの勇姿、ひでえぜ。ところでディアボロモンではなくアーマゲイリーがX抗体キノコ取り込んだら人間の状態でトコモン先輩みたく前髪がX字になった説。
ルルお姉さんの台詞はゲイリー本人いるとこで言って欲しかったというか本人がどう聞くのか見てみたかった感。
それでは次回もお待ちしております。
快晴宅において汚物デジモン枠がやたら強いのは有名でもない話。
はい、という訳でこんにちは! 皆さんホグワーツレガシーは楽しんでますか? 私はSwitch版はまだ当分発売が先だと把握していなかった上他のハードのパッケージ版も普通に店で売り切れていたマグル、快晴です。
この度は『Everyone wept for Mary』13話を閲覧いただき、誠にありがとうございます。お辞儀をします。
今回はデーモンから逃げたゲイリー達が何処に向かったのか、再戦はどうするのかの日常&作戦回だったのですが、いかがでしたでしょうか。
なんかメアリーがぬるりと復活しましたね。本来は予定していなかったのですが、前々回のミヤト戦で無理やりシャンブルモンを実装した手前、それを管理する係としてメアリーの側を再利用するのもアリだと判断した結果、カラーと中身をチェンジしての再登場となりました。いえーい。本家メアリーより多少お淑やかですが、性格は普通に悪いです。
あと今回のアーマゲイリーは大分へこみ気味です。ゲイリーを真似るためにやっている童話を使った言い回しも、余裕が無いので控えています。でもルルの胸はいじる。平面だから。
まあ散々平面ネタを擦っているルルに煽られてようやくやる気が出たので、次回はリンドウちゃん共々、なんかいい感じに戦ってくれる事でしょう。次回の戦闘描写は次回の快晴が頑張ってくれる筈。
……しかしルルと共闘するまで長かったなぁ……。
と、いうわけで14話はVSデーモンとなります。
多分次のお話で、エブメア第2部も折り返しとなりますかね。
ただでさえ強いデーモンが『選ばれし子供』の恩恵を受けた状態に、ルルをパーティーに加えたゲイリー達はどう立ち向かうのか。
次回もお付き合い頂ければ、幸いです。
それでは以下、感想返信となります。
夏P(ナッピー)様
この度も感想をありがとうございます!
魔王戦は手段であって目的では無いので……いやまあ、ナツコちゃん達がデーモンになったのはゲイリーにとっては想定外でしたが、エブメアの魔王達は中ボスポジションなので、サクサク行きます。
はい、大分余計な事しましたアーマゲイリー。ひとのこころが解っていませんね。
リンドウちゃんの覚悟が本当に決まっているのかについてはもうしばらくさて置きまして、三枚目なのにリンドウちゃんの地雷を踏みまくっていくラブリーエンジェモン&そのパートナーはずっと考えていたキャラクターなので、お披露目出来てほっと一息です。まあすぐに実質の退場しちゃったんですが。
モスモンの鱗粉を利用した弾は、正直快晴が銃撃戦を書くのがアホ程苦手な故の苦肉の策でした。ただ、これまでマッシュモンから出る粉を散々悪用して来たので、自然な形には落とし込めたかなと思う次第です。
まあ……死体利用はロマンですからねぇ。
タスクパパのしている事より酷い真似をしている、というのはまあ、確かに事実なんですが、それでもリンドウちゃんにとってお母さんは世界で1人だけだったので……相手にとっての大切な人も、世界でたった1人だけ、という部分にまで考えが及んでいるかは、また、追々。
『迷路』の治安は最初からダメなので一周回ってセーフです! 壊せるところもまだまだあるので、お楽しみに!
改めて、感想をありがとうございました!
また近々、私の方も夏P(ナッピー)様の作品にお伺いします。