時間と空間が捻れるほどの激しい戦闘が繰り広げられている
デジタルワールドの狭間でロイヤルナイツと終焉の王、アポカリモンが世界の命運をかけた戦いをしていた
ん?
言い方を訂正しよう
ロイヤルナイツとアポカリモンが戦っているのではなく"手を組んで戦っている"といえばわかりやすいだろう
奇妙な光景が目の前に広がっている
ロイヤルナイツのオメガモンとアポカリモンが共闘している、が敵を屠った後となると?
ご覧の通り
目的の敵を倒したらロイヤルナイツの目標はアポカリモンとなった
だけど、結構手こずっているようだ
触手に捕まれば退化され、四方八方から全デジモンの技を繰り出されちゃ苦戦を強いるよな
だがオメガモンが相手なら話は別
オメガモンはアポカリモンの触手を全て切り裂き、本体にウォーグレイソードを突き立てトドメを刺そうと身構える
「何を企んでるか知らんがここでお前を消せば世界は平和になる」
「平和のため?ふふ、…我々を消せば解決すると?それで平和が訪れるとでも思っているのか?笑わせる!」
「何がおかしい」
「お前は考えた事があるか、デジモンは誰しも生を全うすればデジタマに還る、ならば還れなかった命はデータは何処にいくというのだ?」
アポカリモンは肩に突き刺さったウォーグレイソードを握り、自らの肉体へ深々と押し刺していく
「我々を消せば全てが丸く収まると思っているのか?怨念は、恨みは許してもらえるまで漂い続けるぞ。今ここで我々を亡き者にした後もいずれ新たなアポカリモンが誕生して繰り返すだけだと知っていても構わないというのか?」
「だからなんなのだ?第2第3のアポカリモンが誕生しようと私たちは何度もお前を倒してやるだけだ。」
「その通りだ。だが我々はまだ消えたくない、生きて、この世全ての怨念を何とかしてから逝かねばならない」
「…本気で言っているのか?」
「105代目オメガモンよ、お前もそう思わないか?お前だって今のデジタルワールドの在り方に疑問を抱いたことは無いのか?」
「…」
「この怨念が世界の染みならば我々の手でこの流れを終わらせるのだ、オメガモン、お前も手を貸してくれ」
「何故暗黒デジモンである、お前がそこまでする?」
何か企んでるのではないか?
「お前は、生まれ変わって最初に言われたい言葉はあるか」
「なんの話だ?」
「我々、いや、"私"にはある、『生まれてきてくれてありがとう』という恵、祝福の言葉だ。だがそれを言ってもらうにはもっと善行を積まねばならぬ」
生まれてまもないアポカリモンが初めて見た人間世界の親子のやり取りの最中、あの言葉が頭から離れない(※終焉の王が生まれた日より)
生きたいと思った動機がそれだ
だから、1人でも頑張るのだ
前世も来世も生きててよかった、生まれてよかったと思える自分自身になりたい
「アポカリモン…」
「もしも最終的に我々が消えることが答えとするならばその時、お前がトドメを刺せ」
「いいのか?」
死ぬのが怖くないのか?
暗黒デジモンとはいえ消滅しても無事に転生できるとも限らないだろう
「その時のことは…なるべく考えないようにしている、ただ我々は…」
この世界がたまらなく愛おしいのだ
全人類を恨んでいるが世界は恨んではいない
何故なら、今尚変化し続ける世界ならば我々の様な暗黒デジモンでさえ住め、受け入れてもらえる世界にだって作れるはずなのだから
だから耐えてみよう
怨念たちに蹂躙されようと
負の感情が毎秒蓄積されようと
「最後まで私はこの世界を愛してみせよう」
ロイヤルナイツと交わされた契約
来るべき時、終焉の王を処刑すること
しかし何万年もの時が経とうと処刑は実行されなかった
アポカリモンは今も尚、救済を模索しながら日々耐え続けている
だが、今の彼はひとりではない
「アポ、ボクも一緒に連れてってね」
「ああ…」
愛しくてやまないピコデビモンと共に今日もアポカリモンはデジタルワールドと人間世界を行き来する
ふたりに新しい可能性と新たな希望を世界は委ねている
いつも感想いただきありがとうございます!
ひと夏が来る度にデジモンの日が毎年タグや再放送などTLに流れてきますが、それを見る度にやられ役のアポカリモンが不憫でならないんですよね
もっとアポカリモンを救える道はないのか探究しながら書いております。
手記下手ながらもアポカリモンとピコのおかげでここまで書くことが出来た次第にございます
感想いつも励みになってます!
ありがとうございます🦇🙇♀️
感想が遅くなりました、夏P(ナッピー)です。
オメガモンとアポカリモンが共闘して戦っていた相手って……?
文字や役割、そして世界の中で果たすべき役割だけを示されると、オメガモンの方が機械的で無慈悲に見えてしまうという。ここでのアポカリモンの台詞は、デジモンアドベンチャーでは割と掘り下げきれずに“倒すべき敵”でしかないまま切り捨てられてしまった「我々にだって感情はあるのだ!」という訴えに近しいものを感じます。
こーいう別の短編や作品との繋がりが感じられる描写大好きですよ。アニメの中では倒されるべき敵として作られ、その通りに倒されたアポカリモンですが、そうでない世界や可能性があったっていいじゃないという奴。愛と勇気は言葉、感じられれば力。
そして最後の数行、あるいは最終行の為にこの話は構成されていたのだと気付く奴! いい!!
それでは今回はこの辺で感想とさせて頂きます。