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てとちん
6月18日

DIGITAL SPIRAL ~人と獣の物語~ #2 キョウダイ

カテゴリー: デジモン創作サロン

今にも消えてしまいそうな時に『それ』は現れた


ぼんやりとした姿しか見えなかったが…その姿は『怪物』であった


だが、不思議と恐怖は感じなかった

むしろ、親近感を感じた

そして見覚えがあるようにも思えた


無意識のうちに出た言葉は


(ありがとう)


何故その言葉が出たのかはわからない

その『怪物』が何者なのかも今はわからない


そして



一時の夢が終わる





◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆





意識がはっきりしてくる・・・目を開いたがいまいちぼやけてよく見えなかった

こすろうにも


腕が


手首が


指が


動かなかった


仕方なく目が慣れるのを待つ


ようやく見えてきた風景は病室の一室だった

思わず口を開く


「なんで・・・病室に・・・?」


どうしてこんな状態になったのか記憶をたどろうとする


しかし激しい頭痛で遮られてしまう


(なんだよ・・・手も足も動かねぇ・・・動くのは目と頭と首かよ・・・)

今まで骨折とかをしたことがない新庄頼賀からしたら今までとは全く違う体験となった


イライラしているところに聞きなれている声が聞こえた

声が来る方に顔を向けてみると


「あら?あなたかなりしぶといのね。それでいて自然治癒能力も高い・・・気分はどうかしら新庄頼賀(しんじょうらいが)君」


彼女は面会とかで使うパイプ椅子に座っていた

動揺しながらも口を開く


「なんで・・・あなたがここに・・・廻陰さん・・・」


そこには自分の友人である新月結の姉、新月廻陰(しんげつみおん)がいた


「何でってあなたの看病をしているのよ。今私の膝の上で寝てるこの子の代わりに・・・ね」


そう言われて頼賀は膝の方に目を向ける

するとそこには結(ゆい)が廻陰の膝の上で座りながら寝息をたてている

瞼の下で光が変な反射がするのが見えたが気にしないことにして


「・・・重くないんですか?」

思わず心配の言葉をこぼす


「けが人のあなたに心配されるほど貧弱ではないわ、それにずっとやってきて慣れてるし」


「そういえば・・・なんで俺は病院に・・・?」


けが人という言葉に反応しスルーしつつ今ある疑問を声に出す


その言葉を聞いた廻陰は少し驚きはしたが冷静な口調で事情を説明しようとする


「正直言ってあなたが覚えてないんだったらこの子しか全部知らないことになるのよね・・・起こす?」


「でも・・・疲れて熟睡しているみたいなのでいいですよ・・・ん?」


廻陰の提案を断ろうとしたところで間抜けな声が聞こえる

廻陰の膝の上で眠っていた結が目を覚ましたのだ


「ふぁあ~姉さん、頼賀の様子はどう・・・って目覚めてたの!?よかったー!!」


寝起きのまま喜びのあまりなのか手を握られた

全く・・・いつも感情の変化が急な奴だなーと思っていたら、廻陰が結の耳に小言で囁いているかのようだった


囁いているのはあまり俺に聞かせたくないことだろう

と勝手に思い込み視線を逸らす


意識しないことで耳に入らないようにした


「頼賀君が目覚めたが記憶が抜け落ちている、それに尋常ではない再生能力も・・・もしかすると」


・・・はずだった


普通ならば聞こえないほどの小さな声であるにもかかわらず

もし万が一聞こえても何を言っているかわかるはずもない


なのに頼賀の耳にははっきりと届いていた


届いていたがゆえに思考が追い付かず口調を荒げてしまう


「もしかするとって何!?確かに俺はそんなに怪我の治りが速くないほうだけど、急にこうなったのには何か理由があって廻陰さんや結には心当たりがあるっていうのか!?そしてそれは記憶が抜け落ちてることにも関係している可能性があると・・・詳しく説明してくれ!!」


言い終わった後に我に返り・・・表情に影ができる


それからほとんど間を開けずに「入りますよー」と言って中に入ってくる人物が一人

その姿を見るや廻陰と結は二人そろってこう呼んだ


「「先生!」」


と、結達の担当医なのだと思っていた


「あら、廻陰ちゃん、結ちゃん久しぶりだね~何か月ぶりかしら?背伸びたんじゃない?」

廻陰と結に対してとても親しげに話し・・・母性を感じるような白衣を着た女性がそこにいた


「あなたは初めまして・・・じゃないわよね、中学で一回だけあっているはずだもの」


そう言われ記憶を手繰り寄せようとする・・・抜け落ちている部分に関係することでなければ問題なく思い出すことが出来た


「確か・・・結のお母さん?」

中学の授業参観で一度だけあったことがあるような気がした


「あら、覚えててくれていたのね、それはよかったわ、新庄頼賀君」

本当にうれしそうな表情をしてこう続けた


「一応私があなたの担当医になったの、改めて自己紹介するわ、私は[[rb:新月 藍>しんげつらん]]よ、よろしくね」


やはり名字が同じ・・・結の母親が医者なんて初めて知ったが・・・


次の言葉で詰まってしまう


「強く信頼している友達なんだろう?記憶の補完ついでにあれのこととか話してやってもいいんじゃないかい?」


???????

訳が分からなくなってきた

(記憶の補完と一緒に話さなければならないことがあるのだろうか・・・それもいままで言えてなかったことを・・・)


結の顔を見ると悲しそうな表情を、廻陰の方は覚悟を決めたかのような表情をしていた


「彼が私たちのことを知っても、信じてはくれなさそうですけどね」


廻陰が冷たく言い放つ

そこで


「まあ物は試しでいいじゃないか、ここまで言っちまったらこの子も気になってしょうがない状態だと思うけどねえ」


言い出しっぺである本人は面白そうににやにやさせている

後は結ちゃん次第だねえと結に選択を迫っていく


「・・・その前に約束できる?これから話すことは僕たち家族と深い関係にある人にしか知られていない事・・・一度話を聞けば君はもう戻れなくなり・・・僕の見方も・・・きっと変わる。だから」


一呼吸開けて結は今まで以上に力強く問う


「君は今まで通り、僕と接してほしい、友達でいてほしい、僕は・・・怖かったんだ、知られることも、知られた後のことも・・・今まで積み上げてきたものが全部消えてしまうんじゃないかって」


「いつか言わなきゃいけないってわかっていたけれど・・・怖くて・・・折角3年以上も一緒に居られているのに・・・失うのが怖いんだよ・・・」


そう言うと結の顔には罪悪感からか涙がこぼれ落ちていた


「言いたいこと、全部言えたか?」


普段の口調を崩さず、頼賀は続ける


「結や廻陰さんがどんな道を歩んできたか、俺には想像できない。でもさ、今まで言おうとしなかったことを言ってくれるってことはそれだけ俺のことを信用してくれているんだろ?なら俺の答えは決まってる。」


「言ってみろよ。隠してきたこと。そりゃ俺にもお前に言えてないことがあるし・・・黒歴史とか・・・それに比べたら天と地ほどの差かもしれねぇが・・・」


そして笑顔になって


「ありがとな、結、お前と出会えたおかげで俺は毎日が楽しくなったんだ。結構お前の行動に振り回されたり呆れたりもしてたけど、後、なんか覚えてないけど病院送りになってたりと色々あるけどな・・・今お前が俺の一番の友達だって思えるんだよ」


そう聞いて、結は表情が崩れる


「ぶっ・・・なにそれ・・・はははは」


涙を流しながらお腹を押さえて笑い出す

その様子を見て安心したのか頼賀は気になったことを口に出してみる


「ところでさっき俺を失うのが怖いとかwお前はどれだけ俺のことを愛しているのk」

「今すぐ黙らなければ貴様を集中治療室送りにするぞ?」


安易にからかい、ガチギレの結に脅迫されて生命の危機を感じる


「病院にいなければ半殺しにしていたかもしれない・・・」


「病院の外でも勘弁してくれ・・・」


他愛もない言い合いに発展していき周囲の空気が和んでいく


「平和ですね・・・」


「そうねぇ、結ちゃんにこんな友達がいるなんてねえ・・・安心だよ」


平和な光景を眺めている二人がしみじみと感じる




互いの覚悟は決まった




後は、





受け止めきれるかだ










◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆




一息ついて落ち着いたところで


「じゃあ私はこの辺りで・・・この病室は個室だから3人でゆっくり話しなさいな、廻陰ちゃん、結ちゃん、頼賀君の状態の説明とかしておいてねー」


残った仕事があるのか、何かを察したのか藍先生は病室から退室していった

病室から出て離れていったことを確認した新月姉弟は頼賀に今回の事件について語っていった


「え・・・?マジかよ。俺が結を庇って頭殴られたっていうことなのか!?」


頼賀は気絶する直前のことを聞いて自分でも驚きを隠せない


「んで、頼賀が気絶した後、なんとか残った3体を気絶させられたんだけど・・・」


結がそこまで言ったところで結は表情を暗くして


「僕じゃ・・・何も出来なかった。頭から血を流していく頼賀をただ泣きながら呼びかけることしかできなかった・・・でもそこで異変を感じた姉さんが駆けつけてくれて」


結は廻陰の方を向く


「なんとなく周囲でおかしなことがあってね・・・スマホの画面がバグってたんだ、あと、結と君が本屋に行くことは知っていたから大体場所は絞れた。駆けつけた時には全部終わってた」


「私ができることは一つだった」


「常備している救急箱で先生から教わっていた応急処置を施し、病院に着くまでの時間稼ぎをすること」


(え?廻陰さんっていつも救急箱常備してて応急処置もだいたいできるの!?)


頼賀はいつぞやに結の大体何でもできる姉といっていたことを思い出して感心していた


「結に119番通報を促し、最大限できる限りのことをして救急車が来るまで処置を続けた」


「んで君は病院で治療を受けて不幸中の幸いとして五体満足で今ベッドで寝ているの」


廻陰さんがあらかたの説明はしてくれたが解せないことがあった


「あの・・・結局俺らからかつあげしようとしても飽き足らずぼこぼこにしてきたやつらは一体・・・?少し思い出せたけど・・・あれってデジモンなんじゃ・・・って」


一番大きいくらいの疑問をぶつけてみる

廻陰さんはともかく結は必ず何かを知っているはずだからだ

でなければあのとき異常ともいえるほど落ち着いていた理由が分からない


「ここからが本題なんだよ・・・覚悟はいい?」


結の言葉にうなづいて返す


「結論から言うと、襲ってきていた4体のデジモン、あれは人間だった。それもただの不良みたいなかんじの」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」


結の言葉に訳が分からなくなってくる・・・人間がデジモンに?そんな馬鹿な、ただでさえデジモンですら空想の産物なのにそんなものになるなんて・・・・


「んで、私の可愛い弟と頼賀君をくだらない理由で傷つけたその『4人(くそども)』の身柄は警察に引き渡したよ、裁判起こせば確実にふんだくれるな」


とんでもなく声が怖くなり、さらに口も悪くなっている廻陰に恐怖している頼賀に、結が言葉を引き継ぐ


「恐喝、暴行、殺人未遂・・・一応僕が最後吹っ飛ばしたのは正当防衛として認められてるし・・・というか気絶させただけなのに過剰防衛判定もらったらそれはそれで困るけど」


頼賀は苦笑いしている結にあることを聞く


「結は・・・わかってたのか?人間がデジモンになってるって・・・あいつらがそういうやつらだってことを・・・」


「・・・うん・・・」


「なるほど・・・あの時の違和感はそれだったのか」


「え?」


頼賀はその時に感じていたことをそのまま結に伝える

それを聞いた結は納得したような反応をした


「ねえ、頼賀」


「たぶんだけど、あなたも前兆があったと思う」


「それって・・・デジモンになる・・・?」


「なるというかなれる・・・かな?」


「どのタイミングでだよ・・・少なくとも俺の覚えている限りそんなことなかったぞ」


可能な限り否定してみるが・・・


「じゃあ僕を庇ったときのことは覚えてる?明らかに人間の・・それもけが人が瞬時に割り込める距離じゃなかったんだけど」


「・・・・無我夢中で詳しくは覚えてねぇよ・・・」


「本当に・・・?」


「ああ!!もう!!言えばいいんだろ!そうだよ、俺がへまやらかして蹴り喰らってダウンしてるときでもお前が心配してくれてることに劣等感を抱いてたらお前がバランスを崩しててとっさに助けたいと思っって走ろうとしたんだよ!!そこから先は覚えてない・・・せいぜい目が覚める前に何かと会ったような感覚だけだよ・・・」


今思い出したことを自虐含めてわかっていることを全部話す

結は今の言葉の自虐をスルーしつつ確信を持った様子で納得していた


「やっぱり庇うときに・・・一時的でもデジモンの力を使っていた・・・それも無意識のうちに・・・姉さんの言ってた異常なほどの再生能力も納得できそうだ」


「???つまり俺が今こうして生きているのも・・・俺の中に宿ってる・・・とかでいるデジモンのおかげっていうことなのか?」


「そんな感じに考えてる・・・もしかする僕や姉さんみたいに究極体くらいだったデジモンが宿ってるのかもね・・・」


色々話が飛躍しすぎているような気がするがなんとかついていく・・・

そして今何気なく聞き捨てならないことを聞いた気がする


(僕や姉さんみたいに・・・・?)


疑問に思ったら聞かないわけにはいかなかった


「おい・・・まさかと思うが・・・言えなかったことっていうのはそれだったのか?」


「それもあるけど・・・まずはそれを伝えた方がいいかもね・・・姉さん!」


そう言うと廻陰は正気になり会話に復帰する

どうやら話はずっと耳で聞いていたようで特におかしく思わず続ける


「じゃあ・・・自己紹介お願いできる?『相棒さん』」


じゃあ僕もという結


その瞬間・・・まるで別人にでもなったかのように雰囲気がガラッと変わった


そして廻陰の口がひらく


「・・・初めまして・・・と言うべきだろうか新庄頼賀君?私はアルファモン。そう言えば君ならわかると思うが・・・今は自己紹介だけにしておくよ」


耳を疑った

恐ろしい雰囲気を出しながらも弟を愛する廻陰とは話し方も雰囲気も何もかも違っていたのだ・・・それに今聞いた名前に間違いがなければ・・・『アルファモン』と名乗っていた

ネットワークの守護者に相当するロイヤルナイツの抑止力的存在がなぜ・・・(言ってしまえば最強クラスのデジモン)


続けて結も雰囲気が変わる


「そんじゃあ俺も・・・だな。俺の名はオウリュウモン、アルファモンの相棒だ」


これもまた耳を疑った・・・デジモンの中でも最高クラスの攻撃力を持つ『オウリュウモン』であると、それでいてさっきのアルファモンの相棒だと・・・頭がパンクしそうだった(しれっと一人称変わってるし・・・)


「とま、こんな感じで私たち姉弟はデジモンと一緒に生活していたっていうわけ、学校とか行ってる時間は眠ってもらってたりしてて邪魔にならないように配慮していてくれてたの」


元に戻った(?)廻陰が淡々と語るが頼賀が納得できるわけもなく


「い・・・一体いつから…」


「10年くらい前だったかな?僕が姉さんと出会う少し前くらいかな?確か姉さんはその1年前くらいにはもう邂逅していたって聞いたかな」


「そ、そんな昔から・・・」


「だから二人?2体?とも頼賀のことは知ってるよ。寝てても実質僕たちそれぞれと記憶とか感覚は共有してるから」


次元の違う話に疲れリアクションが出来なくなってくる・・・

そして納得する・・・事情を知らない・・・何もかもただの人間としての面しか知らない自分に気を使ってくれていたと・・・あの時の悲しい表情も・・・確かにとんでもない秘密だ・・・と


そして更なる謎が・・・

(ん?10年くらい前に出会った?)


「おい、ちょっと待てよ。10年前に出会ったって・・・一体・・・?」


理解不能な言葉を聞きそれを理解しようと返す

それに答えたのは廻陰だった


「簡単な話・・・と言っていいのかはアレだが、私と結、そして藍先生に血縁関係はない。言ってしまえば義理の家族だ」


なんということだ・・・義理の家族・・・だったら藍先生をお母さんと呼ばないのも納得がいく


そしてと結が続ける


「ここからも大事さ。なぜ義理の家族となったのか・・・時系列的には姉さんからの方がいいかな?」


「わかった。だがここからはさっきのデジモンが宿っているよりも現実的で深刻な話になる・・・心して聞いてほしい」


義理の家族となったことは・・・そう考えつつも頼賀は頷くしか出来なかった・・・ここまで来て引くわけにはいかなかった。














◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆








私の本当の家族は・・・父親がサラリーマンであり、母親が専業主婦、そして私のいたって普通過ぎる家族構成だった・・・聞いた話によるとかなり夫婦仲はよく父が色々と奔走している苦労人だったそうだ


俗にいう鬼嫁に近く有無を言わさずに父を黙らせることが出来るほど・・・そしてそんな両親のもとで私は生まれた


普通で人並みの幸せも得られると誰もが思っていた



だが私が1歳のころに私は死んだ



はずだった



ちょうどその頃デジタルワールドで起こっていた事件にリアルワールドが関わっているとにらんだアルファモンがリアルワールドへやってきていた


しかし世界の法則が違う・・・的な感じでアニメとは違いデータの肉体を維持できなくなっていた


そんなところで消滅の危機に迫っていたアルファモンが死んで間もない私の身体に目を付けた・・・いやその時には死んでいたとは思っていなかったがな


赤子であれば容易に潜り込めるかもしれない


手段を選ぶ余裕がなかったアルファモンはやむを得ず廻陰の肉体に宿った


結果的に言えば成功であった。アルファモンと命を共有するという形ではあったが、私は息を吹き返した


病院にいた人や両親は「奇跡だ!!」と歓喜していたそうだ。そりゃそうだ、可能な限り手を施したが助けられなかった命が息を吹き返したのだ


死んで間もなかったからそれで済んだ話のようだがな




それから5年後の6歳


その頃には私はアルファモンの存在を自覚し幼子特有の好奇心やらでアルファモンを困らせていたそうな


そして親子3人と・・・自分だけが知る同居人(?)1名との小学校生活が・・・と思っていたさ










父が会社帰りに通り魔によって殺された







まだ幼過ぎて父の突然の死に理解が追い付かなかった


そして悲劇は連鎖する






母が病に倒れた




よくは覚えてはいないが、『悪性腫瘍』と『全身に転移』だけは覚えている

今ではその意味が分かる・・・助かる可能性が低いことも


私は毎日、母の病室に通った


ただのいつもが消えてなくなるのが本能的に怖かったんだろうと今では思う




そして母が死んだ・・・





それからはその時の担当医であった藍先生が母と古い付き合いだったこともあって私を養子として引き取り育ててくれた












◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆









それから1年後・・・姉さんが7歳になったころ


僕が6歳になってすぐ


両親が他界した


理由を知っている人は居なかった


ただ死んだ・・・とだけ伝えられ、もう帰ってこないとも・・・


もう帰ってこない・・・その一言で理解するのは容易かった





家族を亡くした私は雨の中、街をさまよっていた




そしたら不良どもに・・・絡まれ、訳の分からないまま腹を頭を、全身を殴打され、重症を負った


その時に姉さん・・・廻陰さんが通りかかって・・・不良どもを全員なぎ倒して・・・私を助けてくれた



でもその時の僕は致命傷になってもおかしくない傷を負っていた・・・


でも廻陰さんは僕を見捨てずに応急処置を・・・そしてこの病院が近かったのもあって119番通報より藍先生に連絡して重症がいる、近いから抱えてでも連れていく

って言って・・・アルファモンが廻陰さんへの肉体への手助けもあって病院に運ばれて一命をとりとめた


助かった後に助けた理由を聞いたときに・・・


「似た者同士だったような気がした」


そう言われて・・・

よくは分からなかったけど


『体内にデジモンを宿している』ことだったみたいだったんだけど

その後の調べで僕が廻陰さんと同じく『天涯孤独』の身であったこともあって




「一緒に暮らしたい・・・見捨てたくないんだ」


廻陰さんの藍先生対して初めての(?)わがままを言って・・・経過観察も含めて・・・そしていずれ恩返してくれよという形で養子になった


それから色々ありながらも『オウリュウモン』と邂逅したり、身体鍛えたり・・・


二人で高校に入ってから二人でアルバイトして今のマンションに住み生計を立ててるっていう感じにに落ち着いた










◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆









「こんなところかな。流石に6歳のころだし近しい人とか全然いないから僕のやつは詳しくは分からない」


そう締めくくる結に頼賀は


「そんなことが・・・というか廻陰さんの一回死んで蘇るって何?某超人特撮か何かなのか?二人が出会ったきっかけって救う救われるだったの!?廻陰さんのブラコン理由が分かった気がする・・・それに結の『失いたくない』の意味も分かった気がするよ」


二人の大雑把な説明に理解と納得と感想を持っていた


頼賀の反応に廻陰が少し驚いたようで


「ふぅん、結の考えた通り・・・なのか・・・珍しく私の読みが外れた・・・負けたなこりゃ」


一体何と勝負していたのかわからないが殺意が向いてないのでよしと考える


「つまり、お二人とは今までと基本的には同じで問題ないかと、流石に猟奇的大量殺人とかやってたら考えてましたけど(笑)」


「僕らがそんな風に見える?」


「見えるからそう言った」


「「(´・ω・`)」」


反射的に即答すると本当の姉弟と思われても仕方がないレベルに反応も似ていた・・・義理でも姉弟なんだなーと再確認する







強大なデジモンを宿していても、元はただの人間


力の使いよう次第でどうにもなる


破壊者にも、守護者にも




「俺には誰が宿っているんだろうな・・・はやく・・・会ってみたいな」


(無意識的にでも力の一端を使うことが出来たんだ・・・前兆はある。守られるだけなのはごめんだ)





「はあ・・・まずはこのけがを早く治さないと・・・」




異常な治癒能力があるとはいえ死にかけたのだ

数日はかかるはずだ・・・復帰後の勉学から目をそらしたくなる・・・





現実と非現実の板挟みに苦悩する未来を見てただ嘆く・・・






「もっと心の余裕が欲しいなぁ・・・」

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夏P(ナッピー)
6月23日

 続き来るの早い! 夏P(ナッピー)です。


 というわけで一気に明かされたァ! 待って俺も頼賀クン以上に理解が追い付かない。姉弟には何らかの秘密があるとは思いましたが、前回襲ってきた4体も人間だっただとぉーっ! そりゃパートナーデジモン来ないぜ! しかも普通に警察に引き渡したとか言ってる!?

 ほう母さんが女医……と思ったら速攻で義理の母であることが明かされてまたもパニック。しかもアルファモンかつオウリュウモンだぁーっ!? そういえばしっかりデジモンの認知がされてる世界観なのでアルファモンが高位なるデジモンであることは説明せずとも理解してもらえるのは嬉しい。流星塾ばりに二組の両親死んだ話がバンバン出てきましたが、これ自体に意味はあるのか……いや父さん殺した通り魔ってこの流れ的にデジモンじゃ……?


 それでは次回もお待ちしております。

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