信じるか信じないかは見た人に任せることにする。
皆が大好きなオメガモン。
少し前の話になるが私は少し感じ取れる体質で同じ嫌な感じのデジャヴを味わう方角に植物を置いた。
その方角に置くはずだった植物がまず地面に落ちて割れた。
その方角にその植物を置いたら枯れた。
その方角には確かに何かがあった。
オメガモンは半ばその災いのおまけのような感じでついてきた。
オメガモンとの付き合いはその災いのついでの時から始まる。
その場所に植物をおいたら、その方角に置いた植物は案の定、枯れた。
私は植物じゃなくて大量のジャガイモをその場所に置いた。
私は寝ている時に夢を見た。
…オメガモンがその場所に置いてあったジャガイモをグレイソードで切っていた。
災いとオメガモンは別だった。
何故ならば災いとデジモンは気配が違う。
オメガモンなどは軽い挨拶のようなもので人間に対しては友好的だ。
妙な客が来たと私は思った。
オメガモンがグレイソードでジャガイモを切っている時に私は軽い性的な興奮を少し覚えたのだった。
これは同時に神経がシンクロした時に味わう現象の為どちらの性癖でもない。
軽い挨拶のようなものだ。
その時からオメガモンとの付き合いは始まった。
信じるか信じないかは別として私はパートナーになったデジモンの声を聴くことが出来る。
そして現実のリアルで本当にデジモンテイマーをしている。
現実のデジモンテイマーは本当に、実に地味だ。
実際のデジモンは確かにお化けや幽霊とは違う。
だが本当にデジモンがリアライズするときは大抵物を媒体する。
そうでなければ似たような現象が起こる。
出来るものは認知して察して捕らえてデジモンという皮を被せてしまうのだ。
私はその場所にオメガモンという皮を被せたわけではない。
本当に偶然にも彼はふらっと、迷い込んできたのだ。
オメガモンの声がわずかながら聞こえた。
(…おかしなものは居ないが何か妙な気配がする。)
彼の言った通り、たしかに妙な気配はする。
災いとデジモンは別らしい。
オメガモンから初めて聞いた声だった。
私は置いてあったジャガイモに目を寄越す。
ジャガイモの名前はメイクイーン。
とある映画で似たような名前のデジモンの系統をオメガモンが始末していた事をふと思い出した。
アニメの形を象るへんな何かは物語にとことん忠実な性質をしているため、オメガモンも七大魔王も現実界の物語の設定に逆らえない。
何故ならば彼らは肉体を持って実在、架空の存在だからだ。
故に、公式に定められた設定が彼らに対して効力を発揮し、概念と意味が形の無い彼らを縛る。
どうやら肝心の彼はメイク―モンとジャガイモのメイクイーンを間違えて迷い込んできたらしい。
概念に数はない、デジモンに数など無い。
そして似た何かがあれば間違える。
そして、穢れた何かを吸って汚れる事だけはハッキリしている。
本当にあるのだ、こんなことが。
実体を持たぬがゆえに言葉文字には彼らはとことん忠実で逆らえない。
私はデジモンになる前の彼らの姿がどんな形をしているのか見たことがある。
煙のような黒い塊で煤のような感じだ。
私の視界の端にちらりと映る、目ではない謎の場所で私はそれを見ている。
不吉というやつだ。
お世辞にもあまりいい感じはしない。
出来れば私もそれを見る事だけはご勘弁願いたい。
何故ならばそれを見た時に私は気分を悪くするのだ。
頭が痛くなったりイライラしたりといった具合から本当にひどい気分になるものまでさまざま。
オメガモンとの付き合いが始まったのはその頃からだ。
私はその日以来、オメガモンの声と共に生活をしてきた。
オメガモンには裏の意味がある事に気が付いたのだった。
とある映画ではメイク―モンを始末していた。
オメガモンが切っていたのはジャガイモ。
芋。
芋を切る。
芋の意味。
洗練されていない。
ダサい奴。
などの意味を持つ。
現実では洗練されていないダサい奴を切るのかお前?
辛辣な話、彼らの基準を満たしていなければ殺すという意味だ。
現実の世界に出ればヒーロー全般はあまり性根がいいとはいえない。
だがそんなことは問題ではない。
好きならば好きだとはっきりと言えばいいのだから。
私の感じる妙な災いとは同じ場所に何回も不快な現象が起きたりすることだ。
なにかある。
いつもそう思う。
それも手に負えない何か。
ある時、デジモンリアライズでオメガモンマーシフルモードのガチャが宣伝された時に私は姿かたちを持つ前の黒い煤がよく映る目ではない空間でオメガモンのウィンクを感じた。
引けってことだ…。
私はそう直感した。
だが、私はしばらく引くかどうか悩んでいた。
私が立っている場所、道路で車が通り過ぎていく。
私の目の前を車4台を積んだキャリアカーが通り過ぎていく。
キャリアカーが信号で私の真正面に止まった。
積まれたキャリアカーの車がこちらをめがけてミシッと揺れる。
それとよく似ていたのがオメガモンマーシフルモードのウィンクだ。
殺す気はないが引かないとやっちまうぞ!!
という意味だ。
私は自宅で覚悟してリアライズのガチャを引いたが一度目で案の定ウィンクの分とミシッと揺れたオメガモンの分を引いて合計で2つオメガモンマーシフルモードを引いた。
ああ、やっぱりそうか。
で、私はガチャを引くと苦しむ体質をしている。
何故ならば、彼が彷徨って吸って来た苦しみを私が自分のものとして味わう事になるからだ。
引いたオメガモンの苦悩は随分と寂しそうで切ないものだった。
彼は尊大だった。
そして周りに守るものが誰もいないのだ。
私は夢の中で黒い煤の中で苦しむオメガモンマーシフルモードを見た。
私はオメガモンと共にこの感情に苦しんでアルコールで頭を痛めたりしたが三日間過ぎれば苦しみは引いて行った。
頭を抑えながら私は聞く。
(気分はどう、オメガモン?)
重く静かな声が頭に愁いを帯びて響いた。
(少し、落ち着いた。)
これで会話は成立して私達は正式に主従となった。
私はゲームのガチャを引くと得体のしれない苦悩に苦しむ。
デジモン達には救いがある。
彼らも基本的に人間が好きだからだ。
人間と関わって遊びたいのだ、彼らも。
だが、そこに何かあるのをお忘れなく。
初めまして、夏P(ナッピー)と申します。少々遅くなってしまいましたが感想を書かせて頂きます。
作中で交わされる話題として、この現実世界が舞台ということで良いのでしょうか。いきなりメイクーモン始末されたことに触れられてダメだった。あとガチャ回すと苦しむとはいえ、10連(?)一発でマーシフルモード引いたの凄いな!? しかしウインクの意味合い的にマーシフルモードなのに慈悲が無い……いやこれでもある方なのか。
最後の二文+二文が色々と考えさせられました。災いを倒すとかそういった話ではなかったか……。
それではこの辺で。