スコープ越しの視界は良好。反してこちらの姿を標的が逆探知することは不可能。バルチャモンという種として得た卓越した視力は狙撃に特化したもの。同様に種として得た迷彩マントは己の姿を隠すためのもの。
砂丘の影に隠れたうえでこんなものまで纏うことを心配性だとは思わない。東方から流れてきた書物のデータに弓で的を射るのに矢を二本番えてはいけないという話があるという。二発目を期待して一発目が疎かになるからという訳だが、俺はたかが一発に命を賭けるような真似はしない。二の手、三の手を状況に応じて引きずり出して意地でも生き延びて最終的に勝つ。それが今まで戦場を生き延びてきた俺なりのやり方だ。
静かに、深く、息を吐く。標的は半ば廃墟と化した建物を飛び回りながら、口内から光弾を放ってはさらなる足場を増やす。白と赤の曲線的な体は砂の弾丸で撃ちぬけるほど柔くはないだろう。狙うべきはそこから伸びる繊維を束ねたような四肢と首。それらを収納する際の隙間に弾丸をねじ込んで核をぶち抜く。
標的の軌道予測完了。風向きは東。到達点までの障害は無し。これ以上ないベストポジションで引き金を引く。
俺の愛銃は余計な声を発さない。弾丸は圧縮した砂でしかないため殺害の痕跡が残ることはない。使う者が良ければ暗殺という用途で猛威を振るったことだろう。
着弾した。その手ごたえは確かにあった。それでも俺は安心することなくこの場から離れようとした。別の狙撃スポットに移るのが理由の一つではあるが、それ以上に本能が警鐘を鳴らしていた。
「ちぃっ」
左側頭部を礫が叩く。だがそれは敵意が通り過ぎたための余波に過ぎない。想定の数倍早い反撃。襲撃者は堅固な繭から四肢を伸ばして着地し、首をこちらに向けて砲口を開く。
緻密な弾道計算か。ケダモノじみた本能か。理由はどちらでも構わない。重要なのは迷彩効果など最早意味はないということ。――生憎、眼ならこちらもそれなりに自信はある。
エネルギー弾が視界の右を通り抜ける。奥で砂丘が爆ぜる。その爆風を背に受けて、俺は愛銃を振りかざして翔ける。次弾は上体を下げて頭上に見送り、さらなる弾丸は先に放っていた砂の鳥の群れで食い散らす。
エネルギーの弾といえど無尽蔵に撃てる訳ではない。マガジンの換装に相当する変換処理は必ず発生する。それがごくわずかな時間だったとしても距離を詰めるには十分だ。
標的の首に鎌を掛ける。刈り取るのではなく、引き上げるように、愛銃を持ち上げて銃口を繭の内にねじ込む。
「閉じて挟んだのか。俺のエイムはクソじゃなかった訳だ」
繭の淵に溜まった砂粒は間違いなく俺が撃った弾の残骸。どれだけ狙いがよくても標的や状況によっては本懐が果たされることはない。
だからこそ俺には最短距離で確実に仕留めるのが一番性に合っている。
――狙撃手は無理だったか
「うるせえ。さっさと逝け」
繭の内にありったけの砂を詰め込む。核は圧壊し、繭は爆散。これで今回の依頼は果たされた。
「サービスだ、スイーパー」
「身体は大事にしろ、マスター」
最後の肉の一切れを嘴に収めたところで、皿にサボテンのステーキが乗せられる。サービスという概念をどうこう言うつもりはないが、それが文字通り身を削って出されたものだと流石に反応に困る。ただでさえ洞のような目は細かい表情のニュアンスがつかみづらく、下手なことを言ってしまえば手袋を本来のボクシンググローブに替えて殴られそうだ。
「お前さんの英雄的行為ほどじゃない。明日には町から感謝状が届くらしいぜ」
「そういうのはいいから報酬と情報を寄越せ。もっとヤベー奴はいねえのか?」
サボテンステーキの味自体は悪くない。だが、別に欲しくもないサービスを先に差し出してくるあたり“本業”の成果に対する期待は正直薄い。仕方ない。とりあえず今日は報酬だけ貰って英気を養うか。次の戦いの準備の分を確保できれば後は余剰だ。せっかくのサービスだがチャラにさせてもらおう。
「お前好みなのが一つ。規則性もなくて神出鬼没なんだが、最近近くで姿を見たという情報があった」
「……へえ、聞かせてもらおうか」
どうやら俺はマスターの力量を甘く見ていたらしい。サボテンステーキは打算などない本当のサービスだったのか。いずれにせよ趣味がよくないことには変わらないが、それを指摘するのは今日でなくていいだろう。
「……いや、ちょっと待て」
「――へぶッ!?」
マスターの方に顔を向けたまま、左手を後ろに回して掌底を真下に打つように落とす。左手の中で潰れるような悲鳴を上げたのは果たして何者か。摘まみ上げて隣の椅子に置いてみれば、そこには耳と尾を除いて白い獣が伏せていた。確か種族はラブラモン。恨みを買った記憶を遡る気はない。そんなものは当事者に問い質せばいいだけの話だ。
「何か用か?」
「お前、僕らの村を襲った連中に居ただろ!」
「居たかもな」
徒党を組んでた頃の話だろう。野盗の真似事をしていた時期もあった。当時は生きるために選り好みを出来るような余裕もなく、リーダーを始めとして全員がクソ真面目なクズだった。
言い訳にしかならないが、あの時は身内以外のことを覚えている余裕などなかった。だからラブラモンがいつの生き残りかは分からない。
「ジョニーが……マグナキッドモンがやっつけたって聞いたのに。なんで生きてるんだ!」
訂正する。略奪を行った村の名前も、襲撃を仕掛けた日付もすべて思い出した。確か俺が脱出する頃には村のすべてが焦土と化していたが生き残りが居たのか。
「……悪かったな」
こいつには復讐する権利がある。だが、俺はまだ死ぬ訳にはいかない。今できるのはすべてが手遅れな謝罪だけ。目的が終わるまで待ってほしいと望むのもただの我儘でしかない。主張を通すために力に訴えることしかできないのだから、結局あの頃から俺は何も変われてはいないのだろう。
「興が冷めた。報酬はまた取りにくるから会計分を引いといてくれ」
「お、おい?」
マスターの声に背を向けて店を後にする。自分でも理由は分からないがこの場から一秒でも早く離れたかった。あのラブラモンの視界から逃れたかった。
「……何をしているんだ、俺は?」
ラブラモンの視界から逃れたかった筈なのに、今は家屋の屋根にしがみついてそのラブラモンを視界に収めている。マスターの店からここまでで何軒経由したことだろう。現時点の拠点だけ分かればそれで手を打とうと思った辺りでその思考が手遅れだと気づく。
「ん?」
ラブラモンが彫像のように動きを止めた。理由は何か。表情までくっきりと見えるがそこに込められた感情までは読み取れない。ならば視線の先に居るラブラモンの動きを止めた対象を洗い出した方がいい。
「――じょ、ジョニー?」
俺の視線が奴を捉えるのと同時にラブラモンはあいつの名を呼んだ。その名はラブラモンにとっての英雄にして俺の仲間が滅んだ原因の一つ。
電脳核の回転が加速する。身体が久しぶりに熱を帯びて爆ぜそうになる。それに反して思考は至って冷静にルーチンワークのように刷り込まれた動きを身体にトレースさせる。屋根の中腹でうつ伏せになり、愛銃を構えてスコープ越しの世界を視界の中心に据える。
煮えたぎる意思を冷たい砂に閉じ込めて放つ。音も無く奔る戦意を捉えることは奴にも不可能だ。
「え?」
ラブラモンが気の抜けた声を漏らす。目の前で起こった事態を理解することなどできるはずもない。
爆ぜる砂。頬を撫でる熱風。煙に咽るラブラモンに迫る第二射をこちらの二発目を持って撃ち落とす。これ以上は俺の性に合わない。
「なんで……」
「見間違いだ。目の前の相手をよく見ろ」
柄にもなく全力で翼をはためかせてラブラモンと奴の間に颯爽と割り込む。だが、ストーカーの真似事なんて柄でもないことをしたからこそ、待ち望んだこの瞬間に到達できたのだ。多少その回数が増えても構わないだろう。
「奴は俺の獲物だ」
砂煙が晴れる。その奥で死人のように立つのは、赤い装いすら眩しいと感じたあいつではなく、炭のように黒くなった奴らの成れ果てだった。
圧倒的だった。一方的だった。それほどまでに力量差は明白だった。こちらの数は十。相手の数は一。それでも蹂躙された。立ち上がれる奴は目に見えて減っていった。
「何の真似だ? 何の恨みがあってこんなことをする?」
「一宿一飯の恩ってやつだ」
最後に残ったリーダーの胸元に指先を押し当ててあいつは笑う。古臭い漫画の主人公のような大義名分。それがわざとらしくない程に似合う姿が俺達には吐き気を催すほど眩しかった。
「明日の飯の心配する気持ちはお前らにも分かるだろ」
「飢え死にしろとでも?」
「それをするには手遅れだろ。お前らはこういう死に方を選んだんだから」
あいつとリーダーの会話がぎりぎり聞こえる位置取り。物陰からスコープ越しに捉える電脳核。リーダーの死の間際でも努めて冷静に、感情で狙いがぶれることだけはあってはならない。リーダーが次の言葉を口にするより早く引き金を引く。
「ほざけ」
俺の愛銃は余計な声を発さない。弾丸は圧縮した砂でしかないため殺害の痕跡が残ることはない。「こいつが狙撃手としてこの武器を扱えれば俺らは成り上がれる」と声を荒げたリーダーに、手と一体化した銃器で背を叩かれたのをよく覚えている。俺の薄っぺらいプライドに懸けて、その言葉に恥じる訳にいかない。
「クソッたれ」
この世を呪う言葉とともに急所を撃たれた者は当然のように倒れる。射手は静かに銃口を下ろして、俺の方へと冷めた視線を向ける。
俺が撃った弾丸は文字通り片手間で迎撃された。あいつ――マグナキッドモンが両手に携えるのは実銃ではなく、己のエネルギーを糧にした魔弾。片側で俺の狙撃を妨害し、それを最後通告としてもう片方でリーダーに対する引き金を引いた。
村を襲った野盗に対してマグナキッドモンが村の連中の代わりに報復を掛けた。その圧倒的な力で野盗は全滅。奪われたものはすべて村に戻った。――このままそんな顛末で終わっていればよかったのだ。
「……む?」
不意にマグナキッドモンがこちらから視線を逸らす。それを好機として二射目を撃つことも、仲間を見捨てて逃げ出すこともできなかった。何故なら俺の注意もあいつの視線の先に移っていたのだから。
「■■■■■■!!」
地鳴りのような音が響く。音源はリーダーの遺体だったもの。いつのまにかその身体には黒いノイズが何重にも走り、実体は確たる形を失っていた。周囲に目を向ければ倒れ伏した仲間のうち既に息のない者も同様の状態に陥り、完全に不定形と化したものはリーダーの元へと吸い込まれる。
黒の不定形が一つに集約されたとき、それはこの場で最も強い者と同じ形を取る。これこそがこの場で最も強い者を倒すための最適解だとでもいうように。
赤の竜人と黒の竜人がぶつかり合う。俺に出来るのは巻き添えを食った仲間を見捨てて逃げることだけだった。
「■■■■■■!!」
「死んでもうるせえ馬鹿どもが」
町の外に誘い出すまでで既に三軒の家が吹き飛んだ。これでも想定しうる被害としてはマシな方だろう。
拓けた荒野に逃れたのは狙撃手としては悪手だろうが、二発目を外した段階でその方向性では勝機は見えない。あのマグナキッドモン――ジョニーとやり合うために変異した存在に対して、あいつと似たような真似はできると考えるのが自然だろう。
それにこの場だからこそできることがある。砂が多いのは何よりいい。
「所詮俺らは烏合の衆って訳だ」
地面に手を置いて砂を巻き上げる。中空に上がるのは五羽の仮初の鳥。俺の意思を載せて翔ける偽物の命は竜人の腕の一振りで悉く弾け飛ぶ。
所詮は砂の鳥。弾けたところで残るのは元となった砂。それが爆風で巻きあがる砂煙。視界を妨害する要素が多くとも、距離を詰める道筋は見えている。
「っらああ!」
砂煙の奥で竜人の指先が瞬く。連なるように放たれる十の弾丸。全弾回避など最初から考えてはいない。頭や胸に届きうる弾丸だけ躱し、着弾予測地点の前には砂の鳥を気休めとして配置する。
爆ぜるのは壁代わりの砂か己自身の肉か。少なくともまだ四肢は動く。長期戦は最初から望んではいない。一つでも隙を晒せばその瞬間に俺の身体に無数の穴が開くことになるだろう。最速最短で弱点を抉って仕留める。そうでなければ地力の差で圧殺される。
「っしぃぃッ!」
右足を踏みしめて鎌を振りかぶる。その首を刈り取るために、全身全霊を込める。
「づぁッ!?」
右足から力が抜ける。いや、感覚そのものがなくなる。左足はなんとか動くが恐らく指は一本飛んでいる。なるほど。奴は足技を含めて銃火器の扱いは上手だったらしい。いや、足の銃を甘く見ていた自分の落ち度か。
いずれにせよ俺の顛末はこんなもの。化け物に成り果てた仲間から一度でも背を向けた輩にはそれを弔う資格すらないらしい。
「――アアアアアアアアッ!!」
地に響く声を聞くのは二度目だ。だが、この声は一度目のような恐怖を呼び起こすものではない。
奴にとってはモスキート音に等しい微弱な振動だろうか。それでも俺から気が逸れたのは事実。それだけでこの声は俺にとっての福音となる。
「……ふぃー」
奴が振り向く頃には俺の姿は先ほどの場所にはない。理性の失せた化け物にかくれんぼの鬼は務まらない。
獲物を見つけたとばかりに奴の魔弾が火を噴いたところで、それはこちらが撒いた餌に引っかかっただけ。魔弾は迷彩機能を解いたマントを焼き払えても、それを脱ぎ捨てた死神の姿までは捉えられない。
「俺らはもう終わってんだよ!」
頭に血の雨が降ったところで気づいてももう遅い。俺は奴の頭上に陣取って、愛銃に備えられた鎌はその首に掛かっている。ここから何発撃たれようと、この首を刈り取るまではこの鎌は死んでも離さない。
「ぐ、ぎうらあああああああああッ!!」
翼に穴が開く。腰が抉れる。片目は潰れて、嘴は拉げる。それでもまだ腕は繋がっている。まだ目の前の相手をちゃんと殺せるための力が残っている。
このためだけに生きてきた。この後誰に殺されようとも構わない。ここを越えなければ、あいつらと一緒に次へ行けないのだから。
「っしゃらああ!」
鎌に掛かる抵抗がゼロになる。憎たらしい頭が俺の頭上へと舞い上がる。首を無くした切断面は底の見えない黒一色。その深淵に俺は愛銃の先端を突っ込む。
「っはぁ……やっぱり俺に狙撃手は無理だな」
電脳核への狙いをつける必要もない。外しようのない標的へと残弾が一直線に届くうちに何度も引き金を引く。
最後の弾丸が電脳核に届くと同時に奴は決壊する。飛び散った不定形は再び集まることはなく、砂塵に巻かれて空へと昇っていった。
地に背を着けて空を仰ぐ。もう一歩も動けない。このまま誰に看取られることなく終わるのならそれでよいと思っていた。
「……よう、助かったぜ」
だが、もっといい終わり方にしてくれる相手がここに居る。自分を見下ろす幼い瞳は先ほどよりかは幾分か大人びて見えた。
「あれもお前の仲間だったんだろ」
「ああ、お前の手柄だ。少しはせいせいしたか」
「そう見える?」
レトリバーク。ラブラモンの咆哮による超振動はそんな名前だったか。昔の俺よりも見込みのあるクソガキだ。俺の命を握る資格は十分にある。
「そうだな……自分の手でやった実感でも欲しいんじゃないか?」
首を動かして視線を無造作に転がったライフルに向ける。引き金は引けなくとも、鎌を電脳核まで突き刺すことくらいはできるだろう。
眼を開けているのも疲れた。そんなことを理由にしたところで、結局俺は自分が死ぬ瞬間まで開けていられないだけの臆病者だ。
「……何の真似だ?」
身体の感覚が鋭敏になっていく。神経に伝わる信号は痛みというにはあまりに心地よく、傷つき損失した箇所が埋め合わされていくようだった。
キュアーリキュール。そんな名前のデータ修復の技もラブラモンは確か持っていた。
「僕の自由にしてるだけだ」
「そうかよ」
生命維持に重要な個所から修復しつつある身体が町の方向から見知った連中の声が聞こえる。その中にはラブラモンよりも優れた治療の腕を持つ者も居る。俺の命をどうするかの選択はここに来るまでに既に終えていたらしい。
「お前なんか簡単に死なせるもんか」
本当に見込みのある、性格の悪いクソガキだ。
まず冒頭がめちゃめちゃオシャレかつカッコよくないですか……?
ここでグッと引き込まれました。
パラレルさんは地の文を一見淡々と書き連ねつつ、その実キャラクターの熱い激情が備わっているのが最ッ高に好きなんですよね僕。
なんでこんなにクールさと情熱を両立できるんですかあなたはブルーメラモンなんですか
電脳核の回転が加速する。身体が久しぶりに熱を帯びて爆ぜそうになる。それに反して思考は至って冷静にルーチンワークのように刷り込まれた動きを身体にトレースさせる。
↑ここの文章がパラレルさんの作品スタイルそのものを表しているようでグッときました。
「狙撃手は無理だったか」と言われてしまうバルチャモン、いいですよね……
デジモンが自身の得意な能力を活かせず、必死に自分なりの戦闘スタイルを確立させるのすげぇ熱いですよね。
全身ボロボロになりながら格上のアヴェンジキッドモンに突っ込んでトドメを決める流れから熱い雑草魂(ザッソウル)を感じ取り、思わず手に汗握ってしまいました。
洋画のように交わされる短いやり取りにいくつもの情報と感情が含まれていて、そのあまりのカッコよさにため息とにやけ面しか出てこなくなってしまいます。
この「台詞に出さない」ことを表現の一つとして書くスタイルは是非とも見習っていきたいですね。
作品というよりパラレルさんの書き方に対する感想みたくなってしまいましたが、この辺りで感想とさせていただきます。
『さよならスカベンジャー』、大変楽しませていただきましたので、少し感想にお邪魔させていただきます。
バルチャモンいいですよねバルチャモン。めっちゃ浮いてるあのサボテン肩パッドとかも好きなんですけど、デジモン図鑑のプロフィールがそんなに長くない割に設定が色々盛られてるところとかも好きです。
緻密な戦闘描写にその盛り設定をぎゅっと詰め込んだ欲張りセットという感じで、こりゃもう盛り盛りで太っちゃいそうなくらいでした。VSが格上でガンナーのアヴェンジキッドモンっていうのも絵になりますね。狙撃同士だと分が悪いので、個人的にあの「デザートデスサイズ」とかいう大鎌で決着を付けちゃうところとか大好きです。ご馳走様でした。
あとね、自分が滅ぼした村の幼子に同情しちゃうシチュエーションとかも大好きなんですよ私。
お前に殺されても仕方がないが今はまだその時じゃない的なね……こんなん絶対美味しいじゃないですか……
最後にラブラモンのツンデレが垣間見えるところまで美味しくて、もう最後までチョコたっぷりって感じでした。
というか、これを突貫で書いちゃうとかもうね……バケモノしかいない……怖いです……
恐怖に肩を震わせながら、これで感想とさせていただきます。
面白い作品をありがとうございました!
こんにちは、いつもお世話になっております、快晴です。
この『彼岸花の蕾が開き』でパラレル様の作品が読めたのが本当に嬉しくて、おそれながら、感想の方、投下しに伺いました。よろしくお願いします。
もう、全編通して無茶苦茶カッコイイですね……!
ひりついていて、それでいて乾いた荒野の空気が、こちらにも伝わってくるかのようです。Oh……これがハードボイルド。冒頭のインフェルモン戦から、もう心を鷲掴みにされてしまいました。……いや、バルチャモンは(禿)鷹ですけれども。それはさておき。
パラレル様の緻密な戦闘描写には毎度心を惹かれてばかりなのですが、戦闘以外の場面でも、キャラクター同士が短い掛け合いの中でもしっかりとキャラの立つ『濃さ』を持ち合わせていて、物語の緩急がとてもしっかりしているのでぐいぐい読まされてしまいます。
サボテンステーキの下り、大好きです。バルチャモンさんの「身体は大事にしろ、マスター」という言葉選びがもう本当に最高です。
自分を仇と認識するラブラモンさんとの邂逅を経て、彼を追って出会うのはかつての仲間のなれのはて……短いながらも、まさしく西部劇の主人公のようなマグナキッドモンさんの姿はよりいっそう彼の姿を模倣した黒の竜人のおそろしさと哀愁をを引き立てますね。
主役側では無いアウトローたちの、終わった筈の物語……ぼろぼろになりながら、持てる手段の全てを使って、全身全霊でアヴェンジキッドモンさんの首を刈り取ろうとする砂塵の死神の姿が胸に迫ります。こういう自分の負傷を無視しての特攻、大好物なものでして。
幕引きの言葉がまたかっこいいですね……回想でバルチャモンさんが抱いていた「薄っぺらいプライド」を過去にする「狙撃手は無理だな」が、バルチャモンさんの戦いの終わりと、そもそもこの物語が、彼にとってある意味終わった物語の続きである事を強調しているかのようです。
しかしお話自体はこれで終わりでは無く。
自分に復讐したいと望んでいるであろうと思っていたラブラモンさんによって、生き永らえるバルチャモンさん。戦闘中の「微弱な振動」も、彼の仕業だったとは。
少しだけ大人びたラブラモンさんと、生き残ったバルチャモンさん。この先もまだまだこの乾いた世界での物語は続いていくのでしょうが、ひとまずは、バルチャモンさんのラブラモンさんに対する所感で〆、と。
続きを知る事が出来ないもどかしさを感じるのに、どこかすっきりとした終わり方で、ここにきて改めて見返す『さよならスカベンジャー』のタイトルが想像力を掻き立てくれますね。
色々と拙く、散らかった感想になってしまいましたが、『さよならスカベンジャー』、何度も言うように本当にかっこいい、素敵な物語でした。
素晴らしい時間を、ありがとうございました。以上を感想とさせてもらいます。
彼岸花の蕾が開きに参加して頂きありがとうございます。
掃除屋と墓参りの掃除、死神と呼ばれる死への近さ、さらにはお彼岸につきもののおはぎとの共通点と、これだけりゆうが挙げられるならばバルチャモンはお彼岸らしいデジモンで間違いないですね。
ハードボイルドな世界観に、いつものパラレルさんの読みやすく引き込まれる描写、狙撃手になりきれないけれどかつての仲間達から望まれた狙撃手になりたいと望んでいるような節もあるバルチャモンのキャラも,敵役にマグナキッドモンでなくアヴェンジキッドモンを持ってくるのも読んでいて心躍りました。
パソコンが壊れて大変だったでしょうに、彼岸花の蕾は開きに参加して頂き本当にありがとうございました。楽しく読ませていただきました。
パラレルさんの作品の感想を書くのは久しぶりですね。どうもユキサーンです。
今回の企画によって色々なお彼岸に則した種族が掘り上げられていますが、今回パラレルさんが抜擢したのがバルチャモン、と。
パラレルさん自身が仰った特長の通り、愛銃こと「CND-96」に大鎌が付随していることで死神のようにも見られて、死神は現世からあの世に魂を導く者であるということで今回のバルチャモンの活躍とリンクしているのもありピッタリだと思います。お彼岸的に。
さて本題に移りまして。
今回の主役であるバルチャモンのキャラ、なんというかまぁパラレルさん味を感じました。振る舞いの上では淡々と、あるいは達観しているようで燃え上がるような激情を隠せない辺りがなんというか。
現仕事人、元野盗だったバルチャモン。
彼が追っていたのは、彼が過去に徒党を組んで野盗の真似事に加担していた頃の仲間達が、マグナキッドモンに返り討ちにされた事で成り果てた亡霊ことアヴェンジキッドモン。
いやぁ、バルチャモンの戦闘を文章として読むのは初めてですが、砂で弾丸を作るって良いですね……戦う相手が相手で舞台が舞台なのもあって西部劇感が強い。
ラブラモンの支援もあって命からがらアヴェンジキッドモンとの戦いに生き残ったバルチャモン。元は仲間であった復讐の亡者の魂を狩りとった彼の命を、真っ当に復讐の権利を持つラブラモンが二度に渡って繋いだ事実にほっこり。色々とベストバウトだぁ……。
戦闘の内容も熱く、タイムアタックのような状況で書き上げたものとしてはかなりの出来栄えに収まっているように感じられました。いやなんというか実家のような安心感。
久々にクールでホットな戦闘描写に心躍らされました。
それでは今回の感想はこの辺で締めとさせていただきます。
PS 砂って色々混じってるのでリアルの話侮れませんな……。
彼岸花は無いけど代わりに回復技使うラブラモンだ! テアテシテアゲルワ! そんなわけで、この企画においてひたすらデジモンサヴァイヴ要素を探している夏P(ナッピー)です。
バルチャモン、自分はバイタルブレスで知った身ですがアイツなかなかカッコいいなと思っていたら如何にもな役回りが来た。流石に死を運ぶ鳥って奴だぜ! それにしたって盗賊団とは……ぎ、銀髪の妖狐……恐ろしく冷たい目をした男。しかし彼岸関係デジモンはてっきり真っ赤な体が彼岸花っぽいマグナキッドモンなのかなと思っていたのは内緒だ!
戦闘シーンは凄惨なようでいて少年漫画的でしたが首獲って残った胴体にバスンバスンなんていう鬼滅みたいなことを。狙撃手は合わないという言葉通り、暑苦しいまでの肉弾戦。蝶・燃ゑる。ラブラモン援護しとったんかあああああああ!! tri四章でプロットモンがムゲンドラモンを足止めしたシーンを思い出しました。
クソガキ扱いしてましたが最後のやり取り含め、バルチャモンとしてはある種の責任を取った形なのか。数スクロール前まではサボテンハンバーグ食してたのになんてことだ!
それではこの辺りで感想とさせて頂きます。
あとがき
修理に出していたPCが戻ってきたのが9/24。同日にプロットをまとめてタイムアタックみたいなことを敢行した結果がこの産物です。
彼岸……というか彼岸花から連想するイメージが無人兵器に欠陥兵器で挑む少年兵の話だったり少女二人コンビの日常とガンアクションだったりするのは、この年になってもアニメを楽しく見られてしまっている証拠ですね。そのせいでお彼岸という言葉の雰囲気の欠片もない、砂塵の中でドンパチやる話になりました。
さて、バルチャモンを採用した言い訳タイムといきましょう。バルチャー(ハゲタカ)は死体を漁る腐肉食で、掃除屋というイメージと死に近いイメージを与えます。掃除屋というイメージは墓参りでの掃除にも通づるものがあり、何より死に近いということは生の此岸と死の彼岸が最も近づくというお彼岸に適性があると言えるでしょう。特に後者については、バルチャモンは生き長らにして砂塵の死神と呼ばれるため、よりその適性を補強することでしょう。ついでに言えば、お萩(牡丹餅)を作る際は餅とは違って搗く音を出さずに作れることからバルチャモンの愛銃「CND-96」の消音性能とも繋げられる気がしなくもないです。
言い訳はこんな感じで。読了ありがとうございました。