「そこで何してるの……?」
その言葉に、声をかけられた赤いボサボサ髪の少女は口に含んでいたラーメンをごくりとほぼ噛まずに飲み込んだ。
家庭科室の机の上にはぬいぐるみと言い張るにはポップでなく、野良猫と言い張るにも微妙が過ぎる、中型犬ぐらいの大きな耳と長い爪の生き物がいた。
ガジモン、ふらりと痩せこけた姿で彼女の前に現れてなんとなく居ついた生き物である。
「家庭科室で鍋からインスタントラーメン食べてるってどういうこと……!? しかも野良猫……? 野良犬……?」
扉を開けたところにいたのは、今時絶滅危惧種だろう黒髪三つ編み眼鏡の少女だった。
「強いて言うなら飼い犬かにゃあ」
ガジモンがそう言うと、真面目な彼女には赤髪の彼女が言ったように聞こえたらしい。犬が喋ったことへの反応はなかった。
「飼い犬連れてきてラーメン食べさせてるの!? 塩分!! しかも机の上って汚れるじゃない!!」
「大丈夫大丈夫、ガジ……ガジラは自分で手足拭けるもんなぁ?」
「まぁ拭けるわねぇ」
赤髪の少女にガジモンはそう答えると、さっきまで麺を掴むのに使っていた爪を少女の手から受け取った布巾で拭いた。
「えっ!? わっ! かしこーい、かわいー、えらーい! 撫でていい?」
黒髪の少女はそう言って、ガジモンの側で思わ口角を上げ、手をパチパチとさせた。
「いいけど、委員長そんな安易なキャラで大丈夫? 今時真面目三つ編み眼鏡委員長が実はぶさかわ好きとかギャップかも怪しいよ」
「……なに? キャラってなんの話? ゲームとかは私よくわかんないよ?」
黒髪の少女はそう言うと、少し遅れてあ、と呟くと急にまた最初に話しかけてきた時のような責めるようなトーンで話し出した。
「ガジラちゃんがいくら可愛くても連れてくるのも、家庭科室でインスタントラーメン食べるのも食べなことは変わらないからね! あと、もう中学と違って委員長でもないし!」
ガジラちゃんって言ってる時点で説得力ないなぁと思いながら、赤髪の少女は鍋に残った麺を啜り一気にごくごくとスープを飲み干した。
「じゃあ、前みたいにゆうちゃんでいい? うちと横田家関わり多いから横田さん呼びなんてやってられないよ」
私も昔みたいにまいちゃん呼びでいいからと告げると、黒髪の少女は最初の出だしに困って口をもにょもにょさせた。
「……せめてユウキさんって呼んで。私は前田さんって呼ぶから」
「はーい、横田勇気(ふぁいと)さん」
赤髪の少女はそう聞いて黒髪の少女をそう呼んだ。
「私の名前ふぁいとって読むなら私も米(ヨネ)さんって呼ぶからね!」
黒髪の少女、横田勇気は赤髪の少女の言葉にそう語気を荒らげた。
「んー、了解。ふぁいとさん」
「前田ヨネー!!」
「はいはい、こちらヨネでございます。なき曽祖母の誇らしい名前故、恥じる理由もございません」
絶叫する勇気に、赤髪の少女、前田米は開き直って演技めいた口調でそう答えた。
「で、別クラスの委員長でもないゆうちゃんはなんで家庭科室にいるの?」
「……生徒会の庶務やってるんだけど、家庭科部が文化祭での部の出し物についての書類出してなくて、お昼でもいることあるって聞いてたから来たんだけど」
他にはいないし、いたらインスタントラーメンなんて作らせてないかと勇気はため息を吐いた。
それに対して、米は家庭科室の棚を開けるとファイルに入った書類を取り出した。
「はい、これうちの部のやつ。生徒会から人来たら渡しといてとは言われてたんだよね」
「……家庭科部なの?」
「じゃなきゃ、鍵貸してもらえないでしょ」
それもそうかと勇気はプリントを受け取り、家庭科室から出て行った。
背中を見送って、米は途中から黙っていたガジモンを見た。それに対して、ガジモンも米を見た。
「あの子大丈夫? 結局インスタント麺のこととかうやむやにされてたのわかってなかったみたいだし」
「……本人はしっかりしようとしてるけど、電波入ってる天然なんだよねぇ、昔から」
昔から、とガジモンは鍋を洗い出した米にそう聞き返した。
「イマジナリーフレンドってやつ? 喋る鳥がいたとか、ちょこちょこ変なのがいるって言い張ってフラフラしてた。それで、親達はすごい嫌がってた。他の子達がサンタもいないって気づいた頃にゆうちゃんは私達に見えないものを見ていたから。五年前ついに我慢の限界が来て……」
米はがしがしと鍋に強くスポンジを押し付けた。
「……まぁいいや、めんどいし」
「でもそれ、自分達みたいなのかもしれないよにゃあ」
「ガジモン以外にも……まぁ、いるかそりゃ。今更だけど、なんか漫画みたいに世界の危機が云々とか持ち込まないよね? 魔法少女とかも私にゃちょっとキツ過ぎるし」
心底嫌そうに米は言った。
「そういうのはないけど、みんながみんな自分みたいに話がわかるとは思わないほうがいいわねぇ」
「じゃあ、ゆうちゃんは今までたまたま話がわかるのを引き続けた訳?」
「まぁ……大体は向こうの世界でやってけなくてこっち逃げて来たんだろうからにゃあ、話がわからないにしても逃げてくとかもあるかな」
ガジモンの言葉に、ならまぁ放置してていいかと米は洗い終えた鍋を布巾で拭いた。
そうしている内に、昼休み終了の予鈴が鳴りガジモンを置いて米は教室に戻って行った。
「マイちゃんと話したの久しぶりだったなぁ」
放課後、生徒会室で一人勇気は嬉しそうに呟いた。
「横田くん、なんだかご機嫌だね」
「あ、中村副会長。家庭科部から文化祭の出し物の最終稿の書類受け取ってきました」
勇気からプリントを受け取った柔和な笑みを浮かべた中村という青年は、一つ頷いてプリントに目を通した。
「ありがとう……かぼちゃケーキの販売か、なかなかいいね。美味しそうだ」
「では、今日はちょっと早めに帰りたいんでこれで失礼します」
「ああ、会長には僕から言っておくよ。ちなみに理由は? いや、デートとかなら聞くのは野暮かな?」
中村の言葉に勇気の顔色はすんと落ち着いたものになってしまった。
「……そんなんじゃないですよ。相手もいないですし」
「そうなの? 横田くん可愛いのに」
そんなこととボソボソ呟く勇気の顔はほんのり赤くなり、口角も少し上がってしまう。
そのまま逃げるように生徒会室を出た勇気は嬉しいような悲しいような複雑な気分で学生寮へと戻った。
勇気は中村が好きだった。お世辞にも人が多いとは言えない過疎化の進んだ地元から出てきた彼女に対して、中村は優しくしてくれた。
用事というのも他でもない、翌日が中村の誕生日だったから、何かお菓子でも作れないかと思ったのだ。
「……喜んでくれるといいんだけど、無理かな」
都市部で土地が取れなかったのか、学生寮は学校から十分ほど歩くところにある。スーパーに寄るには少し寄り道が必要な為、勇気は細い横道に入っていった。
自分は彼から見た時、あくまで後輩でしかないのだろう。デートかもしれないと思ったとしても、特に気にならない程度なのだ。
ふと、何か妙な感じがして勇気は足を止めた。
子供の頃に何度も感じたことがある、自分にしか見えないナニカが近くにいる感覚。
いつもは通り過ぎる小さな社、そこにそのナニカはいて、御供物をむさぼっていた。
巨大なサザエのような殻を持ち土色の身体を滑らせたナニカ。そのナニカはぎゅるりと首を勇気に向けるとにたりと笑った。
「お前。俺が、見えてるな?」
「み、見えてない」
巨大な手の生えたカタツムリの化け物の様なナニカに、勇気は思わずそう返した。
「阿呆め、そう口にできるのは見えてるもののみよ」
凸凹とした口元を喚起に歪ませながら、そのナニカは巨大な手で勇気を掴んだ。
「お前を食らうて俺はこの世界での実体を得るのだ」
黄色い目をぎょろりと見せつけたそのナニカに、勇気はひっと息を呑んだ。
「前田さん前田さん、プリントは出したのかな? 教卓にないんだけど」
がっちりした体に可愛らしいピンクのエプロンをつけた男子生徒はそう米の前に抹茶のパウンドケーキを一本の半分置いた。
「それよりケーキ幾らか持って帰っていいですか? プリントはガジモンがラーメンこぼして捨てました。」
「マジかガジモン、こんにゃろめー!」
少し黄色いかぼちゃの香りのするパウンドケーキの半分を米の前に置いた女子生徒がそう言ってガジモンの頬を両側から手で挟む。
「やべべぶべぶひょう、ひゃんほはひはかは……」
「じゃあ前田が嘘吐いた罰ってことで!」
「ひふびん……」
部長と呼ばれた女子生徒はガジモンをもみくちゃにする。
「で、まぁケーキ持ち帰りたいんだって? 調子悪いの?」
チョコのパウンドケーキを米の前に出しながらまた別の少しおっとりした雰囲気のある女子が聞く。
「いつもなら部の余ってるの全部一人で食べるわよね」
だから今日もパウンドケーキ三本とか焼いてる訳だしとその女子は言った。
「んー……まぁ、ちょっと幼馴染が生徒会入ってたので、賄賂送ろうかと」
米はそう言いながら、パウンドケーキをキッチンペーパーで包んで、男子の先輩が差し出した大きなタッパーに詰めていく。
「送れ送れぇ! 部費アップしてもらえ!!」
ガジモンをぬいぐるみのように抱えながら、部長はガハハと笑った。
「生徒会にそんな権限ないでしょ……」
「そりゃ残念、でもまぁ、前田にこれ以上食わせすぎると相撲取りみたいになるだろうからちょうどいいな!」
「へーい、ご厚意感謝しまーす」
そう言って、前田は部長からガジモンを取り上げて 、ろくに教科書の入ってないスカスカのエナメルバッグにつっこんだ。
そして、家庭科部の部員達に見送られて生徒会室へと向かった。
「横田くんならもう帰ったよ。なにか用があるとかで」
「あれ、そうですか……」
「そうですね。そういえば、さっき伝えたいことがあって電話したんですけど出なくて……寮の部屋知ってるなら、電話をかけ直すようにと伝えてくれませんか?」
「……わ、かりましたぁ。失礼しまぁす」
あっという間に生徒会室を後にして、米は少し胸騒ぎを覚えた。
「ガァジィモーン」
「……部屋知らないから臭いで探せって話?」
「いや、それ以前の話。ゆうちゃんのお母さんはゆうちゃんが電波入ってたから過干渉気味でさ……連絡つかないとヤバヤバになるんだよね……」
米はそう呟き足早に玄関へと向かう。
「……どれくらいヤバヤバに?」
「うーん……一度、私がゆうちゃんを家に泊めてと呼ばれた時は、キッチンの床にコップの破片やら皿の破片やらが散乱していて、ゆうちゃんの脚が切れてたぐらい……?」
「それはぁ……ヤバヤバだにゃあ……」
ガジモンはそう言って、勇気の匂いを思い出して空にむかって鼻を鳴らす。
手を上げたい訳じゃないから、お母さんも自分の手元から離して、でも連絡取れない時のために寮母さんとか別の連絡先がある寮のあるとこにと続けかけて、そこで米は一度止めた。
「とにかく……ゆうちゃんと連絡が取れないはまぁまぁ異常事態。めんどいけど、何かあった方がもっとめんどい……」
「しかたないわねぇ……じゃあちょっと頑張ったげましょ」
カバンからごろんと落ちたガジモンの身体が光り出し、白と黒の毛皮を持つ大きな猫型の獣へと姿を変える。
「なにそれ」
「進化ってやつ。デジモンにはよくあること。今はランナモン」
「ダーウィンに怒られそうなネーミングしてんね」
米はその言葉にそう呟いた。
「まぁその前に先生に怒られるかな」
「確かに。まだ人いる時間だし、廊下だし……」
ランナモンが廊下にいる光景はどう見ても異常、そして咎められるのは当然すぐそばにいる米だろうことは想像に難くない。
「実体半分消しとくから、他の人には自分は見えないから大丈夫大丈夫」
「なにが?」
それであたしの姿は消えないのではと呟く米を口に咥え、進ランナモンは廊下を走り、窓から外へと跳び出した。そしてグラウンドも数歩で渡ると、そのまま近くの建物の屋根へと跳んでいく。
「明日には空飛ぶ赤髪デブって都市伝説ができちゃうなぁ……めんど……」
自身を咥えた屋根の上を駆けている事実から米は物理的に目を背ける為に目を瞑った。
「見つけた!」
「おや、案外お早いお着きッ……」
急に止まったせいで米の身体は揺られ、喋ろうとしたことと相まって牙からするっぽんと抜けて空を舞う。
ゆうちゃんがどうか以前に私の方が先に死ぬなあとふんわり思った。
「めんご!」
屋根から電柱へ、電柱から地面へと跳ねてランナモンは米の落ちる先に飛び込んだ。
「ぐべっ」
ランナモンの背骨がまぁまぁの勢いで肉に食い込み、米は醜い悲鳴を上げた後、べちゃっと地面に転がり落ちた。
「泥汚れとかめんどいのよねぇ……」
そういいながら米が顔を上げると、神社の賽銭箱の前に意識のない勇気が横たわっていた。
「ゆうちゃん? そこで何やっぐぇ!?」
四つん這いのまま勇気に向かって米が進もうとするのを、ランナモンが服を咥えて止めた。
「ガッ! ジッ! モン!」
「見えてないだろうけど、いるんだよそこ」
ランナモンがそう言うと、米の進んでただろう辺りの地面にめこと巨大な五指で押した様な跡ができた。
その正体たるカタツムリの化け物を見ているのはランナモンのみだった。
「おぃ!! なぜ俺はこいつを食えない!! 教えろそこの四つ足野郎!!」
カタツムリの化け物が勇気に噛みつこうとするもその顎はするりと勇気をすり抜け、傷ひとつつけられない。
その怒号も米の耳には届かない。米にはそれを見れる程の素養がない。
「モリシェルモン……幻見せて意識奪ったんだろうけど、見えてないのはいないと同じ、誰も見てないお前は誰にも触れられないのよ」
ランナモンの言葉に、米は流石に奇妙と首を傾げた。
「なに、何と話してんの?」
「マイは自分を見て、自分がならなんとかできると信じて自分のことを見て」
「意味がわからんけどわかった」
うんうんと米は頷いた。
「つまりなんもしなくていいと」
その言葉にランナモンは思わずモリシェルモンから目を離して米を見た。
「……違うよ? 今の地面どーんとか怖かったじゃん? ちょっと揺れたしさ。でも、なんとかできるはずだってこう……気を強く持って強がって欲しいっていうかさ……」
「だからいつも通りでいいんじゃんめんどいなぁ……ガジモンができるって言ったら疑わないって」
「……まだできるって言ってないんだけど、自分」
「じゃあできないの?」
米がそう言うと、いやとランナモンは首を横に振ってモリシェルモンに向き直った。
「マイが見てくれるなら、できる」
「じゃあ、できんじゃん」
めんどいから何度も言わせないでよねと米はため息を吐いた。
「うだうだうるさいぞお前ら! そもそも何故お前は当たり前のように人間に見えている! この世界に生きる資格が俺にはないと言うのか!!」
モリシェルモンの怒号が響く。聞こえてない米でさえ、空気の振動だけはその肌で感じる程の凄まじい怒号が。
「波長の合うパートナー見つけない限りは自分達デジモンはあくまでこの世界じゃ異物なのよ」
ランナモンの身体が光に包まれ変わっていく。
毛皮は黒く、二足歩行になった肉体は筋骨隆々、袈裟がけにしたチャンピオンベルト、背中にはロケットエンジンをつけて拳は鋼。黒鉄の人狼がそこに現れる。
「……顔が整い過ぎてる。もう少し不細工な方がガジモンっぽい。五点減点」
「百点満点? ちなみに今の名前はブラックマッハガオガモンね」
「十点満点。名前の修飾も多過ぎるのでさらに三点減点」
流石にひどいと米の言葉に人狼は頭を抱えた。
「だからうだうだうるさい!! よくわかんねぇけど俺を無視するんじゃねぇ!!」
そう言って猛然と襲いかかるモリシェルモンを、ブラックマッハガオガモンは左手一本で頭を押さえて止める。
「仕方ないでしょかまってちゃんめ。マイ達の日常にとって君は異物、本題から外れたぁ……」
ブラックマッハガオガモンはそう言って拳を握り、モリシェルモンの身体の下から天へ向かって振り上げる。
「蛇足!」
モリシェルモンの身体が浮き上がる。殻が割れて宙を舞い、さらに舞い上がる。
「パートナー見つけてマスコット枠で出直しな」
どぉんと神社の裏手の小さな雑木林にモリシェルモンが落下する。
「……もうゆうちゃん助けていい?」
「いいよ! あとワンパンした自分を褒めてよマイ!」
「えらいえらいガジモンはえらいのでゆうちゃんも運んで」
米は勇気が普通に息をしていて怪我もなさそうなのを確認すると、ブラックマッハガオガモンに適当にそう返した。
「いいけど見た目的には浮いてる感じになるよ」
「…… まぁ既にフライングデブになってるし、自分で運ぶのはめんどいからさ。私の部屋の窓開けとくしそこまで連れてきて」
「んーまぁいいか……」
ブラックマッハガオガモンは神社から珍しく走って去っていく米の後ろ姿を見て、にやりと笑った。
「ターボババアの噂知ってる? 返り血で真っ赤なターボババアが屋根の上を跳び回ってるんだってさ」
部長からそう言われて、米は一瞬嫌な顔をしたがすぐに否定するのもめんどいなと机に突っ伏した。
「……知りませんでしたぁ。ガジモン知ってた?」
「知らないにゃあ。ほら、自分ワンちゃんだからさ」
顔の前で手を合わせて尖った歯を見せないようにするガジモンに、今日もかわいいなぁお前はと部長はこねくり回した。
「そういえば、生徒会の幼馴染の子にあげたケーキの感想どうだった?」
今日もピンクのエプロンをつけた男子生徒がそう米に聞く。
「あー……喜んでくれましたけど、結局あの日食べなかったんですよね」
「あれれ、どうして?」
「好きな先輩にお菓子作るってんで、余分を処理してたらケーキまで手が回らなくて」
勇気はモリシェルモンのことは特に引きずらなかった。恋する乙女は強いのだ。
「あらあら、そういう話なんだったら私達にレシピとか聞いてくれればよかったのに……」
「あたしも昨日初めて知ったし、恥ずかしいから他の人に言わないでーって」
「それは仕方ないわねぇ……」
「ですねー、うまくいったらまた付き合わされそうなんで、おすすめのレシピ本とかサイトとか教えてください。本当、ゆうちゃんはめんどくさい」
そう呟いた米の口元は言葉と裏腹に笑っていた。
ホラー作品の投稿が多かったこの企画において、「良かった……絶対日常系だ」と思える安心感がイラストに詰まっておりました。
仲良くインスタントラーメン食べてるのかぁいいねぇかぁいいねぇ
モリシェルモンを前にした時の二人のやり取りが、短いながらもパートナーに寄せる信頼みたいなものを感じられてとても好きです。
でもブラックマッハガオガモンは泣いていいと思うよ……
家庭科部の皆さんの暖かい雰囲気に癒されながらも、勇気さんのダークな家庭環境にちょっぴりガクブルしたりして、でもなんだかんだでトラブルも速攻解決してほんわかムードのまま楽しむことができました。
へりこ先生のこういうゆるめのお話もっと読みたい……(願望)
米さんと勇気さんはこれからもなんだかんだで仲良くやっていくんだろうなと思いを馳せつつ、ここらで感想とさせていただきます。
拙い文ですが、コメント失礼します。
家庭科室にて、我が物顔で鍋直ラーメン女子と大きな獣。
あまりにも堂々としているので、これが2人の日常なのかと思えば、ガジモンが視えているのは、横田さんの体質のせいだったんですね。
日常がいわゆる普通の人たちにとっての非日常なら、そりゃ〜そう簡単に動じないのも納得です。好きです横田勇気さん。楽しく読ませて頂きました。
企画運営お疲れ様です! また参加させてください!
前二作品とは打って変わって穏やかな日常の一幕といったところで、それこそ甘酸っぱいお菓子のように楽しめました(家庭環境から目をそらしつつ)。
ガジモンはアニメとかだと小物の敵役扱いされがちですが、成長期らしくマスコット張れるかわいいスペック持ってるんですよね。しかも、イケメンなベクトルにも進化できる。なお減点される模様。
幼い頃から素質はありながらもまだ相棒はおらずなおかつ危なっかしい雰囲気しかない勇気さん。付き合いの長い米さんとその相棒のガジモンにフォローされるというのも奇妙ながらもいい関係だなとも思ったり。……で、勇気さんが真の相棒を得る話とかありそうですが……え、ない? そんな。
主催としての活動、参加者として三作もの投稿、改めてお疲れ様でした。
わあい。なまけ者に見えて実際なまけ者だけど肝が座ってる系女子。化石なまけ者に見えて実際なまけ者だけど肝が座ってる系女子だいすき。 という訳で「米さん好きだなあ」から始まる感想のお時間がやって参りました。ガジモンに初めて遭遇した時も多分このくらいのテンションだったんだろうなあ……。 モリシェルモンと対峙した時の「いつも通りでいいんじゃん」「ガジモンができるって言うなら疑わないって」「じゃあ、できんじゃん」の一連の台詞に私が感じた米さんの魅力がふんだんに詰まっていて、物語が盛り上がるシーンであるのも合わせて一番好きなシーンです。ガジモンとの絆というか繋がりもちゃんとしっかり感じられる素晴らしい進化シーンでした。 (それはそれとしてブラックマッハガオガモンは強く生きて……) 幼なじみコンビどころか家庭科部の中でも当たり前のようにガジモンが馴染んでる一方で、ゆうちゃんが見えないものを見てしまう故の苦労をしてきたのが垣間見え…たけど恋する乙女のタフさを発揮してて安心しました。 お互いに面倒見合っているコンビよ、末永く仲良くあれ(もちろんガジモンも。ガジモンは強く生きて……)。 いつもの日常であったりターボババアの噂が出たり(ひどい…)ブラックマッハガオガモンがダメ出しされてたり(ひどい…)してる一方で、「見えてないのはいないと同じ、誰も見てないお前は誰にも触れられない」など、ぞくりとさせられるシーンもあり……やっぱりお彼岸はこうじゃないと! 以上、袋麺を作る鍋を用意するのも面倒くさいマンのからの感想でした。ブラックマッハガオガモンは強く生きて……。
『日常と異常の彼岸に』楽しく読ませていただきました! 簡単ですが感想をば。
まず初っ端からのキャラの見せ方が秀逸。家庭科室で鍋からラーメン食べてる主人公というインパクトでぐっと持っていかれました。どんな登場シーンだ。これだけでなんとなく主人公の人となりが伝わってくるのがインスタントラーメンばりにコスパ最強って感じでしたね。もぐもぐ。
で、この衝撃のせいで、そこそこ存在に違和感があるはずのガジモンが不思議と空間に馴染んでるですよね。下手すれば主人公よりも。多分委員長もおんなじこと思ってくれてるんじゃないでしょうか。もう委員長じゃないけど。
世界観もコンパクトに纏められていながらも中々に魅力的でした。誰からも認知されていないのは存在しないのと同じ。滅茶苦茶掘り下げ甲斐のあるテーマで、読切なのが勿体ない……!
この世界のデジモンがどうやってなんとか生きていくのか(或いは生きていけないのか)、考えるほどシビアですね……ガジモンちゃんラッキーボーイ……
イケメンであることが罪なブラックマッハガオガモンに合掌しつつ、簡単ですが感想とさせていただきます。
素敵な作品をありがとうございました! また、今回は素敵な企画の立案・運営ありがとうございました!
フライングデブとターボババアの共演が強すぎる。夏P(ナッピー)です。
ガジラ言うからははぁそういえばVer.5.0は元々ゴジラだったと言うからなさてはダークティラノモンに進化するんだなガジモンとほくそ笑んでたらなるほど全然違うじゃねーか。あまりにデジモンが日常、というか家庭科部に溶け込み過ぎているなフフフと微笑んでいたら生徒会室の方はそうでもない緩やかな雰囲気が素敵。ところで勇気ちゃんがファイトなら米も超理論で一発と呼ぼうぜタウリン1000mg配合。あと多分この家庭科部部長はきっと只者ではない。
カタツムリ言われてるのに「蛇足!」で蹴られ、嘘、殴られるモリシェルモン不憫。登場時点でアカンこれファイトちゃん食われて敵として登場する奴だと思ったら「牙が奴の体をすり抜けてしまうぞ!?」なバイオライダー理論で理不尽でした。あとブラックマッハガオガモンが創作で使われてるの初めて見たかもしれません。ガジモンから始まって進化ルート渋いな……Cカップ……。
モリシェルモン最後にファイトちゃんのパートナーになったりするのかなと思いましたが現実はそんなに甘くなかった。地味におどけてふぁいと呼びするとか言ってたのに、本人いないところでゆうちゃん呼びしてるのベジータ的ツンデレ疑惑ですなヨネさんや。……と思って一旦最初から読み返したら普通に本人の前でもゆうちゃん呼びだったので腰が砕けて入院した。
えぇ!? 後書き的にこれ企画始まってから期間内に書かれたってこと!? す、すごい。
それではこの辺で感想とさせて頂きます。
こんにちは、『彼岸花の蕾が開き』に投稿した3作品すべてに感想ありがとうございました! そして運営おつかれさまです、快晴です。
『日常と異常の彼岸に』も、大変楽しく拝見させてもらいました。おそれながら、また感想の方、投げさせてもらいます。
Twitterで拝見した時から「鍋から直でラーメン食べる女の子大好き!」と大はしゃぎしていた前田米さんとガジモンのガジラさんがついに参戦! あのイラストが、まさか冒頭の場面になろうとは。
性格はなまけものとのことで、本編中でも間延びした飄々とした口調が印象的でしたが、その実幼馴染に対して面倒見の良いところもあって、ますます好きになってしまいましたね。
ガジラさんも、地の文含めて割と雑に扱われているけれど、逆に言えば米さんの日常に馴染んでいる感があって、とても可愛らしいです。私もガジモンをこねくりまわしたい。
電波扱いされてしまう程そういうものを見続けていた勇気さんは、まさにこの彼岸と此岸、その中間に位置する季節のような人なんだなぁと思いました。完全に此方には寄っていない者も、モリシェルモンを始めとした彼岸から来た者も、やはりズレがあるというのは生き辛いのだろうなと思わずにはいられません。あとがきで明かされた設定含め……。
だからこそ、いわゆるパートナーというのは特別なのだなぁと思いましたし、ちりばめられたパーツや発生する事態は深刻なのですが、あくまで此岸で生きる者達の物語--女子高生の日常が話の本筋、というのが、このお話を読み終わった時の印象でした。(まあ米さんはある意味ターボババアになってしまったわけなのですが……)
恋する乙女は強いのだ。……へりこにあん様の作品の女性となると、説得力がすさまじいですね。勇気さん、ファイト。
『彼岸花の蕾が開き』という企画のある種手本となる『嘘吐き達の青薔薇』から始まり、此岸と彼岸に生きる者同士が交流する『華は彼岸に』を挟んで、此岸を描く『日常と異常の彼岸に』に至る。へりこにあん様の3作品はこのお彼岸という1週間そのもののようで、まさしく最終日に相応しい作品だったように思います。
素敵な作品を、そして素晴らしい1週間を、本当にありがとうございました!
また新たな作品でもお会いできるのを、引き続き楽しみにしております。
あとがき
お彼岸らしいデジモンといえば、ランナモンですね。黒と白の模様がもう生と死の境目を表しているかのようですし、バイタルブレスでの進化条件もね、運動量が多いと少ないの間。存在が境界を意味する彼岸の概念そのものと言って間違いないでしょう。
さて、この三作目は正直最初は用意してなかったんですが、皆さんの勢いがすごかったので私ももう少し手を出してぇ……となりまして。
1年C組 へりこにあんちゃん
身長…164cm
髪…赤くてぼさぼさ
目…ピンクでぱっちり
得意科目…家庭科
バスト…C
特徴…よく面倒ごとに巻き込まれる
性格…なまけもの。おせっかいな子とは相性よし
という、診断メーカーで作ったキャラからちょっとお話を作ってみました。前田米さん、かわいいですね。
この世界では人間に観測されないデジモンはまともに物にも触れられず、当然基本食べられないので飢え死にしていきます。ガジモンみたいにパートナーと出会えないとめちゃきつそうです。
後々、イラスト追加します。