「とりあえず、わたあめとかりんご飴とかチョコバナナとか鯛焼きとかかき氷とか買ってきたけど」 猗鈴の持ったビニール袋に詰まった大量の甘味を見て、杉菜は微妙な顔した。甘いものがあまり得意じゃなかった。 「なぜ甘いものだけなんですか」 「余ったら自分で食べようと思って自分の好みで買ってきた」 「……しょっぱいの買ってきてもらえます?」 杉菜は猗鈴の代わりに便五の方を向き一万円札を渡しながらそう言った。 最初の花火が打ち上がるまであと十分、猗鈴と便五、千歳、それに姫芝と永花、そしてワイズモンだった代田という男も入れて、六人で花火がよく見える一角に陣取っていた。 ちらと杉菜が永花の方を見れば、先の騒動の